遺言書の内容で指定出来る法律でも有効な指示や意思表示

 

一般的に遺言書と聞くと財産の処分に関しての内容をイメージしやすいものですが

遺言書の中で法的に効力を持つ具体的な内容を大きく分けると三種類に大別出来ます。

分類した三種類の中には当サイトでも多く紹介している遺産相続の内容もありますが、細かく分類すると遺言書に残せる事柄は比較的多いです。

もちろん実際の遺言書の作成については専門家に相談の上で公正証書遺言を残すのがおすすめですが、予備知識としてある程度の内容をまとめていれば、その内容についての記述方法やアドバイスも受けやすくなると思います。

そこで、このページでは法的に有効な遺言書に残せる指示や内容についてを分類して紹介していきます。

法的に有効な遺言書に残せる内容

 

まず、細かい分類の前に大別した三種類の内容について。

  • 身分と関係性に関する内容

推定相続人である、なしに関わらず特殊な事情がある場合には被相続人(遺言作成者)と遺言書に挙げる人との関係性を記述出来ます(詳細は後述)

  • 財産の処分や運用方法に関する内容

一般的に、遺言書と聞くと推定相続人から遺産配分を指定することだと考えがちですが、その他にも処分方法に関して記述することが出来ます。

  • 相続に関係すること

やはり、遺言書に記述する主な内容は遺産の相続に関係する内容になります。相続に関する内容でも細分化すると多くの種類に分かれます。

大まかには上記三種類の内容に関して法的に有効な遺言として残せることになります。

では、それぞれの分野において具体的に何を指示、遺言出来るのかということも合わせて紹介していきます。

身分と関係性への遺言

子の認知

生前に婚姻関係のなかった相手との子供を認知して親子関係を認めることが出来ます。婚姻関係であっても生まれる前の胎児に対しても有効です。

未成年の後見人や後見監督人の指定

推定相続人の中で親権者のいない未成年者が含まれる場合には、後見人を指定し、さらに後見人を監督する後見監督人まで指定することが出来ます。未成年は法律行為が出来ないため、相続においては重要なポイントです。

財産の処分・運用に関する遺言

信託の設定や指定

法律で認められた範囲内で財産を指定した信託銀行などに預ける指示や管理、運用の指示を記述することが出来ます。

財産の寄付について

自分の残した財産を寄付したり、財団法人の設立することが出来ます。

財産の遺贈の指定

財産を相続人ではない人に残す場合には、遺言書で贈与することが出来ます。この時の内容や贈与する対象の人を自由に設定出来ます(遺留分を侵害しない範囲に限る)

相続に関係する遺言

相続分の指定や委託

法定相続分とは違う相続内容にする場合、各相続人へ相続させる財産の指定が出来ます。また、相続分の指定そのものを第三者に委託する遺言も可能です。

遺産分割方法の指定と委託

自分の財産をどのように分割するのかを具体的に指定することが出来ます。また、相続分と同じく、遺産分割方法について第三者に委託することも出来ます。

遺言執行者の指定や委託

遺言書の内容を相続するときには、遺言書に残された内容を実際に実行する遺言執行者が必要ですが、この指定、もしくは遺言執行者の指定そのものを第三者に委託することが出来ます。

遺産分割禁止の指示

相続開始(被相続人が亡くなった時)から最長で5年以内においては、財産の分割を禁止する指示を残すことが出来ます。

各相続人の担保責任に関する指定

相続後に相続人の間に担保責任が発生する場合、この責任の軽減、加重などを指定出来ます。

相続人の排除・排除の取り消しなど

特別な理由で相続人を排除したり、生前に排除していた相続人の権利を取り消しによって戻すことが出来ます。

特別受益の持ち戻しの免除

本来であれば、生前贈与や遺贈によって特別受益とみなされる相続分からの差し引きを遺留分を考慮した範囲内で免除することを指示出来ます。

祭祀継承者の指定(さいしけいしょうしゃ)

祭祀財産(さいしざいさん)と呼ばれる、墓、仏壇などを受け継ぐ人を指定することが出来ます。

遺贈の減殺請求方法の順位指定

遺言によって相続人が減殺請求を受けた場合、減殺をする財産の順序を指定することが出来ます。

遺言書には意思表示を書いても良い

 

遺言書を残すということは、作成するにあたって遺産分割やその内容、相続人や遺贈などを含めて自分の考えをまとめなければいけません。

一方で遺言書を見る側の遺族であったり、相続人が遺言書の内容を見た時に少なからず不平不満などが発生する可能性もあります。

そんな時に、「どういった考えでこの遺産分割にしたのか」という思いや、単純に「家族同士では争わずに仲良くしてほしい」といった意思表示を書くことはトラブルの抑制に繋がります。

「指示・指定」と「意思表示」では、もともと種別の違うものですが、遺言書には淡々と指示や指定を並べるだけではなく「相続とその後に際してどう向き合って欲しいのか?」という意思表示を記すことが大事だと言われています。

つまり、指示や指定に関してはその思いを、残された家族や相続人に対してはどうなって欲しいのかといった付随文言を記しておくことが出来るということです。

遺言書に不満を持つ人物が現れたとしても、キチンと明確に意思表示をしておけば、その不満も軽減、あるいは納得に変化するかもしれません。