近年、モラハラをするパートナーに苦しむ人が増えています。
モラハラとは、言葉や態度で威嚇し、相手を追い詰める行為のこと。身体的な暴力はなく周囲から気付かれにくいことから、エスカレートしやすい傾向があります。
本記事では、モラハラを行う人に共通する特徴と加害行動、適切な対処方法を解説します。
もしかしたら、自分はモラハラを受けているのでは?と感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。
モラハラとは?モラルハラスメントの意味
モラハラとは、モラルハラスメントの略称で、正当な理由なくことばで相手を攻撃したり態度で威嚇したりと嫌がらせを繰り返すことで、精神的苦痛を与える行為を指します。
モラハラには法的な定義はありません。身体的外傷は与えず被害者を精神的に追い詰めることから、「見えない暴力」「精神的DV」とも呼ばれます。
モラハラは、恋愛関係のパートナー、夫婦といった身近な相手との間で起きるケースが大半です。
モラハラが長期に渡ると、受けた側はトラウマとなり、心的外傷ストレスが残るほか、命を落とすという最悪なケースもあります。
被害者が受ける心身への負担は計り知れません。
モラハラのタイプ
モラハラは精神的苦痛を与えることが特徴ですが、大きく分けて下記の4つのタイプに分かれます。
- 暴言を吐く
- 無視をする
- 不機嫌な態度
- 経済的な自由を奪う
暴言や態度で威嚇するモラハラは、相手の自尊心を奪い、恐怖心を植え付けます。
一方で、経済的な自由を奪うモラハラは、同棲しているパートナーや夫婦間で行われることが多く、生活費を出さない、お金の使い方を制限する等、加害者側が一方的に金銭の状況を支配します。
どのタイプのモラハラにも共通することは、身体的な暴力はないものの、心身共に相手を追い詰めることです。
30〜40代の女性が最も受けやすい
BIGLOBEが発表した「ハラスメントや性加害に関する意識調査」によると、モラハラを受けたことのあると回答した年齢層で最も多かったのは、30代〜40代でした。
調査結果を詳しく見ると、30代〜40代で「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した人の割合は全体の3割強となっています。
続いて、男女別にも見てみましょう。
モラハラを受けたことがあると回答した30代〜60代では、女性の割合が多いことが分かります。
家庭内で起きている場合は、夫が妻にモラハラを行うケースが多いと考えられます。
モラハラとパワハラの違い
モラハラと似た言葉に、パワハラがあります。
ここで、モラハラとパワハラの違いも整理しておきましょう。
パワハラとは、パワーハラスメントの略で、職場における地位や権力を利用して、自分より弱い立場の相手や部下に対し、精神的・身体的苦痛を与える行為を指します。
例えば、侮辱や脅迫等や過度な要求、過小評価、身体的暴力やプライバシーの侵害まで様々な形態がパワハラに含まれます。
モラハラとパワハラの違う点は下記の3つです。
項目 | 法的定義 | 発生する状況 | 暴力の種類 |
---|---|---|---|
モラハラ | 定義がない | 主に家庭内 | 精神的暴力(言葉や態度) |
パワハラ | 明確な定義がある | 職場上の関係 | 精神的暴力・身体的暴力 |
パワハラは、厚生労働省の「パワーハラスメントの定義について」により、明確な概念が提示され、主に職場上の関係性を対象にしています。
一方で、モラハラには明確な定義がなく、主に家庭内で行われるケースが大半です。
そのため、モラハラはパワハラに比べて周囲から気づかれにくく、本人も認識しづらいため状況が悪化しやすくなります。
パワハラについては、以下の記事で解説しています。
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モラハラ夫に共通する6つの特徴
モラハラを行う人には、ある一定の傾向がみられます。
ここからは、モラハラ夫に共通する特徴を6つ紹介します。
- プライドが高く、優位に立ちたがる
- 嫉妬深く、束縛が強い
- 感情の起伏が激しい
- 考え方が否定的
- コンプレックスを抱えている
- 嘘を付くことに罪悪感を持たない
プライドが高く、優位に立ちたがる
まず、プライドが高く、優位に立ちたがるという点です。
プライドが高いこと自体は決して悪くはないのですが、相手との優劣を決めつけ優位に立ちたがる場合は、モラハラ行為に発展しやすくなります。
特に、社会的地位の高い職業についている人や高収入の人ほどプライドが高い傾向があり、家族を養って”あげている”という感覚に捉われやすくなります。
そうした状況から、家族を目下の人間として扱うようになり、家庭内で優位に立とうとするようになります。
