近年ではエンディングノートなどの普及などで遺言書に対する関心も少しは増えてきていますが、まだまだ現状ではしっかりとした遺言書を書いている人は少ないと聞きます。
しかし、子の世代で相続などを現実的に考えた時に、手続きや遺産分割を含めて
「遺言書があったほうが良い」と感じている人も多いようです。
今あなたが親に遺言書を書いて欲しいと思っているのであれば、それは道理としては正しいことです。
遺言書作成をお願いするというのは言い方を変えれば「死んだあとのことキチンと整理してくれ」と言うようなものですから、中々言い出しにくいという問題があります。
さらに実際に遺言書を書いてもらったとしても、独学などで遺言書を作成してしまって法的に効果を発揮しないといったケースも考えられるのです。
遺言書が無効とみなされた場合には、遺族間での揉め事などが余計に増える可能性があるので、
「正しい書式」「揉めない内容」といったことも作成してもらう上では重要なポイントになります。
親に遺言書を切り出すタイミングとは?
自分の親に遺言書をお願いするというのは、タイミングがなかなか難しいですが
ある程度の年齢になった段階で病気などを患ってしまった場合に焦ってお願いをするのではなく
普段からさり気ない会話の中で遺言についての話をすると良いかもしれません。
親の立場からすれば、病気などで自分自身が弱っている、精神的に参っている状態で切り出されるよりも
元気な状態で話されたほうが受け止めやすい話題だと思います。
実際に遺言書を作成するとなると、やはり決心が必要なものなので
最終的には親自身が納得出来るような環境を作っていくのもお願いするときのポイントです。
決して無理強いをするのではなく、遺言書がないことのリスクに関して理解をしてもらえれば、作成してもらえる確率は大きく上がると思います。
遺言書で揉めるケースとは?
遺言書が原因で揉めてしまうケースの多くは前述のように
・書式などが問題で法的効力を発揮しない場合
・内容が曖昧で遺産分割にの解釈が相続人によって異なる
ということがほとんどです。
さらに言うと、書式で問題が発生するほとんどのケースは自筆証書遺言を作成して、書式に問題が発生し、家庭裁判所での「検認」で遺言書としての効力を満たしていないというケースです。
そして内容が曖昧というのは、具体的な相続人と遺贈する財産を記載していないため、相続人同士で権利の主張が始まってしまうというケースです。
こういった問題が発生してしまっては、せっかく書いてもらった遺言書が原因で遺族間トラブルにも発展しかねないので、しっかりと大事なポイントを押さえて作成をお願いすることが大切です。
公正証書遺言をお願いする
遺言書を作成する上で、書式不備が多くなる自筆証書遺言とは違って公正証書遺言では公証人が口述した内容を記述し、さらに内容を確認した上で保管されるものなので、遺言書として無効になるということはまず無いと言っていいとでしょう。
若干の費用は必要になりますが、実際に親が遺言書を作成することを承諾したのであれば、相続や遺言の専門家に一緒に相談をするという立場を取って自分が補助出来ることは手伝うくらいの気持ちでいましょう。
ただし注意点としては相続人となる人間が1人だけ付き添うとなってしまうと他の相続人から不信感を持たれる可能性があります。
兄妹などがいるのであれば、先に事情を話した上で行動するほうが理解を得られると思います。
遺言や相続関係のテレビを押さえるべし
これも親にお願いする時にポイントですが、テレビ番組などで遺言や相続に関する番組があればタイミングをあわせて一緒に見るというのも良いかもしれません。
こういった番組では、相続や遺言に関するリスクヘッジを特集していることも多いので、高齢の親でも分かりやすく自分の中で理解していけることでしょう。
子の立場から「遺言書を書いて欲しい」というよりは親自身に「遺言書は大事なんだな」と理解してもらえれば、遺言書の作成が具体的になるでしょう。
また、遺言という内容ではなく、相続というアプローチで専門家に相談しに行けば遺言書に関しての話題は専門家の方からも勧められる可能性が高いので、違う角度からの相談を利用するのも1つの方法です。
親にお願いする時の注意点まとめ
以上のように、親に対して「自分の死に向き合え」というのではなく
自然な流れとして親自身が遺言書の重要性について正しく理解してもらえれば、遺言書を作成するということに対する抵抗も少なくなると思います。
1番重要なのは強制するのではなく、親自身にが決心、納得した上で一緒に相談に乗るという形を取ることです。
とはいえ、遺言書自体は相続をする上で非常に重要な書類になるのでその事実は忘れないようにしておきましょう。