最終更新日:2020年12月26日
2013年に日本で初めて単独型の弁護士費用保険が発売され、最近ではテレビや新聞などのメディアで弁護士費用保険が紹介される機会も増えてきました。
興味を持って弁護士費用保険について調べてみたものの、
・どんな事件がどんなケースで補償されるのかわからない
・どんなケースで保険適用外になってしまうのわからない
・保険会社ごとの保険料以外の部分の違いが理解できない
上記のような不満から加入を決めかねている方も多いと思います。
たしかに会社によって費用ももちろんですが、不担保期間や付帯サービス、回数制限など、細かいようで意外と重要な部分が大きく異なります。
そこで当ページでは、単独で加入でき、離婚や相続・労働トラブルなどの一般事件を補償してもらえる弁護士費用保険を販売している3社と両社の主な保険を図やイラストも含めながらできるだけわかりやすく比較してきます。
トラブルは誰に、いついかなる時に起こるかわかりません。
このページをお読み頂くことで、あなたにあった弁護士保険を見つけて頂き、「弁護士がついている」という安心を手に入れて頂けば幸いです。
弁護士費用保険についてよくある質問
本題に入る前に、弁護士費用保険についてよくある質問とその回答を記載します。
そもそも弁護士費用保険とは?
弁護士費用保険は何社から販売されていますか?
弁護士費用保険はいつから使えるのですか?
弁護士費用特約との違いは?
いじめ保険と弁護士費用保険の違いは?
弁護士費用保険のデメリットは?
弁護士費用保険を販売している3社と主な商品の特徴
2020年9月1日現在、個人が単体で加入できる一般事件(離婚や相続、労働トラブルなど)を補償対象とした弁護士費用保険は下記の3社から販売されています。
保険会社 | プリベント少額短期保険 | エール少額短期保険 | 弁護士費用保険メルシー |
主な商品 | 弁護士費用保険Mikata | 弁護士保険コモン+ | 弁護士費用保険メルシー |
発売日 | 2013年5月 | 2018年1月 (2020年9月に改定) | 2020年4月 |
細かい比較の前に、まずは各社・各商品の特徴をざっくりと説明します。
プリベント少額短期保険
<会社の特徴>
日本で初めて単独型の弁護士費用保険を販売したパイオニア的な会社です。
<商品の特徴>
プリベント社から発売されている弁護士費用保険は、「弁護士費用保険Mikata」の1種類のみです。(特約はあります。)
2013年に発売され、2020年9月1日時点での保有件数は19,000件に上ります。日弁連(※1)との提携によって実現した弁護士直通ダイヤルも好評で、受電件数が20,000件を突破しました。
保険金の支払実績も2,600件を突破を超えています。(2020年6月1日時点)
加入者には、リーガルカード(弁護士費用保険証)やステッカーが無料で配布され、トラブルを防ぐための配慮がなされています。
※1 日弁連(日本弁護士連合会)・・・弁護士の登録、会員の指導・連絡・監督に関する事務遂行を目的とした全弁護士および全弁護士会を会員とする公法人。全ての日本の弁護士が登録されている。
エール少額短期保険
<会社の特徴>
2017年に発売開始をした中堅の弁護士費用保険の会社です。
<商品の特徴>
エール社の主な商品は「弁護士保険コモン+」という保険です。
「弁護士保険コモン+」は、2020年9月にこれまでの「弁護士保険コモン」に代わり、新商品として販売開始した保険です。新しくなった大きなポイントとして、着手金や報酬金に対する基本てん補割合が大きくアップし、着手金はどのプランでも100%、報酬金はプランに応じて0・50・100%になりました。これにより、お客さまの自己負担が減り、より多くの費用を保険金としてお支払いできるようになりました。
また、「弁護士保険コモン」での特徴だったプランやサービスの豊富さは、そのまま引き継がれています。
カイラス少額短期保険
<会社の特徴>
2020年4月に発売開始をした最も新しい弁護士費用保険の会社です。
<商品の特徴>
カイラス社の主な商品は「弁護士費用保険メルシー」という保険です。
最低限必要な補償が付帯していながら、後発とあって他社よりも低単価でサービスを提供しています。
弁護士費用保険Mikataと弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)、弁護士費用保険メルシーの補償範囲の違い
次に、「弁護士費用保険Mikata」、「弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)」、「弁護士費用保険メルシー」の補償範囲を記載します。
