安全配慮義務への対策は万全ですか?
企業活動における事故や損害に対しては、安全配慮義務の遵守が求められます。それらを怠った場合、企業は重大な法的責任を負うことになるかもしれません。
では、安全配慮義務違反とは具体的にどのような状況を指し、この義務を怠った場合法的にどのような事態になるのでしょうか。
本記事では、安全配慮義務違反の判断基準と、訴えられた際に企業が取るべき対応策について詳しく解説します。
こんな疑問にお答えします
Q.安全配慮義務違反になるか否かの基準はありますか?
A.安全配慮義務違反の判断においては、事故や損害が発生した際に、その予見可能性、回避策の有無、発生した損害との因果関係、さらに事業者が安全配慮義務をどれだけ果たしていたかが評価されます。事案によっては法的トラブルに発展することがあるので、安易な判断は避け、専門家に相談して対処することをおすすめします。
安全配慮義務とは
安全配慮義務とは企業や事業者が、労働者及び第三者の安全を確保するために適切な注意と予防策を講じる義務です。
業務内容や範囲に応じた適切な安全対策を推進し、労働者の事故や怪我を防止する目的があります。
この義務を怠っている場合、安全配慮義務違反とされ、労働者や関係者に怪我などがあった場合には損害賠償請求が発生する場合もあります。
安全配慮義務を規定する法律
民法(債務不履行及び不法行為)
民法 第一条 二項
「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」
引用:法令検索e-Gov
民法では安全配慮義務に関して明文化されてはいませんが、労働契約における信義則に基づき、判例により認められてきました。しかし、後述する昭和50年の陸上自衛隊事件での判決を皮切りに、労働契約法で安全配慮義務を規定するようになりました。
労働契約法
2007年に制定された労働契約法により、以下のように安全配慮義務が明文化されました。
労働契約法 第五条
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
引用:法令検索e-Gov
労働安全衛生法
労働安全衛生法においても、安全配慮義務は事業者の責務として規定されています。
労働安全衛生法 第三条
「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」
引用:法令検索e-Gov
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000057
これらの法律により、安全配慮義務が規定されています。
企業がこの義務を怠ったことで労働者が事故や健康被害を受けた場合、法的な責任を問われる可能性があります。
安全配慮義務の対象者
労働契約が成立していれば、効力は労働者、取引先、顧客にまで及びます。
企業の場合においては、正社員だけでなく契約社員やパートタイマー、アルバイト、下請け業者、派遣社員も対象です。
安全配慮義務の対象者は、正社員だけに留まりません。
- 直接労働契約を結んだ従業員
- 自社で働く下請けの従業員
- 海外赴任の社員
- 自社で運営している施設等の利用者
上記も安全配慮義務の対象となります。
安全配慮義務の範囲
企業や事業者は、安全配慮義務についてどういったことを配慮すべきなのでしょうか。
大きく「健康配慮」と「職場環境配慮」の二つに分かれます。
健康配慮
健康配慮義務は、事業主や企業が労働者の健康を守るために講じるべき措置です。この義務は、労働者が身体的、精神的に健康であることを保証し、職場における健康リスクを最小限に抑えることを目的としています。
具体的な措置として、以下のようなものが含まれます。
職場の安全設備の提供と維持
職場における安全な作業条件を保持し、適切な安全装置や個人保護具を導入する。
定期的な健康診断
定期的な健康診断を提供し、職業病の早期発見と予防を図る。
作業環境の衛生管理
清潔で衛生的な職場環境を維持し、有害物質の適切な管理や廃棄を実施する。
ストレス管理プログラムの実施
ストレスになり得る要因を特定し、ストレス管理セミナーやカウンセリングサービスを提供することで、労働者の精神的健康を支援する。
ワークライフバランスの推進
柔軟な勤務時間、テレワークの導入、休暇の取得促進など、労働者が仕事と私生活のバランスを取りやすい環境を作る。
職場環境配慮
職場環境配慮義務は、労働者が安全で健康的な環境で働けるようにするための講じるべき措置です。
具体的には、以下のようなものがあります。
職場のハラスメント防止策
いじめやハラスメントがない職場環境を保証し、関連する苦情を扱う明確な方針と手続きを設ける。
