一般にいわれる、パラリーガルと弁護士秘書にはどのような違いがあるのでしょうか?
広義的には、パラリーガルと弁護士秘書は同様に取り扱われることもありますが、狭義的に見れば、パラリーガルと弁護士秘書には区別がつけられています。
そもそも、日本でパラリーガルという言葉が使われるようになった歴史はまだ浅く、以前までは弁護士事務員(弁護士補助)・弁護士秘書といった区別がなされていました。
パラリーガルというのは、この弁護士事務員に該当しています。
現在においても、引き続きこのような区別のほうがメジャーであると考えられています。
しかし、若干、線引きが曖昧なところがあり、その区別には明確な基準といったものもありません。
今回はパラリーガルと弁護士秘書について、業界における違いについて、簡単にご紹介させていただきます。
弁護士秘書ってなにをする人?
弁護士秘書というのは、主に弁護士のスケジュールの管理・調整や、電話対応、来客者へのお茶出し、裁判所への書類の提出・受領、公的書類の取り寄せ、郵便物への宛名書き、といった具合に、簡易的な弁護士業務をサポートしています。
法律事務所によっては、ゴミ出しや掃除といった雑用的なことを任されることもありますが、弁護士が快適に業務を行うためには、どうしても欠かせない存在といえるのが弁護士秘書です。
また、こちらも法律事務所によりますが、パラリーガルよりも弁護士秘書が求められているというのも事実です。
専門的な業務を弁護士自らがすべて行うような事務所では、パラリーガルは一切必要ありません。
むしろ、弁護士秘書のほうが求められています。
しかし、弁護士秘書として長く勤めていると、弁護士からの厚い信頼を受け、専門的な業務についても任されることがありますので、弁護士秘書とはいえ、経験を積むことによって自然とパラリーガル寄りになってくることも。
パラリーガルは専門的な業務に勤しむ
一方で、パラリーガルというのは、弁護士の業務を専門的な知識を持ってサポートします。
主に、裁判所への提出書類の作成、契約関係書類の作成、内容証明の作成、判例や条文の調査、債務整理・過払い請求の補助といったところです。
よって、パラリーガルは文書作成が主な業務となりますので、基本的にはあまり外に出払うことはありません。
しかし、大規模な法律事務所などでは、常に弁護士の横をついてまわり、裁判所や現地調査へと出向くこともあります。
とはいえ、中小規模な法律事務所の場合は、パラリーガルが弁護士秘書を兼ねていることもよくあり、比較的に業務の比重が専門的な分野によっていれば、それでパラリーガルと呼ばれることもあります。
つまり、パラリーガルと弁護士秘書には明確な線引きがされているわけではなく(もちろんされている事務所もありますが)、特にパラリーガルについては、弁護士秘書の業務についても、ある程度のスキルを求められることがほとんどです。
法律事務所によって扱いが異なる
また、パラリーガルと弁護士秘書については、業務上このように取り扱わなければならないといった、弁護士会の細かい規定があるわけではないので、法律事務所によって両者の扱いというのはまったく異なります。
あまり良い表現の仕方ではないかもしれませんが、正直なところ、法律事務所によってアタリ・ハズレというのはあると思います。
こうしたことから、理想と現実がひどくかけ離れていることも多々あり、こんなつもりじゃなかったのに・・・と法律事務所を去っていくパラリーガルがいるのも事実です。
とはいえ、どちらも弁護士あってこその職業となっていますので、弁護士に対して信頼できない、尊敬できない、といったマイナス感情が伴うようであれば、勤務先を変えた方が良いといえます。
極端に言えば、パラリーガルであっても弁護士秘書であっても、弁護士を担ぎ、縁の下の力持ちをする立場にあることは変わりありませんので、この先生についていきたいと思える弁護士の下で働けるというのが、もっとも理想的な職場環境といえます。