【内容証明の書き方】クーリングオフ通知書

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この記事の執筆者

福谷 陽子(元弁護士)

クーリングオフ通知書を内容証明で送る時の書き方
商品やサービスの契約をしてしまったけれど、よく考えてみたら「やっぱり要らない」というケースがあります。

そのような場合には、早期に「クーリングオフ通知」を送ることによって、契約を無条件に取り消すことができることがあります。

クーリングオフには期限がありますので、確実に期限内に通知を送ったことを明らかにするためには、「内容証明郵便」を使って通知書を送らなければなりません。

ただ、具体的にどのような内容を記載して良いのかわからない、という方もたくさんいらっしゃるでしょう。

今回は、クーリングオフ通知書を内容証明郵便で送るときの書き方を、テンプレートとともにご紹介します。

なお、内容証明の細かいルールは「内容証明郵便の書き方とルール」にてご確認下さい。

こんな疑問にお答えします

Q.クーリングオフを求める内容証明の作成で意識すべき点はありますか?

A.クーリングオフで解約をするためには、書面で解約通知を行う必要があります。口頭でクーリングオフをしても、相手が後になって「聞いていない」と言ったら、期間内にクーリングオフをしたことを証明できなくなる可能性が高いからです。そのため、クーリングオフ通知は、クーリングオフ期間中に解約通知書を発送したことも証明する必要があります。
本記事では、内容証明のテンプレートを紹介しています。参考にしてみてください。

クーリングオフによる内容証明に記入すべき内容

クーリングオフによる内容証明郵便に記入する内容は、以下のとおりです。

  • 販売会社の名称、所在地
  • 販売会社の代表者
  • 日付
  • 記入者の氏名、住所(クーリングオフを行う人を指します)
  • 書面のタイトル(クーリングオフの場合は通知書と記入する)
  • 契約日
  • 契約したサービス・商品名
  • 契約金額
  • 契約したサービス・商品の個数
  • クーリングオフをする旨
  • 銀行口座

書式は、字数や行数が守られていれば問題ありません。
郵便局で販売するフォーマットを購入して記入してもよいでしょう。

内容証明郵便の用紙や書き方のルールに関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。

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クーリングオフによる契約解除を求める場合の内容証明の書き方

では、クーリングオフによる契約解除を求める場合の内容証明のテンプレートをご紹介します。

文例・テンプレート①(まだ、支払っていない場合)

クーリングオフ通知書
前略 私は貴社との間で、平成〇〇年〇〇月〇〇日、〇〇(商品名、サービス名)を〇〇円にて購入する契約(以下「本件契約」と言います。)をしましたが、このたび、本書面をもって本件契約を解除いたしますので、その旨ご通知いたします。  草々

文例・テンプレート②(すでに支払をしていて、返金を求める場合)

クーリングオフ通知書
前略 私は、平成〇〇年〇月〇〇日において、貴社から〇〇(商品名、サービス名)を○○円にて購入する契約(以下「本件契約」と言います)をし、平成〇〇年〇月〇〇日、金〇〇円をお支払いしましたが、このたび、本書面をもって本件契約を解除いたします。
つきましては、私が貴社に支払い済みの金○○円を、本書到着後1週間以内に、下記の私名義の銀行口座宛振込送金する方法にてご返還されますよう、ご請求します。   草々○○銀行○○支店
口座の種類 普通預金
口座番号 ○○○○○
口座名義人 ○○○○○○
ふりがな ○○○○○○以上

クーリングオフを求める内容証明を作る際のポイント

商品やサービスを購入した場合、クーリングオフが適用されることがあります。

クーリングオフとは、無条件解除のことです。

無条件ですから、特に理由は要りません。

クーリングオフができる場合は、訪問販売や電話勧誘販売、継続的な役務(サービス)提供のケース、マルチ商法、キャッチセールスやアポイントメントセールスなどの場合です。

