弁護士費用や裁判費用を相手に請求できる(負担させる)ケースとは? | 弁護士費用保険の教科書

法律・裁判・法的手続

弁護士費用や裁判費用を相手に請求できる(負担させる)ケースとは?

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投稿日:2016年3月25日 更新日:



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この記事の執筆者

福谷 陽子(元弁護士)

弁護士費用や裁判費用を相手に請求できるケースとは?

こんな疑問にお答えします

・弁護士費用はどのぐらいかかるの?
・裁判で弁護士費用を相手に請求できる時はどんな時?
・弁護士費用を全額請求できるの?
・訴訟費用はどのぐらい?
・訴訟費用は相手に請求できるの?

普通に日常生活を送っていても、法的なトラブルに巻き込まれることは多いです。

たとえば貸したお金を返してもらえない場合、賃貸住宅を人に貸している場合に賃借人が家賃を払ってくれない場合、離婚トラブル、交通事故など、さまざまな問題が発生します。

このような法的なトラブルが発生した場合には、示談交渉や裁判などを弁護士に依頼することが多いです。

そうすると、当然弁護士費用や裁判費用(訴訟費用)などの費用がかかりますが、かかった費用を事件の相手方に請求することは出来ないのでしょうか。

出来るとすればどのような場合にどのくらい請求出来るのかも知っておきたいところです。

今回は、民事事件の相手方に弁護士費用や裁判費用を請求出来るのかについて、解説します。

なお、民事裁判の流れや期間について気になる方は下記の記事を参考にしてください。

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弁護士費用はどのくらいかかる?

日常生活で法的なトラブルに巻き込まれる機会は意外と多いものです。

不動産の境界問題で隣人と争いになることもありますし、貸したお金を返してもらえない場合もあります。

エステなどを受けて事故があって怪我をすることもありますし、離婚問題もよくあります。

交通事故に遭っても損害賠償請求をしなければなりませんし、住宅を人に貸している場合に賃料を支払ってくれなくなったらその請求もしなければなりません。

このような法的なトラブルに巻き込まれた場合、自分で対処することが困難な場合があります。

すると、弁護士に問題解決の手続きを依頼します。

弁護士に依頼すると、当然弁護士費用がかかります。

その場合の弁護士費用はどのくらいかかるのでしょうか。

弁護士の費用には着手金と報酬金がありますので、以下では分けて説明します。

着手金

弁護士に事件の解決を依頼する場合には、着手金という費用がかかります。

着手金とは、弁護士に手続きを依頼した場合にかかる依頼料のような費用です。

分割払いを認めてもらえることもありますが、原則として当初の依頼の際に一括払いする必要があります。

弁護士の着手金の金額は、事件の内容や請求したり請求される金額などによって異なります。

ただ、たとえば軽微な交通事故の場合には20万円程度であることが多く、離婚調停では20万円、離婚訴訟の場合には30万円程度かかることが多いです。

着手金の最低額は10万円とされていることが多く、ほとんどの事件の弁護士の着手金は、数十万円レベルになります。

報酬金

弁護士の費用としては、報酬金という費用もあります。

報酬金とは、事件が解決した場合にその解決の内容に応じて発生する弁護士費用のことです。

報酬金の金額は、その事件の解決内容によって異なります。

だいたい、回収出来た金額の○%、または、請求された金額と実際に支払うことになった金額との差額の○%という割合で定められることが多く、通常10%~16%くらいになります。

たとえば相手方に150万円請求をして、100万円を回収できた場合、報酬金の割合が10%なら、100万円の10%である10万円が報酬金になります。

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裁判で弁護士費用を請求出来る?

