何か法的なトラブルに巻き込まれたという時のためにも、身近な出来事についての法律知識を学んでおくのは大切なことでしょう。
しかし、いざ法律の勉強をするぞー!と意気込んで、例えば本屋や図書館に行き、本格的な法律の本と六法全書なんかを抱えて帰ってきたところで、多くの人は数行読んだだけで羅列されている専門用語などにギブアップとなり、結果として続かなくなってしまうのではないでしょうか。
もちろん、可能な人はそうした正攻法の勉強の仕方でも良いのですが、本なんて長くて10分も読んでいられたら良いほう!もっと簡単に楽しみながら具体的な例も交えて勉強したい!……という人もきっといるはずですよね。
そんな人に向けて、今回はドラマや映画、漫画といったコンテンツたちから、楽しみながら法律の勉強になる作品をピックアップして、紹介していこうと思います。
法律の勉強になるドラマ
HERO
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まず一つ目は、『HERO』でしょう。
言わずと知れた法律ドラマの大人気作品であり、主演は元SMAPの木村拓哉さん。
いわゆる月9ドラマとして2001年1月8日に放送された第1話「最悪の出会い」は視聴率33.4%であり、30%を超えてその後も大ヒット作となりました。
その人気は冷めることが無く、映画が作られ、2014年には続編として連続ドラマがまた放映されたほどです。
注目すべきは、主演の元SMAPの木村拓哉さんだけでなく、松たか子さん、大塚寧々さん、阿部寛さん、八嶋智人さん、小日向文世さん、勝村政信さん、角野卓造さん、児玉清さんといった、日本屈指の実力派の女優・俳優陣が多数出演しているところでしょう。
木村拓哉さん演じる刑事さながらの行動派の検事として自ら現場の捜査も行う、型破りな正義感の強い検察官と、松たか子さん演じる一見生真面目なのだがどこかとぼけたところのある検察事務官のコンビの捜査活動を、同僚検事たちの巻き起こすコメディを交えて描かれた作品です。
一般的な検事の動きとは全然違うものの、扱う事件のテーマなどは興味深く、文部科学省とのタイアップも実施された作品なのでおすすめです。
弁護士のくず
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二つ目は、『弁護士のくず』。
人気漫画が原作となっているこの作品。
主演は豊川悦司さんで他にも伊藤英明さん、高島礼子さん、星野亜希さん、モト冬樹さん、北村総一朗さん、村崎真彩さんらが出演しています。
珍しいのは、主演の豊川悦司さんは従来繊細で、クールな落ち着いた二枚目の役どころが多いイメージですが、今作では酒好き・女好きで、発言も行動も適当な、まさしく「弁護士のくず」と言われても仕方がない人間を演じているところです。
無茶苦茶をしているようで、でも実は考えている……しかし、弁護士という職業には思えないくらい、結局根っこは適当だというキャラクターのバランス感覚を楽しみながら、事件においては人間の気持ちを深く読み込むという、血の通った法律を学ぶことができる作品です。
ビギナー
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三つ目は、『ビギナー』。
主演はオーディションで選ばれたミムラさんで、他にもオダギリジョーさん、堤真一さん、奥菜恵さん、横山めぐみさん、松雪泰子さん、北村総一朗さん、我修院達也さんらが出演しています。
司法試験に合格した後の「司法修習」が舞台です。
主演のミムラさんはこのドラマで女優デビュー、月9枠のドラマでは前例の無い「ヒロインを演技素人(芸能事務所やプロダクションへ所属していても、演技経験がなければこれに含まれる)を対象にオーディションで選んだ」ということで、世間の注目を浴びた作品でもあります。
年齢も抱えている事情も、まるでバラバラの同級生たちが、弁護士や検察官や裁判官として巣立っていくまでを描いた話のためか、イラストやテロップもよく使われており、あまりまだ法律に詳しくないという人でもわかりやすく楽しめるはずです。
司法試験さえ受かれば弁護士などになれると思われがちですが、その後に待ち構える司法修習の厳しさも学ぶことができます。
