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離婚後の親権変更調停の申し立て方と調査官がチェックすること

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投稿日:2016年12月13日 更新日:

離婚後の親権変更調停の申し立て方と調査官がチェックすること子どものいる夫婦が離婚をする場合、離婚時に親権者を指定しないことには、離婚届が受理されることはありません。

親権者は子どもの身上監護・財産管理をし、法定代理人として法的な手続きを子どもの代わりに行うことになっています。

しかし、離婚後に親権者が親権を行使することができない場合、またはしていない場合、例外的に親権者を後からでも変更することが可能です。

これを「親権者変更調停」と言います。

今回は、親権者変更調停について、申し立て方法や決定までの期間、果たして手続きに弁護士は必要か?という点に着目してご説明をしていきます。

親権者変更調停とは

親権者変更調停とは、その名のとおり子どもの親権者を変更させるために、家庭裁判所にて行う調停手続きです。

親権者の変更というのは、戸籍簿上の手続きも必要になるため、当事者間で勝手に決められるものではなく、家庭裁判所からの決定が出ない限り、親権者の変更を戸籍簿上に反映させることができません。

とはいえ、家庭裁判所は一度決めた親権について、子どもの福祉のためには容易に変更すべきではないとの見解を示すことが多いため、よほどの事情がない限りは認められることはないのです。

では、どのようなときに親権者変更調停が利用されるかと言うと、自身が重い病気に罹患してしまい親権を行うことができなくなってしまったとき、または、現在の親権者が暴力行為などを行っており、正しく親権を行使していないときなどです。

親権者変更調停を申し立てるには

親権者変更調停は、相手方の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意して定めた家庭裁判所にて申し立てをすることになっています。

申し立てに必要な費用としては、子ども1人につき1,200円の収入印紙と連絡用の郵便切手です。

郵便切手については、家庭裁判所ごとに予納金額が違うため、管轄となった裁判所に確認する必要があります。

申し立てに必要な書類は、調停申立書と申立人・相手方の戸籍謄本、子どもの戸籍謄本です。

通常、子どもはどちらかの戸籍に入っているため、同じ戸籍謄本は1部で問題ありません。

その他、裁判官や調停委員が必要と判断した書類があれば、随時提出が依頼されることになっています。

家庭裁判所の調査官が調査すること

親権者変更調停の申し立てがされると、裁判官の判断で実態を知るために調査官を派遣し、調査を行います。

いくら当事者間で親権者変更の合意があったとしても、裁判所は変更が本当に子どものためになっているのか調査をし、最終的な結論を出すことになっています。

そのために、調査官は子どもの心情や現在の環境を確認し、実際に親や子どもに会うだけではなく、子どもの学校へ足を運び担任の先生から話を聞くというような調査も行い、それを調査報告書にまとめます。

裁判官や調停委員はこの調査報告書を参考にし、親権者が本当に変更されるべきかどうかを判断するというわけです。

親権者変更調停調停の成立・不成立までの流れ

調停の流れとしては、当事者間の合意を前提とした場合、裁判官が調査官や調停委員の意見を聞き、変更に問題がないと判断すれば調停成立になります。

しかし、当事者の合意がなかった場合は調停不成立となり、その後は裁判官が判断をし、親権者が変更されるべきであれば審判(裁判官が強制的に出す決定のこと)によって親権者変更についての決定が出されることになっています。

審判決定までの期間は、調停不成立から1週間程度です。

その後、親権者変更が認められた場合は、10日以内に市区町村役場に親権者変更の届け出をしなければならないことになっています。

子どもの年齢に影響されることも

なお、子どもが15歳以上であれば、原則として子どもの意見が全面的に反映されることが多くなっています。

15歳以上ともなれば、自らのことを判断する能力は伴っていると考えられているため、このような配慮がなされていますが、たとえ15歳未満であっても、子どもの意見を聞くことはもちろんあります。

その場合は、あくまでも参考程度にとされていますが、最近では12歳以上の子どもの意見が反映されるように配慮がなされているようです。

とはいえ、最終的な判断をするのはあくまでも裁判官です。

親権者変更調停に弁護士は必要か?

続いて、親権者変更調停に弁護士は必要か?についてお話します。

当事者の合意がすでにまとまっているのであれば、弁護士は必要はないでしょう。

裁判所による調査が行われる可能性はありますが、当事者が合意しているのであればそこまで困難な調停ではありません。

しかし、相手が変更に反対しているのであれば、やはり法律のプロである弁護士の助けが必要になるでしょう。

特に、相手がしっかりと調停に足を運び、自らの意見を述べている場合、親権者の変更は容易ではありません。

裁判所に対しては親権者の変更が妥当であるという、より具体的な根拠を提示しなければなりませんので、弁護士の助けがあったほうが認められる可能性も高くなると言えるでしょう。

親権者は容易に変更されるべきではない

上記でも触れていますが、親権者は容易に変更されるべきものではありません。

そもそも親権というのは、放棄や辞任ができるものではないのです。

離婚時に親権者として指定されたものは、自覚を持って親権を行使しなければなりません。

よって、病気などといったやむを得ない事情がない限り、親権者の変更は好ましいことではありません。

親権者は容易に変更されるべきではないこと、安易に変更して良いものではないことを忘れず、子どもの親として責任ある行動を心掛けるようにしてください。

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永瀬 優(パラリーガル)

永瀬 優(パラリーガル)

1986年生まれ。高校卒業後、東洋大学法学部法律学科へと進学し、2011年からパラリーガルとして法律事務所に勤務開始。法律事務所という環境化での経験を活かし、債務整理や離婚、相続といった法律関連の文章を得意としている。 たくさんの人に法律を身近に感じてもらいたい、誰もが気軽に法律を知る機会を増やしたい、という思いから本業の合間を縫う形で執筆活動を開始した。 現在もパラリーガルを続ける中、ライティングオフィス「シーラカンストークス」に所属するwebライター。著書に「現役パラリーガルが教える!無料法律相談のすすめ。お金をかけず弁護士に相談する方法と良い弁護士・良い事務所の探し方。」がある。
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