【内容証明の書き方】婚姻費用分担請求

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この記事の執筆者

福谷 陽子(元弁護士)

婚姻費用分担請求を内容証明で送る時の書き方離婚前に夫婦が別居すると、相手に「婚姻費用」(生活費)を支払ってもらうことができます。

しかし、別居時に婚姻費用の話合いができないこともありますし、別居後に婚姻費用を請求しても、支払いに応じてもらえないこともあります。

そのようなときは、内容証明郵便で婚姻費用の請求書を送ることで相手が支払いに応じる可能性がありますし、仮に応じなかったとしても、その時点で請求したことを確実に証拠に残せるので、婚姻費用分担調停で有利になる可能性があります。

とはいえ、どのような形で請求書を書けば良いかわからない、という方もおられるでしょう。

今回は、内容証明郵便での婚姻費用分担請求書の書き方をテンプレートと共にご紹介します。

なお、内容証明の細かいルールは内容証明郵便の書き方とルールをご参照ください。

こんな疑問にお答えします

Q.婚姻費用分担請求の手続きは自分でできますか?

A.できます。ただし、内容証明郵便は多くの場合法的な内容を含むため、間違った内容を記載すると、自分の希望する効果が発生しなかったり、思わぬ不利益を受けたりするおそれもあります。

自分一人で適切に内容証明郵便を作成できる自信がない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談をする際には、弁護士の費用がかかるケースに備えて、弁護士保険への加入もおすすめです。

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そもそも婚姻費用とは?

婚姻費用とは、夫婦が収入や財産に応じて通常の生活を維持するために必要な生活費を指します。生活費の中には、居住費や食費、子どもがいる場合は教育費などが含まれます。

夫婦は、お互いに生活を支え合う扶助義務があります。

扶助義務は、法律上の夫婦である以上は適用されるので、仮に夫婦が別居していても背う必要があるのです。

婚姻費用は、基本的に収入の高い方が支払うことになります。

従って、収入の低い方が高い方に婚姻費用を求めることを「婚姻費用分担請求」といいます。

文例・テンプレート

では、内容証明郵便で婚姻費用分担請求の支払いを求める際の、書き方をご紹介します。

婚姻費用請求書前略 私とあなたは婚姻関係にありますが、平成〇年〇月〇日から別居を開始し、私があなたとの間の子〇〇も養育しています。あなたは、私に対して婚姻費用を支払う義務があり、その金額は月額〇〇円が相当です。そこで、私はあなたに対し、本書をもって婚姻費用の支払いをご請求します。
今月から毎月末日限り、下記口座に金〇〇円を振り込み送金する方法にて、お支払い下さい。
○○銀行○○支店
普通 ○○○○○○
口座名義人 ○○○○○○
万一今月末を経過してもご入金を確認できない場合,家庭裁判所において、婚姻費用分担調停を申し立てますので、お含みおき下さい。 草々

婚姻費用を請求する内容証明を作る際のポイント

婚姻費用を請求する内容証明郵便を書くときには、毎月の婚姻費用の金額を書き込むことが重要です。

単に「婚姻費用を支払え」と書いても、相手はいくら支払えば良いかわからないからです。

婚姻費用の算定表などにより、相当額を調べて書き込みましょう。

もし、既に合意ができていて滞納をしているなら、滞納期間と未払の合計額を記載して、全額の一括請求をするとよいでしょう。

養育費の場合と同様、婚姻費用分担請求の内容証明郵便を送ると、その時点で相手に婚姻費用の請求をしたことが明らかになるため、後に婚姻費用分担調停をするときの証拠にすることができます。

婚姻費用に含まれるもの

「婚姻費用には、どのようなものが含まれるのですか?」という質問をする方がいらっしゃいます。

婚姻費用は、「生活費」ですから、たとえば食費や被服費、通信費、家賃など生活に関連する費用が含まれます。

ただし、実際にかかった生活費を請求するものではありません。

相場の金額が決まっているので、ケースに応じて決まる「定額」が支払われます。

支払われたお金を、実際に何に使うかは受け取った人の自由です。

良いか悪いかは置いておいて、たとえ婚姻費用を遊興費に使ってしまったとしても、文句を言われることはありません。

婚姻費用の計算方法と相場は?

