X(旧Twitter)での誹謗中傷で名誉毀損になるケースは?犯人特定方法・慰謝料相場・弁護士費用についても!

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この記事の執筆者

福谷 陽子(元弁護士)

Twitterでの誹謗中傷の犯人特定方法と慰謝料相場・弁護士費用

日本人は、他国と比べてもX(旧Twitter)の利用人口が非常に多くなっています。

しかし、X(旧Twitter)はFacebookなどと比べて匿名性が高く、140文字という制限もあって言葉足らずになりやすいため、誹謗中傷トラブルが頻繁に発生しています。

また、「リツイート」機能によって誹謗中傷のツイートが簡単に拡散され、被害が広がりやすい傾向もあります。

では、もしもX(旧Twitter)で誹謗中傷されたら、どのように対応すれば良いのでしょうか?

今回は、X(旧Twitter)での誹謗中傷が名誉毀損になるケースや慰謝料請求できるケース、慰謝料の相場や匿名の犯人を特定する方法など、権利侵害を受けたときの解決方法をご紹介していきます。

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こんな疑問にお答えします

Q: 誹謗中傷をされた際のおすすめの行動は何か?

A:福谷 陽子(元弁護士)

発信者情報開示請求を弁護士に依頼することを推奨いたします。

仮処分や訴訟を利用して強制開示を求められる、労力がかからないというメリットがあるだけでなく、 相手に対する慰謝料請求も依頼できる点が大きいと考えています。

誹謗中傷した相手が特定されたら、その後相手に慰謝料請求を進めます。 ただ、悪質な相手の場合、被害者が自分で請求をしても無視される可能性が高いです。そんなとき、弁護士に任せれば相手も真剣に受け止めて慰謝料を払うケースが多数あります。

どうしても支払いに応じない相手なら、訴訟を依頼して慰謝料を取り立ててもらうことも可能です。

※弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。保険が弁護士費用の負担をしてくれるので助かります。

X(旧Twitter)における名誉毀損①そもそも誹謗中傷の定義とは?

一般に「誹謗中傷」すると名誉毀損になる、などと言われますが、そもそも「誹謗中傷」とは何なのでしょうか?

定義を確認しておきましょう。

誹謗中傷は「誹謗」「中傷」に分解できます。

誹謗とは、虚偽あるいは根拠もないのに相手を罵り貶めることです。

中傷は、相手に嫌がらせや悪口を述べることです。

これらを合わせて「誹謗中傷」です。

つまり誹謗中傷は、「虚偽または根拠もなく、相手をののしり貶めたり嫌がらせ、悪口を言ったりすること」と言えます。

X(旧Twitter)でも、相手のことをよく知らないまま根拠もなく悪口を言ったり個人攻撃したりしていると「誹謗中傷」になる可能性があります。

X(旧Twitter)における名誉毀損②誹謗中傷で名誉毀損や侮辱罪が成立する条件

X(旧Twitter)で誹謗中傷をすると、名誉毀損罪や侮辱罪という「犯罪」が成立する可能性もあります。

ただ、相手を攻撃したからといって必ずしも犯罪になるわけではありません。

以下では、ツイッターでの誹謗中傷の投稿によって名誉毀損罪や侮辱罪が成立する要件をみていきましょう。

名誉毀損罪になる条件

名誉毀損罪は、「公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合」に成立します(刑法230条1項)。

