「パワハラ被害を訴えたいけれど、決定的な証拠を持っていない」
「そもそも証拠がないとパワハラの解決は不可能なの?」
「パワハラの証拠を残すために無断で録音すると違法にならないか心配」
職場でパワハラ被害に苦しんでいる方の中には、このような不安を持っている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、パワハラの証拠がなくても訴えられるかどうかを解説し、パワハラの証拠がない場合のリスクや対処法、証拠の集め方と注意点をまとめて紹介します。
パワハラで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
こんな疑問にお答えします
Q.パワハラを訴えるには証拠が必ず必要ですか?
A.第三者にパワハラの事実を認めてもらうには、証拠があることに越したことはありません。現時点で決定的な証拠を持っていなくても、今からでも証拠を集めて早期解決を目指すことをおすすめします。証拠を集める際は、いくつか注意する点があります。早期解決のために、慎重に進めていきましょう。
パワハラを訴えるには証拠が必要?
まず「パワハラを訴えるには証拠が必ず必要か?」という疑問から解決していきましょう。
結論から申し上げると、パワハラの事実を客観的に提示するには証拠がある方が有利といえます。
具体的に、パワハラの証拠が重要となる理由を解説していきます。
法的に訴えるのであれば証拠があるに越したことはない
パワハラを第三者に相談して事実を認めてもらうには、証拠があるに越したことはありません。
パワハラを行った相手を訴えて慰謝料請求をしようとする場合においては、被害者側がパワハラの事実があったことを立証する必要があります。これを「立証責任」といいます。
「立証責任」は被害を受けた労働者側が負い、パワハラだけでなくハラスメント行為全般に適用されます。
ここで、パワハラの事実を立証する際に有効となってくるのが、客観的証拠です。
有効となる証拠の種類は後の章で詳しく紹介しますが、立証できないと相手方に責任を負わせることが難しくなることがあるでしょう。
こうした理由から、法的措置を考えるうえで証拠は重要な存在といえます。
パワハラを訴える前に留意すべきこともある
パワハラの存在を立証するには、証拠が重要な存在であることに変わりはありません。
ただ、パワハラは業務上で必要な指導や叱責と混同されやすく、判断が難しい点を留意しておきましょう。
厚生労働省では「パワハラに該当しない」とされる基準を次のようにまとめています。
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。”
会社に在籍している以上、部下への注意や叱責があってもおかしくありません。
「注意されて悔しかった」「度重なる指導がつらい」という理由では、パワハラとして訴えることは難しくなってしまいます。
ただ、パワハラの実態として指導や叱責に絡めて行ってくるケースも多いものです。
指導のレベルをはるかに超えて被害者の心身の健康を害する行為に発展すると、パワハラが成立する可能性が高くなります。
「業務上の指導なのか?それともパワハラなのか?」
その判断に迷った場合は、一度専門家に相談してみてもいいでしょう。もちろん、少しでも悩んだ時点で会社の窓口や信頼できる場所に相談することが重要です。
パワハラが成立しやすい典型的なケースや特徴については、以下の記事でまとめています。相談する際の参考にしてみてください。
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パワハラを訴える際に証拠がない場合のリスク
この記事を読み進めている方の中には「証拠がなくても早く解決したいからとりあえず訴えてみよう」と考えている方もいるでしょう。
しかし、証拠がない状態でパワハラを訴えるとなった場合は、次のようなリスクが伴うことがあります。
加害者が事実を認めない可能性がある
まず、加害者が事実を認めない可能性があることです。
パワハラ行為を会社の人事部や専用窓口に相談した際、会社はまず加害者に対して事実確認を行います。
ここで、加害者自らがパワハラ行為を認めれば解決の余地があるかもしれません。
しかし残念なことに多くの加害者は「〇〇について指導しただけです」「そんな発言をした覚えはありません」と、非を認めないケースが多いものです。
客観的な証拠があれば加害者の言い逃れを防げますが、証拠がないと会社はどちらの言い分が正しいのか判断が難しくなるでしょう。
最悪の場合、パワハラ行為はなかったものと話が流れてしまうこともあり得ます。
セカンドハラスメントの被害に遭う恐れがある
もう一つ考えられるのは、セカンドハラスメント(通称:セカハラ)の被害です。