保険会社3社の補償範囲
※下記で記載しているトラブルのみが対象という意味ではありません。
保険会社3社の比較表(費用や不担保期間など)
続いて比較表を使って保険会社3社の費用や不担保期間など細かい部分見ていきましょう。
重要な部分は後ほど説明致します。
(レギュラー+プラン) | |||
---|---|---|---|
商品の特徴 | ・実績が豊富 -加入者数14,000人超え -保険金支払実績2,600件超え -弁護士直通ダイヤル15,000件超え ・トラブルを未然に防ぐためのアイテムが充実している | ・ネットストーカーや冤罪の場合の無料弁護士サポートが充実 ・補償範囲のカスタマイズが可能 | 最低限必要な補償が付帯していながら、後発とあって他社よりも低単価でサービスを提供 |
弁護士費用の補償対象となる原因事故(トラブル)の範囲 | 偶発事故(加害者・被害者)、近隣トラブル、労働トラブル 、相続トラブル 離婚トラブル、賃貸・不動産トラブル、いじめ・ハラスメント、インターネットのトラブル、リスク取引 | ||
上記のうち 支払対象外となるトラブル | リスク取引(金銭消費貸借、投機取引、連鎖販売取引など) | リスク取引(金銭消費貸借、投機取引、連鎖販売取引など) | |
補償対象となる被保険者の立場 | 被害、加害 | 被害、加害 | 被害、加害 |
不担保期間の設定 | 一般事件:3ヶ月 離婚、相続、親族:1年 リスク取引:1年 | 一般事件:3ヶ月 離婚:3年 相続:2 年 親族:1年 | 一般事件:3か月 離婚:1年 相続:1年 労働:1年 親族:1年 |
相談料給付限度 | 実費相当額(自己負担なし) 1事案 2.2万円、年間 10万円 | 実費相当額(自己負担なし) 1事案 2.2万円、年間 10万円 | 相談料の給付なし (但し初回法律相談60分無料の弁護士を紹介するサービスで補完) |
弁護士委任費用(偶発事故) | 実費相当額(自己負担なし) | 着手金 (基準-5万)×100% 報酬金 (基準)×50% | 次のア・イのいずれか少ない金額。 (ア) 被保険者が委任契約に基づき、弁護士に支払う着手金及び報酬金 (イ) 基準法務費用×基本てん補割合(原則70%) |
保険金 (一般事件) | 着手金 (着手金-5万)×70%を補償 | 着手金 (基準-5万)×100% 報酬金 (基準)×50% | 次のア・イのいずれか少ない金額。 (ア) 被保険者が委任契約に基づき、弁護士に支払う着手金及び報酬金 (イ) 基準法務費用×基本てん補割合(原則70%) |
保険金の支払上限 弁護士委任費用 (偶発事故) | 1事案300万円 | 1事案100万円 | 1事案330万円 |
保険金の支払上限 弁護士委任費用 (一般事件) | 1事案100万円 | 1事案100万円 | 1事案110万円 |
加入後通算限度支払額 | 通算1,000万円 | 通算1,200万円 | 年間500万円、通算1,000万円 |
付帯サービス(無料) | 弁護士直通ダイヤル 弁護士紹介サービス リーガルカード ステッカー配布 | 弁護士直通ダイヤル -ハラスメントヘルプナビ -ネットストーカーヘルプナビ -冤罪ヘルプナビ -示談交渉人案内サービス 法律文書チェックサービス 弁護士検索サービス 子どものいじめヘルプナビ | 弁護士紹介サービス(初回法律相談料60分無料) |
弁護士紹介サービス | 日本弁護士連合会を通じて、全国各地域の弁護士を紹介 ※保険金の支払対象の方に限る | 提携の法律事務所から紹介 | 提携の法律事務所から紹介 |
付加できる特約 | ・一般事件免責金額ゼロ特約 ・団体契約特約 ・家族特約(家族のMikata) | ・免責金額ゼロ特約 ・道路交通事故不担保特約 ・法律相談料不担保特約 | 痴漢冤罪特約 |
保険料(月額) | 2,980円 | 2,480円 | 2,500円 |
上位プラン | ステイタス+プラン 4,980円/月 着手金・報酬金ともに基本てん補割合が100% | ||
その他サービス | ・チャットで法律相談できるアプリ「弁護士トーク」での2つの加入者特典※1 1.48時間以内のスピード回答 2.安心の2名以上の弁護士から回答 ・不定期の弁護士セミナー(一部地域) ・身近な法的トラブルを題材にしたメールマガジン(月に1~2回配信中) | ・不定期の法律相談会 |
