結婚詐欺とは、結婚する意思もないにも関わらず異性に近づき、結婚を匂わせながらお金や財産を騙し取る行為のこと。
最近の事例では、職業・警察官と偽って女性に近づき、プロポーズ後に金品を騙し取った詐欺事件も起きています。
事実、結婚詐欺は身近なところで起きやすく、多くの人が被害に遭いやすい詐欺です。
本記事では、結婚詐欺をはたらきやすい人の特徴や行動パターン、被害に遭った際の相談先を解説します。
今交際している相手から、金品の工面やお金に困っていると相談されている、被害に遭っているかもしれないと疑っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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こんな疑問にお答えします
Q.結婚詐欺の特徴や手口、相談先について教えてください。
A.結婚詐欺とは、結婚する意思もないにも関わらず異性に近づき、結婚を匂わせながらお金や財産を騙し取る行為のことです。
結婚詐欺をはたらく人の特徴は、自分は理想的な結婚相手であるとしきりにアピールし、高学歴・高収入であることを強調します。
また、第三者の介入を許さず、金銭に関する証明書を書こうとしないことも特徴です。
もし、交際相手が結婚詐欺の疑いがあったり、既に被害に遭ってしまったりした場合は弁護士への相談がおすすめです。
結婚詐欺とは?
結婚詐欺とは、結婚する意思もないにも関わらず異性に近づき、結婚を匂わせながらお金や財産を騙し取る行為のこと。
結婚詐欺によって騙し取られた金品は返されることはなく、被害者の中には泣き寝入りするケースも少なくありません。
結婚詐欺にあたる行為は何で決まる?
では、結婚詐欺とは具体的にどのような行為が当てはまるのでしょうか。
結婚詐欺に該当するかどうかは、相手の行為や結果が法律上で「詐欺罪」として認められた際に決まります。
結婚詐欺として認められる行為とは、次に示す刑法246条の構成要件を満たす行為となります。
刑法第246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
結婚詐欺と認められる4つの構成要件
- 人を欺く行為
- 欺く行為によって被害者が騙される
- 財産の引き渡しや処分が行われる、または財産上の利益が加害者へ移転する
- ①②③の間に因果関係がある”
それぞれの構成要件を詳しく見てみましょう。
①人を欺く行為(欺罔行為)
人を欺く行為とは、偽の情報を用いてお金や財産を加害者へ渡すよう要求する行為を指します。
例えば、相手に嘘を付いてお金を振り込ませる『オレオレ詐欺』が当てはまります。
②欺く行為によって被害者が騙される
2つ目の要件は、欺罔行為によって被害者が騙されている状態に陥ることです。
この時点で、被害者が加害者の嘘を見抜いている場合は、未遂として判断され、詐欺罪が成立することはなくなります。
③財産の引き渡しや処分が行われる、または財産上の利益が加害者へ移転する
ここでいう処分とは、財産や金品を渡すことを指し、被害者自らが利益を移転した時点で、詐欺罪の要件とみなされます。
ここで、被害者の了承を得ずに無理やり利益を奪い取った場合は、詐欺罪ではなく、窃盗となります。
④因果関係
ここまでの①②③の因果関係につながってはじめて、詐欺罪が成立します。
詐欺罪が成立するには、構成要件のすべてが揃っていることが条件となります。
どれか1つでも欠けていると、詐欺罪が成立せず、未遂と判断されます。
つまり、結婚の意思がないのに相手に結婚の意思があると伝え、被害者を騙して利益を得る行為が、結婚詐欺として認められます。
結婚詐欺の事例
それでは、これまでに結婚詐欺として認められた事例を紹介します。
警察官になりすまし、婚約者から多額のお金を騙し取って逮捕
2023年3月に発覚した事例は、ニセの警察手帳を使って警察官になりすまし、女性から現金をだまし取った男性が逮捕された結婚詐欺事件です。
女性と出会ってからの4年間、男性は警察官と嘘を付き、プロポーズ後からお金を貸して欲しいと相談をし始めました。
