フリーランスを職業の選択肢のひとつとして考える人が増え、内閣官房の調査によりますと、2020年では462万人が存在していると言われます。
特に、2020年に社会を震撼させた新型コロナウイルス感染症は、単に健康に対する被害だけではなく、社会全体に大きな影響を与えました。
多くの店舗が閉鎖し、企業が倒産したことはご存知でしょう。
そのような中で新しい働き方として、フリーランスが注目されるようになったのです。
ただ、法整備が行き届いているかと言えばそうではなく、企業と取引をするフリーランスは不利な立場になることから悩みを抱えていることも少なくありません。
中には、契約上のトラブルなどハラスメントに発展しているものの、泣き寝入りしているパターンがかなり多いのが現実なのです。
そこでここでは、フリーランスに実際に起きているトラブルについて、実際の統計データなども活用しながらご説明します。
また、そのようなリスクを把握したうえで、どのように業務に取り組んでいくべきなのか、さまざまな視点からご提案していきます。
こんな疑問にお答えします
Q:フリーランスがトラブルを回避、あるいは解決するためにはどうすればいいのか?
A:弁護士保険の教科書編集部の回答サマリー
フリーランスは、6割がパワーハラスメントを受けた経験があり、4割はセクシャルハラスメントを受けた経験があると回答しています。トラブルが生じるリスクを理解しておく、トラブルは起きるものであると想定しておく、早期に相談できる体制を整えておくことが必要です。
フリーランスのハラスメント実態調査からわかった!驚くべき状況とは
まず、結論から申し上げておきましょう。
2019年に実施されたフリーランスへの調査の結果が「フリーランス白書2020」において公表され、
- フリーランスの6割はパワーハラスメントを受けたことがある
- フリーランスの4割はセクシャルハラスメントを受けたことがある
と回答されています。
あまりの多さに驚かれているか方も多いのではないでしょうか。
しかも、そのようなハラスメントを受けたとしても、4割以上は誰にも相談できずに泣き寝入りしていることもわかりました。
フリーランスとして活躍している方のために、またこれからフリーランスとして働くことを目指している方に向けて、この内容について詳しくご紹介いたしましょう。
フリーランスのハラスメント実態調査の概要
2019年5月、参議院において「フリーランス、就職活動中の学生、教育実習生等に対する
ハラスメントを防止するため、男女雇用機会均等法等に基づく指針等で必要な対策を講ずること」と決議されました。
フリーランスに対するハラスメントを防止するために、対策を講じるように政府が動いたわけですが、実態はどうなのかと調査したものが今回ご紹介するものです。
それまでのフリーランスに対する実態は、法律に明確な規定がなかったために、ハラスメントについては無法地帯であったと言えます。
フリーランスはそもそも個人で業務を請け負って収入を得ているために、契約相手の企業とは対等な立場ではなく主従関係になってしまいがちです。
今回の調査結果をみても、取引先が1社のみと答えている方が24.8%にものぼっており、2~3社と答えた方も33.1%にも及びます。
このような状況で、仮にハラスメントを受けたとしても、今後の収入に大きな影響を及ぼしかねないことを考えると、やはり泣き寝入りしてしまうケースが多くなってしまうことが理解できます。
上記でもお伝えした通り、フリーランスに6割がパワーハラスメントを受けた経験があり、4割はセクシャルハラスメントを受けた経験があると回答しています。
具体的なハラスメントの内容を見てみると、上位4つはパワーハラスメント、5位以降はセクシャルハラスメントとなっています。
今回の調査は、匿名性に配慮されて行われたということもあり、公にしづらい内容までかなり多く記述されていました。
しかも、自由記述欄には具体的なハラスメントの内容が全体の52.9%の割合で記載されており、中には刑事事件と思わしきものまであったことがわかっています。
驚くべき結果であることが理解できるのではないでしょうか。