裁判で弁護士費用を請求出来る?弁護士に事件解決を依頼した場合には、着手金と報酬金がかかるので、これらを足していくとかなり大きな金額になります。

この弁護士費用を相手に請求することは出来ないのでしょうか。

自分が裁判に負けた場合に請求出来ないことは当然ですが、自分が裁判に勝った場合には、相手方に支払を求めることが出来るのではないかとも思えます。

実際にどうなっているのか、以下で説明します。

基本的には弁護士費用は請求出来ない

裁判をして勝訴したら、相手方にこちらの弁護士費用を請求出来るのでしょうか。

このように、裁判で負けた方の当事者が相手方の弁護士費用まで負担しなければならない制度のことを、「敗訴者負担制度」と言います。

日本では、この敗訴者負担制度は採用されていません。

確かに、裁判で負けた側は、合理的でない主張をしていた可能性が高いのですから相手の弁護士費用についても責任をとるのもおかしな話ではありません。

現に、アメリカなど外国では敗訴者負担制度が導入され、きちんと運営され社会に根付いているケースもあります。

しかし、裁判で負けたとしても、必ずしも100%間違った主張をしていたとは限りません。

また、負けたら高額な相手の弁護士費用を負担しなければならない状況では、多くの人が裁判を起こすのを躊躇してしまうでしょう。

日本ではアメリカと違い、まだまだ「訴訟で解決する」ことに抵抗感を持っている人が多数です。

この状況で、敗訴すると相手の弁護士費用も払うべき、とされてしまったら、裁判を起こす人が激減してしまう可能性も高まります。

またアメリカでは、相手に「懲罰」として損害賠償をさせる考え方がありますが、日本ではそういった考え方はとられていません。

懲罰を与えるなら相手の弁護士費用を負担させるのも自然ですが、そうでなければ弁護士費用はお互い様であり、必ずしも負けた側が負担すべきとはなりません。

このように、日本ではアメリカと異なる状況も多いので、敗訴したからと言って相手の弁護士費用を払う責任は発生しないのです。

以上のようなことから、裁判を起こして勝訴しても、敗訴した相手方に弁護士費用を請求することは基本的には認められません。

以下で、具体例を確認してみましょう。

たとえば裁判を起こして100万円回収出来たとします。

この場合、弁護士に依頼したため、弁護士の着手金が10万円、報酬金が10%として10万円かかるとします。合計20万円が弁護士費用になります。

すると、相手方からは100万円取り立てることが出来ても、弁護士に合計20万円の費用を支払わなければならないので、自分の手元に残るのは80万円になります。

このように、裁判を起こして勝訴しても、基本的に自分の弁護士費用は自分の負担になるので、相手方から回収したお金が全額手元に入ってくるわけではないことに注意が必要です。

不法行為の場合には弁護士費用の請求が可能

弁護士に依頼して裁判を起こした場合、弁護士費用は基本的に相手方に請求することは出来ません。

しかし、一部の請求においては、相手方に弁護士費用を請求することが出来ます。

相手方に弁護士費用の請求が出来る場合は、「不法行為」にもとづく損害賠償請求をする場合です。

不法行為にもとづく損害賠償請求とは、違法行為により損害を被った場合に、相手方に賠償を求める請求のことです。

不法行為が成立する要件は、「故意過失」にもとづく「違法行為」が行われ、それによって被害者に「損害が発生」したことです。

不法行為の成立要件

・故意過失
・違法行為
・因果関係
・損害発生

加害者が故意(わざと)や過失(うっかり)によって他人に迷惑を与え、そのことで他人が損害を受けたら、その損害は加害者が賠償するのが筋です。

そこで法律も、そういった場合には「不法行為」として加害者に賠償責任を科しています。

不法行為の具体例

不法行為の例としては、以下のようなものがあります。

交通事故

交通事故では、加害者が過失によって被害者に車をぶつけるという違法行為を行い、被害者にはけがや車の損傷などの損害が発生します。

そこで不法行為が成立して、被害者は加害者に対し賠償金の請求をできます。

痴漢、盗撮の被害

痴漢や盗撮の被害に遭うと、被害者は大きな精神的苦痛を受けます。

また人の身体を触ったり下着や身体を写したりするのは違法行為です。

そこで不法行為が成立し、被害者は加害者に対して精神的損害についての慰謝料請求ができます。

暴行、傷害の被害

相手から殴られたり蹴られたりすると、被害者は大きな恐怖を感じて精神的損害を受けますし、けがをしたら治療費なども発生します。

もちろん人に暴行を振るうのは故意による違法行為です。

そこで暴行や傷害被害が起こった場合にも不法行為が成立して、被害者は加害者に損害賠償請求できます。

パワハラ、セクハラ

パワハラやセクハラは、故意または過失による違法行為です。

被害者は大きな精神的苦痛を受けるので、加害者に対して不法行為にもとづく慰謝料請求ができます。

名誉毀損

ネット上で誹謗中傷されたり公衆の面前で不名誉なことを言われたりすると、人は大きな精神的苦痛を受けます。

誹謗中傷も故意にもとづく違法行為と評価されるので、不法行為が成立して被害者は加害者に対して慰謝料請求できます。

名誉毀損の場合には、謝罪広告などの名誉回復措置を求めることも可能です。

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エステの失敗、医療事故

エステの施術に失敗して被害者がけがをした場合や、医療事故が起こって患者に危険が発生したり死亡したりした場合、利用客や患者には大きな損害が発生します。

エステの施術者や医師、看護師や病院には過失にもとづく違法行為があったと評価されるので、不法行為が成立して利用客、患者がエステの施術者や医師、看護師などに損害賠償請求できる可能性があります。