成立要件は、以下の通りです。

①「公然と」

公然と、とは不特定多数の人に広がっていく可能性があることです。

ツイッター投稿内容は、当然不特定多数の人が見る可能性があるので、「公然と」の要件を満たします。

②「事実の摘示」

名誉毀損が成立するには、何らかの事実を示す必要があります。

単に「バカ」などと書いただけでは名誉毀損になりません。

たとえば、「前科がある」「結婚詐欺をはたらいた」「不倫している」などと具体的な事実を書いたときに名誉毀損罪になります。

なお、「事実」は「真実」であっても名誉毀損になる可能性があります。

たとえば、「あの子は不倫している」と書いたとき、それが真実でも処罰される可能性があるので要注意です。

③「相手が特定されている」

名誉毀損が成立するには、相手が特定されている必要があります。

X(旧Twitter)では匿名の投稿が多く、誹謗中傷しても誰のことを言っているのかわからないケースもよくありますが、その場合は名誉毀損になりません。

ただし、匿名であっても客観的に「相手が誰か」わかれば名誉毀損になります。

たとえば、既に相手のニックネームが広く知られている場合やニックネームから簡単に本名を検索できる場合などには、ニックネームに対する誹謗中傷も名誉毀損になります。

④「社会的評価を低下させる」

名誉毀損罪が成立するには、相手の社会的評価を低下させる必要があります。

相手が「気分が悪い」と感じても、客観的に社会的評価を低下させる投稿内容でなければ名誉毀損にはなりません。

たとえば、「不倫している」「前科がある」「詐欺師」「嘘つき、騙された」「DV男」などと書いたら通常は社会的評価を低下させる書き込みと言えます。

一方「あの人とは気が合わない」「嫌い」と書かれただけでは社会的評価を低下させるものとは言えないので、名誉毀損にはなりません。

名誉毀損に適用される刑罰

名誉毀損罪に適用される刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金刑です。

侮辱罪が成立する条件と刑罰

侮辱罪は、「事実の摘示」以外の方法で他人の社会的評価を低下させたときに成立する犯罪です(刑法231条)。

つまり、事実の摘示をしたら名誉毀損罪、しなかったら侮辱罪という区別です。

侮辱罪と名誉毀損罪の違いの図

たとえば、X(旧Twitter)で「バカ野郎」「頭悪い」などと罵った場合に侮辱罪になる可能性があります。

侮辱罪に適用される刑罰は、拘留または科料です。

拘留とは30日未満の身柄拘束の刑罰、科料とは1万円未満の金銭支払いの刑罰であり、どちらも軽い刑です。

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X(旧Twitter)における名誉毀損③リツイートでも名誉毀損が成立する可能性がある

X(旧Twitter)では「リツイート」機能によって誹謗中傷の投稿が拡散されやすいですが、「リツイート」しただけでも名誉毀損になる可能性があるので要注意です。

先日、元大阪府知事の橋本徹氏がX(旧Twitter)で誹謗中傷を受けたケースにおいて、リツイートをしたジャーナリストを訴えていた裁判の判決が下りました。

裁判所は「元の投稿内容をそのまま引用して広めるリツイートは、投稿内容に賛同する意思を示すものであるから責任が発生する」と判断し、ジャーナリストに33万円の慰謝料支払い命令を下しています(大阪地方裁判所2019年9月12日)。

このように、自分で誹謗中傷内容のツイートを投稿しなくても、他人の誹謗中傷に乗っかったりおもしろ半分で拡散したりしただけで、名誉毀損の責任が発生する可能性があります。

軽い気持ちでリツイートするのは危険だということを覚えておきましょう。

X(旧Twitter)における名誉毀損④ネット誹謗中傷の慰謝料の相場は?

X(旧Twitter)などのネット上で誹謗中傷された場合、慰謝料はどのくらい認められるのでしょうか?

一般人への名誉毀損(10~50万円)

ネット名誉毀損によって発生する慰謝料の金額は、相手によって異なります。

相手が一般の個人の場合慰謝料は安くなり、相場としては10~50万円程度です。

ただし、裸の写真が公開されるなど悪質で影響が大きいケースでは、数百万円単位の慰謝料が発生する可能性があります。

事業者への名誉毀損(50~100万円)

相手がお店などの事業者や企業の場合、経済的な損失が発生する分賠償金額が高額になります。

相手の規模や事業内容にもよりますが、少なくとも50~100万円程度にはなると考えましょう。

有名人への名誉毀損(400万円以上の可能性も)

相手が有名人の場合も慰謝料が高額になりやすいです。

どの程度有名か、芸能人かスポーツ選手かネットのインフルエンサーかなどによっても異なりますが、高額なケースでは400万円以上の慰謝料が認められる可能性もあります。

影響が大きい場合は慰謝料が高額になる

名誉毀損の慰謝料は、「影響が大きい場合」高額になります。

たとえば、相手が事業者や有名人の場合には、一般の個人より大きな損失が発生するので賠償金が上がります。

ネットよりもテレビなどの媒体の方が、影響は大きくなるのでやはり賠償金が上がります。

同じネットでも、ほとんど影響力のない個人よりも、多くのフォロワーを抱えたインフルエンサーやジャーナリストなどが誹謗中傷した場合の方が、責任は重くなりやすいでしょう。

現実にX(旧Twitter)で誹謗中傷されて「どのくらいの慰謝料を請求できるのか?」を知りたい場合には、弁護士に相談してみると良いでしょう。

X(旧Twitter)における名誉毀損⑤誹謗中傷された相手に慰謝料請求や裁判するために必要な情報

相手に関する情報がないと慰謝料請求できない

X(旧Twitter)で誹謗中傷されたとき、相手に慰謝料請求をしたり裁判を起こしたりするには「相手に関する情報」が必要です。

X(旧Twitter)はほとんどのケースにおいて「匿名」で投稿されています。

そのままでは、相手に慰謝料請求のDMを送ってもアカウントを消されてしまったら終わりです。

逃げられないようにするには、相手の「氏名」「住所」「電話番号」や「メールアドレス」などの個人情報が必要です。

最終的に裁判で相手を訴える場合にも、最低限相手の本名と住所は必要になります。

投稿内容を保存しないと誹謗中傷を立証できない

また、「投稿内容」を保存する必要もあります。

X(旧Twitter)では、投稿内容はツイートした本人が自由に消去できます。

誹謗中傷されても、そのツイートが消去されてしまっては証拠がなくなってしまいます。

X(旧Twitter)では、元ツイートが消されるとリツイートされた先でもすべて表示されなくなってしまうので、完全に誹謗中傷を証明する手段が失われてしまうおそれがあります。