女性がこれまでに渡した金額は、現金約280万円。不信に感じた女性は男性の調査を開始し、結婚詐欺が発覚しました。
その後、女性は被害届を提出し、申告した金額のうちの約190万円を騙し取ったとして逮捕されました。
婚活アプリで知り合った男性にお金を渡したあとに音信不通に
続いて、婚活アプリで知り合った男性から結婚詐欺を受けた2021年の事例です。
交際期間中に渡した金額は、約350万円。
女性は民事訴訟を起こし、裁判所では「婚姻を前提とした誠実な交際をする意思がなかった」「詐欺の故意があった」と判断され、男性に約506万円を支払うよう命じるよう判決が言い渡されました。
出会った当初、婚活アプリに書かれたプロフィールには、高学歴・高収入と記載され、初めて会った日から結婚を約束した交際が始まりました。
交際後すぐに、男性は理由をつけてお金を要求するようになり、不信感を募らせた際に結婚詐欺であったことが発覚しました。
婚活パーティーで知り合った女性から1億円騙し取る
婚活パーティで知り合った女性に言葉巧みに声をかけ、3人の女性に結婚を持ちかけ約700万円相当の金品を騙し取った疑いで、結婚詐欺として懲役5年6月を言い渡されました。
男性はそれまでにも6年間のうちに10人以上の女性から1億円にのぼる金品を受け取ったとみられ、そのお金は全て趣味につぎ込んでいたといいます。
結婚詐欺師に共通する特徴
結婚詐欺をはたらく人には、次のような特徴が存在します。
- 理想的な結婚相手であるとアピールしてくる
- 高学歴・高収入であることを強調する
- 第三者に紹介せず1対1の関係にこだわる
- 金銭の貸し借りの証明書を書こうとしない
理想的な結婚相手であるとアピールしてくる
結婚詐欺をはたらく人の特徴として、自分が理想的な結婚相手であることをアピールする点です。
「早く結婚したい」「なかなかいい人に巡り会えない」という被害者の不安や焦りの心理をついて、加害者はまるで好意があるように装い、近づいてきます。
さらに、「将来結婚したらこんな暮らしがしたい」「家事や育児の分担はこうしよう」など、相手に具体的な結婚後の生活をイメージさせることも特徴です。
高学歴・高収入であることを強調する
高学歴・高収入を過度に強調することも、結婚詐欺をはたらく人の特徴です。
結婚詐欺はお金を騙し取ることが前提にあるため、実際のところ金欠状態なのでは?と思うかもしれません。
しかし、詐欺師を行う人の大半は、必ずしも金欠状態であるとは限りません。
結婚詐欺師は、結婚を決めるひとつの基準として、収入があることを熟知しています。
そのため、高学歴で高収入であることをアピールポイントとし、自らのスペックの高さを装います。
第三者に紹介せず1対1の関係にこだわる
友人や両親など第三者に紹介せず、被害者との1対1の関係にこだわることも、結婚詐欺をはたらく人の特徴といえます。
結婚詐欺師は、金品を奪い取った後に姿をくらますことを視野に入れているため、被害者に最小限の個人情報しか伝えません。
「両親に会わせてほしい」「友人に紹介してほしい」と伝えても、「両親とは仲が悪いから」「友達が少ないから」と何かと理由をつけて会わせようとしません。
仮に、紹介されたとしても、結婚詐欺師の仲間が演じているケースも少なくないでしょう。
金銭の貸し借りの証明書を書こうとしない
金銭の貸し借りの証明書を書こうとしないことも、結婚詐欺をはたらく人の特徴です。
結婚詐欺師にとって不利となるのは、お金を借りたという証拠をもとに逮捕されることです。
さらに、金銭要求の方法もメールやメモを使わず、口頭で伝えることが多くなります。金銭のやりとりの記録は基本的に残さないように徹底します。
結婚詐欺の具体的な手口とステップ
それでは、結婚詐欺の具体的な手口とステップを紹介します。
- 婚活市場に現れる
- 理想の相手を演じきる
- 結婚をほのめかす
- 何かと理由をつけてお金を借りようとする
- 音信不通になるor姿を消す
1.婚活市場に現れる
結婚詐欺師の多くは、婚活サイトや婚活パーティー、マッチングアプリなど、結婚したい人が集まる場所に現れます。
