X(旧Twiitter)の発言により届いた開示請求を拒否したらどうなる?適切な対処法を解説!

X(旧Twiitter)の投稿や書き込みを発端に、ある日突然届いた開示請求の書類。

内容を確認してみると、期限内に開示請求に同意するか否かを返答しなければならないと記載され、焦りと不安でどう対処していいのか分からないという方もいるでしょう。

そこで本記事では、X(旧Twiitter)は拒否できるのか、拒否した場合のリスクや適切な対処法を解説します。

開示請求への対応に困っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

こんな疑問にお答えします

Q.X(旧Twiitter)で開示請求が届きました。拒否してもいいものでしょうか?

A.拒否は可能です。X(旧Twiitter)の「発信者情報開示に係る意見照会書」は、開示に応じるよう強制するものではなく、あくまでも同意するか否かの意向を確認するものです。個人情報を開示してほしくなければ「同意しない」という選択ができます。

ただ、請求者のその後の動きに注意する必要があるので、開示請求に同意するかどうかの判断に迷ったら、弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

X(旧Twiitter)を通して開示請求が届いた!そもそも発信者情報開示請求とは?

あなたのもとに突然届いた開示請求。自分が何をしたのか、開示請求とは何なのか、記憶をたどり心当たりを探している方もいるでしょう。

まず、開示請求とは何かを解説します。

発信者情報開示請求とは何か

開示請求とは「発信者情報開示請求」のことで、プロバイダ責任制限法にもとづく手続きを指します

開示請求は、主にインターネット上で誹謗中傷や権利侵害を受けた被害者が「書き込みを行った人の個人情報を開示してください」と求めるものです。

開示される情報は、氏名や住所、電子メールアドレス、IPアドレスなど個人を識別できる範囲(※1)と理解しておきましょう。

通常、加害者に対して法的措置をとるには「どこの誰なのか」を特定する必要があります。

しかし、インターネット上で起きる犯罪は匿名で行われることが大半で、発信者が分からず訴えたくても情報がありません。

X(旧Twiitter)においても、誹謗中傷を行う際は匿名や裏垢を使用して行う傾向が多いでしょう。

発信者情報開示請求の手続きにより個人情報を特定することで、被害者は加害者に対して損害賠償請求や刑事告訴をとれるようになるのです。

(※1)参考:総務省 開示する発信者情報の範囲について 資料3

X(旧Twiitter)で届く「発信者情報開示に係る意見照会書」

X(旧Twiitter)で届く開示請求は、「発信者情報開示に係る意見照会書」として郵送で届くことが一般的です。

この意見照会書は、「あなたの投稿や書き込みに対して第三者が個人情報を提供してほしいと訴えています。開示に応じますか?」と返答を求めるものです。

送り元は、X(旧Twiitter)の運営会社からではなく、発信者(意見照会書をもらった側)がX(旧Twiitter)を利用したときの通信手段の契約事業者から来ることが通常です。たとえば、ソフトバンクやドコモといった事業者が該当するでしょう。

X(旧Twitter)の「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いたということは、発信者を特定する必要があり、その目的が法的措置をとろうとしていることが読み取れます。

X(旧Twiitter)で開示請求される理由

開示請求を受け取った側からすると、「個人情報を渡さないといけない理由が分からない」「単なる悪ふざけのつもりだったのに…」と思う方もいるでしょう。

実は、X(旧Twiitter)で開示請求されるにはそれなりの理由があり、以下のような権利侵害不法行為が関係していることが考えられます。

  • 名誉毀損(人前で具体的な事実を提示して人を傷つけ、社会的評価を下げる行為)をした場合
  • 侮辱(人前で根拠なく侮辱し、社会的評価を下げる行為)をした場合
  • 著作権の侵害(第三者の著作物を無断利用する行為)をした場合
  • 営業妨害風評被害となる書き込みをした場合
  • 誹謗中傷で相手を精神的苦痛に追い込んだ場合

開示請求を行える要件は、「被害者が何らかの権利を侵害されたことが明らか」「開示を求める正当な理由がある」ことが基準となります。

つまり、X(旧Twiitter)の開示請求が届いた場合、あなたが第三者に対して上記のような権利侵害を行い、何らかの不利益を与えてしまったことが考えられます。

ただ、開示請求に記載されている理由や根拠が弱く、権利侵害の成立要件を満たしていないケースもあり得ます。

名誉毀損や侮辱罪、著作権侵害の成立要件については、こちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。

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X(旧Twiitter)で開示請求されたら拒否できる?