そうならないために、投稿が残っている間にその内容を自分の手元に保存しておく必要があります。

以上、慰謝料請求するためには、「相手の個人情報」と「誹謗中傷のツイートの保存」の2つが不可欠です。

相手が匿名の場合や住所がわからない場合

X(旧Twitter)ではほとんどの投稿が匿名で行われているので、誹謗中傷した相手の氏名や住所などがわからないケースが多数です。

そのままでは慰謝料請求も進められないので、まずは特定しなければなりません。

ただし、X(旧Twitter)社に直接連絡をしても、個人情報の問題があるので開示してもらえません。

開示を受けるには「発信者情報開示請求」や、裁判所での「仮処分」などの専門的な手段をとる必要があります。

これらの方法については、後の項目で詳しく説明します。

相手がツイートを消して逃げた場合

ツイートは投稿者が自由に消せるので、警戒した相手が削除してしまう可能性があります。

それを防ぐには、スクリーンショットを利用する方法をお勧めします。

スクリーンショットとは、パソコンやスマホの画面をそのまま写して画像として保存することです。

「スクショ」「画面キャプチャ」などとも言われます。

 

スクリーンショットと合わせて行っておきたいのが「画面の印刷」です。

スクリーンショット画像を撮影しても、パソコンが壊れたりデータが破損したりしたら、証拠の写真がなくなってしまいます。

そのときのため、アナログ的な方法で画面をプリントアウトして保管しておきましょう。

さらに誹謗中傷ツイートのURLも保存しておくべきです。

そうすれば相手が消さない限り、いつでもアクセスできます。

証拠のために残しておくべきもの

スクリーンショット(画面キャプチャ)の保存
誹謗中傷ツイートの印刷(プリントアウト)による紙媒体での保存
URLの記録

X(旧Twitter)における名誉毀損⑥誹謗中傷の相手が不明な場合に行う「発信者情報開示請求」

X(旧Twitter)で誹謗中傷されたとき、相手が不明であれば「発信者情報開示請求」をする必要があります。

発信者情報開示請求とは一体何なのか、以下で見ていきましょう。

発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求とは、ネット上で権利侵害を受けた被害者が、プロバイダやサイトの運営者などに対し、投稿者に関する情報開示を求めることです。

開示請求の対象となる情報

・発信者氏名
・発信者住所
・発信者メールアドレス発信者IPアドレス
・発信者のIPアドレス/IPアドレスと組み合わされたポート番号
・携帯端末のインターネット接続サービス利用者識別番号
・利用者識別符号
・SIMカード識別番号
・送信日時、時刻(タイムスタンプ)

ネットでの発言は基本的に自由ですが、ときには名誉毀損やプライバシー権侵害などの権利侵害が起こります。

放っておくとどんどん情報が拡散されて被害が広がるので、情報を消去しなければなりません。

また、投稿者を特定できないと被害者は加害者に慰謝料請求などの法的手段をとれないので、発信者の情報を開示する手段も認める必要があります。

そこで「プロバイダ責任制限法」という法律によって被害者に認められるのが「発信者情報開示請求権」です。

発信者情報を強制的に開示させるには「仮処分」が必要

発信者情報開示請求を行うときには、請求書によって直接サイト運営者に開示を求める方法と、裁判所を利用する方法があります。

被害者が自分で発信者情報開示請求を行う場合には、「発信者情報開示請求書」をX(旧Twitter)社に送付します。

すると、X(旧Twitter)社で内容の審査が行われて、開示の必要性があると判断されたら投稿者に関する情報が開示される可能性があります。

ただし、現実にはX(旧Twitter)社が任意に情報開示する可能性はほとんどありません。

また、X(旧Twitter)社はアメリカの法人なので、開示請求もアメリカ宛にしなければならず、大変です(日本にも支社がありますが、開示の権限を持っていないので、請求の宛先としては不適切とされています)。

X(旧Twitter)社に開示を拒まれたとき、強制的に情報開示させるには、裁判所で「仮処分」という手続きをしなければなりません。

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仮処分が認められたら裁判所がX(旧Twitter)社へ発信者情報の開示命令を下すので、発信者の登録電話番号やメールアドレス、IPアドレスなどの情報が開示されます。

発信者情報開示請求に必要な情報と書類

自分で発信者情報開示請求を行うときに必要な書類は、以下の通りです。

・発信者情報開示請求書

・本人確認書類

・誹謗中傷ツイートのスクリーンショットや印刷した紙

発信者情報開示請求書については、決まった書式はありませんが「TCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)」が配布している申立書の書式を利用するのがお勧めです。

http://www.isplaw.jp/d_form.pdf

発信者情報開示請求書の書き方

「侵害された権利」は「名誉権」や「プライバシー権」などです。

「権利が明らかに侵害されたとする理由」については、具体的な状況に応じて詳しく説明を記載する必要があります。

誹謗中傷ツイートのURLも載せておきましょう。

また、X(旧Twitter)社はアメリカの法人ですので、発信者情報開示請求書を送付する際には、英訳文をつけることをお勧めします。

開示請求は無料でも弁護士費用が必要になる可能性は高い

発信者情報開示請求自体は無料です。

自分でX(旧Twitter)社に発信者情報開示請求書を送り、開示を受ける分には費用は発生しません。

ただし、後にも説明しますが、X(旧Twitter)社から任意で情報開示を受けられるケースはほとんどないので、現実には弁護士に依頼して仮処分命令を出してもらう必要があり、弁護士費用が発生します。