離婚弁護士
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四つ目は『離婚弁護士』。
主演は、宝塚出身の名女優・天海祐希さんで、他にも玉山鉄二さん、ミムラさん、佐々木蔵之介さん、津川雅彦さん、久我陽子さんらが出演しています。
あらすじとしては、敏腕女弁護士である間宮は大手弁護士事務所から独立し、同僚の広澤と一緒に事務所を開くことに。
しかし、事務所開業初日、事務所へ間宮が来てみるとそこはなんともぬけの殻。もとの大手事務所から妨害がなされていたのであった。
そんな危機的な状況で舞い込んできた案件は離婚訴訟。離婚訴訟は苦労の割には実を結ばないため、企業専門の間宮は最初は断る。
しかし、その相手側の弁護士が、裏切って大手事務所に残った広澤と知り、その案件を引き受ける……というものです。
この離婚弁護士は離婚というタイトルを使っているものの、必ずしも離婚話だけを扱っているわけではなく、幅広い法律の問題をテーマにしている作品であり、パート2が作られるような人気の作品でもありました。
慰謝料弁護士
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五つ目は『慰謝料弁護士』。
主演はココリコの田中直樹さん、矢田亜希子さん、渡辺直美さん、山田菜々さん、岩﨑名美さん、高嶋香帆さん、美保純さんらが出演しています。
原案は、うえみあゆみさんのエッセイマンガ「慰謝料上手にとれるかな?」です。
男女の愛情トラブルにまつわる、慰謝料をテーマにした1話完結の弁護士ドラマでして、依頼人の愛憎に巻き込まれながら、「愛はお金で買えるものでは決してないけれど、依頼人が心の底から決意できるならば、必ず“慰謝料”を取って、再出発の後押しをする」という哲学のもと、主人公の袴田幸男が愛のトラブルを次々解決していく、というお話です。
男女問題については大変勉強になる作品です。
リーガルハイ
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六つ目は『リーガルハイ』。
主演は堺雅人さんで他にも新垣結衣さん、田口淳之介さん、里見浩太朗さん、生瀬勝久さん、小池栄子さん、矢野聖人さんらが出演しています。
「正義は金で買える!」と豪語する人格破綻者ながら、訴訟で一度も負けたことがない敏腕弁護士・古美門研介と、真面目で正義感の強い新米弁護士・黛真知子の2人が繰り広げるコメディタッチの弁護士ドラマです。
何と言っても堺雅人さんの怪演が光るのですが、世論を操作するなど弁護士としての手腕も学べる作品です。
法律の勉強になる映画
それでもボクはやってない
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まず一つ目は、『それでもボクはやってない』でしょうか。
冤罪をかなりリアルに表現した法律映画であり、日ごろ誰にでも起こりうる痴漢冤罪というテーマを扱った映画です。
主演は加瀬亮さんで他にも瀬戸朝香さん、役所広司さん、もたいまさこさんなどが出演しています。
はじめに、あまりにもリアルな描写のせいか、現代の日本の警察や検察のありかたの問題点が、山のように見えてきます。
そして、映画内での裁判のシーンは緊迫感と独特のせめぎ合い感があり、なにが本当に正しいのか、それでもって結局のところ、痴漢という犯罪行為をやったのかやっていないのか……という絶妙なさじ加減と共に、現代の法律と社会の関係性を学べる作品です。
ゆれる
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二つ目は『ゆれる』。
カンヌ国際映画祭の監督週間に、日本映画で唯一正式出品されたこの作品は、2006年度キネマ旬報ベストテン2位及び脚本賞・朝日ベストテン映画祭日本映画1位・毎日映画コンクール日本映画大賞・東京スポーツ映画大賞(ビートたけし審査委員長)作品賞・おおさかシネマフェスティバル日本映画1位・ブルーリボン賞監督賞などを受賞した邦画界の名作。また女性監督でのこれらの映画賞で、作品賞・監督賞部門での受賞は史上初のことです。
