パラリーガルは、なかなか世間に馴染みのない職業ですので、パラリーガル関連の書籍なども充実しているとは、決して言えません。
とはいえ、インターネットなどを利用しながら少しずつでも情報を取り入れ、結果としてパラリーガルを志す方が少しでも増えてくれたら、こちらとしても嬉しい限りです。
今回は、少しでもパラリーガルについて知ってもらうために、パラリーガルの年収や仕事内容・ワークスタイル・やりがいについてのご紹介をさせていただこうと思っています。
こんな疑問にお答えします
Q: パラリーガルのやりがいは何?
A:永瀬 優(パラリーガル)
法律問題に困っている依頼者の手助けが弁護士とともにできることです。相談時には悲壮感しか漂っていなかったような方が、無事に問題を解決し、笑顔になった姿が見られるというのは、何ものにも代え難い喜びがあります。
パラリーガルの待遇は各事務所に依存
パラリーガルについてご紹介させていただこうと思っています、と言っておいて早速ですが、パラリーガルの待遇というのは実際、事務所によって違うため、あまり一概に示すことができません。
こうした前提を踏まえた上で、1つの参考例だと思って、下記を読んでいただくようにお願いいたします。
つまり、弁護士についてもピンからキリまであり、それと同じようにパラリーガルの待遇についてもピンからキリまであるということです。
パラリーガルの年収
パラリーガルの年収は、世間一般のサラリーマンと同等程度、もしくはそれ以下であることが多いでしょう。
つまり、収入の多い部類には入ることはないということです。
その理由は、やはりパラリーガルの資格化がされていない面にあるでしょう。
専門的な職務内容を取り扱うわりには、誰にでもなることができるため、収入だけを見れば決して優遇されている立場にはありません。
こうしたことから、パラリーガルをしながら行政書士や司法書士といった他の法律資格を取得し、弁護士が行う業務にパートナー的に関わっているというパラリーガルも存在します。
当然ながら、有資格のパラリーガルであれば、なにも資格を持っていないパラリーガルとは雲泥の差があります。
また、個人の力量や勤続年数、弁護士との信頼関係などによっても大きく左右されるため、この程度の年収がある、というのを示すのが非常に難しいです。
とはいえ、一般的な初任給としては、200万円~350万円、都心にある大規模な渉外事務所(企業法務に特化している事務所)で500万円~600万円といったところでしょう。
また、パートやアルバイトの場合、時給でいえば1000円~1200円、地方の場合はさらに下がる場合もあります。
このように、パラリーガルは年収だけを見ればそんなに多くはありませんが、他の資格を取得したり、弁護士から信頼を得たりなどの要素によって、飛躍的に年収を増加させることができる可能性を十分に持っているのです。
また、今後、パラリーガルの資格化などがされれば、パラリーガル自体の評価についても見直される可能性があるため、将来性は十分にあるでしょう。
パラリーガルの仕事内容
パラリーガルの仕事内容についても、監督する弁護士の考え方、所属する事務所によって多種多様といえます。
というのも、あまりに専門的な内容をパラリーガルに対して「丸投げ状態」にしてしまうことを、弁護士会は好ましく思っておらず、どこまでが非弁行為に当たるのかといった議論がなされた経緯もあるくらいです。
また、弁護士法においても「弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことはできない」と定めていますので、あくまでも弁護士がパラリーガルの監督を徹底していなければなりません。
それでは、上記を前提に、パラリーガルにはどういった仕事内容が任されているのかを見ていきましょう。
下記はすべて日弁連の弁護士業務改革委員会が出したものです。
・弁護士が行う法律相談、依頼者との打ち合わせへの同席と記録
・法律、判例、文献の調査
・訴状、準備書面、証拠申出書、陳述書等の作成・起案
・裁判所にて行われる弁論、弁論準備への同席と記録
・裁判所にて行われる破産審尋問、免責審尋への弁護士との同席
・債務整理等における相手方業者との交渉
このように、パラリーガルというのは、かなり専門的な部分まで業務を遂行することが可能です。
もちろんどこまで任せるのか?は、弁護士の判断やパラリーガルの能力によりますが、パラリーガルが行うことのできる業務範囲によっては、弁護士の業務負担をかなり軽減することができます。
では、反対にパラリーガルという立場では、どのようなことが禁止されているのでしょうか?