ただし、弁護士費用保険Mikataは、個人(事業主)であれば、事業に関することでも、法律相談に関する弁護士費用(上記「相談料給付限度」)は保険の支払いの対象となり、実際に個人事業主の方の加入も多いです。
※1弁護士トークは、プリベント少額短期保険の代理店 弁護士トーク株式会社が運営するサービスです。
特典を受けるには会員登録時にキャンペーンコードを入力する必要があります。
項目別比較
上記の比較表からさらにポイントを絞って比較していきます。
保険料
弁護士費用保険Mikata:基本プラン 月額2,980円
弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン):基本プラン 月額2,480円
弁護士費用保険メルシー:基本プラン 月額2,500円
補償内容
◆保険金の支払上限
偶発事件 | 一般事件 | 通算限度額 | |
---|---|---|---|
弁護士費用保険Mikata | 300万円 | 100万円 | 1000万円 |
弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン) | 100万円 | 100万円 | 1200万円 |
弁護士費用保険メルシー | 330万円 | 110万円 | 1000万円 |
◆不担保期間
保険にご加入いただいてから、保険金をお支払いできない期間の比較です。
見落とされがちですが、意外と重要なポイントですので、しっかりと確認してください。
一般事件は3社とも3ヶ月で同じです。
ただし、下記トラブルは別途設定があり、両社間で違いが生じていますので注意が必要です。
リスク取引・・・金銭消費貸借、投機取引、連鎖販売取引など
◆弁護士委任費用
・法律相談料は弁護士費用保険Mikataと弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)は実費相当額。弁護士費用保険メルシーは相談料の給付はないものの、初回法律相談60分無料の弁護士を紹介するサービスがあるので、同等に近しい価値がありそうです。
・弁護士委任費用は、
【一般事件】
弁護士費用保険Mikataは(着手金-免責5万円)×70%を補償。
弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)は(着手金-免責5万円)×100%、(報酬金)×50%を補償。
弁護士費用保険メルシーは(ア)(イ)のいずれか少ない金額。(ア) 被保険者が委任契約に基づき、弁護士に支払う着手金及び報酬金 (イ) 基準法務費用×基本てん補割合(原則70%)
【偶発事故】弁護士費用保険Mikataは実費相当額(全額)の給付。
弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)は、偶発事故も(着手金-免責5万円)×100%、(報酬金)×100%を補償。
弁護士費用保険メルシーは(ア)(イ)のいずれか少ない金額。(ア) 被保険者が委任契約に基づき、弁護士に支払う着手金及び報酬金 (イ) 基準法務費用×基本てん補割合(原則70%)
<注意点>保険利用(委任費用)の回数制限
弁護士保険コモン+は(同一年度中に)2回目以降利用する場合は免責金額が10万円になり、3回目以降は保険の支払いの対象外となります。
弁護士費用保険メルシーは1年間で2回まで、3年間で3回までが支払い対象となります。
弁護士費用保険Mikataには利用制限回数はありません。
◆補償範囲
弁護士費用保険Mikataと弁護士保険コモン+は、本人、監督義務を有する子どもが補償範囲となります。
弁護士費用保険メルシーは、本人と子どもだけでなく、配偶者や65歳以上の親も補償対象となり、幅広い補償となります。
監督義務を有するこどもの年齢 | |
弁護士費用保険Mikata | 20歳未満の子供 |
弁護士保険コモン+ | 18歳未満の子供 |
弁護士費用保険メルシー | 契約者本人とその配偶者、 および契約者本人から見て1親等内の血族中65歳以上の親と30歳未満の未婚の実子(同居別居問わず) |
◆付加できる特約
弁護士費用保険Mikataは基本のプランに特約が2つ付けられる一方、弁護士保険コモン+は3プラン(ステータスプラン・レギュラープラン・ライトプラン)かつ3つの特約があるので、
自分にあったプランを考えることができるメリットがあります。弁護士費用保険メルシーは痴漢冤罪特約のみ付けることができます。
◆特約
弁護士費用保険Mikata | 弁護士保険コモン | 弁護士費用保険メルシー |
---|---|---|
