フリーランスになると、考えておかねばならないのが税金。
稼いだ売上は、2月16日から3月15日に確定申告を行い、所得税など必要な税金を納めねばなりません。
しかし、サラリーマンとは違い、フリーランスに認められている経費はとても多く、それらが節税に繋がりますのでしっかりと把握しておきたいところです。
ただ、フリーランスだからと言って、なんでもかんでも経費になる訳ではありません。
しかし、自宅で仕事をしている人が生活と共用しているからといって、何も経費にならないという訳でもないのです。
そこでこの記事では、フリーランスの経費の範囲について詳しくお伝えします。
この記事を読んで、税金面で損をしないようにして、また脱税になるような違法な経費精算を行わないようにしてください。
こんな疑問にお答えします
Q:経費として認められる考え方とは?
A:弁護士保険の教科書編集部の回答サマリー
事業に関わる支出が経費になります。仮に税務署から質問された際に、明確に仕事で活用しているものだと説明できるものは経費になりますし、そうでなければ経費になることはないのです。
フリーランスは日常の費用をどこまで経費で落とせる?
フリーランスの業務において、よく経費として計上されているものをピックアップしてご紹介していきます。
「これも経費になるんだ!」というものを発見できるはずです。
少しでも税金の額を抑えられるように、うまく経費にすると良いでしょう。
地代家賃
自宅で仕事をしているような場合、家賃などの支払いにプライベートと事業が混ざっていることになりますので「家事按分」によって計上していきます。
これは、事業で使用している割合だけを経費として計上するもので、家賃のほかにも管理費や礼金なども対象になります。
事務所の費用は、レンタルオフィスやシェアオフィスなどを活用していることも多いですが、これらの費用も経費として計上できることになります。
オフィスに荷物を移動させた際の引っ越し費用についても計上することができます。
家事按分の割合は、事務所費用の場合には、事務所として活用している部屋の割合で求められることがほとんどです。
100㎡の床面積の住宅を10万円で借りている場合、事務所として使っている部屋の面積が10㎡であれば1万円を経費として計上するのです。
自宅が賃貸ではなく持ち家の場合には、不動産の購入金額や住宅ローンの元本部分の返済を家事按分することはできません。
ただし、固定資産税や住宅ローンの金利部分については家事按分させることが可能となっています。
水道光熱費
自宅を事務所として活用している場合には、水道光熱費も家事按分して経費として計上できます。
水道光熱費は、電気・水道・ガスになりますが、これらの使用状況については仕事の内容によっても異なります。
例えば、WEBエンジニアなど、パソコン仕事のような場合には、電気代は計上することが可能であるものの、水道やガスについては按分させることは難しいでしょう。
もちろん、作業で水道やガスを活用している料理教室のような場合には、その割合に応じて経費計上すると良いでしょう。
電気代については、使用時間やコンセントの割合などに応じて按分させることが多いですが、明確に説明できるルールに基づいて按分させるようにしておきます。
ちなみに、家事按分の割合の目安ですが、3割~5割程度であると言われています。
通信費
通信のために活用した、切手代や郵送費用、電話代、インターネット代金などが通信費として経費計上させることができます。
事業のために活用するスマートフォンの利用代金も経費計上することができますが、使用した時間を計算して、その比率によって経費にすると良いでしょう。
また、ブログやサイトなどに必要なサーバー代金、ドメイン代金なども経費として計上できます。
消耗品費
おもに短期間で消耗してしまうような、電池や文房具、包装紙などの物品については消耗品費として経費計上することができます。
消耗品の基準としては、使用期間がおおむね1年未満であることや10万円未満の什器備品の購入日が対象となっています。
そのため、事務作業のための棚や机、イス、モニターなども消耗品費として計上することができるでしょう。
ただし、1事業年度当たり300万円までが上限となっています。
減価償却費
減価償却費は10万円以上するパソコンや車、スマートフォンなどを購入する際に経費計上できる課目になります。
この場合、一括で経費計上するのではなく、耐用年数に応じて分割で申告していくことになります。
例えば、パソコンの耐用年数は5年と決められており、30万円のパソコンであれば5年に分割して1年に6万円を経費計上していきます。
ちなみに、10万円以下であれば消耗品費として経費計上できますので、仮にパソコンを9万円で購入したのであれば消耗品として扱うことになります。
ただ、フリーランスや個人事業主であれば、特例として30万円未満のものであれば「少額減価償却資産」として一括処理することが可能です。
教育研修費
