【入店拒否・出禁】客を選ぶ権利は法律に存在するのか

【入店拒否・出禁】客を選ぶ権利は法律に存在するのか
お店を経営するうえでは、クレーマーを避けることはできません。

クレーマーとは、企業や店舗に対して何らかの要望を表明する人を指します。

クレーマーに対してはどのように対応すればよいのでしょうか?

入店拒否をすると違法となるのでしょうか?

お客を選ぶ権利は法律上に存在するのでしょうか?

クレーマーには2種類ある

クレーマーには、大きく分けて2種類あります。「正当なクレーマー」と「悪質なクレーマー」です。

「正当なクレーマー」とは、お店側に何らかの落ち度があったために損害を被った人のことです。

例えば、レストランで出された食事によって食中毒にかかった人が「治療費を支払ってほしい」と要求する行為は、正当なクレームです。

このような場合、お店側は食中毒の原因を迅速に調査しなければいけません。

食中毒にかかった人に対しては、適正な治療費や慰謝料を支払う義務があります。

レストランの衛生管理に問題がある場合は、直ちに対策を取らなければいけません。

一方で、お店側に何らの落ち度が無いにも関わらず、不当な要求を訴えてくる人がいます。

これを「悪質なクレーマー」と呼びます。

悪質なクレーマーに対しては、慰謝料や治療費などの金銭的補償を行う必要はありません。

こちらに落ち度が無い訳ですから、謝罪をする必要もありません。

しかし、対応を誤ってしまうと、お客様の神経を逆なでしてしまい、毎日のようにお店に押しかけてくるかもしれません。

電話やメールで不当な言いがかりを付けてくるかもしれません。

最近では、インターネット上でお店の悪評を書き込むという悪質なクレーマーも増えています。

このような事態を避けるためには、悪質なクレーマーに対してどのように対応したらよいのでしょうか?

悪質なクレーマーへの対応策

悪質なクレーマーが現れたら、まずは誠実に相手の言い分を聴き取りましょう。

お店側の主張を先に伝えるのではなく、まずは第一にクレーマーの要望を聴き取ることが重要です。

事実確認が必要である場合は、迅速に調査を行いましょう。

調査を行ったうえでお店側に落ち度が無いことが確認できれば、その調査結果をクレーマーに伝えましょう。

調査結果を伝える際には、1対1で対応しないように気を付けましょう。

クレーマーが1人の場合は、お店側は2〜3人で対応しましょう。

クレーマーが2人以上である場合は、お店側は同等の人数かそれ以上の人数で対応しましょう。

調査の結果は、口頭ではなく書類にまとめて報告することが重要です。

口頭で説明すると、後になって「言った」「言わない」の争いになるおそれがあります。

書類で報告することによって、お店側が誠実に対応していることがクレーマーに伝わるというメリットもあります。

話し合いの過程は、必ずボイスレコーダーやビデオで録音しておきましょう。

話し合いがこじれて長期化した場合には、「初期にどのような発言をしていたか」が重要な証拠となります。

誠実に話し合いを重ねても解決しない場合は、入店拒否など次なる手段を検討しましょう。

お店には客を自由に選ぶ権利がある

悪質なクレーマーに対しては、入店を拒否することができます。

悪質なクレーマーを入店拒否としても、法律違反ではありません。

そもそも、お店側には全てのお客様を受け入れる義務はありません。

お店の雰囲気作りのために、顧客層を自由に選ぶことができます。

例えば、お店の高級感を維持するために、お店はドレスコードを自由に設けることができます。

お店の雰囲気にそぐわないお客様が現れた場合、ドレスコードを理由として入店をお断りすることができます。

お店がお客様を選ぶことは、ビジネス戦略として認められている正当な行為です。

悪質なクレーマーに対しても、同様のルールが当てはまります。

お店側が「営業の妨げになる」と判断すれば、お店側は自由に入店を拒否することができます。

入店拒否をする際の注意点

お店側は自由にお客様を選ぶことができますが、実際にお客様の入店を拒否する際には注意が必要です。

お店が差別的な理由によってお客様の入店を断った場合は、違法となるおそれがあるからです。

差別的な理由で入店を拒否すると、お客様の人権侵害となるおそれがあります。

お客様の人権を不当に侵害した場合は、慰謝料などの損害賠償義務を負う可能性があります。

それでは、どのような理由で入店拒否を行うと人権侵害となるのでしょうか?

