これから年末年始にかけて、仲間と飲みに行く機会も増えると思いますが、そこで気をつけたいのが“ぼったくり居酒屋”。
客引きの「1時間◯千円ポッキリ」という文句で入店し、実際には数十万円の会計を請求されるというケースが後を絶ちません。
今回は、ぼったくり居酒屋の被害に遭わないためにはどうすればいいか、また、ぼったくり被害に遭った場合にはどう対処すべきかをまとめました。
水だけで60万円!驚くべきぼったくり居酒屋の実態
2014年10月、歌舞伎町のキャバクラ店の店長が、客の男性から不当な高額料金を取り立てたとして「ぼったくり防止条例」違反で逮捕されました。
この男性が店に滞在した時間はわずか1時間で、水しか飲まなかったにも関わらず、ホステスの飲食代として約63万を請求され、店側は「(金が払えなければ)はじかれるぞ」などと脅迫してきたとのことです。
この件では、警察が動いて経営者逮捕にまで至っていますが、こうしたケースは非常に稀だといえます。
実際には、高額料金を請求されてすがる思いで警察に駆け込んだにも関わらず、「民事不介入」の建前のもと、取り合ってもらえないことが多々あるようです。
インターネット上の掲示板でも、
という被害が報告されており、未だに多くの人がぼったくり被害に遭い、どこにも相談できずに脅しに怯えて泣き寝入りしている、というのが現状です。
東京都など一部の自治体では、飲食店などの料金等の表示義務や不当な勧誘等の禁止を定めたいわゆる「ぼったくり禁止条例」を制定している自治体もあり、ぼったくりに対する行政の規制は徐々に強化されてきていますが、未だにぼったくり被害は後を絶ちません。
ぼったくり被害に遭わないためには、どうすればよい?
ぼったくり被害に遭わないようにするためには、まず「客引きについていかない」ということが何よりも重要です。
客引きの「数千円で飲める」という誘い文句に釣られて店に入り、実際には数十万円を請求されるというケースは多々あります。
そして、客引きは口頭でのやり取りなので、基本的に証拠が残らず、事前の説明と請求金額が違っていた場合には後から「言った、言わない」で揉めることになります。
ぼったくりを防ぐ最大の手段は客引きについていかないことに尽きるので、このことを常に意識するようにしましょう。
それでも思いがけずぼったくり被害に遭遇してしまった場合は、冷静かつ毅然とした態度で臨むことが大切です。
まずは、警察官を呼ぶか警察署に移動するなどして、身の安全を確保するようにしましょう。
そして、法外な値段を請求された場合には、料金の詳細な明細を見せてもらい、内訳を確認するようにします。
事前の説明や実際の注文と請求内容が違っている場合は、その理由を聞くようにしましょう。
そして、ぼったくり店から法外な料金を請求された場合、決して店側に言われるままに支払ってしまってはいけません。
ぼったくり被害では、何時間も「払え」と脅す、ATMが開く朝方まで喫茶店に軟禁状態にするなど、被害者を精神的に追い詰め、「高くても払ってしまって楽になりたい」と思わせて支払いに同意させるパターンが多いようです。
しかし、ここで決して相手のペースに乗らず、「事前の説明で聞いていた額は支払うが、それ以上は絶対に支払わない」ときっぱりと主張するようにしましょう。
請求された額を支払う意思がないことを明確に示すことが重要です。
そして、自分が納得できる額だけを支払ったうえで、「金額に問題があるようなら、裁判を起こしてください」と伝え、その場を離れるようにします。
ぼったくり店としても、裁判で勝てる見込みはないうえに、裁判にまで持ち込んで取り立てるくらいなら新しい客を狙った方が早いので、ここで諦める可能性が高いといえます。
それでも相手が脅しを続けたり、屁理屈を言ったりして話にならない場合には、弁護士を呼んで仲裁してもらうのも、一つの有効な手段です。
弁護士費用はかかりますが、店の提示する高額料金を払うよりは安く済む可能性が高いですし、交渉を進展させるという点でも、弁護士などの専門家に間に入ってもらった方が話し合いをスムーズに進めることができるでしょう。
実際、数十万円を請求されながら、粘り強く交渉して数万円にまで下げた例もあります。
このように、ぼったくり被害に遭った場合は、後から泣き寝入りしないためにも、「納得できる額以上は支払わない」という強い意思を示すとともに、弁護士などの専門家に間に入ってもらい、交渉を進めることが重要です。
万が一お金を支払ってしまった場合、法的に取り戻せる?
上記で説明したとおり、ぼったくりに遭遇した場合には支払いを断固拒否することが何よりも重要です。
それでも万が一、店側に言われるままに法外な料金を支払ってしまった場合、お金を取り戻すことはできるのでしょうか。
まず、飲食店における飲食は法律的には「契約」であり、ドリンクなどの注文が通った段階で店側と契約は成立します。
それを後から無かったことにするためには、「そんなに高額になることを知っていたなら、もともと注文なんてしなかった」と民法95条に基づく「錯誤による契約の無効」を主張したり、「お金を払ったのは店員から脅されたからで、自分の意思ではない」と民法96条に基づく「詐欺・脅迫による契約の取消」を主張したりすることになります。
訴訟に発展した場合、こうした主張がきちんと立証できれば、支払い金額を取り戻せる可能性はあるといえるでしょう。
ただし、すでに支払ってしまったお金を裁判で取り戻すことは、ほぼ不可能と言えるでしょう。
まず、店員の氏名や住所など店側の情報が分からないと、そもそも裁判を起こすこと自体が難しいという実情があります。
また、当日の説明内容や店の状況などの事実関係を示す証拠がない場合は、ぼったくり被害を立証することは非常に困難であり、必ず勝訴するという保証もありません。
このように、一度払ってしまった料金を後から裁判で取り返すのはとても難しいといえるため、ぼったくり居酒屋への対処方法としては、料金を請求された段階で粘り強く交渉し、納得できる金額だけ払ってその場をおさめるというのが正攻法だといえます。
まとめ
ぼったくり居酒屋の被害に遭わないためにも、しっかり情報を調べた上でお店を選ぶようにして、客引きにはついていかないようにしましょう。
万が一ぼったくりに遭遇してしまった場合は、毅然とした態度をとることが重要です。
交渉が難航した場合は、信頼できる弁護士に相談し、仲裁してもらうようにしましょう。
「弁護士費用保険の教科書」編集部

最新記事 by 「弁護士費用保険の教科書」編集部 (全て見る)
- サロン経営者が直面しやすい法的トラブルと回避方法 - 2022年6月3日
- 不貞行為があったことを理由に、相手から訴訟された場合どうする? - 2022年5月26日
- 浮気・不倫相手が 弁護士をつけてきた場合の対応方法について解説します。 - 2022年5月26日