主演はオダギリジョーさんで、他にも香川照之さん、伊武雅刀さん、新井浩文さん、真木よう子さんなどが出演しています。
あらすじとしては、故郷を離れていた弟・猛が母親の法事で久々に東京から帰省し、兄・稔が切り盛りする実家のガソリンスタンドで働く昔の恋人・智恵子と再会する。猛と智恵子とは一夜を過ごし、
その翌日、兄弟と彼女は3人で渓谷へ遊びに出かける。猛が智恵子目を離しているとき、智恵子は吊り橋から渓流へ落下した。
その時、近くにいたのは稔だけであった。はたして事故だったのか、事件なのか、裁判が進むにつれて兄をかばう猛の記憶や心はゆれ、そして証言台に立って最後にある行為を選択する……というものです。
しかし、特筆すべきは猛役のオダギリジョーさんと、稔役の香川照之さんの演技力、そして用意されたシチュエーションの妙でしょう。事故なのか事件なのかを多角的な面から論理的に検討していく様と、ゆれる人間の心が同時に学べる作品です。
12人の怒れる男たち
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そして最後に三つ目は『12人の怒れる男たち』です。
映画で、法廷モノ、と分類されるサスペンス映画であれば必ず名前が挙がる名作で、オマージュされることも多いです。
殺人事件がテーマなものの、劇中のほとんどの出来事がたった一つの部屋を中心に繰り広げられており、物語は脚本が面白ければ場所などは関係ないという説を体現する作品、いわば密室劇の金字塔として世界中で高い評価を受けています。
また日本でも裁判員制度が近年取り入れられたが、この映画ではアメリカの陪審制の長所と短所がよくわかるため、裁判の在り方から学ぶことができる作品でもあります。
法律の勉強になる漫画
マンガ法律の抜け穴
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まず一つ目は、『マンガ法律の抜け穴』です。
このシリーズは、日常トラブル篇・金銭トラブル篇・男の女のバトル篇・ビジネストラブル篇・経済新トラブル篇・賠償トラブル篇・詐欺、悪質商法篇・ミステリーファイル日常の迷宮篇・ミステリーファイル悪徳の罠篇・夫婦親子トラブル篇・性をめぐるトラブル篇・大不況サバイバル篇……などといった、日常にありえそうな多数のケースについて、そうしたトラブルを撃退するための法律テクニックをストーリーで徹底解説してくれています。
迷走する現代社会に立ち向かうための防御法から、お得な情報、はたまた法律の弱点いわゆる穴までを学ぶことのできる作品です。
カバチタレ!
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二つ目は、『カバチタレ!』。
物語の舞台は、行政書士事務所。そしてリアルに描かれているのは日々、問題を起こす非常識な人たち。そんな人たちに対して、法律を駆使して社会的弱者を守っていくという物語です。
しかし、決して安易な紋切り型のハッピーエンドというわけではなく、依頼者、相手方、事務所スタッフそれぞれの複雑な心情が描かれていまして、それがそのまま閉じられる話が多く、絶妙なリアリティと人間臭い余韻を残す作品です。
ちなみにカバチとは、広島弁で屁理屈のことを指し、ここからカバチをタレるということで、カバチタレとは屁理屈屋のことを指す言葉であります。
人気シリーズとなり、TVドラマ化され、現在は『特上カバチ!! -カバチタレ! 2-』『カバチ!!! -カバチタレ!3-』というように、3シーズン目に突入しています。
監修者である青木雄二の作品『ナニワ金融道』ともかなり近い世界観を持っており、これぞ世の中の現実、ということが学べる作品です。
最後に
なかなか法律という言葉には取っ付きにくさがありますよね。
ただし、もちろん、ドラマや映画や漫画といったものはほとんどがフィクションではあるものの、そこから法律の面白さや魅力を感じることができれば、もしかすると本格的な勉強をするきっかけになるかもしれません。
是非、まずはこれらの作品を気軽に楽しんでみるのは、いかがしょうか。
「弁護士費用保険の教科書」編集部

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