嫉妬深く、束縛が強い
嫉妬深く、束縛が強いことも、モラハラ夫に共通する特徴です。
モラハラの男性は、妻や彼女の過去の人間関係を清算するよう迫るほか、外出先も逐一報告させるなど、行動を監視し制限する傾向があります。
付き合いはじめの関係性であれば、最初は愛情表現のうちと捉えるかもしれません。
しかし、行き過ぎた嫉妬や束縛は愛情の裏返しではなく、相手を社会と切り離し孤立させてしまいます。
感情の起伏が激しい
感情の起伏が激しいことも、モラハラ夫に共通する特徴です。
モラハラを繰り返す男性は、短時間のうちに喜怒哀楽が変化します。
怒っていたと思ったら急に優しくなり、時には極度に哀しむこともあります。
感情の起伏が激しいため、その落差に付き合う家族は顔色を伺うようになり疲れてしまいます。
さらに、モラハラ夫の感情を逆撫ですると、状況が悪化する可能性もあります。
考え方が否定的
考え方が否定的であることも、モラハラ夫の特徴です。
モラハラを繰り返す人は、自分を優れた人間だと思い込みたいがために、他者に対する評価を低く見る傾向があります。
否定的な言動の裏には、ストレスを抱えやすい、自分の立場に不安を感じている、余裕がないなど、加害者側の心の問題が関係しているケースもあります。
他者への批判や否定は、自らを優越感に浸らせる防御行動ともいえるのです。
コンプレックスを抱えている
コンプレックスを抱えていることも、モラハラ夫の特徴です。
抱えるコンプレックスは、容姿や年収、社会的地位、学歴や職歴など様々です。
例えば、就職先にコンプレックスを抱いている場合、自分より大手の職場で働いている人に対して攻撃的になることがあります。
モラハラを行う人は、抱えるコンプレックスを隠したいがために他者を素直に認められず、自己保身に入るのです。
嘘をつくことに罪悪感を持たない
嘘には2種類あり、相手を傷つけないためにつく嘘と、相手を不快な思いをさせる嘘があります。
モラハラ夫の場合は後者であることが多く、基本的に自分を優位に立たせ、大きく見せるためにつく嘘が大半です。
さらに、モラハラ夫は嘘をつくことに罪悪感を持たないことも共通しています。
モラハラ夫の具体的な8つの加害行動
モラハラ夫の具体的な加害行動を紹介します。
- 無視を繰り返す
- 学歴や職歴で見下してくる
- 人前で馬鹿にしてくる
- 生活費を渡さない
- イライラすると物に当たる
- 失敗を責め続ける
- 自分の価値観を押し付ける
- 人格を否定する
無視を繰り返す
モラハラ夫は、無視を繰り返すことで相手を追い詰めようとします。
夫婦喧嘩などの明確なきっかけがなく急に始まる無視は、モラハラ夫の加害行動のひとつです。
さらに、モラハラ夫の無視は、繰り返し行われるという特徴があります。
無視をする理由も様々で、妻を不安にさせ、弱らせたうえで自分の思い通りにしようとするモラハラ夫もいます。
明確な原因が分からないまま続く無視は、相手を追い詰めるため、立派な加害行動となります。
学歴や職歴で見下してくる
学歴や職歴で見下すこともモラハラ夫に見られる加害行動です。
自己愛が強いモラハラ夫の場合、自分より学歴や職歴の低いと感じる相手を見下す傾向があります。
例えば、「結婚して仕事をやめたくせに」「お前はいい大学を出ていないから頭が悪い」といった発言が目立ちます。
人前で馬鹿にしてくる
人前で相手を馬鹿にすることも、モラハラ夫の加害行動です。
パートナー間に限らず、相手を馬鹿にした態度をとる人は、自分より下の立場を見つけては少しでも優越感を得ようと考えます。
モラハラ夫の場合はその対象が妻に向きやすく、「お前は馬鹿だ」「役に立たない」といった言葉を公共の場であっても投げつけます。
人前で馬鹿にされた被害者は、当然ながら傷つきます。
しかし、モラハラ夫は人を傷つけていることにすら気がついていない可能性もあるのです。
生活費を渡さない
生活費を渡さないことも、モラハラ夫に見られる加害行動です。
特に妻が専業主婦の家庭は、「稼いでいる自分の方が偉い」という考えを持つモラハラ夫も珍しくありません。
仮に生活費を渡していたとしても、お金の使い道を制限することもあり、次第に経済的DVに発展する可能性があります。
イライラすると物に当たる
イライラすると物に当たることも、モラハラ夫の加害行動です。
モラハラ夫は感情の起伏が激しいため、感情が高ぶると物に当たったり、大きな物音を立てたりすることで、ストレスを発散させることもあります。
物に当たるモラハラ夫の心理は、何らかの要求を妻にうったえかけていたり、物に当たることでしか感情を処理できない場合があります。
失敗を責め続ける
相手のミスや失敗を責め続けることも、モラハラ夫に見られる加害行動です。
例えば、「お前のつくる料理は美味しくない」「失敗したんだから、謝れ」など、どんな些細なことも執拗に責めます。