不倫された場合

不倫は、夫や妻への重大な裏切り行為であり、故意にもとづく違法行為です。

不倫された配偶者は大きな精神的苦痛を受けるので、不倫した配偶者と不倫相手の両方に対し、不法行為にもとづく慰謝料請求ができます。

これらの不法行為にもとづく損害賠償請求を裁判で行う場合には、弁護士費用を損害として相手方に請求することが可能です。

不法行為の例

上記のような不法行為の例とは反対に、債務不履行(支払う約束をしたのに相手が支払わない)による請求の場合は不法行為ではないので、基本的に弁護士費用を請求することはできません。

不法行為についてより知りたい方は下記のページをご覧ください。

労災の場合の例外について

労働災害が発生したときに労働者が会社を訴える場合には、労働者は不法行為にもとづく損害賠償請求と同じ程度の立証に負担を負うので、不法行為の場合とほぼ同視できると考えられています。

判例でも、労災で労働者が会社の安全配慮義務違反を追及する場合には、被告にほぼ1割の弁護士費用の負担を認めています(最高裁平成24年2月24日)。

これから労災にもとづいて会社を訴える場合には、弁護士費用も合わせて求めるのが良いでしょう。

相手に負担させることができる弁護士費用は一部のみ

不法行為にもとづく損害賠償請求をする場合には、判決で相手方に弁護士費用を負担させることが出来ますが、この場合、弁護士費用全額の請求が出来るわけではありません。

具体的には、判決で認められた賠償金額の概ね10%が、弁護士費用として認められます。

たとえば、交通事故で300万円の損害が認定された場合には、その10%の金額である30万円がこれと関連する弁護士費用として損害に含められる。

結果として、判決では相手方に対して330万円の支払い命令が出ます。

ただ、この費用は実際にかかった弁護士費用とは同じとは限りません。

たとえば、実際に弁護士に依頼した場合には、着手金が20万円、報酬金が300万円×10%=30万円、合計50万円程度の費用がかかるかもしれません。

ところが、判決で認められる弁護士費用の金額は、あくまで「認容金額の10%」になることがほとんどです。

もし、判決で認められた損害賠償金の認容額が5万円なら、弁護士費用として認められるのは5,000円だけということになります。

実際に弁護士費用が30万円かかっていても判決で認められるのは5,000円です。

このように、判決で弁護士費用の請求が認められる場合であっても、実際にかかった弁護士費用全額が認められるわけではないことに注意が必要です。

弁護士費用の負担率

和解になった場合は弁護士費用の請求が出来ない

不法行為にもとづく損害賠償請求の場合には、上記のとおり、相手方に対して弁護士費用の請求が出来ることがあります。

しかし、これは、裁判をして判決を出してもらった場合に限られます。

同じ不法行為にもとづく損害賠償請求であっても、示談交渉の段階や調停の段階では、弁護士費用を上乗せしてもらえることはほとんどありません。

さらに、裁判をしたとしても、必ずしも弁護士費用を支払ってもらえるとは限りません。

それは、裁判上で和解をすることがあるからです。

裁判では、判決をしてもらうことなく、当事者同士で話し合って和解をして裁判を終わらせることが可能です。

この場合、和解内容として、相手方から賠償金額の全部や一部を支払ってもらう事になるのが普通です。

ただ、和解で解決する場合には、通常は弁護士費用の上乗せはしません。

よって、裁判をしてお金を回収出来る場合であっても、必ずしも弁護士費用を請求出来るわけではないのです。

もちろん、こちら側が敗訴した場合には、相手方に弁護士費用を請求することは出来ません。

このように、相手方に弁護士費用の請求が出来る場合というのは、日本では極めて限られたケースだということになります。

示談交渉の際に上乗せして請求出来る?