婚姻費用は、夫婦それぞれの収入によって決まります。

計算の際には、夫婦の収入から生活費に振り分ける分を算出し、それを夫婦の収入に応じて割り振る専門的な計算方法を使います。

実際には、いちいちその計算式を使って計算することは少なく「婚姻費用の算定表」という表を使って計算します。

婚姻費用の算定表では、夫婦の収入をあてはめると、自動的に相場の婚姻費用が計算されます。

支払う側の収入が高いと婚姻費用は高額になり、受けとる側の収入が低いと婚姻費用が上がります。

また、受けとる方に子どもがいると婚姻費用の金額が上がりますし、子どもの人数が多いとやはり金額が高くなります。

なお、収入の種類は給与収入と自営収入に分類され、支払側の収入が同額の場合は自営業者である方が、婚姻費用が高額になります。

いつからいつまでの婚姻費用を払ってもらえるのか

婚姻費用を請求すると、いつからいつまでの分がもらえるでしょうか?

婚姻費用の支払い始期

まずは、始期を見てみましょう。

当事者同士で話合いをする場合には、合意によって別居直後の分から支払いを受けることができます。

これに対し、家庭裁判所で調停をするときには、基本的に調停申立時の分からしか支払わせることができません。

そこで、婚姻費用を支払ってもらえない場合には、なるべく早めに婚姻費用分担調停を申し立てる方が有利です。

調停申立より先に内容証明郵便で婚姻費用分担請求を行っていた場合には、内容証明郵便の送付時に請求をしたことをはっきりと証明できるので、そのときの分から支払ってもらえる可能性もあります。

つまり、内容証明郵便送付後調停申立時までの分を、余計に多く払ってもらえる可能性があるということです。

婚姻費用分担調整の請求書は、早めに送っておいた方が良いでしょう。

婚姻費用の支払い終期

次に、終期はいつになるのか、見てみましょう。

婚姻費用分担調停は「夫婦の生活費」ですから、支払ってもらえるのは「離婚するまで」です。

離婚後は、婚姻費用は支払ってもらえなくなります。

もし、子どもがいたら養育費を支払ってもらうことができますが、妻の分がなくなるので、養育費の金額は婚姻費用より減ります。

子どもがいない夫婦の場合離婚後は一切の生活費(婚姻費用)をもらうことはできなくなります。

内容証明を送っても払ってもらえない時の手段

婚姻費用分担請求書を送っても相手が支払いに応じない場合には、家庭裁判所で婚姻費用分担調停を起こす必要があります。

婚姻費用分担調停とは、家庭裁判所で行う調停の一種で、裁判所の2名の調停委員を介して相手と話合いをする手続きです。

調停委員から相手に対して、婚姻費用の支払い義務があることや相場の金額などを説明してくれて、説得もしてくれるので、相手も支払いに応じやすいです。

また、相手と直接顔を合わさずに手続きができるため、冷静に話を進めることができ、ストレスも溜まりにくいです。

調停を申し立てるためには、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に「調停申立書」と「戸籍謄本」を提出し、1,200円の収入印紙と必要な郵便切手(1,000円程度)を支払います。

すると、裁判所から調停期日が指定されて、相手との話を進めることができます。

調停により解決ができると、裁判所で調停調書が作成されて、相手からその内容に従った支払いを受けることができます。

調停によっても相手が支払いに応じない場合や相手が調停に来ない場合などには、調停手続は当然に「審判」に移行します。

審判では、裁判官がケースに応じて妥当な婚姻費用の金額を決定してくれて、相手に対して支払い命令を下します。

審判が出ると、数日後に自宅宛に裁判所から「審判書」が送られてきます。

調停調書や審判書には強制執行力があるので、調停後に相手が支払いをしない場合や審判が出ても相手が命令を無視する場合などには、これらの書類を使い相手の給料や預貯金等を差し押さえることができます。