フリーランスのハラスメントの具体的な内容
- 精神的な攻撃(脅迫/名誉棄損/侮辱/酷い暴言等) 59.4%
- 過大な要求(不要/遂行不可能なことの強制) 42.4%
- 経済的な嫌がらせ 39.1%
- 人間関係からの切り離し(隔離/仲間はずし/無視等) 35.6%
- プライベートを詮索・過度な立ち入り 33.7%
- 容姿/年齢/身体的特徴について話題にした・からかわれた 33.6%
- 性経験/性生活への質問・卑猥な話や冗談 28.5%
※「フリーランス白書2020」から抜粋
今回の調査の中で、最も回答が多かったハラスメントの内容を順番に抜粋してみました。
最も多く回答のあったものは精神的な攻撃で、全体の約6割となっています。
精神的な攻撃とは、フリーランスを脅迫するような言動や、名誉を傷つけるような言葉、人格を否定するような侮辱、などが該当すると考えられます。
次に多いものは過大な要求となっており、契約を超えた内容を求められることや、現実的に対応することが難しい修正などを強制されることが含まれます。
特にフリーランスは、契約書を交わさずに口約束で業務をスタートするようなことが少なくありません。
本来ならば契約書は必要になりますが、「言い出しにくい」「契約書を求めても対応してもらえなかった」といったことも背景にあります。
3番目に多い経済的な嫌がらせは、報酬を支払ってもらえなかったり、成果に難癖をつけて報酬を無理やり減額させられたり、といったことが多く見受けられます。
特にこれら上位3位までのハラスメントについては、さまざまな状況が複合して行われていることが多いでしょう。
セクシャルハラスメントとしては、身体的特徴をからかわれたり、性経験について問い詰められたり、卑猥な話をされたりといったことが多くなっています。
また中には、必要に体を触られた(20.5%)、性的関係を求められた(117.6%)といったものや、レイプされた(4.4%)、同意なくヌードを撮られた(1.1%)と言った刑事事件と思わしきものまで含まれています。
ハラスメントの加害者はどのような立場の者かと言いますと、
- 監督、演出家、スタッフ 37.1%
- 所属先の上司・先輩・マネージャー 36.1%
- 発注者・取引先・クライアントの従業員 35.8%
- 発注者・取引先・クライアントの経営者 34.5%
- 所属先の経営者 23.1%
となっています。
このように見ても、立場関係を悪用してハラスメントに及んでいるということが理解できるのではないでしょうか。
ハラスメントの被害者はどう対処しているのか
では実際にハラスメントを受けた被害者は、どのように対処しているのでしょうか。
誰かに「相談した」という割合は54.5%になっており、反対に「相談しなかった」という割合は45.5%に上っています。
相談したという54.5%の人は、誰に相談しているのでしょうか。
- 家族や友人・知人 69.4%
- 所属先や現場の関係者 48.9%
- 医師やカウンセラーなど専門家 14.4%
- 弁護士・社労士 10.9%
- 加害者・行為者所属会社等の相談窓口や関係者 10.5%
身近にいる家族や友人・知人が最も多く、業務上のことであれば所属先や現場の関係者であることも多く見られます。
また医師やカウンセラーといった専門家に相談することや、弁護士や社労士などといった法律や労務の専門家に相談することも増えています。
そのような中で、約半数弱が泣き寝入りしている状況も見て取れます。
相談しない理由についても調査結果として公表されています。
- 相談しても解決しないと思った 56.7%
- 人間関係や仕事に支障が出る恐れ 53.7%
- 不利益を被る恐れ(仕事がなくなる/キャストを外される等) 42.8%
- 問題が大きくなると面倒 41.1%
- 誰に/どこに相談すればよいか分からなかった 37.8%
やはり、フリーランスという弱い立場であるがために、今後の収入や生活を考えるとそうせざるを得ないということがわかります。
現場の関係者などに相談しても、解決するどころか、仕事に支障が出て不利益を被る可能性があると相談できないでしょう。