セカンドハラスメントとは、ハラスメントを受けた被害者が第三者に相談したことで発生する二次被害を指します。
パワハラを相談した際に起こり得るセカハラには、以下のようなケースがあります。
- 「〇〇さんの思い過ごしなのではないか?」と悩みを軽視される
- 「あなたがミスばかりするから悪いのでは?」と反対に責められる
パワハラの被害を相談すること自体、とても勇気がいるものです。
それにも関わらず、事実を否定されたり反対に責められたりと被害者に矛先が向いてしまうケースもあります。
ほかにも、被害者が相談したことで逆上し、パワハラ行為がさらにエスカレートする危険性もあるでしょう。
パワハラの証拠を持っていれば反論ができますが、証拠がないまま相談してしまうことで却って被害者の心に深い傷が残る可能性があります。
パワハラを訴える際に証拠がない場合の対処法
パワハラを訴えるには、証拠を持っている方が有利といえます。
ここからは、パワハラを訴える際に証拠がない場合の対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
会社に被害を通達することでパワハラの再発防止措置を行ってもらえる
現段階で証拠を持っていなかったとしても、被害内容を明確にした文書を会社に通達することで、パワハラの再発防止措置を行ってもらえる可能性があります。
民法97条では、意思表示を明確にすること自体に効力が発生すると定められています。
“民法97条(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
つまり、被害者が会社に対して「私はパワハラを受けています!なんとかしてください!」と伝えることで、会社は適切な措置を取る義務が発生するということです。
仮に、先ほど申し上げたリスクのようなハラスメントの事実確認ができなかったとしても、ハラスメントの相談があったことは事実となります。
具体的な通知書を作って、再発防止措置をしてもらうよう訴えかけましょう。
ただ、職場の立場上、社内で相談しづらいという方もいると思います。そうした場合は、社外で相談できる機関の利用もおすすめです。
パワハラに関する主な相談窓口は、こちらの記事で解説しています。参考にしてみてください。
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相手に直接やめてほしいと伝える
相手に直接やめてほしいと伝えることも、対策のひとつです。
パワハラを行っている加害者の中には、自身の行為がハラスメントであると自覚していないパターンもあります。
自覚を促すには、相手のどのような行為がハラスメントに当たるのかを伝えてみるといいでしょう。
最初は、自分の行為を指摘されたことで反発してくるかもしれません。そのため、伝える際の注意点として「相手の人格を否定するのではなく、行為そのものを指摘する」ことを意識してみてください。
パワハラを訴える際に有効な証拠集めの方法と注意点
パワハラを訴える際に証拠がない場合は、今からでも証拠を集めて解決を進める必要があります。
ここからは、パワハラを解決するために有効な証拠集めの方法と、それぞれの注意点を解説していきます。
パワハラ内容を直接記録する
まず、パワハラの被害内容を直接記録しましょう。
「被害者の作った文書なんて効果があるものなの?」「信じてもらえないかもしれないのでは?」そう感じる方もいるかもしれません。
しかし、ハラスメント行為の内容を細かく記録したメモは証拠として認められる可能性があります。
証拠をメモするには、以下の点に気を配って記録するようにしましょう。
- いつ、どこで、誰に何をされたのかを具体的な情報を記録する
- 上記の内容を時系列で整理しておく
- 手書きメモに合わせてパソコンにファイルとして保管しておく
パワハラを受けた直後にすぐに記録を残せるよう、常にメモ帳とペンを持っておくようにしましょう。
現在休職中の方は、思い出せる範囲でかまいません。より具体的に書き出すことで、有効な証拠となるはずです。
パワハラ現場の目撃者を探し証言してもらう
パワハラ現場の目撃者を探し、証言してもらうことも有効です。
目撃者の証言を得ることで、客観的な証拠として提示することが可能です。
パワハラ現場を目撃した方がいれば、証言を録音してもらえるか協力を仰いでみてください。
ここで「証言をお願いすることで相手に迷惑がかかるのではないか?」と迷いが生じてしまう方もいるでしょう。
しかし、目撃者もパワハラをやめさせたいと思っているかもしれません。
他者に協力を仰ぐことは勇気がいるかもしれませんが、パワハラを解決するために諦めずにお願いしてみましょう。
心療内科や精神科を受診し診断書を書いてもらう