発信者情報開示請求にかかる費用には、着手金と報酬金があります。

一般的に着手金は10~20万円程度、報酬金も10~20万円程度となっていますが、X(旧Twitter)社が海外法人であることなどを理由に、もっと高額になる事務所も多数あります。

判明したプロバイダーに対しても発信者情報開示請求をする必要がある

また、X(旧Twitter)社は通常ユーザーのIPアドレスやタイムスタンプ(電子的な時刻証明)は把握していても、登録時に氏名や住所の入力が不要なため、これらの情報の開示がされません。

そのためX(旧Twitter)社から開示を受けた後に、あらためて判明したプロバイダ(携帯キャリアやインターネットプロバイダー)宛てに発信者情報開示訴訟を行わねばならない可能性が高いです。

するとその分の費用もかかるので、さらに数十万円分の支払が必要です。

さらに、仮処分と訴訟そのものにかかる費用(裁判所に支払う実費)もかかります。

印紙代と郵便切手代が必要ですし、英訳文をつける必要もあるので、5万円程度はかかると考えましょう。

これらの費用をすべて足していくと、裁判をした場合には50万円程度やそれ以上の費用がかかる可能性が高くなってきます。

発信者情報開示請求にかかる期間は半年~1年

X(旧Twitter)社に発信者情報開示請求を行って投稿者を特定できるまでにはどのくらいの期間がかかるのでしょうか?

自分で直接X(旧Twitter)社に開示請求を行い、任意で開示を受けられる場合には1~2か月で情報を入手できるでしょう。

しかし、先にも述べた通り、X(旧Twitter)社から任意で開示を受けるのは困難ですから、実際には仮処分や訴訟をする必要があります。

そうなると、最低でも半年、長ければ1年近くかかってしまう可能性もあります。

平均的には8~9か月程度です。

X(旧Twitter)で誹謗中傷されたとき、相手を特定するにはかなりの根気が必要とされます。

「ログ保存期間」に注意

発信者情報開示請求を行うとき、重要な注意点があります。

それは「ログ保存期間」です。

X(旧Twitter)社でもネットプロバイダでも、アクセスログの保存期間には期間を設けており、投稿から半年も経てば、その投稿者に関するIPアドレスなどの情報を消去してしまいます。

その後に開示請求をしても「情報を保有していない」と言われて開示を拒まれます。

この問題を防ぐには、訴訟前に「ログ保存の仮処分」を行う必要があります。

これが認められるとプロバイダなどは半年を超えてもそのログを消去できなくなるので、裁判に時間がかかってもきちんと相手の情報が開示されます。

ログ保存の仮処分の申請も素人の方には難しいので、弁護士に依頼する必要があります。

発信者情報開示請求が認められないケースは?

X(旧Twitter)社に発信者情報開示請求をしても、必ずしも情報開示を受けられるとは限りません。

以下で開示を受けられないパターンをご紹介していきます。

権利内容が不明格、権利侵害されていない

侵害された権利が不明確な場合や権利侵害が認められない場合です。

たとえば、自分では「名誉毀損された」と思い込んでいても、現実には名誉毀損になっていない場合などです。

X(旧Twitter)社に直接発信者情報開示請求をしても開示を受けられないのはもちろん、仮処分や訴訟を行っても裁判所は開示命令を発してくれません。

権利侵害が明らかでない

X(旧Twitter)社や裁判所が「権利侵害されたか明らかではない」と判断した場合にも、発信者情報開示請求は認められません。

たとえば、名誉毀損に該当する場合でも、きちんとスクリーンショットや画面印刷によって証明ができなければ「本当に権利侵害が起こったかどうかわからない」と思われるでしょう。

証拠がなければ裁判でも負けてしまいます。

そのようなことにならないためにも、当初の段階で証拠保存しておく必要があります。

任意開示を拒絶される

現実に名誉権の侵害が起こっている場合でも、被害者が自分でX(旧Twitter)社に発信者情報開示請求をすると拒絶されるケースがほとんどです。

サイト運営者やプロバイダなどは「任意の発信者情報開示請求には対応しない」という社内方針を決めているところもありますし、そうでなくてもよほどのことがない限り、任意では情報開示しません。

なぜなら発信者の情報はサイト運営者やプロバイダ側にとって「顧客情報」「個人情報」であり、それをみだりに開示すると、顧客から訴えられたり自社の信用が失われたりするリスクが高まるからです。

プロバイダなどに情報開示請求をすると「警察からの照会を優先している」、「調査に時間がかかる」、「本人が開示を拒否しているので任意開示はできない」などと返答されるケースが多くなっています。

