配偶者が不倫や浮気をしていることが判明すると、誰しも大変なショックを受けるものです。ショックの末、離婚を考える方もいらっしゃるでしょう。
離婚するにしてもしないにしても、不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求したいと希望される方は多いですよね。
不倫相手や浮気相手に慰謝料を請求するときには、内容証明郵便を使って請求書を送ることが一般的ですが、具体的にはどのような文面にするのが良いのでしょうか?
今回は、不倫相手や浮気相手に内容証明郵便で慰謝料を請求するときの書き方を、テンプレートと共にご紹介します。
尚、内容証明の細かいルールは「内容証明郵便の書き方とルール」にてご確認下さい。
慰謝料請求の内容証明①書き方テンプレ
前略 私こと、〇〇は、〇〇の妻として、貴女に対し、次のとおりご通知します。
貴女は、私の夫〇〇が既婚者と認識していたにもかかわらず、平成〇〇年〇〇月頃から現在にいたるまで、夫と不貞関係にあります。
不貞の事実につきましては客観的な資料もあり、夫も認めているものです。
そして、私は、貴女と夫の不貞行為によって大きなショックを受けて、食欲が出ず、体重が5キログラム減り、不眠症となってメンタルクリニックに通院を継続している状態です。
さらに、貴女の不貞により、私たち夫婦の関係は修復が困難となりました。
したがいまして、貴女の行為は〇〇〇〇の配偶者に当たる私に対する不法行為に該当します。そして、これによって私は多大な精神的苦痛を被っており、それを金銭的に評価すると、金〇〇〇万円を下りません。
つきましては、私は本書をもって、貴女に対し、慰謝料金〇〇万円をご請求いたしますので、本書到達後1週間以内に下記口座に振込み送金する方法にて、お支払いください。
記○○銀行 ○○支店
普通預金 口座番号 ○○○○○○○
口座名義人 ○○○○○○○万一貴女から本書到達後1週間以内に慰謝料のお支払いを頂けず、支払い方法の提示も頂けない場合、私といたしましては、民事訴訟等のより厳重な法的措置を取らざるを得ないとの考えです。その際には、慰謝料を増額するとともに、弁護士費用その他の関連費用を足してご請求いたしますところ、ご了承ください。
なお、今後は、夫に対して面会、電話、メールを初めとして一切の連絡をしないよう、お願いします。万一、そのような事実が確認された場合、別途、慰謝料を請求いたしますので、かさねてご了承ください。
草々
慰謝料請求の内容証明②書き方のポイント
まずは、タイトルを書きます。これについては、「通知書」「ご通知」「ご請求」「請求書」などと書くと良いでしょう。
次に、不倫(法律上は不貞と言います)の事実を指摘することが必要です。「貴女と私の夫が不貞関係にある」とだけシンプルに記載しても良いですし、合わせて「〇月〇日、〇〇でデートをしてホテルに行った」など、具体的な事実を指摘しても良いです。
証拠については、内容まで開示してもかまいませんし、文例のように「証拠がある」という記載にとどめておいても良いです。
先に開示してしまうと、相手に準備されてしまうので、今後の裁判などの際にそなえて証拠を開示しないことも多いです。
不法行為が成立することについても記載しなければなりません。そのことによって、慰謝料が発生するものだからです。
慰謝料が発生していることと、その金額の評価も重要です。
300万円や500万円にすることが多いですが、中には1,000万円と書く人もいます。
重要なのは、ここで書いた請求金額をそのまま受け取れるわけではないということです。
相手との交渉によって減額される可能性が高いので、「この金額は最低限受け取りたい」という数字があるなら、それよりは高めに請求額を設定しておくことをお勧めします。
自分で適正な金額を決められない場合には、弁護士に相談して決めると良いでしょう。
相手に支払いを求めるときには、支払期限を区切ることが大切です。
文例では「1週間以内」としましたが、10日以内などにすることもあります。
相手から期限内に支払がない場合には、民事訴訟などの手続きを検討していることも記載しましょう。
このことによって相手にプレッシャーをかけて,自発的な支払いを促すことも可能です。
場合によっては「預貯金や給料などを差し押さえる可能性もあります」ということを書いておいてもかまいません。
相手に謝罪文を要求することも可能です。
これは、相手が不倫を認めたことの資料にもなります。
ただ、相手は「何を書いていいのかわからない」などと言ってきたり、こちらが思ってもないような簡単な内容のものを送ってきたりすることがあり、こちらの不快感が増すこともあります。
謝罪文には法的な効果はないので、内容にはあまりこだわりすぎないことも、スムーズに慰謝料問題を解決するためのコツとなります。
不倫によって慰謝料請求をする場合で、自分が配偶者との婚姻関係を継続しようと考えているときには、今後は不倫相手との関係を断ってほしいと考えるものです。
そこで、内容証明郵便に、「今後配偶者と連絡をしないように」という文面を入れることがあります。
その場合、もし約束に違反して連絡を取っていることが発覚したら、別途慰謝料を請求したり、違約金を請求したりすることも明らかにしておくと良いでしょう。
慰謝料請求の内容証明の書き方まとめ
この記事では、不倫・浮気相手に対して慰謝料請求を内容証明で送る際の書き方のテンプレやポイントをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
このようなものを書く機会はないに越したことはないですが、万が一の際には、是非こちらを参考にしてみてください。
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福谷 陽子(元弁護士)

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