施設の管理
換気システムの提供や有害物質の管理、騒音レベルの管理を適切に行う。
安全な職場環境の整備
適切な業務設計や作業時のレイアウト設計、機器の安全な操作方法の指導、機材のメンテナンス
安全配慮義務違反の判断基準とは
従業員が業務によって事故や病気になってしまった場合、どのような基準によって安全配慮義務違反となってしまうのでしょうか。
安全配慮義務違反の判断においては、事故や損害が発生した際の
- 予見可能性、回避策の有無
- 発生した損害との因果関係
- 事業者が安全配慮義務をどれだけ果たしていたか
が評価されます。
具体的にみていきましょう。
事故や損害に予見可能性と回避策があったかどうか
企業や事業者がその業務や活動から生じるリスクを適切に予見し、それに対して合理的な予防措置や安全対策を講じていたかが問われます。
予見可能性があるにもかかわらず適切な対策が取られていない場合、安全配慮義務違反とみなされる可能性が高まります。
怪我や損害との因果関係があるか
従業員に怪我や損害が発生した場合、安全配慮義務違反行為との間に直接的な因果関係が存在するかを検証する必要があります。
例として、工場で機械事故が発生したケースを挙げます。
工場で使用される重機械の安全ガードが不十分であったため、労働者が手を機械に挟まれて重傷を負ったとします。
安全ガードの不備が直接的に労働者の怪我を引き起こしたと判断された場合、事業者は安全配慮義務を適切に果たしていなかったとみなされる可能性があります。
事業者には、機械の安全性を確保する義務があり、適切な安全措置を講じることで事故を防ぐことが可能だったと判断されます。
このように、事故や怪我との因果関係が証明されれば、事業者は法的な責任を負う可能性が高くなります。
安全配慮に対する義務を果たしていたか
業界標準や法令に基づく安全措置の実施、定期的な安全教育の提供、リスク管理プロセスの適切な運用がなされているかなど、企業や事業者が安全に対する配慮を適切に行なっていたかどうかも評価の対象となります。
企業や事業者がこれらの義務を適切に履行していれば、安全配慮義務違反の責任を問われる可能性は低くなります。
安全配慮義務違反の具体例
安全配慮義務違反の判断基準について述べましたが、具体的にはどのようなケースがあるのでしょうか。
いくつかご紹介します。
職場の安全対策が怠慢だった場合
一つ目は、企業や事業者が、職場の安全対策を怠った場合です。
企業や事業主が工場や作業場における安全対策を十分に施さず、必要な安全装置の設置、警告標識の不足、安全教育の未実施などがあった場合、これらの怠慢が原因で労働者が怪我や事故に遭う可能性があります。
企業や事業者は、職場の安全対策を徹底する義務があります。これを怠った場合、法的責任を問われることがあります。
衛生面へ配慮されていなかった場合
衛生面への配慮不足も、安全配慮義務違反になる可能性があります。
食品工場や病院など、特に衛生管理が求められる職場では、適切な衛生措置が欠かせません。
衛星管理が行き届いていない場合、労働者や顧客に感染症が広がるリスクが高まります。たとえば「手洗いの設備が不十分である」「消毒が定期的に行われていない」などが該当します。
こうした衛生面への配慮不足は、企業や事業者が責任を問われる可能性があります。
過度な長時間労働を強要していた場合
過度な長時間労働を強いた結果、労働者が心身の健康を害した場合、安全配慮義務の違反と見なされる可能性があります。
疲労の蓄積は事故のリスクを増大させるだけでなく、重度の健康障害を引き起こす可能性があります。長時間労働が強制的に行われている場合、メンタルリスクは避けられません。
企業や事業者は、損害賠償請求される可能性が高まります。
賃金・給与の一方的な減額をした場合
続いて、賃金・給与の一方的な減額をした場合です。
賃金や給与の一方的な減額は、直接的な安全配慮義務違反ではないかもしれません。しかし、賃金減額が労働者の生活困難を引き起こし、過度の心理的ストレスや健康問題につながる場合、労働者の福祉を脅かすことになります。
これにより、企業の義務違反が問われる可能性があるでしょう。
賃金減額を行う際は、労働契約法や労働基準法などの法律に基づいた適切な手続きを踏まなくてはなりません。一方的な減額は労働法違反となることが多く、法的な責任を負う可能性が高くなるでしょう。
健康診断(年1回)未実施による健康被害
健康診断の未実施は、企業や事業主は労働者の安全と健康を確保する基本的な責任を果たしていないと見なされるでしょう。