事件の相手方に弁護士費用の請求が出来る場合は、極めて限られた場合になってしまいます。

そうだとすれば、示談交渉の際に、当初から弁護士費用を上乗せして請求すれば良いのではないかと考える人もいるでしょう。

たとえば、不貞(不倫)相手への慰謝料請求の事案を考えてみましょう。

もともと相手に支払ってほしい金額は200万円だとします。

しかし、弁護士に支払う費用として、着手金10万円、報酬金20万円の、合計30万円程度を見込んでいるとします。

この場合に、当初から相手に230万円の請求をすることが出来ないかという問題です。

たしかに、そのような考え方は可能です。

ただ、実際にはそのような請求の仕方はあまりしません。

このことは、示談交渉の方法とも関連します。

最初は多めに請求する

示談交渉で損害賠償請求をする場合、通常は相手に支払ってほしい金額より多めの金額を請求します。

当初に相手に金額提示をしても、その金額をそのまま相手が受諾してすんなり支払うことはほとんどないからです。

たとえば、当初から相手方に200万円を請求したら、相手方は100万円に減額してほしいと言ってくるかもしれません。

そうして両者で交渉して条件を詰めていって、結局は130万円程度などの金額に支払金額が落ち着いてしまうのです。

よって、200万円を支払ってほしい場合には、当初は200万円の請求ではなく300万円や500万円の請求をします。

そうすると相手方は200万円にしてほしいと言うかもしれません。

それであれば示談すれば良いですし、150万円にしてほしいと言ってくれば、さらに交渉を重ねて最終的に200万円程度に落ち着ければ良いのです。

このように、示談交渉の場合には、当初は説明がつく範囲内でできるだけ多めに請求を立てます。

そこで、ここにかかる弁護士費用も折り込んで請求すれば良いのです

たとえば最終的に損害賠償金200万円+弁護士費用30万円を支払ってほしい場合には、当初は300万円分や500万円分の請求を立てて、最終的な取り立て額として230万円以上を目指せば、弁護士費用分の回収が出来ます。