違法行為をした可能性があるとはいえ、「拒否することはできるの?」「拒否したらどうなるの?」ということも、気になるところでしょう。

結論からいうと、拒否自体は可能です。しかし、その後の動きに注意する必要があります

拒否はできるがその後の動きに注意

X(旧Twiitter)の「発信者情報開示に係る意見照会書」は、開示に応じるよう強制するものではなく、あくまでも同意するか否かの意向を確認するものです。

そのため、個人情報を開示してほしくなければ「同意しない」という選択ができます。

しかし、拒否することで以下のようなリスクが考えられます。

  • 裁判で開示が決定されれば個人情報開示が避けられなくなる
  • 相手側との示談交渉が難しくなる
  • 刑事責任や民事責任(損害賠償請求)に問われる可能性が高くなる

裁判所で開示が認められると、情報開示を逃れることができなくなります。

ただ、任意での請求の場合は相手側が主張している内容が必ずしも正しいとは限りません。

自身の行為が法的に違法ではないと主張する場合は、ネットトラブルに強い専門家の力を借りた方がいいといえます。

返答を無視したらどうなるのか

X(旧Twiitter)の発信者情報開示に係る意見照会書を無視した場合は、「開示請求に応じる意思がない」と判断され、相手側が訴訟を行う確率が上がります。そうなると、問答無用で発信者の情報開示が認められる可能性が高くなってしまいます。

開示を拒否しても無視しても、実際に権利侵害を行ってしまったのであれば最終的に情報開示される可能性は高くなり、不利な状況が避けられなくなるでしょう。

さらに、相手の主張が法的に正しくなくても無条件で開示されるという結果になりかねません。

事案によっては、自らの非を認め謝罪することで訴訟に発展する前に和解が成立するケースもあります。

意見照会書への返答は無視せず、真摯で適切な対応をするよう心がけてください。

X(旧Twiitter)で情報開示が実行されたらどうなる?

X(旧Twiitter)で情報が開示されたら、刑事責任民事責任に問われる可能性があります。

刑事上の責任に問われる可能性がある

情報開示が行われて刑事事件として、以下のような責任に問われる可能性があります。

  • 名誉毀損罪:3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金
  • 侮辱罪:1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
  • 信用毀損及び業務妨害罪:3年以下の懲役または50万円以下の罰金

X(旧Twitter)で上記が成立する違法行為を行うと、罰金や懲役に科される可能性があると覚えておきましょう。

民事責任として損害賠償請求をされることがある

情報開示が実行されると、民事責任として損害賠償を請求されることもあります。

請求される損害賠償の相場は、名誉棄損の場合は10万円〜100万円程度、侮辱罪は10万円以下が一般的です。

ただ、これはあくまで相場の金額です。

もし、任意での発信者情報開示の拒否や無視を行ったことで相手方が法的手続きにお金と時間を要した場合は、いくらか上乗せされた金額が請求されることも想定しなければなりません。

名誉毀損と侮辱罪における要件の違いや慰謝料相場については、こちらの記事をご覧ください。

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X(旧Twiitter)で開示請求が届いた際の対処法

ここまでの流れから、「発信者開示請求に係る意見照会書」が届いた時点での適切な判断が重要だと理解できました。

もう少し踏み込んで、X(旧Twiitter)で開示請求が届いた際の対処法を具体的に解説します。

開示請求に応じるか冷静に判断する

X(旧Twiitter)で開示請求が届いたら、まずは応じるかどうかを冷静に判断をしましょう。

ただ、意見照会書への返答は通常14日以内(プロバイダによっては1週間以内のところもある)に行う必要があるので、早めの対応が求められます。

開示請求に同意するかどうかの判断基準の一例として、以下を参考にしてみてください。

【開示請求に同意した方がいいケース】

  • 開示請求の理由や根拠が明確な場合
  • 発信者の行為が名誉毀損や侮辱罪など何らかの権利侵害に当てはまる場合
  • 開示されても大きな不利益がないと判断できる場合