労働安全衛生法では、事業主は労働者に対して年1回の定期健康診断を行うことが義務付けられています。この健康診断の主な目的は、職場環境が労働者の健康に与える影響を早期に発見し、職業病の予防及び健康障害の早期治療を促すことです。
労働者が健康被害を訴え、その原因が職場環境や条件に関連している場合、事業主は法的な責任を問われる可能性があるでしょう。
パワハラやセクハラへの対応を怠った結果のメンタル不調
パワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)への対応を怠り、その結果労働者がメンタル不調を起こした場合、これは安全配慮義務違反に該当する可能性があります。
安全配慮義務は、労働者の身体的な安全だけでなく精神的な安全も含みます。職場でのハラスメントが精神健康を脅かす要因となる場合、事業主は適切な措置を講じなければなりません。
パワハラの判断基準については、以下の記事で解説しています。労働者を適切に保護するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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安全配慮義務違反で会社側に科せられる罰則と責任
安全配慮義務違反に関する直接的な罰則はありません。
しかし、労働者に何らかの被害が及んだ際は、以下のような責任に問われることがあります。
債務不履行
企業や事業主が安全配慮義務を含む労働契約上の義務を履行しなかった結果、労働者が被害を受けた場合「債務不履行」として責任が問われることがあります。
この場合、事業主は労働契約に基づく義務に違反したとみなされ、労働者に生じた損害について賠償する必要が生じます。
この場合の賠償責任は、労働者が受けた身体的な傷害、精神的な苦痛、およびその他の経済的損失になどに対して発生する可能性があります。
不法行為責任
労働者に対する安全配慮義務違反が、労働者の身体的・精神的健康損害に直接つながった場合、事業主は不法行為責任に問われる可能性があります。
この責任は、企業や事業主の故意または過失によるものとして、民法に基づいて損害賠償責任が発生します。被害を受けた方からは、医療費や精神的苦痛に対する慰謝料などを請求される可能性があります。
使用者責任
安全配慮義務違反は、使用者責任に問われる可能性があります。
使用者責任とは、労働者(使用人)がその職務遂行中に第三者に損害を与えた場合、事業主(使用者)がその損害を賠償する責任を負うこと。
労働者が職務中に安全配慮の不足から事故を起こし、それによって第三者が被害を受けた場合、事業主はこの原則に基づいて責任を問われることがあります。
被害を受けた第三者は、労働者(使用人)に対してだけでなく、使用者である事業主に対しても損害賠償請求ができるのです。
安全配慮義務違反の判例
安全配慮義務違反に関しては、これまでいくつかの裁判が行われてきました。裁判例を3つ紹介します。
陸上自衛隊八戸車両整備工場による事故
陸上自衛隊基地内にて、車両整備中に後退してきたトラックと接触し、隊員が死亡しました。死亡した隊員の遺族が国に対して損害賠償を請求し、最高裁判所は「安全配慮義務」という概念を初めて認めました。
陸上自衛隊八戸駐屯地車両整備工場で発生した事故に関する裁判は、日本の労働安全法制において重要な判例とされています。
三菱重工神戸造船所の事件
この事件では、三菱重工の神戸造船所において、下請け事業者の労働者が造船作業中の騒音に晒され続けた結果、騒音性難聴となりました。
問題となったのは、元請けである三菱重工に対して下請け労働者の安全を確保するための配慮が足りていたかどうかです。
最高裁判所は、特定の事情下で元請け事業者が下請け事業者の労働者に対しても安全配慮義務を負うとの立場を明確にしました。
川崎市水道局の事件
川崎市水道局に勤める局員が職場内のいじめや嫌がらせを苦に自殺した事件で、遺族は川崎市に対して安全配慮義務違反に基づく慰謝料等の賠償を請求しました。
この訴訟において、東京高等裁判所は川崎市の責任を問い、職場の責任者がいじめを認識した際に適切な対応を取る必要があると判決しました。
安全配慮義務違反で会社が訴えられた場合の対応方法
会社が安全配慮義務違反で訴えられた場合、迅速かつ適切な対応が重要です。
必要な初動対応をご紹介します。
労働者の主張を確認する
安全配慮義務違反を訴えられた際は、まずは相手の主張を確認することが非常に重要です。
労働者の主張から具体的な事例や状況を明確に理解することが、事実関係を把握し、適切な対応策を立てる基盤となります。事実が明確でないと、問題の根本的な解決や適切な対応が困難になりかねません。
主張内容に従って、関連する文書やデータ、証言など、証拠になるものを確保することが重要です。