当初から「200万円と弁護士費用30万円を支払ってほしい」と言っても、通常はその支払いに応じてくれることはほとんどないので、覚えておきましょう。

弁護士費用と訴訟費用を踏まえて多めに請求する

訴訟費用(裁判費用)を相手に請求することはできるのか

訴訟費用(裁判費用)を相手に請求することはできるのか裁判をするときには、弁護士費用以外にも訴訟費用がかかります。

訴訟費用については、弁護士費用と違い、全ての民事事件において請求することが可能です。

訴訟費用を相手に請求するには、訴え当初の段階で、訴状に「訴訟費用は被告の負担とする」と書いておく必要があります。

「弁護士費用」と混同されやすい「訴訟費用」

訴訟費用については、一般的に弁護士費用であると誤解されていることがあります。

判決では、敗訴者に訴訟費用を負担させることが多いので、負けた側が弁護士費用を負担しなければならないのだと誤解しているケースが多いのです。

たしかに、判決で、

「訴訟費用は被告(原告)の負担とする。」

と言い渡されることがあります。

しかし、訴訟費用は弁護士費用ではありません。

訴訟費用と弁護士費用の違い

訴訟費用に含まれるもの

訴訟費用とは、裁判を起こす場合にかかる印紙代や切手代などで、具体的には以下の通りです。

印紙代

印紙代は、裁判を起こすときに裁判所に支払う手数料です。収入印紙によって支払うので印紙代と言います。訴状に貼り付けて提出します。

印紙代の金額は、訴える内容に応じて異なります。高額な支払いをすればその分印紙代が上がります。

たとえば100万円の請求なら1万円ですが300万円なら2万円、500万円なら3万円、1000万円なら5万円となっています。

不動産の明け渡しを求める場合などにも専門の計算方法があります。

※訴訟の印紙代は相手への請求金額により異なる↓

請求金額印紙代
50万円5千円
100万円1万円
300万円2万円
500万円3万円

予納郵券代

予納郵券とは、裁判中の連絡用の郵便切手です。

500円切手〇枚、200円切手〇枚など、裁判所によって内訳と総額が決まっていますが、だいたい5000~8000円くらいです。

被告(訴える相手)が増えると予納郵券代が上がります。印紙と共に訴訟提起時に購入して裁判所に支払います。

あまりがあれば、裁判終了後に返してもらえます。

証人の旅費・日当

訴訟で「証人」を呼ぶケースがあります。

証人とは、原告や被告などの当事者ではないけれども事件についての知識があり、事実を確認する必要のある人です。

証人を呼んで尋問を行った場合には、証人に「日当」と「旅費」が支払われます。

日当とは出張手当のことで、旅費とは交通費や宿泊費のことです。

日当は8000円くらいが上限で、旅費は実費です。

旅費にも上限があります。

また、実際には証人が旅費や日当を請求するケースは少数です。

鑑定費用

土地建物の事件、医療事件、建築訴訟など特殊な知識を要する訴訟では、専門家を呼んで「鑑定」するケースがあります。

その場合には、鑑定人に対する費用が発生します。

裁判所を通じて鑑定を行うと、裁判所が呼んできた鑑定人に裁判所が決めた鑑定費用で依頼するのでかなり高額になります。

ケースにもよりますが、数十万円単位です。

謄写費用

証人尋問などが終わったら、その結果が「調書」として作成されます。

効果的に反論や主張を行うには、調書を取り寄せて証言内容を確認する必要があります。

そのためには、裁判所で作成された「調書」を謄写(コピー)しなければなりません。

裁判所の謄写費用は1枚20円~40円くらいかかるので、枚数が多いとかなりの出費になります。

だいたい1万円~2万円はみておく必要があります。

訴訟費用

訴訟費用の負担は判決で決まる

裁判をして判決が出ると、訴訟費用についての負担割合が決定されます。

通常は敗訴者の負担割合が多くなります。

敗訴者が全額負担することもありますし、原告と被告が3:7や1:3などの割合で負担することもあります。

たとえば当初に3万円の印紙代や切手代がかかっているケースで、判決で訴訟費用は全額被告(訴えられた人)負担となった場合には、請求者は相手方に対して、裁判後3万円の請求をすることが出来ることになります。

もし訴訟費用の負担割合が原告と被告で1:2であれば、請求者は相手方に対し、3万円×3分の2=2万円の印紙代分の支払い請求をすることが出来ることになります。

ただ、このように印紙代の請求が出来るのも、裁判をして判決がでた場合に限られます。

訴えを起こすときには「印紙代」や「予納郵便切手」を全額原告が立て替えなければなりません。

鑑定などを行う場合には、鑑定を申し立てた当事者が鑑定費用を「予納(裁判所に予め支払うこと)」しなければなりません。

証人尋問調書などの訴訟記録を謄写するときには、謄写する人が裁判所に謄写費用を払わねばなりません。

このように、訴訟の途中で費用が発生すると、その都度原告や被告自身が費用を支払う(立て替え払い)のです。

判決が出たときに、ようやく割合が決まって清算されます。

ただし判決後、具体的な清算方法は、原告と被告とで話し合って決めなければなりません。

そのようなことは大変なので、通常は当初に支払った印紙代の金額だけを判決で決まった割合に応じて負担する(被告負担分をお金で払ってもらう)ケースが多数です。

さらに、裁判をしても和解で解決した場合などには、印紙代などの請求は出来ないので、基本的に請求者である原告が全額負担することになります。

訴訟費用は両者が立て替える

できるだけ弁護士費用をかけずに裁判をする方法

裁判を起こすときには、できるだけ弁護士費用をかけたくないものです。

以下で、可能な限り弁護士費用を抑えるための工夫をご紹介していきます。

訴訟救助制度・民事法律扶助制度を利用する

民事法律扶助制度とは、法テラス(日本司法支援センター)が行っているサービスで、法テラスが弁護士費用を立て替え払いしてくれるものです。

発生する弁護士費用の金額自体も一般の相場より大幅に安くなります。

法テラスの民事法律扶助を利用すると、弁護士費用は法テラスが弁護士に直接払いするので、依頼者は着手金や実費を支払う必要がありません。

その後、法テラスに対して毎月1万円ずつ返していけば足ります。手数料や利息はかかりません。

訴訟救助制度とは、印紙代の支払いを猶予してもらえる制度です。

訴訟を起こすときには高額な印紙代が発生するケースがありますが、訴訟救助を利用すれば、訴訟が終わるまで支払いを待ってもらえます。

民事法律扶助と訴訟救助を組み合わせると、印紙代以外の部分は民事法律扶助で援助してもらえるので、依頼者はいったんまったく負担なしに訴訟を起こすことができます。

法テラスのメリット

・まったく手持ち資金がなくても弁護士に依頼して訴訟を起こしてもらえる
・一般の相場よりかなり安い金額で弁護士に依頼できる
・月1万円から少額の分割払いができる
・生活保護の方の場合には一切の償還が不要になる