ログ保存期間を過ぎてしまった

発信者情報開示請求の要件を満たし弁護士に依頼してきちんと裁判所を通じた手続きをしても、「ログ保存期間」を過ぎてしまったら情報開示は受けられません。

この世から情報が消え去ってしまっているので、もはやどうすることもできないのです。

そのような不利益を避けるには、必ず事前に「ログ保存の仮処分」を行っておく必要があります。

発信者情報開示請求は弁護士なしでは困難

以上から、X(旧Twitter)社に対する発信者情報開示請求は弁護士なしでは困難であると理解していただけたのではないでしょうか。

そもそも弁護士に仮処分を依頼しないと、X(旧Twitter)社は任意の発信者情報開示請求に応じません。

仮処分をしても必ず開示命令が出るわけではないのです。

効果的に手続きを進めて命令を発してもらうには、専門の弁護士によるサポートが必須です。

また、ログ保存の仮処分を行ってプロバイダへ発信者情報開示請求の訴訟を起こすにも、弁護士による対応が必要となります。

X(旧Twitter)で誹謗中傷被害に遭ったら、一人で悩む時間がもったいないので早めに弁護士に相談に行くことをお勧めします。

X(旧Twitter)における名誉毀損⑦発信者情報開示請求を弁護士に依頼するメリット

仮処分や訴訟を利用して強制開示を求められる

発信者情報開示請求を弁護士に依頼すると、仮処分や訴訟を利用してX(旧Twitter)社やプロバイダに対して情報の強制的な開示を求められます。

また、必要なタイミングでログ保存の仮処分を行い、情報を保全することも可能です。

これらの適切な対応により、自分で対応するのとは比較にならないほど確実に、相手の情報を得られます。

労力がかからない

自分でX(旧Twitter)社やプロバイダに発信者情報開示請求を行うのは大変です。

発信者情報開示請求書を作り、必要な資料を揃えて提出するのも労力がかかりますし、その後やり取りが発生する可能性もあります。

仮処分や訴訟のような複雑な手続きを自分一人で行うのも困難でしょう。

弁護士に任せれば、こうした手続き関係をすべて一任できるので、依頼者自身はほとんど何もしなくて良くなります。

待っているだけで情報開示されるので、手間や時間を大きく省けます。

相手に対する慰謝料請求も依頼できる

誹謗中傷した相手が特定されたら、その後相手に慰謝料請求を進めます。

ただ、悪質な相手の場合、被害者が自分で請求をしても無視される可能性が高いです。

そんなとき、弁護士に任せれば相手も真剣に受け止めて慰謝料を払うケースが多数あります。

どうしても支払いに応じない相手なら、訴訟を依頼して慰謝料を取り立ててもらうことも可能です。

X(旧Twitter)における名誉毀損⑧投稿者特定にかかる弁護士費用の相場

X(旧Twitter)で投稿者を特定するとき、弁護士費用がどのくらいかかるかまとめます。

投稿者特定にかかる弁護士費用の相場①相談料

当初に弁護士に相談したときにかかる相談料金です。

無料で相談を受けてくれる事務所も多数ありますが、相場的には30分5,000円程度(外税)です。

投稿者特定にかかる弁護士費用の相場②任意開示請求代行の着手金と報酬金

X(旧Twitter)社に対する、任意での発信者情報開示請求を依頼した場合、着手金は無料または5~10万円、報酬金は5~10万円程度です。

投稿者特定にかかる弁護士費用の相場③仮処分の着手金と報酬金

X(旧Twitter)社に対して仮処分を行う場合、着手金の相場は10~20万円程度、報酬金の相場は15~20万円程度です。

投稿者特定にかかる弁護士費用の相場④ログ保存の仮処分にかかる着手金と報酬金

プロバイダに対してログ保存の仮処分を行う場合、着手金の相場は無料または10~20万円程度、報酬金の相場は10~20万円程度です。

投稿者特定にかかる弁護士費用の相場⑤発信者情報開示請求訴訟の着手金と報酬金

プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を行うときにも着手金と報酬金がかかります。

着手金は20~30万円程度、報酬金は15~20万円程度です。

投稿者特定にかかる弁護士費用の相場⑥慰謝料請求の着手金と報酬金

相手が特定された後、投稿者への慰謝料請求も弁護士に依頼できます。

その場合の着手金は無料または10万円程度、報酬金は回収できた慰謝料額の10~20%程度です。

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X(旧Twitter)における名誉毀損⑨弁護士への相談はなるべく早めに

X(旧Twitter)で誹謗中傷された場合には、なるべく早めに弁護士に相談することをお勧めします。その理由は以下の通りです。

初期対応を誤らずに済む

X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けたとき、自己判断で対応すると被害が大きくなる可能性があります。

たとえば相手とネット上で言い合いになり、かえって相手の誹謗中傷内容が拡散されるおそれもあります。

証拠を残す前にツイートを消去されてしまい、慰謝料請求の証拠を入手できなくなるリスクもあるでしょう。

当初から弁護士に相談していれば、こうした初期対応を誤ることがないので、後に思わぬ不利益を受けずに済みます。

必要な資料を集めやすい

X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けたときには、権利侵害を受けたことの証拠保存が必須です。

