【裁判事例あり】老人ホームのトラブルや事故にご注意を!

 

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この記事の執筆者

川島 浩(弁護士)


老人ホームの車いす

日本では2050年に人口の42.5%は高齢者になると言われています。
高齢化が叫ばれる今の御時世、共働きの家庭も多く、老人ホームに親御さんを預けるなんてケースも増えてきています。

これに伴い、老人ホームの数も急増し、同時に老人ホームに関するトラブルも増えてきているようです。

数年前の数字ですが、国民生活センターに寄せられた、有料老人ホームに関する相談件数を年度別にみると、2005年度は255件でしたが、年々増加し2009年度は447件、2010年度も2011年2月末日現在で369件の相談が全国の消費生活センターに寄せられる結果となりました。

今回はそんな老人ホームのトラブル事例とその対処法、そもそも老人ホームトラブルに巻き込まれないための注意点についてご紹介させていただきます。

老人ホームでのトラブルってどんなケースがあるの?

みなさんは老人ホームでのトラブルと聞いて何を思い浮かべますか?

今回はよくある事例について、老人ホームの入居前、入居中、退去後の3つの観点からお話させていただきます。

入居前のトラブル

入居前のトラブルといえば、最も多いケースがパンフレットに記載してある費用と実際の請求費用の乖離といったケースでしょう。

パンフレットには20万弱の値段が記載されていたのに、実際は30万弱も請求されたなんてこともよく耳にします。

また、医師の体制がパンフレットの表記と違っていたというケースもあるようです。

入居中のトラブル

次に入居中のトラブについてご紹介します。

入居中のトラブルは以下の3つのケースが見受けられます。

・他の入居者とのトラブル
・入居後の怪我や病気によるトラブル
・老人ホームのサービスにおけるトラブル

退去後のトラブル

ここで多いのは入居一時金がほとんど返還されなかったトラブルでしょう。

また、そもそも老人ホーム自体が倒産してしまったなんてトラブルも耳にします。

老人ホームでのトラブルはどのように解決されるの?

老人ホーム側に過失がある際のトラブルにおいては通常、話し合いで解決されるケースが多いと思いますし、実際に老人ホームの代理人としてトラブル解決に当たった経験としてもそうです。

やはり、ご家族の方々は老人ホームに家族を預けている以上、慰謝料などの損害賠償を求めて裁判、というよりは、その後の誠意ある対応とより良い環境づくりを求めるため、話し合いでの解決を望まれることが多いです。

ただ、一方でニュースになっている通り、トラブルの種を蒔いている悪質な老人ホームがあることも事実です。

老人ホームトラブルの判例

老人ホームトラブルの判例
老人ホームでのトラブルにおいては裁判になるケースも見受けられます。

いくつか事例をご紹介しましょう。

ベッドからの転落によって受傷した事故の事例

ベッドから転倒する老人
この事例は入居者の転落事故について老人ホーム側に債務不履行責任及び、安全配慮義務違反の有無が争点としてあげられ、平成19年11月7日に大阪地裁で判決が下されました。

この老人ホームでは事件の2年程前からベッドでの転落や転落しかけていたといった事象が何度か起きていました。

そのため、老人ホーム側は転落事故の危険性を認知していたにも関わらず、転落防止に十分な措置が取っていなかったとみなされました。

これにより、契約上負っている安全配慮義務が遵守されていないとして債務不履行責任が認められ、500万円を超える損害賠償責任が容認されました。

事件番号:大阪地方裁判所判決/平成17年(ワ)第5265号

介護職員からの補助の申し出を利用者が断ったにも関わらず、転倒し骨折した事例

転んで骨折する老人
このケースも安全配慮義務違反の有無が争点としてあげられ、平成17年3月22日に横浜地裁で判決が下されました。

事故はデイサービスを受けていた80代女性がトイレに向かう際に起こりました。

女性は足が不自由だったため、介護職員がトイレの入り口までは歩行介助していました。

入り口まで着くと、女性から「一人で問題ない」と、二度も強く拒絶され、介護職員は女性の介助を行わず、持ち場に戻りました。

その後、トイレ内で女性は転倒し、右大腿骨頚部内側骨折と診断されました。

今回の事例において争点とされたのは拒否されたとしても障害者用トイレまで介助する必要があったのかという点でした。

先程の概要を聞くと、本人が介助を断ってるんだし、老人ホームに法的責任はないのではないかと感じた方も多いのではないでしょうか?

しかし、判決としては老人ホーム側に7割の過失があったと認められ、1000万円を超える賠償責任が命じられたのでした。

判決の理由を簡潔にまとめると、本人から介助拒絶の意思があったとしても、介護の専門知識を持つ者であれば、介護を受けない場合のリスクを考慮し、繰り返し介助の必要性を説明得するべきであったのにその説明を怠ったという理由からでした。

このケースでは、入り口から便器まで1.8メートルの距離があり、横幅も1.6メートルと広く、しかも通路に手すりがないというトイレの構造からも、老人ホーム側には転倒の危険を十分予測できた要因とされています。

事件番号:横浜地方裁判所判決/平成15年(ワ)第1512号

後者の事例は老人ホーム側が少し気の毒にも感じるかもしれませんが、老人ホームという施設が、それだけ責任と専門性を求められる場であるということの現れともいえます。

老人ホームでのトラブルを避けるには?


では、そもそも老人ホームでのトラブルを避けるにはどのように老人ホーム選びをすればよいのでしょうか?ここからは老人ホームでのトラブルを避けるためのポイントをご紹介しましょう。

なんといっても大切なのが入居前の確認です。

費用はいくらかかるのか、パンフレット記載以外の費用はいくらかかるのかといったお金周りの話は事前に必ず把握しておきましょう。

退去時の返金トラブルもこれによって避けられるはずです。

また、“終身介護”を謳っている老人ホームにおいては、途中退去の条件や、これまでの事例などがあったのかについてもしっかり確認することが望ましいでしょう。

その他にも、老人ホーム内でのサービス内容のトラブルについては実際に現地でチェックする、入居している知人などがいればヒアリングするなどによってサービスの質を見極めることが重要でしょう。

最後に

いかがでしたか?

今回ご紹介したように老人ホームは誠実なプロフェッショナルの専門性と責任感を求められる施設です。

ただ、残念なことに利益先行でサービスの質に問題がある老人ホームも存在するのが現状となっています。

老人ホームを選ぶ際には単に値段などだけで選ぶのではなく、ご家族がどのような施設に入ることがベストなのかをしっかり考えてみてください。

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川島 浩(弁護士)

川島 浩(弁護士)

2010年12月、弁護士登録後、都内の法律事務所勤務を経て、2014年2月独立。大和法律事務所開業。「クライアントの皆様がどんなことでも相談できるような存在であり続ける」弁護士を目指し、日々の業務に取り組む。趣味はスポーツ観戦、歴史、釣り、お酒。第一東京弁護士会 犯罪被害者に関する委員会委員。第一東京弁護士会 若手会員委員会委員。著書に「ビクティム・サポート(VS)マニュアル -犯罪被害者支援の手引き-」(共著)がある。ご相談は事務所ホームページよりお気軽にお問い合わせください。
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