長時間労働による主張の場合
訴えの内容が、長時間労働の場合は、以下の対応に移ります。
- 労働時間の記録確認:労働時間の記録を確認し、長時間労働があったかどうかを調査する。
- 適用される法律や規則の確認:労働基準法や社内規則を確認し、企業側に違反がないかを検証する。
- 対策と改善:長時間労働の原因を特定し、改善策を講じる。必要に応じて労働時間管理システムの見直しや勤務体制の調整をする。
セクハラ・パワハラによる主張の場合
セクハラ・パワハラによる主張の場合は、以下の対応に移ります。
- ハラスメント防止策の確認と実施:企業がハラスメント防止のために実施している方策とその効果を確認する。
- 内部調査:被害者と加害者双方から事情を聞き、必要に応じて第三者による調査を行う。
- カウンセリングの提供:被害者に対して適切なサポートを実施する。
ハラスメントは、うつ病など精神疾患を引き起こすことがあるため、企業は、労働者の相談に対して適切に対応しなければなりません。
労災による損害を主張された場合
労災による損害を主張された場合は、以下の対応に移ります。
- 事故調査:労災事故の詳細な調査をし、事故原因を特定する。
- 報告義務の履行:労災事故が発生した場合の法的な報告義務を確実に履行する。
- 再発防止策の実施:再発防止策を策定し、実施する。安全教育の強化や安全設備の改善に徹する。
企業は、労働者から安全配慮義務違反で訴えられた際に、法的責任を適切に果たさなくてはなりません。
ただ、安全配慮義務違反に関しては、事故との因果関係や予見可能性とその回避策の有無を評価する必要があります。
法的要素が含まれるため、安易な判断はせず専門家に相談することをおすすめします。
安全配慮義務違反を防ぐために会社がとるべき対策
企業や事業者が安全配慮義務違反を防ぐためには、労働者の安全と健康を確保するための包括的なアプローチが必要です。
労働環境の安全性を向上させ、リスクを最小限に抑えるために推奨される対策を紹介します。
労働環境を定期的に評価する
定期的に職場のリスクアセスメントをし、潜在的な危険や問題点を特定します。具体的には、機械の安全性、作業場の環境、化学物質の取扱いなどが含まれます。
次に、リスクアセスメントの結果に基づき、必要な安全対策を実施します。安全装置の更新、警告標識の設置、緊急避難路の確保がこれに当たります。
労働者に対して安全対策教育を実施する
労働者に対する安全対策教育の実施も必要です。
安全教育を通じて、労働者は正しい操作手順や緊急時の対応方法、発生し得るリスクの認識など、職場での安全に関する基本的な知識を習得できます。
日頃の教育によって、事故の発生を最小限に抑える努力をしておきましょう。
健康診断の実施
定期的な健康診断も実施しましょう。
労働者に対して定期的な健康診断を提供することで、職業病の早期発見と予防につながります。
労働安全衛生法により必須項目が定められています。
ストレスチェックの実施、分析
労働者の定期的なストレスチェックも重要です。
労働者のストレスチェックを定期的に実施することで、労働環境や業務が労働者にどのように影響しているかを評価できます。
厚生労働省の第13次労働災害防止計画において、ストレスチェックの実施と、その結果を集団分析して職場環境の改善策に活用する事業場の割合を60%以上に引き上げることが目標とされています。
ストレスチェックの結果を分析し、高ストレスレベルを示す労働者に対しては、カウンセリングや職場環境の改善など、具体的な支援を提供するといいでしょう。
ハラスメント対策の実施
ハラスメント対策の実施もまた、安全配慮義務違反を防止するために非常に重要です。
ハラスメントは、労働者の精神健康に深刻な影響を与えかねません。職場での心理的安全が確保されていないと、ストレスや不安、抑うつなどの心理的トラブルが生じ、これが職場全体の士気と生産性に悪影響を及ぼすことがあります。
企業は、明確なハラスメント防止ポリシーを策定し、全労働者に対して徹底して周知するようにしましょう。ハラスメントの定義、具体的な例、報告手順、処罰の内容などを明記してください。
また、ハラスメントの相談をしやすい雰囲気作りも重要です。匿名での報告が可能なシステムを整備し、報告された件について迅速かつ公正に対応する体制を確立してください。
相談窓口の設置
相談窓口は、労働者はもちろん、使用者に関しても同様に設けるようにしましょう。
労働者向けの相談窓口は、ハラスメントやその他の職場問題に直面している労働者が、気軽に利用できる環境でなければなりません。