婚姻費用請求が認められないケース

婚姻費用は、別居している夫婦であっても分担すべき義務があると解説しました。

しかし、ここで紹介するいずれかのケースに該当する場合は、婚姻費用請求をしても支払いが認められない可能性があるため注意が必要です。

正当な理由がないのに一方的に別居した

まず、正当な理由がないにも関わらず勝手に家を出て行ったケースです。

夫婦は、同居してお互いに生活を支え合うという「同居義務」が法律で定められています。

 

相手の同意を得ず勝手に別居を決行することは、同居義務に反する行為としてみなされます。

そのため、同居義務を無視して婚姻費用の支払いを求めることは難しいといえるでしょう。

相手が支払いできない状況の場合

扶助義務のある夫婦は、双方が同等の生活を保障する必要があります。

従って、支払う相手が、病気や怪我で働けず安定した収入が得られない事情がある場合は、婚姻費用の請求は認められないでしょう。

このほかにも、相手に借金がある場合は支払いが難しいと判断され、請求が認められない可能性があります。

出ていく相手が住宅ローンを支払う場合

出ていく相手が住宅ローンを支払う場合、相手に請求できる支払額はローンを差し引かれた額となります。

基本的に、婚姻費用請求は収入の低い方が高い方に請求できるものです。

しかし、仮に出ていく側の収入が高かったとしても、同居時の住宅ローンを支払い続けることで既に生活費を負担していると判断されます。

そのため、出ていく相手に請求できる額は、住宅ローンを考慮した分となります。

まとめ

今回は、婚姻費用分担請求の方法や婚姻費用の計算方法、内容証明郵便の書き方をテンプレートと共に紹介しました。

離婚話が起こって夫婦が別居したときに、相手が婚姻費用を支払ってくれない場合、今回ご紹介した書式を参考にして早めに内容証明郵便を使って婚姻費用分担請求を行いましょう。

それでも支払ってもらえない場合には、できるだけ早く家庭裁判所で婚姻費用分担調停を申し立てることをお勧めします。

内容証明や調停に関する手続きは、不安があれば専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士の費用がかかるケースに備えて、弁護士保険に加入しておくのも有効です。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.婚姻費用分担請求の内容証明を作る際のポイントを教えてください。
A.婚姻費用を請求する内容証明郵便を書くときは、毎月の婚姻費用の金額を書き込むことが重要です。婚姻費用の算定表により、相当額を調べて書いてください。もし、既に合意ができていて滞納をしているなら、滞納期間と未払の合計額を記載して、全額の一括請求をするとよいでしょう。

Q.婚姻費用には、どのようなものが含まれるのですか?
A.婚姻費用は「生活費」なので、食費や被服費、通信費、家賃など、生活に関連する費用が含まれます。ただし、実際にかかった生活費を請求するものではありません。

Q.婚姻費用の計算方法と相場を教えてください。
A.婚姻費用は、夫婦それぞれの収入によって決まります。計算の際には、夫婦の収入から生活費に振り分ける分を算出し、それを夫婦の収入に応じて割り振る専門的な計算方法を使います。

Q.婚姻費用を請求すると、いつからいつまでの分がもらえるでしょうか?
A.合意によって別居直後の分から支払いを受けることができます。家庭裁判所で調停をするときには、基本的に調停申立時の分からしか支払わせることができません。また、終期は「離婚するまで」です。

Q.内容証明を送っても払ってもらえない時はどうすればいいでしょう?
A.家庭裁判所で婚姻費用分担調停を起こす必要があります。調停委員から相手に婚姻費用の支払い義務があることや、相場の金額などを説明してもらえます。相手が支払いに応じくなるでしょう。

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