身体的な特徴を理由として入店を拒否するケース

お客様の身体的な特徴を指摘して入店を拒否すると、差別的な取扱いとして違法となるおそれがあります。

例えば、松葉杖(まつばづえ)をついていることを理由として入店を拒否した場合は、不当な差別となる可能性があります。

他にも、言葉が話せないことや目が見えないことを理由として入店を断った場合も、違法となる可能性があります。

同性カップルであることを理由に入店を断るケース

お客様が同性カップルであることを理由として入店を拒否すると、違法となる可能性があります。

他にも、お客様がLGBTであることを理由として入店を断ると、違法となる可能性があります。

LGBTとは、L(レズビアン)やG(ゲイ)、B(バイセクシャル)やT(トランスジェンダー)のことです。

このような方々の入店を一律に拒否すると、性的少数者に対する不当な差別となる可能性があります。

人種や国籍を理由に入店を拒否するケース

お客様の人種や国籍を理由に入店を拒否すると、違法となる可能性があります。

人種や国籍は人権侵害となる可能性が高い事項なので、入店を拒否する際の判断は慎重に行いましょう。

営業の妨げになる場合は入店をお断りすることもできる

以上の3つのケースでも、場合によってはお店側が入店をお断りすることができます。

例えば、お客様の国籍を理由に入店を拒否することはできませんが、もしそのお客様がアラビア語しか話すことができず、お店の従業員にアラビア語を話せるスタッフがいない場合は、「メニューを説明することができない」という理由で入店をお断りすることができます。

また、車椅子のお客様を一律に拒否することはできませんが、お店が非常に混雑している時間帯であれば、車椅子のお客様に危険を与える可能性があるので、入店をお断りすることができます。

その場合は、「今は混雑しているのでお客様がケガをする危険性があるが、あと1時間後に来てもらえれば車椅子の方がゆったり座れるような広い席を用意できる」と伝えて、丁寧にお断りしましょう。

以上のとおり、お店の営業の妨げになる場合に限っては、正当にお客様の入店をお断りすることができます。

お店側が正当にお客様の入店を拒否できるかどうかは、「営業の妨げになるか」という点が基準となります。

執拗なクレーマーへの正しい対処法

お店側が入店を拒否しても、お店の警告を無視して怒鳴り込んでくるお客様もいます。

このような場合、まわりのお客様に迷惑がかかってしまいます。

このような執拗なクレーマーに対しては、どのように対応したらよいのでしょうか?

執拗なクレーマーに対しては、刑事事件として警察に逮捕を要請することができます。

ただし、警察は具体的な犯罪に該当すると判断しなければ動いてはくれません。

警察を動かすためには、警察に対してどのように要請すればよいのでしょうか?

まず、クレーマーがお店の営業時間内に怒鳴ったり叫んだりする場合は、営業妨害罪に該当する可能性があります。

店内で暴れたり物を投げたりした場合は、暴行罪傷害罪に該当する可能性があります。

お店に対して「慰謝料100万円を支払わなければ店に火をつける」などの脅し文句を言った場合は、脅迫罪恐喝罪に該当する可能性があります。

従業員の悪口をインターネット上に書き込んだ場合は、名誉毀損罪に該当する可能性があります。

このように、クレーマーの態様によって様々な犯罪に該当する可能性があります。

警察に逮捕を要請する際には、具体的な犯罪名を挙げて報告しましょう。

また、防犯カメラの映像や電話での話し合いの録音などの証拠も重要です。

客観的な証拠を残しておくと、警察に動いてもらえる可能性が高くなります。

クレーマーには毅然とした対応が必要

ビジネスを行ううえでは、クレーム対策を避けることはできません。

お客様からクレームが来た場合は、まずは正当なクレームか悪質なクレームかを判断しましょう。

正当なクレームに対しては、金銭的な損害賠償や謝罪などの対応が必要です。

悪質なクレームに対しては、毅然とした対応が必要です。

まずは事実確認を行い、誠実に話し合いを行いましょう。

話し合いで解決しない場合は、入店拒否や刑事告訴などの法的手段を用いることを検討しましょう。

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