資料が不足していたら、裁判をしても情報開示命令が出ずに棄却されてしまうでしょう。

弁護士に相談すれば、具体的にどのような資料が必要で、何をしておけばいいかアドバイスを受けられます。

また、ログ保存の仮処分により、ログ消去を防いで後々まで請求権を守ることも可能です。

スピーディに解決できる

X(旧Twitter)の誹謗中傷に自分で対応すると、なかなか解決にはつながりません。

X(旧Twitter)社に任意で発信者情報開示請求をするのも一苦労でしょうし、その後のやり取りも必要です。

X(旧Twitter)で誹謗中傷のツイートが拡散されていたら、そちらの火消し対応も必要となります。

弁護士に相談したら、必要な手続きを迅速に行って最短で解決まで進めていくので、自分一人で対応するよりスピーディな解決が可能です。

精神的に落ち着く

X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けると、人は大きく傷つきますしストレスを抱えます。

「早く消去してほしい」、「早く炎上が止んでほしい」などいろいろ考えて夜も眠れなくなる方も少なくありません。

弁護士に相談すれば、弁護士が投稿の削除や発信者の特定、名誉毀損にもとづく慰謝料請求などを進めてくれます。

依頼者は「法律の専門家である弁護士が権利を守ってくれる」という安心感を得られて、落ち着きを取り戻すことが可能です。

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X(旧Twitter)における名誉毀損⑩少額訴訟も可能だが事前に弁護士に相談を

誹謗中傷の犯人が特定されたら、慰謝料請求を進めます。

ただ、相手が任意で慰謝料の支払いに応じない場合には、訴訟をしなければなりません。

そのとき「少額訴訟」を利用できるケースがあります。

少額訴訟とは

少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求をするときに利用できる簡単な裁判です。

通常訴訟よりも手続きがずいぶんと簡略化されていて、期日は1日で判決まで出してくれます。

簡単なので素人の方でも一人で進められますし、通常訴訟よりもスピーディに解決できます。

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個人の場合には少額訴訟を利用すると弁護士費用がかからない

ネット名誉毀損で認められる慰謝料の相場の金額は、誹謗中傷を受けた対象者が個人の場合には50万円以下ですから、少額訴訟で請求できる範囲内です。

もしも被害者であるあなたが一般の個人であれば、自分で少額訴訟をしたら弁護士に依頼せずにすみます。

そうすれば、弁護士費用を節約できるでしょう。

少額訴訟の注意点

ただし、少額訴訟を提起した場合でも、相手が異議を申し立てたら通常訴訟に移行します。

特に弁護士は少額訴訟を嫌うので、相手が弁護士に相談したら異議を出されて通常訴訟にされてしまうでしょう。

また、法人が誹謗中傷を受けた場合には100万円程度の慰謝料が認められる可能性もあるので、あえて60万円以下に請求金額を落として少額訴訟をするのはお勧めではありません。

さらに被害者が個人の場合であっても、相手を特定するために調査会社に依頼して費用がかかった場合などには、調査費用を請求できるケースがあります。

慰謝料に調査費用を足すと、請求金額が60万円を超える可能性が高くなります。

その場合には少額訴訟は利用できません。

少額訴訟を利用すべきケース

相手に対する請求金額は60万円以下で良い
弁護士費用をかけずに解決したい
スピーディに解決したい

少額訴訟を利用すべきでないケース

事業者や法人などで営業損害が発生している
調査費用がかかったのでその分も払ってもらいたい
高額な請求を立てて相手に強いインパクトを与えたい
相手が弁護士を立てている、立ててくる見込み

少額訴訟を利用すべきかどうかは、個別の事情によって異なります。

少額訴訟か通常訴訟のどちらにするか迷ったら、ネット誹謗中傷問題に詳しい弁護士に相談するのが確実です。

無料相談なら費用をかけずに弁護士のアドバイスを受けられるので、是非とも利用してみてください。

X(旧Twitter)における名誉毀損⑪書き込みの削除を求める場合は送信防止措置を

X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けたとき、多くの方は「一刻も早くこのツイートを消してほしい」と思うものです。

そのツイートが世の中に残っていると思うだけで、精神的に強いストレスを感じて日常生活や仕事に支障が及ぶケースも少なくありません。

その場合には「送信防止措置」を求めることができます。

送信防止措置とは、ネット上で名誉毀損などの権利侵害を受けた被害者が、サイト管理者やプロバイダにその情報の送信の停止を求める権利です。

送信停止の代表的な方法は「削除」なので、通常は送信防止措置として削除請求を行うことになります。

実はX(旧Twitter)社へのツイート削除請求は、X(旧Twitter)の機能に組み込まれています。

該当するツイートの右上をクリック(タップ)すると「通報する」という表示が現れるので、それをクリック(タップ)します。

すると、通報理由を選択できるので、適切なものを選んで送信します。

詳しくはX(旧Twitter)の「攻撃的な行為の報告」、「オンライン上の嫌がらせについて」にてご確認ください。

通報後、X(旧Twitter)社が利用規程に違反しているかどうかを審査し、違反があれば該当ツイートの削除を行います。

この方法で対応してもらえない場合「送信停止依頼書」という書面を送る方法によっても送信防止措置を求められます。

以下の書式を使い、具体的にどういった権利侵害が行われたのかを記載してX(旧Twitter)社に送付しましょう。

侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書:http://www.isplaw.jp/p_form.pdf(プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会)