心療内科や精神科を受診し、診断書を書いてもらうことも有益な証拠になる可能性があります。
医療機関の診断書は、法的措置を取る場合の客観的な証拠として重要となります。
心療内科や精神科と聞くと、行くこと自体に抵抗を感じる方もいるかもしれません。
しかし、パワハラによる精神的なダメージを受けたまま放置してしまうと、休職や退職に追い込まれるだけでなく命の危険に及ぶ可能性も十分に考えられます。
メンタルの不調を少しでも感じたら、医療機関への受診も解決へのひとつの手段です。
パワハラ被害時の音声を録音する
パワハラ被害時の音声を録音しておくことも、客観的な証拠を提示する際に有効です。
ただ、この記事を読み進めている方の多くは音声や動画といった現場の証拠を持っていない方が大半だと思います。今後の参考としてご覧ください。
録音する手段として最適なアイテムは、スマホやICレコーダーを使うと便利でしょう。現在はペン型のボイスレコーダーも販売されています。
ただ、使い慣れていないと録音のタイミングを逃してしまったり、録音していることに気づかれてしまったりとリスクにつながりかねません。
録音を成功させるためには、事前に練習しておくことをおすすめします。
また「相手との会話を録音することは違法ではないのか?」という不安を持つ方もいるでしょう。当事者間における音声の録音は、違法ではありません。
ただ、録音の方法が反社会的な手段によって収集した場合においては、証拠として認められないケースもあるので注意が必要です。
もう一点、録音データをインターネット上で公開することもNG行為です。
一般公開をしてしまうと、プライバシー権の侵害や名誉棄損罪として反対に訴えられる可能性が高まります。
こうした注意点を踏まえたうえで録音を保管しておけば、証拠として強い武器になるでしょう。
終わりに:証拠がないパワハラを訴えるには弁護士によるサポートを視野に
パワハラは、被害者の働く意欲や機会を奪う悪質な行為です。決して許されるものではありません。
ただ、パワハラを訴えるとなった場合にどうしても証拠があった方が有利といえます。
本記事では、証拠を持っていない場合の対策や証拠の集め方を紹介してきました。
もしあなたが、パワハラ加害者を訴え慰謝料を請求したいと考えているのであれば、弁護士への相談も視野に入れてみてください。
パワハラを弁護士へ相談するメリット
パワハラを弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 受けた行為がパワハラかどうかの判断をしてくれる
- 代理となって会社と交渉してもらえる
- 証拠集めの方法をアドバイスしてくれる
- パワハラを理由とする損害賠償を請求できる
- パワハラ行為がエスカレートしている場合は刑事告訴も検討できる(侮辱罪・暴行罪など)
労働問題に詳しい弁護士であれば、被害者にとって有利な結果になるよう進められます。
弁護士費用に不安があるなら弁護士保険の利用も視野に
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弁護士保険に加入しておくことで、法的トラブルが発生した場合に弁護士に支払う費用を抑えられます。
パワハラを早期解決するためには、弁護士保険を視野に入れましょう。
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弁護士保険の特徴について詳しくは、こちらの記事で解説しています。
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記事を振り返ってのQ&A
Q.パワハラを訴えるには証拠が必要ですか?
A.パワハラを法的に訴えるのであれば、証拠はあった方がいいといえます。
パワハラを行った相手を訴えて慰謝料請求をしようとする場合、被害者側がパワハラの事実があったことを立証する必要があります。
Q.証拠がない状態でパワハラを訴えるとどのようなリスクがありますか?
A.加害者が事実を認めない可能性があることと、セカンドハラスメントの被害に遭う恐れがあります。
Q.パワハラを訴える際に証拠がない場合はどう対処すればいいですか?
A.大前提の考えとして、現時点で証拠がないと解決できないと思い込まないようにしましょう。たとえ現場を押さえた証拠がなかったとしても、証拠となる資料を作成して会社に「意思表示の通達」を提示すれば解決へ一歩前進することができます。
このほか、相手に直接やめてほしいと伝えることも対策方法です。
Q.パワハラを訴える際に有効な証拠集めの方法はありますか?
A.「パワハラ内容を直接記録する」「パワハラ現場の目撃者を探し証言してもらう」「心療内科や精神科を受診し診断書を書いてもらう、」「パワハラ被害時の音声を録音する」といった方法があります。