詐欺師は大前提として、不安や焦りを感じている人や、寂しさを募らせている人をターゲットにする傾向があります。
そうした相手に言葉巧みに近づき、出会ってから短期間で恋人関係になります。
2.理想の相手を演じきる
交際に発展した場合は、毎回のデートではお金の羽振りもよく、高価なプレゼントも贈ってくれるなど、女性が惹かれるポイントを意識し、好意があるフリをします。
レディーファーストに徹底することで理想の相手を演じきり、被害者に対し、「運命の相手はあなたしかいない」と、精神的に依存させることが目的なのです。
3.結婚をほのめかす
結婚詐欺師は、交際に発展すると間もなく結婚をほのめかします。
例えば、「結婚式は2人で海外で挙げよう」「結婚したら〇〇で家を建てて仲良く暮らそう」など、具体的な会話を交わし、相手の気分を高めようとします。
被害者が結婚に対し強く焦りを感じている場合は、次第に虜になってしまい、結婚のためなら何でもしてあげたいと考えるようになります。
4.何かと理由をつけてお金を借りようとする
交際が発展していく中で、結婚詐欺師は何かと理由をつけて被害者からお金を借りようとします。
例えば、「母が〇〇の手術をすることになったからお金が必要だ」「事業を始めるために資金が必要になった」など、お金に困っていることを打ち明けるようになります。
続けて、「このままでは君との結婚も危うくなる」と、有頂天だった相手に不安の言葉を投げかけ、相手の資金協力を促します。
5.音信不通になるor姿を消す
お金を借りる頻度が増した頃に、ある日突然音信不通になり、姿をくらまします。
この時点で、被害者が渡した金額は多額となっており、結婚のために貯めておいたお金は底をついている状態です。
「いずれ返すから」と言われた貸したお金は戻ってきておらず、携帯電話はつながらず相手の手がかりも分からない。
このとき初めて、騙されたということに気がつきます。
結婚詐欺にあった場合の有効な相談先と注意点
既に結婚詐欺にあってしまった場合、家族や友人など身近な人に相談しようと思うかもしれません。
しかし、金銭が絡む結婚詐欺は、騙し取られたお金を取り戻すことが先決です。
結婚詐欺として相手を訴え、金銭の解決を目指すのであれば、次の順番で相談すると有効です。
相談する際の注意点も踏まえて見ていきましょう。
- 弁護士
- 探偵
- 警察
①弁護士
結婚詐欺の被害にあったら、まず最初に弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談をすることで、弁護士から探偵に調査依頼をし、結婚詐欺師の居場所まで掴んでもらえます。
弁護士へ相談する際に意識したいポイントは次の4つです。
- 結婚詐欺に強い弁護士を選ぶ
- 顔の特徴や体格など、加害者に関して知っている限りの情報を伝える
- 2人で頻繁に訪れた場所や出会った場所などを伝える
- 騙し取られた金額を提示する
先述の通り、結婚詐欺師は個人情報の詳細や証拠となる記録を残しません。
しかし、特徴や行動パターンの詳細を細かく伝えることが、居所を突き止めるため重要となります。
②探偵
弁護士へ相談したあとは、詐欺師の居所を掴むために探偵へ依頼することになります。
既に弁護士から探偵に直接依頼が出ているのであれば、被害者自らが探偵を探す必要はありません。
弁護士へ相談する前に直接探偵へ依頼する場合は、次のことに注意を払いましょう。
- 信頼できる探偵を探す
- 探偵は法律を盾に戦うことは許可されていないことを理解しておく
一口に探偵といっても、必ずしも腕が良いとは限りません。
また、探偵は警察や弁護士とは違い、法律を基とした交渉が許可されていません。
こうした理由から、個人で探偵に調査を依頼するよりも、まずは弁護士を通して依頼を出してもらうほうがいいでしょう。
③警察
続いて、警察への相談です。
警察へ受けた被害を相談することは、すなわち被害届を提出することを意味します。
警察へ被害届を提出する際に必要な事前準備は、弁護士へ伝える情報とほぼ同じです。
出会った場所や加害者の容姿、体格、雰囲気、行動パターン、騙し取られた金額といった情報を伝えましょう。