業務に関連するセミナーや講演に参加した場合には、教育研修費として経費計上させることができます。
また、研修費として支払った費用だけではなく、研修を行うために購入した機器や外部講師を招いて行った研修、WEB上で参加した研修などについても対象となっています。
新聞図書費
業務に必要な新聞や書籍の購入費用については「新聞図書費」として経費計上させることができます。
もちろん、電子書籍や情報商材などの電子データのものに対しても、新聞図書費として経費にできますから、うまく活用して経費にすると良いでしょう。
広告宣伝費
広告宣伝費は、新聞広告や折り込み広告などの掲載費用を経費とすることができます。
また、GoogleやYahoo!への広告などももちろんのこと、ユーチューブやツイッター、インスタグラムなどへの広告も経費として考えられます。
さらに、名刺やDM、年賀状、暑中見舞いなどについても、経費として計上させることができます。
旅費交通費
事務所への出勤や打ち合わせ、現場などに向かう際の交通費は旅費交通費として経費計上させることができます。
電車であれば利用料金がわかるように記録を残しておくようにし、タクシーを利用した際には領収書を残しておくようにしましょう。
また、車やバイクなどを使用している場合にはガソリン代についても交通費として計上できますが、家庭でも活用しているのであれば按分させて計上します。
接待交際費
お客様との打ち合わせや懇親のための飲み会などに参加した場合には、接待交際費として経費計上させることができます。
この接待交際費については、多くの不正が行われる部分でもあるために、厳しい税務調査が行われることがあります。
そのため、領収書の裏などに、打ち合わせした相手の名前や参加した懇親会の関係などを記しておくようにしましょう。
冠婚葬祭のお祝いや香典についても経費とすることができますが、こちらについても仕事に関係する人の場合のみ、経費とすることができます。
プライベートと明確に区別できるようにしておくと問題ありません。
外注工費
業務をアウトソーシングしているような場合には、その外注にかかった費用を外注工費として経費計上することができます。
例えば、自社のホームページを外部業者に制作を任せたような場合や、WEBライターに記事の執筆を依頼したような場合です。
ただし、弁護士や税理士などに案件を依頼するような場合には、支払い手数料とすることが一般的となっています。
租税公課
「租税公課」とは、国や地方自治体などに納める税金や、公共団体に納める会費などのことを指しています。
その対象としては、事業税や固定資産税、自動車税、印紙税などの「租税」、国や公共団体に支払う証明書費用、行政サービスの手数料、交通反則金などの「公課」となっています。
もちろん、経費計上できるものは、事業を運営するうえで必要となるものが対象となっています。
自動車税や固定資産税など、公私兼用で使用しているような場合には、按分して経費計上させることになります。
何を経費精算すると脱税で違法になる?
基本的には、事業で活用した費用でない場合には、経費として計上させることができません。
例えば、上記でご説明した「接待交際費」ですが、家族サービスで外食に出かけたものを経費にすることはできません。
また、セミナーについては「研修費」として計上できるものではありますが、事業にはまったく関係のないセミナーや勉強会に参加しても、やはり経費にはできません。
さらに、いっけん業務に関係があると考えられるものでも経費にできないようなものもあります。
例えば、ドライバーとして業務を行っている方が、運転免許の取得や更新のために必要となった費用については経費にはなりません。
仕事のために活用するために「経費としても当然」と考えがちですが、私生活でも役に立つものになりますから、経費としては認めにくいと考えられているのです。
これらの納税を怠った場合には、義務を怠って税金を免れようとしているために、ペナルティの対象となります。
追徴税を納める必要があり、脱税のペナルティとして加算税や延滞税などの付帯税を課せられることになります。
また、脱税行為が悪質であると認定される場合には刑事罰が適用されるようなこともあります。
フリーランスの経費の考え方
この記事を読んでいる方は、おそらく「経費になるものはしっかりと申告して節税したい!」「でも何でもかんでも経費にして税務署から指摘を受けるようなことはしたくない」と考えているのではないでしょうか。
経費にできるものは、上記でお伝えした通り、事業に関わった支出だけになります。
例えば、仕事で活用するために購入したパソコンやプリンターなどであれば経費にすることができますが、日常的に着用する衣類を経費にできるかというと難しいでしょう。
ただ、「これは経費にできる、これはできない」と明確に法律で示されているようなものではありません。
そのため、これは経費にできるといった、経費に対する考え方を持っておくことがとても大切になるのです。
そもそも経費とはなに?