法テラスのデメリット

・少額訴訟の場合には、60万円までの請求でしか利用できない
・民事法律扶助を利用するために法テラスに相談に行ってそのまま担当弁護士に依頼した場合には、依頼する弁護士を選ぶことができない
・自分で探した弁護士に民事法律扶助を使って受けてほしいと言っても、断られる可能性がある
・また民事法律扶助を受けられるのは収入や資産が一定以下の人に限られる
・利用するためには審査を受けなければならず、必ず通るとは限らない
・審査に2週間程度かかる
・法テラスへの償還金を支払えないときには、債権回収業者から取り立てが来るケースもある

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少額訴訟・支払督促を利用する

金銭的な請求をする場合には、少額訴訟や支払督促の利用もお勧めです。

少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求をするときに利用できる簡易な裁判手続きです。

一般の訴訟と比べて主張方法や立証方法、証人尋問などのすべての手続きが簡単になっていて、1日で判決まで出してもらえます。

少額訴訟では、弁護士に依頼せず、本人が行うのがむしろ普通です。

弁護士に依頼せず自分一人で少額訴訟を起こせば、費用は1万円程度で済みます。

支払督促は、相手が異議を出さなかったら即時に強制執行(差押え)をして取り立てができる裁判手続きです。

請求金額に制限がないので、60万円を越える請求の場合でも利用できます。

簡単な申立書さえ出せば良いので、弁護士に依頼せずに素人が1人でも利用可能です。

印紙代と郵便切手がかかりますが、弁護士費用が要らないので大幅に費用を節約できます。

少額訴訟・支払督促のメリット

・少額訴訟も支払督促も「簡単なので自分でできる」
・弁護士に依頼しなければ弁護士費用を0に抑えることが可能
・相手の財産に強制執行できるので、財産さえ特定できればしっかり取り立てもできる

少額訴訟・支払督促のデメリット

・少額訴訟の場合には、60万円までの請求でしか利用できない
・少額訴訟も支払督促も、「金銭請求」でしか利用できない※1
・相手が「異議」を出すと自然に「通常訴訟」移行してしまう

※1たとえば不動産の明け渡しや差し止め請求、離婚請求などを少額訴訟や支払督促で解決することはできません。

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弁護士費用特約を利用する

弁護士費用特約とは、自動車保険や火災保険、医療保険や個人賠償責任保険などについている特約で、弁護士費用を保険会社が負担してくれるものです。

弁護士費用特約がついていると、300万円程度までの弁護士費用を保険会社が負担してくれるので、利用者が費用を払う必要がなくなります。

この300万円には、着手金や報酬金のみならず訴訟にかかる印紙代などの実費も含まれます。

上限を超える金額は、利用者の自己負担となります。

弁護士費用が300万円の事件というと相当大きな事件に限られてくるので、多くのケースでは利用者の自己負担が0円になります。

また保険の上限を超える場合でも、普通に弁護士費用を払うより大きく負担を軽減されます。

弁護士費用特約のメリット

・300万円までの弁護士費用や実費を保険会社が全額負担してくれる

少額訴訟・支払督促のデメリット

・特約に入っている人しか利用できない
・特約に加入することにより、保険料がアップする。だいたい1500円程度上がるケースが多数
・利用できるケースが複雑でわかりにくい※1
・事業用の車には適用されない約定の保険会社もある
・家族が加入しているものも利用できるケースもあるが、そういった場合にも使えることに気づかず、放置される例も多々ある

※1被害者に過失があっても利用できるはずですが、保険会社から「利用できません」と言われることもありますし、天変地異の場合や被害者が危険行為をしていた場合などには適用されません。

集団訴訟を利用する

他にも同じような被害を受けた方がいらっしゃるのであれば「集団訴訟」という制度を利用できます。

集団訴訟とは、同じ被害を受けた方が集団で弁護士に依頼して、巨大な相手に訴訟を起こすことです。

各自が少しずつ弁護士費用を負担することによって1人1人の弁護士費用の負担を小さくできます。

また被害者が集団になることで、合計の請求額が大きくなるので弁護士に入ってくるお金も多額になり、弁護士も動きやすくなります。

たとえば大規模な消費者被害や消費者詐欺などが発生すると、その後全国各地で被害者による集団訴訟が起こるケースなどがあります。

集団訴訟のメリット

・多くの被害者が集まることにより、弁護士費用の負担を小さくして弁護士に依頼できる。
・他の被害者と交流することにより、安心感がありますし気持ちを強く保ち続けることができる