ただし、警察に相談することで、加害者との交際の詳細を細かく事情聴取を受けることを覚悟しましょう。
また、結婚詐欺師が見つかったとしても、起訴が難しいと判断された場合は必ずしもお金が戻ってくるという保証はありません。
結婚詐欺の被害にあったら、まずは弁護士相談がおすすめ
結婚詐欺で悩んだときに最も有効な手段が、弁護士への相談です。
結婚詐欺は、加害者側の個人情報や居所が不明であるケースが多く、当事者同士での話し合いが難しいものです。
仮に、交際期間中に結婚詐欺の疑惑が生じた際も、感情的になってしまい話し合いがまとまらないことがあります。
弁護士へ相談するメリット
弁護士へ依頼することで、被害にあった金銭の回収を効率的に行えるというメリットがあります。
相談料は発生するものの、詐欺被害で受けたお金の回収方法や回収できる可能性の判断は、法律の知識を要するため、一般の方で対処するのは困難です。
そのため、法律のプロである弁護士に相談すれば、被害者の手を煩わせることなく問題解決までを一任できます。
ここで、「金銭が絡むトラブルは警察に相談すべきじゃ?」と考える人もいるでしょう。
警察への相談も選択肢のひとつではありますが、警察は金銭の回収が目的ではなく、犯罪者を捕まえることが主な職務です。
そのため、起訴が難しいと判断された場合は、結婚詐欺師を捕まえても返金対応まで行えない可能性もあります。
騙されたお金の回収を最重要事項とするのであれば、”一番先に弁護士に相談”がおすすめなのです。
弁護士保険も視野に入れる
ただ、弁護士に依頼するとなると、費用がいくらかかるのか、どの弁護士に依頼すればいいのか不安に感じる方も多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが、弁護士保険です。
弁護士保険は、日常生活の個人的トラブルや事業活動の中で発生した法的トラブルに対し、弁護士を利用した時にかかる弁護士費用を補償する保険サービスです。
通常、弁護士を通してトラブルを解決しようとすると、数十万から数百万単位の弁護士費用がかかる場合があります。
しかし、弁護士保険に加入しておくことで、法的トラブルが発生した場合に、弁護士に支払う費用を抑えられます。
今後のトラブル回避のためにも、弁護士保険を視野に入れましょう。
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記事を振り返ってのQ&A
Q.結婚詐欺が認められる条件を教えてください。
A.結婚詐欺に該当するかどうかは、相手の行為や結果が法律上で「詐欺罪」として認められた際に決まります。結婚詐欺として認められる行為とは、次に示す刑法246条の4つの構成要件を満たす行為となります。
- 人を欺く行為
- 欺く行為によって被害者が騙される
- 財産の引き渡しや処分が行われる、または財産上の利益が加害者へ移転する
- ①②③の間に因果関係がある”
Q.結婚詐欺をはたらく人に特徴はありますか。
A.結婚詐欺をはたらく人は、理想的な結婚相手であるとアピールしてくる、高学歴・高収入であることを強調する、第三者に紹介せず1対1の関係にこだわる、金銭の貸し借りの証明書を書こうとしない、といった特徴を持っています。
Q.結婚詐欺師の具体的な手口を知りたいです。
A.結婚詐欺師は、婚活市場に現れ、理想の相手を演じきります。交際にした後は短期間で結婚を意識する言葉をかけ、相手をその気にさせたときに何かと理由をつけてお金を借りようとしてきます。
そして十分なお金を得たと感じたら、突然姿を消します。このとき初めて、被害者は詐欺に遭ったことに気がつきます。
Q.もし結婚詐欺に遭ってしまった場合、どこに相談すればいいのでしょうか。
A.まず最初に相談すべきは、弁護士です。
弁護士に相談することで、音信不通になった詐欺師の居所を調査してもらえ、被害に遭ったお金や財産も効率よく取り戻せます。
警察への相談という選択肢もありますが、警察に相談することで、加害者との交際の詳細を細かく事情聴取を受けることを覚悟しましょう。
また、結婚詐欺師が見つかったとしても、起訴が難しいと判断された場合は必ずしもお金が戻ってくるという保証はありません