中には、過去の失敗も引きずり続けるモラハラ夫もいます。
自分の価値観を押し付ける
自分の価値観を押し付けることも、モラハラ夫に見られる加害行動です。
モラハラ夫は、自分の考えが常に正しいと考える傾向があり、少しでも異なる考えを持つ相手のことを否定します。
例えば、「俺に従っていればいい」「お前の言動は間違っている」と言い切り、建設的な話し合いは不可能になります。
人格を否定する
人格を否定する発言をすることも、モラハラ夫の加害行動に含まれます。
例えば、「育ちが悪い」「のろまな性格だから何をやってもダメ」など、相手の持つ性格や育ちをネガティブに捉えることは、人格否定の代表例に当たります。
モラハラされたと感じたら取るべき行動
もし、ここまで紹介した加害行動を受けていると感じた場合は、次の行動を起こしてください。
- 発言を録音しておく
- メールやLINEをスクショしておく
- SNSの画面を保存しておく
- 日記をつけておく
発言を録音しておく
まず、モラハラ行為だと感じた発言は録音しておくようにしましょう。
モラハラ行為がエスカレートした場合、専門家やハラスメントの窓口に相談することがあるかもしれません。
証拠を残しておくことで、状況を説明しやすく、スムーズな対処を進められます。
メールやLINEをスクショしておく
メールやLINEをスクショしておくことも、モラハラされたと感じた時に取るべき行動です。
LINEやメールの履歴には、送信日時が明確に残るため、モラハラを受けた期間を提示する証拠となります。
SNSの画面を保存しておく
SNSの内容をスクショし保存しておくことも、モラハラをされたと感じたら取るべき行動です。
モラハラ夫の中には、SNS上で相手を非難・侮辱する人もいます。
SNSは公開後の削除もできてしまうため、発見次第スクショを取っておくことをおすすめします。
日記をつけておく
日記をつけておくこともおすすめです。
環境によっては、録音や画面の保存が難しいケースもあります。
そのような場合は、受けた日時と内容を詳しく文字で記録しておきましょう。
もし、モラハラ被害で離婚を考えている場合、どんなものが証拠になり得るのか詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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モラハラを受けたときの相談方法
モラハラを受けた、モラハラかどうか判断がつかない場合は、迷わず助けを求めましょう。
まずは弁護士へ相談
モラハラに悩んだときに最も有効な手段が、弁護士への相談です。
当事者同士で対処しようとすると、感情的になってしまい話し合いがまとまらないことがあります。
モラハラ夫の場合は特に、対等に話し合うことは不可能に近いといえます。
また、離婚を希望する場合も、弁護士であれば適切に対処してもらえます。
モラハラ被害を理由とする離婚は、実際のところ多く見受けられます。
弁護士へ相談することで、離婚の切り出し方や離婚後の慰謝料の相場が分かります。
モラハラを理由に離婚をする場合、慰謝料の相場や弁護士費用について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください
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弁護士にモラハラを相談するタイミング
モラハラを弁護士に相談するタイミングは、被害者がモラハラを受けたと感じた時がベストです。
違和感を持った際になるべく早く相談することで、証拠の収集方法や、別居・離婚までの安全な過ごし方を、弁護士と一緒に考えられます。
また、弁護士に依頼をすることで、早期にモラハラ夫との直接のやりとりを減らせます。
被害者がなかなか言えない要望も、弁護士を通して協議することで、スムーズな交渉が進みます。
まとめ:モラハラで深刻な状況とならないために適切に対処しよう
モラハラは、身体的暴力とは異なり、目に見える傷が残らないため、客観的な証拠を示しづらいものです。
もし、モラハラを受けたと感じたら、録音機能やスマホのスクショを用いて証拠を残しておきましょう。
証拠の集め方が分からない、モラハラに該当するのか分からない等、少しでも不安のある場合は弁護士に相談するのも一つの手です。
弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。実際に訴訟などになった際の弁護士費用を軽減することが可能です。
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今回の記事を参考にして、上手に弁護士保険を利用しましょう。