豪雨の被害で裁判は起こせる?裁判事例と保険について

 

日本では、特に夏から秋にかけて台風の上陸が増えます。

また近年は、ゲリラ豪雨と呼ばれる突発的かつ局地的な大雨やそれに伴う雷も増えてきています。

台風やゲリラ豪雨などにより雨量が突然増加すると、土砂災害や河川の氾濫、道路の冠水などが起こり、家屋などにも大きな被害をもたらします。

自然災害である台風やゲリラ豪雨で損害を受けた場合、裁判を起こして誰かの責任を追及することはできるのでしょうか? 

今回は、豪雨被害での裁判事例を御紹介します。

東海豪雨における事例

豪雨被害をめぐって起こされた裁判としては、2000年9月の東海豪雨における裁判があります。

ここでは、浸水被害を受けたのは河川の管理に問題があったためだとして、愛知県の住民らが国と愛知県に対して計8400万円の損害賠償を求めました。

この裁判では、名古屋市西部に流れる庄内川の堤防の一部を低くした「洗堰(あらいぜき)」に関する国や自治体の管理責任が争点となりました。

東海豪雨では、豪雨により庄内川が増水し、洗堰を通じて大量の水が新川に流れ込んだことで、新川の堤防が決壊し、深刻な浸水被害が生じたためです。

http://www.wftokai.com/activity/tl-nishiajima1/

被害当時の様子
画像引用元:http://www.wftokai.com/activity/tl-nishiajima1/

国が策定した庄内川の改修計画では、洗堰は閉鎖されることになっていましたが、災害当時は洗堰の閉鎖工事がされていなかったことから、住民は行政側の管理責任を追及したのです。

しかし、裁判所は、「新川には治水上の脆弱性があり、新川洗堰からの越流により新川が破堤する危険性は相当程度あった」としながらも、洗堰を閉鎖しなかった行政の管理責任について、「河川管理における財政的、技術的及び社会的制約の下で同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しえないものとはいえない」として、住民らの請求を認めませんでした。

住民側は控訴・上告しましたが、最高裁判所は住民側敗訴の一審・二審を支持し、住民側の敗訴が確定しています。

多摩川水害訴訟

河川に関する国の管理責任が認められた裁判例としては、「多摩川水害訴訟」があります。

ここでは、1974年9月の台風に伴う豪雨により多摩川の堤防が決壊し、家を流された住民らが、国の河川管理に欠陥があったとして国家賠償を求めました。

多摩川決壊の碑 画像引用元:http://tamagawa.circlemy.com/history-02.html

多摩川決壊の碑
画像引用元:http://tamagawa.circlemy.com/history-02.html

この裁判では、改修済みの河川が有すべき安全性が争点となりました。第一審では住民側が勝訴したものの、控訴審では「工事実施基本計画による改修の完了した河川の有すべき安全性も…過渡的安全性をもって足りる」とされ、国が勝訴しました。

一方で、上告審では最高裁判所は「工事実施基本計画に準拠して改修、整備がされた河川では、通常予測される災害の発生を防止するに足りる安全性を備えるべき」と言及し、その考え方をもって更に審理を尽くすべきであるとして、高等裁判所の判決を破棄・差し戻しました。

そして、差戻控訴審で住民側勝訴が確定しています。

この裁判では、決壊した堤防が国による改修済み河川のものであったということが重要なポイントとなり、通常よりも高い安全性が求められることとなりました。

しかし、一般的には水害における行政の責任は限定的に解釈されることが多く、豪雨被害をめぐる裁判で住民側の請求が認められた事例はあまり多くはありません。

豪雨により河川が氾濫するなどして損害を受けた場合、行政の責任が認められることは難しいといえるでしょう。

保険に入っておきましょう

台風やゲリラ豪雨は天災なので、残念ながらその発生を防ぐことはできません。

しかし、事前に備えをしたり、適切に対処をしたりすることで、被害を最小限に食い止めることは可能です。

豪雨に遭遇した際は、まずは命を守ることを最優先にして考えましょう。

周囲の状況を確認し、安全な場所へ早め早めに避難することが欠かせません。

また、万が一豪雨により損害を受けてしまった場合に備えて保険に入っておくと、その後の生活再建の糧となってくれるため安心です。

豪雨による被害を補償してくれる保険の一つとして、火災保険があります。

火災保険に水災補償が含まれている場合、豪雨による土砂災害で建物が全損してしまった場合や、河川の氾濫による床上浸水で家財に被害が生じた場合などに補償してくれます。

ただし、プランによっては水災補償が含まれていないこともあるので、補償内容を事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

また、車両保険に加入していれば、豪雨によって道路が冠水して車両が水没してしまった場合や、土砂災害で車両が土砂に埋もれてしまった場合などに、車両の被害を補償してくれます。

このように、豪雨に対応できる保険に加入しておけば、万が一のときも安心です。

まとめ

自然災害である台風やゲリラ豪雨で損害を受けた場合、裁判で国や自治体など行政の責任を追及することは一般的には難しいと考えられます。

万が一被害を受けてしまった場合に備えて、適切な保険に加入しておくようにしましょう。

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弁保社長

弁保社長

慶應義塾大学卒業後、大手エネルギー関連企業、ベンチャー企業の取締役を経て、2014年に弁護士保険募集代理店として㈱マイクコーポレーションを創業。 幼少期をアメリカで過ごし、訴訟リスクについて親友の父(弁護士)より学ぶ。 自身の離婚経験、友人の相続トラブル、後輩の勤務先企業からの不当解雇など身の回りで弁護士に依頼をした事例が多数起こり、日本での訴訟リスクの高まりと弁護士費用保険の必要性を感じたことをきっかけに、「誰もが小さなトラブルでも気軽に弁護士に相談できる社会」を目指し、広く日本初の弁護士費用保険である「Mikata」の普及促進を図っています。(さらに詳しいプロフィールはこちら
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