集団訴訟のデメリット

・自分の抱える問題において、必ずしも集団訴訟が起こるとは限らない
・誰も集団訴訟を起こしていない場合には、自分が先頭に立って集団訴訟の段取りをしなければならない

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弁護士なしで「本人訴訟」をする

弁護士費用をかけたくないのであれば、いっそのこと弁護士を立てずに1人で通常訴訟を起こすのも1つです。

弁護士なしで裁判を起こすことを「本人訴訟」と言います。

これなら弁護士費用は当然0円です。ただし印紙代や郵便切手代を始めとする訴訟費用(実費)は全額かかります。

本人訴訟のメリット

・一切弁護士費用がかからない

本人訴訟のデメリット

・訴訟の手続きが専門的なため、適切に対応できない可能性が高くなる
・相手も本人であればまだしも、相手が弁護士をつけてくるとこちらが一気に不利になる
・相手が弁護士、こちらが本人で訴訟を進めると、勝ち筋の事件であっても負ける例が多数ある
・本人訴訟であっても実費は必要。高額な請求をすれば印紙代はかかるし、郵便切手も必要。訴訟の途中で鑑定を行ったら数十万円の追加払いを要求される。
・裁判に慣れている弁護士以外にとってはかなり手間と労力がかかる
労力とそれにかける時間を思えば、弁護士に依頼した方が相当安くつくと考えられます。

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弁護士保険に加入する

弁護士費用を節約する方法として、弁護士保険を利用する方法があります。

弁護士保険とは、弁護士が必要になったときに保険会社が弁護士費用を払ってくれる専門の保険です。

適用される事件の種類は幅広く、貸金請求や不法行為、労働トラブル、賃貸借トラブル、離婚、男女問題や相続など多くのケースで利用可能です。

示談交渉や訴訟などにかかる着手金、報酬金、実費を保険の上限まで負担してもらえます。

弁護士保険のメリット

・一般的な弁護士費用特約は「自動車が関与する交通事故のみ」だが、賃金トラブル、離婚トラブル、労働トラブル、相続トラブル、賃貸トラブルなど補償範囲が広い
・弁護士保険証や、ステッカーによるトラブルの抑止効果が期待できる

弁護士保険のデメリット

・保険料がかかる
・トラブルによって不担保期間がある
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弁護士費用を安くする方法

まとめ

今回は、裁判にかかる弁護士費用や裁判費用(訴訟費用)を相手方に請求出来るのかについて解説しました。

弁護士費用には着手金と報酬金があり、高額になることがあります。

裁判をしても、相手方に弁護士費用を請求することは基本的には出来ません。

ただ、交通事故や不貞の慰謝料請求などの不法行為にもとづく損害賠償請求の場合には、認容された賠償金額の10%程度が弁護士費用として損害に含められます。

そして、この金額は、実際にかかった弁護士費用の金額と同じとは限りません。

示談や調停、和解での解決の場合には弁護士費用の請求は出来ません。

示談交渉の際に、弁護士費用を請求したい場合には、弁護士費用の金額も折り込んで多めに賠償請求をする方法を執ることが出来ます。

また、裁判費用としては訴訟費用もあります。訴訟費用は主に印紙代で、判決が出た場合には敗訴者が負担することとされることが多いです。

判決で訴訟費用の負担割合についての決定があった場合には、相手方に対してその負担割合に応じた金額の支払請求をすることが出来ますが、実務上は原告が負担することがほとんどです。

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福谷 陽子(元弁護士)

福谷 陽子(元弁護士)

京都大学法学部卒。在学中に司法試験に合格し、2004年に弁護士登録。その後、弁護士として勤務し、2007年、陽花法律事務所を設立。女性の視点から丁寧で柔軟なきめ細かい対応を得意とし、離婚トラブル・交通事故・遺産相続・借金問題など様々な案件を経験。2013年、体調の関係で事務所を一旦閉鎖。現在は10年間の弁護士の経験を活かしライターとして活動。猫が大好きで、猫に関する記事の執筆も行っている。
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