例えば、サラリーマンの「経費」というと、購入したものにレシートを添付して総務部に申告すれば、購入費用がそのまま返ってくるのではないでしょうか。
そのような考え方で行けば、事業で活用する物品などを購入して、あとから国から返金されると考えがちですが、まったく違います。
フリーランスが経費を考える場合、経費となる費用によって支払わねばならない税金を減らすことができるのです。
フリーランスが確定申告によって納めなければならない所得税などの税金は、所得に応じて支払う額が決定します。
所得は、事業の売上から経費を差し引いて求められます。
例えば、100万円の売上があり、20万円の経費があるとしたら、差し引いて80万円の所得があることになり、その80万円に対して税金が課せられることになります。
100万円の売上に対して経費を差し引かずに確定申告した場合、その5%である5万円が所得税として課せられることになります。
しかし、100万円から20万円の経費を差し引いた場合、その5%である所得税は4万円となり、1万円の節税効果を生んでいることがわかります。
つまり、経費となるものはしっかりと申告しておけば、それだけ節税効果に繋がることになるのです。
経費として認められるものの考え方
1円でも多くの税金を支払いたくないのは、誰しもが考えることです。しかし何でも経費にできる訳ではありません。
フリーランスとして自宅で仕事をしているような場合であれば、どこまでが経費にでき、どこから経費にできないのか、その判断が必要となります。
上記でもお伝えした通り、事業に関わる支出が経費になります。
例えば、部屋で仕事をするうえで必要となる冷暖房の電気代については、家庭の電気代すべてを経費にすることはできません。
また、仕事する際に着用する衣類がすべて経費にできるかというと、日常的に着用しているものであれば難しいでしょう。
それでも、取材のために着用するためのスーツであれば、それは経費として認められる可能性は高くなります。
つまり、仮に税務署から質問された際に、明確に仕事で活用しているものだと説明できるものは経費になりますし、そうでなければ経費になることはないのです。
フリーランスになる前からでも経費にできる
フリーランスになると、事業に関わるものは経費にすることができますが、フリーランスになる前から事業に必要なものは経費にすることができます。
「開業準備費」として処理ができるものです。
期間については定められていませんが、準備にあたった半年から1年前程度であれば問題ないでしょう。
例えば、フリーランスとして仕事をしていくために参加した講演やセミナーなどの費用は経費として考えられますし、その際の交通費やガソリン代についても経費として処理できます。
業務のために行った業者との打ち合わせで活用した喫茶店での費用や、業者に渡すために作った名刺も当然ながら経費にできるものです。
ただし、パソコンの購入費用については、10万円を超えるような場合には開業準備費ではなく「減価償却資産」として処理されることになります。
パソコンは消耗品ではなく、長期にわたって事業で活用する資産となるものだからです。
経費にするために領収書やレシートを保管すること
その費用が本当に経費であると証明するために、経費として計上する際には必ず領収書やレシートが必要となります。
そのため、事業に必要なものを購入した際には、忘れないように領収書やレシートをもらうようにしておかねばなりません。
では、領収証がないような経費の場合はどうすればいいのでしょうか。
自動販売機で購入したもの、仕事で関わった方の結婚式のお祝いやお葬式の香典などについては領収書が発行されません。
そのような場合には、出金伝票に記入して保管しておけば問題ありません。
レシートの貰い忘れや失くしてしまった場合にも、出金伝票を活用することが可能です。
注意すべき点として、次のものが挙げられます。
2020年度の電子帳簿保存法改正によって、経費のあり方が大きく変わることになりました。
例えば、みなさんの中にも、キャッシュレス決済をよく活用しているという方が多いのではないでしょうか。
経費精算においてもペーパーレス化が進む方向で進んでおり、キャッシュレス決済の場合、デジタルデータで利用明細が残りますのでそれが領収書の代わりになるのです。
それまでも、領収書などをスマートフォンの写メで残しておくことでも、電子データとして認められていましたが、さらに規制が緩和されたと言えるでしょう。
ただし、領収書を電子化して保存する際には、事前に税務署への申請が必要であり、領収書の電子データには「タイムスタンプ」の付与が必要となっています。
家事按分の考え方
仕事を自宅でしている場合、家賃や光熱費など、どこまで経費として認められるのでしょうか。そもそも経費として認められるのでしょうか。
自宅で仕事をしているような場合でも、事業で使用している部分に関しては経費として計上することが可能で「家事按分」と呼んでいます。
例えば、家賃については、毎月の家賃に対して仕事で使用している部屋の広さの割合を算出して経費を求めることができます。
家賃が15万円として、敷地面積の広さが100㎡、仕事で使っている部屋が10㎡の場合であれば、家賃の10/100で計算した1万5千円が経費として計上することが可能です。
同様に、電気やガス、水道、通信費についても同じ要領で計算するといいでしょう。
ただ、パソコンでの業務を行っている人が、ガスや水道で経費計上することは無理があります。業務で直接活用していないからです。
電気代であれば、冷暖房などでも活用しており、通信費もインターネットの使用などがありますので家事按分することが可能です。
まとめ
フリーランスの経費について詳しくお伝えしました。
フリーランスに認められている経費はとても多く、それらが節税に繋がりますのでしっかりと把握しておくようにしましょう。
ただ、なんでも経費になる訳ではなく、税務署から指摘された場合には追徴課税を、悪質な場合には刑事罰が待っています。
ぜひ、この記事をしっかりと読みかえして、税金面で損をしないように、また脱税にならないように経費について学んでおきましょう。
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