免責金額ゼロ特約 | 免責金額ゼロ特約 | 痴漢冤罪特約(450円/月) |
団体契約特約 | 道路交通事故不担保特約 | |
家族特約(家族のMikata) | 法律相談料保険金不担保特約 |
◆付帯サービス
<弁護士費用保険Mikata>
・受電件数20,000件を超えた、弁護士直通ダイヤルが魅力
・弁護士紹介サービスは、電話でプリベント社が日本弁護士連合会を通じて全国の弁護士を手配。(紹介実績2,500件突破※2020年1月時点)
<弁護士保険コモン+>
・匿名掲示板やSNS上での誹謗中傷やネット上のつきまといなどのウェブ上でのトラブル時に、弁護士に初動対応を相談できるダイヤルを設置。
・痴漢などの冤罪事件に間違えられたときのヘルプコールやその他弁護士相談できる弁護士直通ダイヤルもあり。
・弁護士をさがすための弁護士検索サポートあり
<弁護士費用保険メルシー>
・1人が加入するだけで補償範囲が、配偶者や1親等内の65歳以上の親、30歳未満の未婚の実子(同居別居問わず)が対象となる。
・補償が手厚い割に金額がお手頃。
掛け金を安くしたい方におすすめの弁護士費用保険
補償は限定的ですが、安価な弁護士費用保険として販売されているのが、エール少額短期保険の<弁護士保険コモン+(ライト+プラン)>(月額1,080円)です。
いつどんなトラブルが起きるは予測できるものではありませんので、基本的は補償範囲の広い弁護士費用保険をお勧めしているのですが、予算だけで決めるということを前提にご説明します。
<弁護士保険コモン+(ライト+プラン)>
ライト+プランは、その名の通り、金額が安い分補償が薄い商品です。
上記で説明した弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)の補償をさらに限定した商品となります。
■弁護士保険コモン+(レギュラー+プラン)との違い
・報酬金に対する補償は無し。※レギュラー+プランは50%
・委任時の弁護士費用は30万円まで
・通算限度額は360万円まで
■レギュラー+プランと同等のサービス
・不担保期間(離婚3年など)
・付帯サービス利用できる
・法務費用保険の利用回数限度額(1年間2回までなど)
・補償対象の被保険者が、本人+監督義務を有する18歳未満の子供
【まとめ】あなたにあった弁護士費用保険は?
最後に、結局ところどの弁護士費用保険がおすすめなのかを、こだわるポイント別にご紹介したいと思います。
実績や補償範囲の広さ、トラブルの防止力にも期待したい方におすすめの弁護士費用保険
→弁護士費用保険Mikata(プリベント少額短期保険)
保険料が2,980円を高いか安いかを判断しかねる部分はありますが、保有件数(19,000件)、保険金支払の給付実績(2,600件)や弁護士費用保険のノウハウ、日弁連との提携など考慮すると一番安心して加入できるおすすめの会社です。
また、他社に比べ不担保期間も短いことなど補償が充実していることから、法的トラブル全般にしっかりと備えたい方にお勧めです。
さらに加入者に無料で配布される弁護士費用保険証や弁護士保険ステッカーは、トラブルを未然に防ぐのが期待できるアイテムとして人気です。
24時間365日チャットで弁護士に相談できるアプリ「弁護士トーク」の加入者特典も、トラブルの初期段階では非常に頼りになるでしょう。
下記のリンク先ではトラブル防止事例や保険適用事例を漫画で紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
低予算・補償内容のカスタマイズにこだわりたい方におすすめの弁護士費用保険
→弁護士保険コモン+(エール少額短期保険)
エール社は、補償プランをライト(1,180円)、レギュラー(2,200円)、ステイタス(5,100円)から選べるのが魅力です。レギュラーは、全体の8割を占める一般事件おいて、保険金支払上限が200万円と高く、その割に保険料が安いのが魅力です。その上で不担保特約の有無によって補償範囲や月々の費用をカスタマイズすることが可能です。
ライトは、保険料負担を抑えつつ、「弁護士への着手金負担」を軽減したい方にお勧めです。
また、冤罪やネットストーカー、パワハラやセクハラ等のトラブルに応じた専用の付帯サービスが充実しています。
【おまけ】法人向けの弁護士費用保険も販売されています
今回は個人向けの弁護士費用保険のご紹介でしたが、法人向け弁護士費用保険として、プリベント少額短期保険より「事業者のミカタ」(詳細はこちら)、エール少額短期保険より「コモンBiz」(詳細はこちら)が販売されておりますのでご参照下さい。