下記もすべて日弁連の弁護士業務改革委員会が出したものです。
・受任の判断、報酬額の決定
・弁護士の監督がない状態での書面作成
・弁護士の監督がない状態での交渉
これらはすべて、パラリーガルの独断で行うことはできないとされています。
とはいえ、弁護士の監督さえあれば、だいだいの書面は作成することができますし、交渉まで行うことができるため、パラリーガルによってカバーできない弁護士の業務というのは、パラリーガルの監督を除くと「法的判断と法廷での代理行為」くらいです。
このように、パラリーガルが取り扱える業務の専門性というのは、弁護士と比べても遜色ないほどなので、優秀なパラリーガルというのは弁護士にとって欠かせない存在です。
パラリーガルのワークスタイル
では、パラリーガルにはどのようなワークスタイルなのでしょうか?
こちらについても、事務所に依存するといえますので一概に言えることではありませんが、簡単な例をご紹介いたします。
よくあるのが、パラリーガルとしての業務に励みながら、法律資格の取得を目指しているというパターンです。
パラリーガルは上記のように、他の法律資格を取る前の実務経験といった意味合いで働いている方も多くいます。
実際に、パラリーガルから司法試験に合格したり、司法書士、行政書士といった資格を取得したりしている方はたくさんいらっしゃるのです。
つまり、パラリーガルを自らのステップアップの一環に利用しているというわけです。
また、パラリーガルという職業は専門性が高いため、キャリアを積めば積むほど弁護士からは必要とされる存在です。
こうしたことから、いったんは産休など子育てを理由に退職をした女性の方であっても、すぐに復職できる可能性が非常に高いため、女性が手に職をつけるという意味でも、とても有意義な職業といえます。
もともとは弁護士秘書から入った女性の方でも、その後、経験を積んでパラリーガルになるというのは決してめずらしいことではないため、実際に女性のパラリーガルはかなり多くいらっしゃいます。
むしろ女性の方が多いかもしれません。
過去においては、「事務職員といえば女性」というイメージが定着していたため、法律資格の取得を目指しているのでなければ、男性が法律事務所に事務職員として勤めることは非常に珍しいことでした。
しかし、パラリーガルと名を変えた昨今においては、男性もパラリーガルを志す方が多く、現実に多くの男性がパラリーガルとして活躍をされています。
パラリーガルのやりがい
パラリーガルのやりがいといえば、取り扱う業務が専門的なことと、法律問題についての試行錯誤ができること、などが挙げられるのではないでしょうか。
しかし、なんといっても1番のやりがいは、法律問題に困っている依頼者の手助けが弁護士とともにできることです。
相談時には悲壮感しか漂っていなかったような方が、無事に問題を解決し、笑顔になった姿が見られるというのは、何ものにも代え難い喜びがあります。
この瞬間があれば、日頃の疲れなど吹き飛んでしまうほどです。
私がはじめて担当した時の話
少し個人的な話となってしまいますが、私がはじめて担当をした自己破産の依頼者のお話をさせてください。
その方は、ご高齢の方でしたが、苦しい生活ながらもなんとか借金の返済を繰り返していました。
しかし、ある日、ご主人が病に伏してしまったことから、仕事をすることができなくなってしまったのです。
ご主人にも借金があり、その返済分についても自ら返済しようと昼夜関係なく毎日のように無理な仕事をしていたそうです。
その日々というのは、まさに地獄のようだったとおっしゃっていました。
そして、もうこれ以上の返済はできないと途方に暮れていたころ、ついにはご自身も体調を崩してしまったのです。
しかし、働くことができないにも関わらず、毎日のように鳴る貸金業者からの催促の電話。
私は、その精神的苦痛を考えただけでも胸が痛みました。
縁あってうちの事務所へとこられたその方は、私のはじめての担当となり、右も左もわからないながら、なんとかしてあげたいという思いから必死に勉強し、そして手続きを進めていきました。
結果として、裁判所からは夫婦ともに免責が認められ、無事に多重債務という苦痛から解放させてあげることができました。
その方は、体調が悪かったため、電話での報告となってしまったのですが、とても喜んでくださいました。
ある日、その方が突然、うちの事務所へと尋ねてきたのです。
私は、またなにかあったのかと心配し、どうしたのかと尋ねると、
「もう一度、感謝を伝えたくて、お顔が見たくて来てしまいました」
と笑顔でおしゃってくださいました。
私はその時の笑顔と言葉が今でも頭を離れません。
この時の言葉と感動を初心として忘れないように、現在もパラリーガルとしての業務を行っております。
パラリーガルになるための方法
パラリーガルになるためには、法律事務所へ一般事務として就職することです。最も一般的な方法といえます。
事務職員であれば、法律に関する知識やスキルがなくても問題ありません。一般事務で働きながら法律の知識を身につけ、その先のキャリアアップの選択肢としてパラリーガルになっていく方法があります。
法律事務所へ就職・転職するには特別な資格や専門スキルは必要ではないため、大手就職・転職サイトから応募が可能です。
また、派遣社員で応募しそこから正社員として働くこともできます。
パラリーガルに向いている人の特徴は?
