遺産隠しはどの程度の罰則になるのか

 

遺産隠しはどの程度の罰則になるのか

相続では、他の共同相続人(相続財産を受け継ぐ「権利」と「義務」のある方)が被相続人の財産を隠してしまうといったトラブルが発生することもあります。

その他にも、相続税の申告時に財産を隠して申告するなど、遺産を隠すという行為は、実際の相続の現場でも見受けられる行為となっているのです。

そこで、相続において遺産を隠すという行為には、何かしらの罰則があるものなのでしょうか?また、あるとしたらどの程度の罰則になるのでしょう?

今回はこういった疑問を解決すべく、「遺産隠し」について詳しく見ていきます。

共同相続人が遺産を隠している

共同相続人が被相続人の遺産を隠している場合、一見すると違法行為のようにも感じられますが、単に隠しているだけであれば違法とは言い切れません。

よって、違法を理由に隠している財産を引き出すことは困難と言えます。

こういった場合、被相続人の遺産については自身でしっかりと調査をしなければならないのです。

相続人であれば、金融機関や市区町村役場に対して照会をかけることが可能です。

遺産隠しのトラブルに巻き込まれないためにも、被相続人が生前利用していた金融機関や、被相続人に縁のある市区町村役場の名寄せ帳といったものは必ずチェックしておくようにしましょう。

共同相続人が遺産を使い込んでいる

共同相続人が隠している遺産を勝手に消費していたような場合であっても、原則、刑事罰に問うのは難しいといえます。

「法は家庭に入らず」といって、親族間の問題に警察が介入することはほとんどありません。

この考えの元となっているのが、刑法にて規定されている親族相盗例です。

こちらは、配偶者、直系血族または同居の親族の間で起きた窃盗の罪は刑が免除されるというものです。

この特例があるため、共同相続人が遺産を使い込んでいたとしても、警察が取り締まるのは非常に難しくなっています。どうしても法律にのっとった解決がしたいのであれば、民事上の請求である「不当利得返還請求」、「損害賠償請求」といった方法にて解決を図る他、手段はないといえます。

相続人間に遺産隠しの罰則規定はない

上記したことからも、相続人間において遺産隠しによる罰則規定は特にないということになります。

民事上の請求をするにしても、ある程度の証拠がないことには請求が認められることはありませんので、遺産隠しをしている証拠や、遺産を勝手に消費している証拠といったものがないことにはどうすることもできません。

つまり、相続人間で遺産隠しが問題となってトラブルへと発展してしまっても、自身による遺産調査や話し合いをメインに解決策を講じるしかないということです。

そこで、調査や話し合いに長けている専門家に相談をするといった選択肢が出てくることになります。

どうしても相続人同士だけの話し合いで解決することが難しいようであれば、専門家に相談をし、解決の手助けをしてもらうようにしましょう。

税務署への遺産隠しは非常に危険

では次に、相続税の申告時に遺産を隠す行為についても見ていきましょう。

相続税の申告時、遺産隠しがあったとなれば税務署はかなりの高確率で調査をしてくるといえるでしょう。

税務署というのは、一般の方が思っている以上に、強い権限を持って調査を行うことが可能となっているのです。

たとえば、金融機関に対して預金残高や取引履歴を提出させたり、証券会社に対して保有株式の照会をかけたりすることも可能となっています。

さらに、被相続人だけでなく配偶者やその子どもといった近親者に対しても調査の手を伸ばすことができるため、税務署を相手に遺産隠しをするのはかなり困難といえます。

特に、相続税が発生するほどの高額財産を所有している方については、日頃から税務署のチェックが入っていると考えておくようにしましょう。

ある程度の財産については目星がついているというのに、その財産が相続税の申告時に出てこなかったとなれば、あっという間に税務調査の対象とされてしまうので注意が必要です。

税務署に遺産隠しが見つかったら

税務署に遺産隠しが見つかったとなれば、税金の加算がされることになります。

これを「過小申告加算税」といって通常の相続税に5~10%が加算されることになっています。

また、遺産隠しが意図的であったと判断されてしまえば、30~35%も追徴されてしまう「重加算税」が課されてしまうのです。

さらに、悪質であると判断されたとなれば、刑事罰に処されることもあり、税務署を相手に遺産隠しをしても何も良いことはありません。

そんなことに頭を使うよりも、被相続人の生前からしっかりと相続税対策を行うことのほうが重要となっています。

また、相続開始後であっても可能な相続税対策もありますので、税理士や弁護士といった専門家に相談をするようにし、下手に遺産隠しをしようなどとは考えないようにしましょう。

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永瀬 優(パラリーガル)

永瀬 優(パラリーガル)

1986年生まれ。高校卒業後、東洋大学法学部法律学科へと進学し、2011年からパラリーガルとして法律事務所に勤務開始。法律事務所という環境化での経験を活かし、債務整理や離婚、相続といった法律関連の文章を得意としている。 たくさんの人に法律を身近に感じてもらいたい、誰もが気軽に法律を知る機会を増やしたい、という思いから本業の合間を縫う形で執筆活動を開始した。 現在もパラリーガルを続ける中、ライティングオフィス「シーラカンストークス」に所属するwebライター。著書に「現役パラリーガルが教える!無料法律相談のすすめ。お金をかけず弁護士に相談する方法と良い弁護士・良い事務所の探し方。」がある。
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