すると、X(旧Twitter)社で審査が行われ、権利侵害が認められれば削除してもらえる可能性があります。

ただし、削除請求についても発信者情報開示請求と同様、X(旧Twitter)社の判断に委ねることになるので、確実に削除してもらえるとは限りません。

最終的には、やはり弁護士に依頼して裁判所の「仮処分」によって投稿を削除させる必要があります。

なお、いったん投稿を削除されると証拠を入手できなくなるので、必ずそのまえにスクリーンショットなどの方法で証拠のツイートを保存しておきましょう。

X(旧Twitter)における名誉毀損⑫慰謝料請求が裁判で認められた事例

次に、X(旧Twitter)の誹謗中傷によって慰謝料請求が認められた裁判の事例を3つ、ご紹介します。

漫画家に対しての誹謗中傷(慰謝料15万円)

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漫画家が、原告に依頼されて描いたある人物の似顔絵を意図しない目的で引用されて「(原告)さんにも○害予告されましたし、・・・」(以下省略)と事実無根の誹謗中傷を受けたため、著作権侵害と名誉毀損で加害者を訴えた事例です。

裁判所は加害者に対し、慰謝料30万円(うち名誉毀損は15万円)と訴訟費用20万円の合計50万円の支払い命令を下しました。
(東京地方裁判所 平成25年7月16日)

サイエンスライターに対しての継続的な誹謗中傷(慰謝料200万円)

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2017年7月頃から2018年3月頃にかけて継続的にツイッターで誹謗中傷を受け続けた被害者(サイエンスライター)が加害者を特定して慰謝料請求した事例です。

加害者は被害者に対し「淫売」「夫は強姦魔」などと悪質な誹謗中傷の投稿を継続していました。

被害者が裁判を起こしたところ、被害者は無視して対応しなかったため原告の請求が全面的に認容され、慰謝料200万円、弁護士費用20万円、調査費用43万8000円の合計263万8000円の支払い命令が下されました。
※実際にかかった弁護士費用は100万円程度

謝罪文の交付命令も出ています。
(さいたま地方裁判所 令和元年7月17日)

大学教授に対しての名誉毀損(慰謝料30万円)

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大学の講義で、原告の教授は「阪神タイガースがリーグ優勝した場合は、恩赦を発令する。また日本シリーズを制覇した場合、特別恩赦を発令し、全員合格とする。」と書かれたパワーポイントを写しつつ、「かつては、阪神タイガースが優勝した場合、全員合格とするという教授もいたが、現在はそんなことはない。」と口頭で説明していました。

しかし、ある学生がそのパワーポイントと教授が写ったその様子を撮影し、ツイッター上に、「阪神が優勝したら無条件で単位くれるらしい」というコメントとともに投稿しました。この投稿はネット上で話題になり、ツイッター上のみならず、各種まとめサイトなどにも拡散されました。

一度は話し合いの上和解したそうですが、その後学生は約束したはずの行動をとらず、連絡もつかなくなったため原告の教授が提訴しました。

原告の慰謝料200万円の請求に対し、30万円の慰謝料と遅延損害金の支払いが命じられました。
(大阪地方裁判所 平成28年11月30日)

X(旧Twitter)における名誉毀損⑬弁護士より警察に相談すべきケース

X(旧Twitter)で誹謗中傷されたとき、以下のような場合には弁護士よりも警察に相談すべきです。

脅迫されている

「殺すぞ」「家を燃やすぞ」「爆破するぞ」などの悪質な脅迫を受けている場合や「〇月〇日、~に一人で来い」などと言われて暴力を振るわれそうな状態なら、早急に警察に相談しましょう。

放っておくと暴行や傷害事件・最悪の場合には殺人事件につながる可能性もあり、軽く考えてはなりません。

ストーカー被害を受けている

ネット上でストーカー行為が行われるケースも多々あります。

元の交際相手などから監視されているかのようなツイートが繰り返されて困っているなら、警察に相談して取り締まってもらいましょう。

リベンジポルノ被害を受けている

元の交際相手や配偶者が、交際時や婚姻中に撮影した性的な画像や動画を公開することを「リベンジポルノ」と言います。

X(旧Twitter)などにリベンジポルノ画像や動画を投稿されて困っているなら、警察に相談して相手を取り締まってもらいましょう。

悪質な営業妨害

「店を続けるなら爆破する」「バスの乗客を全員殺す」「毒ガスをまく」など悪質な脅しや業務妨害が行われた場合には、早めに警察に相談に行きましょう。

しつこい名誉毀損

相手が粘着質で非常にしつこく悪質な名誉毀損を繰り返してくる場合、放っておくと身に危険が及ぶ可能性もあるので、早めに警察に相談に行った方が良いでしょう。

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X(旧Twitter)における名誉毀損⑭警察に逮捕された事例

以下では、X(旧Twitter)への投稿が原因で、名誉毀損やその他の犯罪によって逮捕された事例をいくつかご紹介します。

わいせつ画像のツイートやリツイートによって逮捕

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2014年11月、女児のわいせつ画像をツイートした男性と、そのツイートをリツイートした男子中学生が逮捕された事例があります。

罪名は児童ポルノ禁止法違反です。

「動物園からライオンが逃げた」とツイートして逮捕

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2016年7月、熊本地震が発生した直後「動物園からライオンが逃げた」などとツイートして大騒ぎを巻き起こした会社員が偽計業務妨害罪で逮捕されました。

