財産目録の作成と遺言書の準備 必要に応じて専門家に相談を!

 

遺言書作成の準備で大事なことは「誰に?何を?どのくらい?どのような割合で?」といった具体的な遺産分割を考えていくことです。

実際に、遺言書の内容は具体的でなければ有効にならないので、まず「自分自身が何をどれだけ持っているのか」ということを知る必要があります。

このときに、便利になるのが財産目録と呼ばれるもの。

財産目録は読んで字の通り自分自身の財産を整理したものだと考えましょう。

遺産相続ではプラスの財産である「預貯金」「有価証券」「不動産」「貴金属」「借地権」「借家権」etc.

マイナスの財産としては「住宅ローン」や「借金」など全ての財産を譲ることになります。

財産目録を作成しておけば、具体的な内容を明確に出来る上に、「価値が分からない」「扱いが分かりにくい」といった財産も浮き出てくるかもしれません。

そういったときには専門家に相談し、1つずつ解決することが遺言書を正しく作成する上で大事なポイントでもあります。

相続財産を確認する財産目録

財産目録にリストアップするものは、先に書いたように全ての財産です。

遺言書を作成したものの、相続の指定がなかった財産が後から出てきたり、借金が発覚したり各財産の詳細に不明な部分が多いと相続時のトラブルを招きやすいものです。

こういった相続トラブルを未然に防ぐという意味でも財産目録は重要な役割を持ちます。

財産目録にはどんな内容が必要なのか?

では、実際に財産目録を作成する場合にどういった内容を記しておけばいいのかを例として紹介していきます。

財産の種類に応じて相続時に必要な情報が変わってくるので、充分に考慮して整理していきましょう。

金銭財産の情報

金銭に振り分けられる財産は概ね「現金」と「預貯金」の2種類です。

金銭に関して整理すべき情報は

・金額、金融機関、支店名、預貯金の種類、口座番号

などが挙げられます。

不動産の情報

不動産に関しては評価額によって相続税に大きな影響を与える重要な財産です。

少しでも相続人の負担を減らしたり、正しい評価額で節税対策をしっかりと行うには

専門家に相談することが非常に大きなポイントになります。

不動産に必要な情報は

・土地と種類(自宅敷地、事業用地、貸宅地、農地や山林など)

・建物(自宅、貸家、店舗、事業所など)

 

上記それぞれの土地、建物に対して

 

・地番、面積(登記事項証明書に記載されているもの)

評価額(路線価や実勢価格など)

特に赤字で表記している評価額は、専門家査定と自己査定では価格が変化する可能性が大きな要素です。

評価額が高いほど相続税も高くなり、安ければ同じく安くなるものです。

【合わせて読みたい記事】

・土地や建物を贈与された時に経費削減が見込めるのはどっち?自己査定と専門家の比較

・財産評価は専門家に頼むほうが良い?自分で計算するメリットやデメリット

有価証券の情報

有価証券は非常に種類が多く、有価証券に触れる機会のなかった相続人からすると価値が分かりにくい財産でもあります。

このため、遺言書に各有価証券の担当者に相談する旨を記載したり、生前に現金化出来るものは現金化して相続させることも検討しましょう。

有価証券での必要な情報は

・種類(株式、国債、公社債、証券投資信託、貸付投資信託、手形や小切手など)

・各証券会社、取扱い機関、株式であれば数量や証券番号など

遺言を書いた本人が把握していても、相続を指定した相続人が扱い方が分からないのでは

実質何を残してくれたのか?といったことも分かりにくいものです。

相続人に有価証券に対する知識があまりない場合には、相続後にどういった運用をすれば良いのか?ということも考えておきましょう。

また、不明点を質問できる機関などを記載しておけばスムーズに相続が出来るかもしれません。

保険(受取人が遺言者であるものに限る)

遺言書の作成者が受取人になっている保険は相続財産の対象になります。

保険の情報で必要なものは

・種類(生命保険、損害保険、共済など)

・契約先、証券番号、死亡保険金額など

上記のようなものが挙げられます。

権利を有しているもの

権利関係のものなども財産目録に記載すべき情報の1つです。

滅多にないかもしれませんが、例えば遺言書を書く人が何かしら著作権を持っていたり、特許権などを持っていればそれらも記載しておく必要があります。

その他には

・ゴルフ会員権、借地権、借家権、電話加入権など

・各権利関係の契約先、契約書、金額など

上記のようなものが対象です。

最初の方に書きましたが、「扱いが分かりにくい財産」の多くは権利関係になります。

不明な部分がある権利を持っている場合には専門家に相談してどのようにすべきかのアドバイスをもらうようにしましょう。

物品に関する情報

物品に分類される財産も種類は多岐にわたります。

例えば、貴金属類や骨董なども財産ですし、単純な家具や家電製品なども全て所有者の相続財産です。

さらに自動車、バイクなどの乗り物、ブランド品なども評価額が付けば財産となります。

これら物品に関する情報で必要なものは単純に「評価額」となります。

もし価値を判断出来ない、分からない物がある場合には現金化しておくか、専門家のアドバイスを受けて扱いを考えましょう。

忘れてはいけないマイナスの財産

 

上記までは実質プラスと見れる財産のみを紹介してきましたが、相続の基本であるマイナス財産の整理も忘れてはいけません。

ローンや借金などがある場合には契約先や金額などをしっかりと記載しておきましょう。

また、遺言書を書く人が誰かの連帯保証人になっている場合にもそれを明らかにしておく方が良いです。

その他

遺産分割には含まれませんが、仏壇や墓石、墓地などがある場合には祭祀財産として、誰に継承してもらうのか?といったことも考えておきましょう。

墓の土地は通常の土地とは違い、永代使用料などを払っている場合と墓地の管理費コストが掛かっている場合など受け継がれてきた形によってそれぞれ違うものです。

これらも遺言書には口述として記載出来るものなので、作成前の財産目録にまとめておくと良いです。