遺言書を書くと相続税が減らせる?!自民党、遺言控除の導入検討へ

 

遺言書を持つ男性
自由民主党の特命委員会が、遺言に基づいて遺産を相続した場合に相続税の負担を減らすことのできる「遺言控除」の新設を要望する方針を固めたという報道がありました。

党の税制調査会に提案し、2018年までの導入を目指すということです。

遺言書を書くと相続税が減らせるというこの仕組み、一体どういうものなのでしょうか? 

今回は、「遺言控除」について御説明します。

「遺言控除」とは?

2015年7月、自由民主党の政務調査会「家族の絆を守る特命委員会」で、家族の絆を強くするための税制のあり方について検討されました。

そこで導入が提言されたのが「遺言控除」です。

「遺言控除」とは、亡くなった被相続人の遺言に基づいて相続がされた場合に相続税の基礎控除に上乗せして一定額を控除する新たな控除制度で、早ければ2017年度税制改正での実施を目指すとされました。

遺言控除導入の目的としては、遺言を普及させて遺言に基づいた遺産分割を促進することで、遺産分割や相続をめぐる紛争を抑止することや、若い世代へのスムーズな資産移転を図ること、介護による貢献に見合った遺産相続を促進することなどが挙げられています。

そもそも相続税とは?

遺言控除は、遺言に基づいて相続が行われた場合に相続税が軽減される仕組みであるということが分かりました。

それでは、そもそも相続税とは何なのでしょうか?

相続税とは、個人が亡くなった被相続人から相続などによって土地や現金などの財産を取得した場合に、その取得した財産に対して課される税金のことをいいます。


相続税は、遺産の総額から基礎控除額を差し引き、残りの額に税率をかけて算出します。

つまり、基礎控除額が多く引かれれば引かれるほど、かかる税金が少なくなるのです。

この基礎控除額は、2013年度税制改正によって、2015年から減額されています。

2015年1月以降に発生した相続からは、基礎控除額が「3000万円+600万円×法定相続人数」とされ、従来の6割ほどに縮減されたのです。

これにより、相続税が課税される家庭が、これまでよりも増えることになりました。

遺言控除は、この基礎控除額に上乗せする形で導入することが予定されています。

控除額は数百万円を軸に今後検討されるということですが、仮に控除額が300万円とされた場合、30万~165万円の減税となります。

なぜ遺言は必要なの?

遺言書を書く男性
遺言控除が導入された場合、遺言を書いてそれに基づいた相続を行うことで、相続税の負担が軽くなるということが分かりました。

それでは、なぜ遺言を書くことで優遇されるのでしょうか? 

そもそも遺言書とは、どのようなものなのでしょうか。

遺言とは、一般的には故人が自らの死後のために遺した言葉や文章のことをいいますが、民法上の遺言は、死後の法律関係を定めるための最終意思表示のことを指します。

遺言書で定めることのできる事項は多岐にわたりますが、遺言の最も重要な機能は、被相続人が自分の死後の遺産の処分に関して指示を残すことができる点にあります。

遺言を作成することで、法律の範囲内で、どの財産を誰に相続させるかという配分を指定したり、相続人以外の人に遺産を与えたりすることができるのです。

一方、遺言がない場合は、相続人の間で相続財産の配分を協議して決定します。

協議が整わない場合、民法の規定に従って相続が行われることもあります(法定相続といいます)。

法定相続では、例えば相続人が配偶者と子の場合は2分の1ずつ相続するなど、被相続人との関係性によってあらかじめ定まった法定相続分に従って相続が行われます。

しかし、この法定相続分はあくまでも機械的に定められたものにすぎないため、実態と照らし合わせた場合に必ずしも適切であるとは限りません。

例えば、被相続人の介護に貢献した子供も、成人して以来一度も実家に顔を出さなかった子供も、そのような事情は一切考慮されず全く同じ法定相続分が適用されるのです。

このような場合、取り分をめぐって一方の不満が溜まり、相続争いが起こる原因にもなりかねません。

実際に、日本では財産を残す人が遺言を用意するなどの相続対策を十分に取っていないことが多く、取り分をめぐり遺族の間で揉め事になりやすいのが現状です。

家庭裁判所に寄せられた相続に関する相談件数は、この10年ほどで急増しています。


相続をめぐって争いが起こった場合、その解決には時間もお金もかかります。

また、相続税の申告期限は相続開始日の翌日から10ヶ月目の日とされていますが、争いが長期化して期限内に相続分が定まらない場合、相続税の申告ができず、相続税の優遇措置を受けられなくなるなどのデメリットもあります。

そして何より、相続をめぐって家族間で争いが起こることは、とても悲しいことです。

相続争いを避けるためにも、生前に被相続人が自身の財産の分け方について相続人に説明するとともに、自らの意思を法的に反映させる遺言を作成しておくことが大切なのです。

遺言書を作成しましょう

遺言控除の導入が検討されている背景として、遺言の重要性が理解いただけたかと思います。

遺言控除の導入自体はまだ先の話ではありますが、上記で解説したとおり、無用な相続争いを回避して適切な遺産分割を促進するためにも、きちんと遺言を作成することが欠かせません。

遺言は、その性質から形式が厳格に定められています。民法第960条に規定されているとおり、民法の規定に則った方式で行わなければ無効とされてしまうのです。

第九百六十条  遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

せっかく遺産分割について自らの意思を表示したのに、形式上の不備があるため無効とされてしまったら、元も子もありません。

このようなトラブルを避けるためにも、遺言を作成する場合には、弁護士等の専門家と相談しながら作成するようにしましょう。

まとめ

自らの死後も、家族にはいつまでも仲良く暮らしてほしいですよね。遺産分割について家族間できちんと話し合い、あらかじめ遺言を遺すことで、悲しい相続争いを避けることができるのです。

遺言は、残された家族への最後のプレゼントともいえるでしょう。元気なうちから、ぜひ遺言を作成することを考えてみてください。

まだ弁護士費用が心配ですか?
離婚・男女トラブル、労働トラブル、
近隣トラブル、相続トラブル、詐欺被害など、
トラブル時の弁護士費用を通算1000万円まで補償。


The following two tabs change content below.
山根浩

山根浩

フリーライター。東京都生まれ。2008年よりインターネットメディアを中心に法律、スポーツ、健康といった幅広いジャンルで執筆活動を開始。2010年以降は法律ジャンルに特化し、離婚、相続、交通事故、近隣トラブル、職場トラブルといった身近な法律トラブルに関する執筆を多く担当している。
この記事のURLとタイトルをコピーする

いいね!を押して更新情報を受け取る

ページ上部へ戻る