ストーカー規制法違反で逮捕

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2017年1月、女子高生につきまとい、監視しているかのように示すツイートを繰り返したために医師がストーカー規制法違反で逮捕されました。

芸能人に脅迫して逮捕

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2017年2月、声優でタレントの水樹奈々さんに「会いたい」などとメッセージを送ったところ、無視されたことに腹を立てて「殺す」などと投稿したアルバイトの男性が、威力業務妨害罪で逮捕されました。

「不倫している」などと投稿して名誉毀損で逮捕

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2017年2月、SNSを使って「あいつは多くの女性ユーザーに迷惑行為を繰り返した」などと虚偽の投稿をした無職の少年(当時19歳)が名誉毀損などの疑いで逮捕されました。

被害を受けた男子高校生(当時18歳)は自殺に追い込まれています。

「不倫している」などと誹謗中傷して名誉毀損で逮捕(ネット掲示板の事例)

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2016年11月、理学療法士の男性が過去に交際していた女性について、ネット掲示板に「あいつは不倫をしている」などの書き込みをしたため、名誉毀損で逮捕されました。

終わりに

X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けて精神的に苦痛を受けているなら、我慢し続ける必要はありません。

一度どのくらいの弁護士費用がかかるのかも含めて、弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

費用が心配な方も無料相談なら損にはなりません。

まずは、ネット誹謗中傷トラブルに詳しい弁護士事務所の無料相談を利用して、アドバイスを受けるところからはじめましょう。

また、もしもの時の為に、弁護士保険に加入しておくこともおすすめです。

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記事を振り返ってのQ&A

Q:誹謗中傷の定義とは?
A:「虚偽または根拠もなく、相手をののしり貶めたり嫌がらせ、悪口を言ったりすること」

Q:誹謗中傷で名誉毀損が成立する条件とは?
A:成立要件は、①「公然と」②「事実の摘示」③「相手が特定されている」④「社会的評価を低下させる」です。

Q:誹謗中傷で侮辱罪が成立する条件とは?
A:侮辱罪は、「事実の摘示」以外の方法で他人の社会的評価を低下させたときに成立する犯罪です(刑法231条)。つまり、事実の摘示をしたら名誉毀損罪、しなかったら侮辱罪という区別です。

Q:リツイートでも名誉毀損が成立する可能性がありますか?
A:「元の投稿内容をそのまま引用して広めるリツイートは、投稿内容に賛同する意思を示すものであるから責任が発生する」と判断されています。

Q:ネット誹謗中傷の慰謝料の相場は?
A:一般人への名誉毀損(10~50万円)、事業者への名誉毀損(50~100万円)、有名人への名誉毀損(400万円以上の可能性も)となっています。更に、影響が大きい場合は慰謝料が高額になります。

Q:誹謗中傷の相手が不明な場合に対処方法はありますか?
A:X(旧Twitter)で誹謗中傷されたとき、相手が不明であれば「発信者情報開示請求」をする必要があります。発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは、ネット上で権利侵害を受けた被害者が、プロバイダやサイトの運営者などに対し、投稿者に関する情報開示を求めることです。

Q:少額訴訟も可能ですか?

A:ネット名誉毀損で認められる慰謝料の相場の金額は、誹謗中傷を受けた対象者が個人の場合には50万円以下ですから、少額訴訟で請求できる範囲内です。ただし、少額訴訟を提起した場合でも、相手が異議を申し立てたら通常訴訟に移行します。また、個人の場合であっても、相手を特定するために調査会社に依頼して費用がかかった場合などには、調査費用を請求できるケースがあり、慰謝料に調査費用を足すと、請求金額が60万円を超える可能性が高くなり、少額訴訟を提起することはできなくなります。

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【事例で学ぶ】SNSでの誹謗中傷による刑事告訴~投稿者と示談が成立したケース

2021年8月、コロナ禍で開催されたオリンピックでは日本選手が大活躍する一方で、SNS上において誹謗中傷されていることが話題となりました。卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼選手は、自身のツイッターアカウントにおいて、自身に届いた誹謗中傷DMの具体的な内容を告白しています。その内容は「死ね!」「くたばれ!」「消えろ!」といった直接的な暴言から、「お前不倫してるの?」「人間やめたれよ」といった根拠のないもの、「消せばいいじゃん」といった水谷選手に責任転嫁するものなど、さまざまであったようです。

さらに、すぐさま然るべき措置を取るとして、毅然とした対応を行うとしています。近年、SNSなどネット上での誹謗中傷が社会問題としてクローズアップされ、対策が進んでいることもあり、さまざまな相談窓口が設置されるようになりました。今回ご紹介する事例は、「はるかぜちゃん」として親しまれてきた春名風花さんに対するSNSでの誹謗中傷によるものです。2010年、9歳の頃からSNSでの情報発信を行っており、その頃から誹謗中傷に悩まされていたのです。当時はそのような判例もなかったことから、刑事告訴を経て、示談金による告訴の取り下げに応じるまで、すでに誹謗中傷が始まってから10年が経過していました。

ここでは、この事例の経過と共に、SNSの誹謗中傷に対する刑について考えてみたいと思います。