多くの場合、クーリングオフの期間は法定書面の交付後8日ですが、契約によっては、より長い期間が設けられている場合もあります。

法定書面の交付を受けていない場合には、いつまででもクーリングオフができます。

クーリングオフは、大半が契約後8日以内とされていますが、法定書面を交付されていない場合、その後いつまででもクーリングオフすることができるのです。

たとえば、3か月後や半年後でもクーリングオフできます。

法定書面を交付されていない可能性があるならば、契約後日数が経過していたとしても、諦める必要はありません。

クーリングオフで解約をするためには、書面で解約通知を行う必要があります。

口頭でクーリングオフをしても、相手が後になって「聞いていない」と言ったら、期間内にクーリングオフをしたことを証明できなくなる可能性が高いからです。

そして、クーリングオフ通知は、クーリングオフ期間中に解約通知書を発送したことも証明する必要があります。

そこで、普通郵便ではなく、必ず確定日付の入る内容証明郵便によって通知書を送らなければなりません。

さらに、相手に送達されたことも証明できる方が望ましいので、配達証明サービスもつけておきましょう。

クーリングオフ通知書内には、契約日と契約内容(商品名やサービス名など)を記載して、契約を特定することが重要です。

また、契約を解除すること自体を記載する必要がありますが、無条件解除なので解除の理由の記載は不要です。

法定書面の交付を受けていないので、契約後相当な期間が経過しているけれどもクーリングオフするケースでは、そのこと(法定書面の交付が無かったこと)も記載しておきましょう。

まとめ

今回は、クーリングオフ通知をするときの内容証明郵便の書き方とテンプレートをご紹介しました。

クーリングオフをすると、不要な契約による支払いをしなくて良くなりますし、悪質な業者に引っかかってしまった場合などにも有効です。

期間の定めがありますが、法定書面の交付を受けるまでは期間が進行しないので、契約後相当な時間が経過していても、クーリングオフできる可能性があります。

せっかく通知書を送っても、書き方が間違っていたら解約の効果を得られない可能性もあるので、今回ご紹介した内容を参考に、正確に有効な通知書を作成しましょう。

ただ、クーリングオフによる内容証明郵便を作成する際に、書類の記入ミスがあると解約手続きが遅れてしまう可能性もあります。

不安がある場合は、内容証明の作成を弁護士に一任してもいいでしょう。

弁護士に依頼することで、弁護士名義で内容証明を作成してくれます。弁護士名義の方が、相手方にプレッシャーを与えることが可能なので、クーリングオフがスムーズに進む可能性があります。

ただ、弁護士への依頼といっても、どこに相談したらよいのか分からないといった方もいるでしょう。

それぞれの窓口の特徴や利用方法については、こちらの記事を参考にしてみてください。

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また、法人・個人事業主の方には、法人・個人事業主向けの弁護士保険がおすすめです。

今回の記事を参考にして、上手に弁護士保険を利用しましょう。

弁護士保険の内容を知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.クーリングオフを求める内容証明には何を記載すればいいですか?
A.クーリングオフによる内容証明郵便に記入する内容は、以下のとおりです。

  • 販売会社の名称、所在地
  • 販売会社の代表者
  • 日付
  • 記入者の氏名、住所(クーリングオフを行う人を指します)
  • 書面のタイトル(クーリングオフの場合は通知書と記入する)
  • 契約日
  • 契約したサービス・商品名
  • 契約金額
  • 契約したサービス・商品の個数
  • クーリングオフをする旨
  • 銀行口座

Q.クーリングオフを求める内容証明を作る際、意識すべき点はありますか?
A.クーリングオフで解約をするためには、書面で解約通知を行う必要があります。口頭でクーリングオフをしても、相手が後になって「聞いていない」と言ったら、期間内にクーリングオフをしたことを証明できなくなる可能性が高いからです。そのため、クーリングオフ通知は、クーリングオフ期間中に解約通知書を発送したことも証明する必要があります。

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