問題をさらに大きくしてしまい、ついには仕事を失ってしまう可能性もあるのですから。
そこで注目したいのは、「誰に/どこに相談すればよいか分からなかった」という回答が多いということです。
「相談した」という回答の中にもある通り、心身の健康状態に問題があるのであれば「医師やカウンセラーなど専門家」に頼ることが適切です。
法務や労務上において解決しなければならないトラブルの場合であれば、その道のプロである「弁護士・社労士」に相談することが適切です。
特にフリーランスは契約関係にある企業とは主従関係になりがちで、トラブルが生じてしまうことが多くみられます。
そのため法務上で相談できる体制を整えておくことが、これからのフリーランスには必要になるのではないかと考えられます。
フリーランスがトラブルを回避・解決するために必要なこと
冒頭から、フリーランスのトラブルについてデータを用いてご紹介しました。
予想以上に多くのトラブルが生じていることがご理解いただけたのではないでしょうか。
そこでここでは、冒頭からお伝えしているようなトラブルを回避、あるいは解決するためにはどうすればいいのかご紹介していきましょう。
トラブルが生じるリスクを理解しておく
フリーランスは冒頭からお伝えしている通り、6割がパワーハラスメントを受けた経験があり、4割はセクシャルハラスメントを受けた経験があると回答しています。
ただ、トラブルもなく業務を行っていると、そのようなことが本当に起きているのかと、どこか遠い世界での話のように錯覚してしまうことがないでしょうか。
例えば、現在の取引先の企業や担当者に信頼が置けるような場合には、このままの状況がいつまでも続くだろう、新しい取引先も同じような感じになるだろうとイメージしてしまうのです。
ただ、取引先の経営状態が変わってくると、アウトソーシングしているフリーランスへの態度が変化することは当然ありますし、担当者が代わればたちまちハラスメントがはじまる可能性も考えられます。
つまり、明日は我が身であるということなのです。
そのため、トラブルが生じてからではなく、トラブルが生じる前に、どのようなトラブルがあるのかリスクを理解しておくことはとても大事なことなのです。
トラブルは起きるものであると想定しておく
現在、請け負っている業務において、考えられるトラブルがあるはずです。
取引先との契約上のトラブルはもちろんのこと、経営状態悪化による報酬の不払い・減額、無理な業務依頼など、現状では生じていないとしても想定しておくことは大切です。
もし、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けるようなことが想定できるなら、どのように解決できるのか、予防できるのか考えることができます。
また、ハラスメントだけではなく、取引先の経営状態の悪化により、業務を一方的に減らされたり、打ち切られたりといったこともあるかもしれません。
そのようなことが想定できるなら、取引先を増やしておいて、リスクを分散することもできるでしょう。
取引先や関係者によるものだけではなく、クレーマーによる被害も考えられます。
店舗やネットビジネスに取り組んでいるような方であれば、一方的に難癖を付けられ、つきまとわれるようなこともあるかもしれません。
実際に、そのようなクレーマーによる被害は、報道などで見たことがあるという方は多いのではないでしょうか。
そのように多角的に自分の事業を見た場合には、かなり幅広くリスクが想定できるのではないでしょうか。
早期に相談できる体制を整えておく
トラブルが実際に生じた際には、まず相談先を見つけておくことが大切になります。
上記でもお伝えした通り、ハラスメントを受けたとしても約半数は泣き寝入りしている状況があります。
状況によっては身内や取引先の企業、関係者に相談しにくいこともあるでしょう。
今後の業務や報酬のことを考えれば、そのように考えてしまうことも致し方ないのかもしれません。
ただ、そのトラブルが大きくなったときには、もはや自身で対処できる範疇を超えてしまう可能性もあるのです。