パラリーガルには専門スキルは必要ないとお伝えしましたが、向いている人の特徴はいくつかあります。
パラリーガルに向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- コミュニケーション力に長けている
- 新しいことを学ぶことが好き
- 根っからのサポート気質
パラリーガルは弁護士や事務職員の方々、時にはクライアントと関わる機会があり、コミュニケーション能力が求められます。
また、パラリーガルの仕事内容として弁護士の秘書的役割も担うことがあるので、サポートが得意な方が向いているといえます。
また、法律は改正されることがあるため、常に新しい知識を学び続けることが重要です。
全てが嬉しい結果につながるわけではないけど・・・
パラリーガルの一番のやりがいは、やはり法律問題に困っている依頼者の手助けが弁護士とともにできることです。実際に嬉しいお言葉もいただきました。
しかしながら、実際にはこのように感謝の気持ちを述べてくれる方ばかりではありません。
中には、弁護士は金で雇っているのだから仕事をするのは当たり前、といったように横柄な態度をする方もいらっしゃいます。
もちろん厳しい言葉を投げつけられることもあります。
しかし、パラリーガルとして勤めている方の多くは、私と同じような経験をし、困っている方への手助けをやりがいとしているのではないでしょうか。
法律問題に困っている方の手助けというのは、なかなか経験出来ることではありませんので、問題が解決したときの依頼者の方の笑顔や感謝の言葉というのが、パラリーガルにとってのやりがいであり、醍醐味なのだと感じています。
また、法律のことを知っておくためには、弁護士保険についても理解しておきましょう。
弁護士保険は、法律相談や訴訟にかかった際の弁護士費用を軽減できる保険のこと。パラリーガルを目指すうえで、弁護士保険の特徴を確認しておいてくださいね。
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記事を振り返ってのQ&A
Q:パラリーガルの年収は?
A:パラリーガルの年収は、世間一般のサラリーマンと同等程度、もしくはそれ以下であることが多いでしょう。
Q:パラリーガルの仕事内容は?
A:下記はすべて日弁連の弁護士業務改革委員会が出したものです。
・弁護士が行う法律相談前に行う準備的な聞き取り
・弁護士が行う法律相談、依頼者との打ち合わせへの同席と記録
・法律、判例、文献の調査
・訴状、準備書面、証拠申出書、陳述書等の作成・起案
・裁判所にて行われる弁論、弁論準備への同席と記録
・裁判所にて行われる破産審尋問、免責審尋への弁護士との同席
・債務整理等における相手方業者との交渉
このように、パラリーガルというのは、かなり専門的な部分まで業務を遂行することが可能です。
Q:パラリーガルのワークスタイルとは?
A:よくあるのが、パラリーガルとしての業務に励みながら、法律資格の取得を目指しているというパターンです。パラリーガルという職業は専門性が高いため、産休など子育てを理由に退職をした女性の方でも、すぐに復職できる可能性が非常に高いです。