特に、セクハラのようなデリケートな問題については、内部よりも外部の方が相談しやすいと感じる労働者も多いため、外部の相談窓口を用意しておくといいでしょう。
使用者の相談窓口については法的要素を含むことが考えられるため、法律の専門家である弁護士に相談できるよう準備しておくといいでしょう。
これにより、労働者から違反行為を訴えられた際に法的なトラブルを未然に防げるかもしれません。
長時間労働を含む労働関連の問題については、労働基準監督署に無料で相談できます。労基を利用することで、使用者は労働法規に基づいた判断ができるようになり、問題への対処方法を学べます。
職場での健全な運営を支え、労働者の権利を守り、使用者が法的な責任を適切に管理するためには、これらの窓口を活用することが重要といえるでしょう。
安全配慮義務違反の対応に困ったら弁護士への相談がおすすめ
安全配慮義務違反の対応にお困りの際は、弁護士への相談がおすすめです。
安全配慮義務違反は、労働者が労働契約に基づく安全配慮義務を怠ったことにより問われるものです。万が一従業員が労働災害に遭った場合は、企業は労働者に対して損害賠償責任を負う可能性が高くなるでしょう。
安全配慮義務違反の対応は、労働災害の状況や労働者の被害の程度によって大きく異なります。また、労働災害の原因が使用者の安全配慮義務違反に該当するか否かについても、専門的な判断が欠かせません。
安全配慮義務違反への対応を弁護士に相談するメリット
弁護士は、事故の状況や労働者の被害の程度を的確に把握し、労働災害の原因が使用者の安全配慮義務違反に該当するか否かを判断し、適切な対応をアドバイスしてくれます。
また、弁護士は、労働災害の被害者である労働者の代理人として、使用者との交渉や訴訟を進めてくれます。
安全配慮義務違反の対応は、労働者の権利を守るためにも早期に適切な対応をすることが重要なのです。
弁護士費用の負担軽減には弁護士費用保険の活用がおすすめ
安全管理のリスクに備えるためには、事前対策として弁護士保険を活用することをおすすめします。
弁護士保険は、法的な問題に直面した際に、弁護士費用をカバーする保険です。
保険に加入していることで、法的な問題が発生した際にすぐに質の高い法律サービスを受けられ、問題を早期に解決し企業リスクを最小限に抑えられるでしょう。
安全配慮義務違反を巡るトラブルを弁護士保険で解決した事例
実際に安全配慮義務違反を巡るトラブルを弁護士保険を活用して解決した事例もあります。
詳しくはこちらからご覧ください。
弁護士保険は、リスクマネジメントの強化にも有効です。
弁護士保険には、リスク管理のアドバイスや法的リスクの予防に関するサポートが含まれていることがあります。これにより、企業は安全管理の義務に対する理解を深め、適切な安全対策を講じられます。
事業を営んでいる方は「法人・事業者向けの弁護士保険」がおすすめです。
経営者・個人事業主には『事業者のミカタ』がおすすめ!
『事業者のミカタ』は、ミカタ少額保険株式会社が提供する、事業者の方が法的トラブルに遭遇した際の弁護士費用を補償する保険です。
個人事業主や中小企業は大手企業と違い、顧問弁護士がいないことがほとんど。法的トラブルや理不尽な問題が起きたとしても、弁護士に相談しにくい状況です。いざ相談したいと思っても、その分野に詳しく信頼できる弁護士を探すのにも大きな時間と労力を要します。
そんな時、事業者のミカタなら、1日155円~の保険料で、弁護士を味方にできます!
月々5,000円代からの選べるプランで、法律相談から、事件解決へ向けて弁護士へ事務処理を依頼する際の費用までを補償することが可能です。
記事を振り返ってのQ&A
Q.安全配慮義務の対象はどこまでですか?アルバイトや契約社員も含まれますか?
A.労働契約が成立していれば、労働者、取引先、顧客にまで及びます。企業の場合においては、正社員だけでなく、契約社員やパートタイマー、アルバイト、下請け業者、派遣社員も対象です。
Q.安全配慮義務違反になるか否かの基準はありますか?
A.安全配慮義務違反の判断においては、事故や損害が発生した際に、その予見可能性、回避策の有無、そして発生した損害との因果関係、さらに事業者がその安全配慮義務をどれだけ果たしていたかが評価されます。
Q.安全配慮義務に違反したらどのような法的責任に問われますか?
A.特定の罰則はありませんが、民法における責任に問われると損害賠償請求される可能性があるでしょう。
Q.労働者から安全配慮義務違反で訴えられたらどのような対応が適切ですか?
A.訴えの内容によりますが、まず事実確認します。その上で原因を特定し、事故や事件との因果関係や予見可能性の有無を調査しましょう。安易な判断はせず、専門家に相談することをおすすめします。