しかし、早期から相談できる体制を作っておくと、気になったときから相談し、トラブルが大きくなったときには対処しやすくなります。
ただ、ご紹介した調査結果にもある通り、「誰に、どこに相談すればよいか分からなかった」という方も多いでしょう。
結論としては、その道の専門家に相談することが適切です。
健康上についてのことであれば、かかりつけ医や気軽に相談できるカウンセラーを持っておくといいでしょう。
また、トラブルを事前に予防し、いち早く対処してもらうためには、法律のプロである弁護士に相談できる体制を作っておくことが大切です。
弁護士というと敷居が高いようなイメージがあるかもしれませんが、今は安価に顧問弁護士を依頼できたり、弁護士保険も登場しましたので、気軽に相談しやすくなっています。
フリーランスは弁護士への相談体制が超重要!弁護士のうまい見つけ方
弁護士に関わったことがないという方も多いのではないでしょうか。
法律上でトラブルが生じて、裁判が必要な場合に依頼するようなイメージがありますが、日常的な困りごとや経営の観点でも気軽に相談することができます。
とはいえ、「費用が高い」「どう依頼していいのかわからない」「誰に依頼すればいいのかわからない」というご意見も多いでしょう。
ここでは格安に、しかも適切に相談・対処してくれる弁護士の活用方法についてご紹介しましょう。
弁護士は格安で、しかも気軽に相談できる
- 顧問弁護士ならば相場は30,000円~50,000円程度/月
- 弁護士保険「事業者のミカタ」を活用するなら月額保険料7,000円から
弁護士に気軽に相談できる体制と言えば、「顧問弁護士」もしくは「弁護士保険」を活用することがおすすめです。
月額費用を支払えば、日常的な困りごとを始め、契約書のチェック、クレーム対応などの相談を気軽に行うことができます。
事前に相談しておけば、仮にトラブルが大きくなった場合にも、すぐに対処してもらうことが可能です。
名刺やWEB サイト、パンフレットなどに顧問弁護士を掲載しておけますので、トラブルを未然に防ぐ効果も絶大です。
費用相場については、上記の通りです。
弁護士事務所に依頼する「顧問弁護士」サービスであれば、一般的な相場として3万円~5万円程度になります。
費用負担がより少なくしたいのであれば「弁護士保険」がおすすめです。
顧問弁護士のように気軽に相談することができますし、トラブルの際には適切な弁護士に対処してもらうことが可能です。
実際に、訴訟やトラブルの解決が必要になった場合でも、格安に利用することができますので安心です。
顧問弁護士を契約するよりかなり安い費用で弁護士に相談できる体制を持っておくことができます。
弁護士保険であれば、「事業者のミカタ」の活用がおすすめです。ぜひうまく活用して、トラブルの回避に努めてください。
まとめ
フリーランスに生じるトラブルについてご紹介しました。
フリーランスは個人で業務を請け負っている弱い立場であり、実際にトラブルを経験した割合はかなり高くなっています。
しかし、誰にも相談できずに泣き寝入りしているケースが多く、しかも中には刑事事件として扱われるようなことも起きているのです。
そのようなトラブルを未然に防ぎ、生じた際にはいち早く解決するためには、弁護士の存在がとても重要です。
トラブルが生じた際にフリーランス個人が対応しなければならないのは難しいでしょう。
そう考えれば、安価な費用で弁護士を利用すれば、自身は仕事に集中して、トラブル解決はお任せしておくことができるのです。
弁護士には相談したいけれどもコストが気になるというフリーランスであれば、弁護士保険「事業者のミカタ」がおすすめです。
保険料は1日わずか155円~となっています。顧問弁護士よりもはるかにリーズナブルで、優れたサービスを利用できます。
日本全国の弁護士を利用することができ、いつもで直通ダイヤルで初期相談することができますので、安心して利用することができるのではないでしょうか。
弁護士保険「事業者のミカタ」、ぜひ加入して自分の身を守りましょう。
【おまけ】個人事業主の弁護士保険が販売されています
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