【開示請求を拒否した方がいいケース】

  • 開示請求の理由や根拠が不明瞭な場合
  • 特定の権利侵害に当てはまらない場合
  • 全く身に覚えがない場合

開示請求にどのように対処すべきか拒否した方がいいか、そのどちらも法的な知識が必要になります。

判断に迷ったら、弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

開示請求後にアカウントを削除しても効果はない

ここで、「開示請求後にX(旧Twitter)のアカウントを削除すれば責任を逃れられるのではないか?」と考える人もいるでしょう。

結論、開示請求が届いた時点でアカウントを削除しても効果はありません。

X(旧Twitter)にはログ情報が一定期間全て残されており、このログ情報はアカウントを削除したところですぐに消えることがないからです。

ただ、プロバイダで保管されているIPアドレスの保存期間は、3ヶ月から半年程度といわれています。

言い換えると、権利侵害があってから半年以上経過していてなおかつアカウントも削除されていると、個人情報の開示には至らないといえます。

開示に至らない理由はこれだけではなく、名誉毀損や侮辱罪には「刑事」「民事」にそれぞれ時効があります。

時効が成立すると、相手方は発信者に対して法的責任を問えなくなるのです。

いずれにしても、開示請求が届いたということは時効期間内であることが一般的です。アカウントの削除は効果がないことはもちろんのこと、適切な対応が必要といえます。

名誉毀損の時効については、こちらの記事をご覧ください。

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開示請求が届いたらネットトラブルに強い弁護士に相談しよう

繰り返しお伝えしたように、X(旧Twitter)で開示請求(「発信者情報開示に係る意見照会書」)が届いたら、請求に応じるかどうかの冷静な判断が求められます。

もし、自身の行為が権利侵害に当たらず開示を拒否する場合は、送られてきた書面に「同意しません」に◯を付けて、拒否する理由や反論を伝えましょう。

反論するにしても同意するにしても、法的な知識をもって対処することが重要です

そのため、X(旧Twitter)から開示請求が届いたら、ネットトラブルや誹謗中傷に強い弁護士に相談してアドバイスを得ることをおすすめします。

弁護士へ相談するメリット

開示請求が届いた際に弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。

  • 開示請求に対しての最適な対応策を立ててくれる
  • 示談交渉になった場合もサポートしてくれる
  • 刑事責任に問われることになっても重い結果にならないよう守ってくれる

ネットトラブルについて経験豊富な弁護士であれば、スムーズな解決を目指せます。

法律事務所や窓口によっては、初回無料で相談を受け付けているところもあります。

窓口については、以下の記事を参考にしてみてくださいね。

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弁護士保険は、日常生活の個人的トラブルや事業活動の中で発生した法的トラブルに対し、弁護士を利用した時にかかる弁護士費用を補償する保険サービスです。

通常、弁護士を通してトラブルを解決しようとすると、数十万から数百万単位の弁護士費用がかかる場合があります。

弁護士保険に加入しておくことで、法的トラブルが発生した場合に弁護士に支払う費用を抑えられます。

開示請求への対応に迷った際は、弁護士保険も視野に入れましょう。

法人・個人事業主の方で法的トラブルにお困りの場合には、法人・個人事業主向けの弁護士保険がおすすめです。

弁護士保険の特徴について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.X(旧Twiitter)で開示請求が届きました。拒否していいの?
A.拒否自体は可能です。X(旧Twiitter)の「発信者情報開示に係る意見照会書」は、開示に応じるよう強制するものではなく、あくまでも同意するか否かの意向を確認するものです。そのため、個人情報を開示してほしくなければ「同意しない」という選択ができます。
しかし、その後の動きに注意する必要があります。

Q.返答を無視したらどうなるの?
A.相手側が訴訟を行う確率が上がり、無条件で発信者の情報開示が認められる可能性が高くなります。

Q.X(旧Twiitter)で情報開示が実行されたらどうなるの?
A.事案によりますが、刑事責任と民事責任に問われる可能性があります。

Q.開示請求が届いた後にアカウントを削除すれば逃れられるの?
A.開示請求が届いた時点でアカウントを削除しても効果はありません。
X(旧Twitter)にはログ情報が一定期間全て残されており、このログ情報はアカウントを削除したところですぐに消えることがないからです。

Q.X(旧Twiitter)で開示請求が届いた際の正しい対処法を教えてください。
A.開示請求に応じるかどうか、冷静な判断を心がけましょう。判断に迷ったら、弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。