サロンを経営している中で、どんなに注意していても、どんなに配慮しているとしても、トラブルが起こることがあります。
お客様の身体に触れる仕事であるために、痛みや痒みなどを訴えられることがありますし、接客内容でクレームを受けてしまうことがあるでしょう。
「思っていたのと違った…」
「もっと、こうなると思っていたのに…」
といったサービス面に対するものや、
「聞いていた費用と違う!」
といったトラブルを経験した方も多いのではないでしょうか。
また、スタッフとトラブルになってしまうようなことも珍しくありません。
もちろん、その都度、適切な対応によって大きなトラブルは避けられているかもしれませんが、場合によっては法的トラブルに発展するケースも起きてしまいます。
そこでここでは、サロン経営者に多い法的トラブルについてご紹介し、どのように対処すればいいのか、サロン経営者が知っておきたい法律のことを詳しくご紹介していきます。
サロン経営者のトラブル例
サロンでは、お客様に対しては特に注意し、丁寧に対応を行い、トラブルにならないようにするのはもちろんですが、お客様に満足していただくようサービスを提供していることだと思います。
ただ、やはり人間の行うことですから、どうしてもトラブルを避けることはできませんし、特に慣れない新人スタッフにトラブルが集中してしまうようなことがあります。
トラブルが生じた際には、お客様に対して誠心誠意対応することによって丸く収まるケースも多いですが、中には収まりきらずに法的トラブルに発展してしまうようなケースもあります。
ここでは、サロンでどのようなクレームが生じているのか、また生じる可能性があるのかご紹介いたしましょう。
以下のようなクレームの発生
- 「思うような成果が出ないなら返金してほしい」
- 「最初に聞いていた費用と違う」
サロンに来店されるお客様は、美意識が高い方ばかりであるため、自分が思うような成果、またそれ以上を求められます。
そのため、「もっとスッキリと綺麗になると思っていたのに…」といったトラブルは、どうしても生じがちです。
もちろん、満足いかない内容については、謝罪したうえで、追加施術などで対応するようなこともあるとは思います。
しかし、お客様にとって求めているような成果が出ないのであれば、返金を求められるようなことまで発展する可能性があります。
とは言え、問題のない通常の施術を行ったのにもかかわらず返金に応じてしまうと、施術を担当したスタッフからの信頼も失ってしまう可能性も考えられますので注意が必要です。
また、費用に関するトラブルは、サロンによく生じます。
事前にしっかりと料金説明はしたものの、お客様が勘違いされているというケースもありますが、もちろん「勘違いでは?」「説明しましたが」という姿勢を示してしまうと、大きなトラブルになってしまいます。
そのため、仕上がりに関すること、費用に関することなど、しっかりと利用規約に記しておき、それらを踏まえた契約書を整備しておくことによって、トラブルを回避できるポイントとなります。
その他、以下のようなトラブルも発生する可能性がある
- 残業代の未払い
- 早期の離職
- スタッフの指導上におけるトラブル
- 問題スタッフの解雇
- レッスンや研修・講習などの費用をめぐるトラブル
- 退職者による顧客情報も持ち出し
- 退職者による従業員の引き抜き
- 労働基準監督署の調査対応
- パワハラ・セクハラといったハラスメント
サロンにおいては、スタッフとの労務トラブルも少なくありません。
労務トラブルでよく生じるものを上記でまとめてみましたが、このようなトラブルが起きるものだと意識して、日常から対応しておくことが大切です。
特に、未払いの残業代については、スタッフの退職後でもトラブルになることがあります。
営業時間終了後に施術の練習を行った場合、サロン側としては「スタッフのために提供した」という認識かもしれません。
しかし、スタッフからすれば、「残って研修を受けたのに残業代が出ない…」と認識していることが少なくないのです。
経営者が終業後の練習を義務付けするようであれば残業だと主張される可能性が高くなりますし、場合によっては熟練スタッフが新人スタッフに指導するような場面でも残業代を請求される可能性があります。
経営者が単に「面倒見の良い熟練スタッフ」と認識して、このような練習や指導を黙認していると、熟練スタッフ・新人スタッフの双方から労働時間だと主張されるリスクがあるのです。
ここで大切なことは、「自主的な練習」なのか「会社からの指示なのか」という点にあります。
黙認したということであれば、労働時間になる可能性が高くなりますので、業務日報などの記載によって、仕事と練習を明確に区別しておくことが大切です。
特に業務委託などで雇用していることが多いと想定されるため、業務委託契約書などを綿密に設計しておくことが必要
一般的な企業であれば、スタッフと雇用契約を結んだうえで就業に取り組むことになりますが、サロンの場合であれば直接雇用ではなく『業務委託契約』が少なくありません。
業務委託契約は、サロンと個人事業主であるスタッフが契約を行う、事業者同士の契約になります。
一般的な雇用契約とは異なり、業務委託契約に対する労働法による規制がないことから、業務内容について綿密に定めておくことが必要になります。
特に、
- 報酬などお金に関すること
- 労働時間に関すること
- 業務内容に関すること
上記の3点に関しては、サロン側が業務委託契約に際して、必ず入れておきたい内容です。
例えば、報酬に関することで言えば、日常的な業務に対する報酬金額はもちろんのことですが、残業時間についても明確にしておく必要があります。
上記でもお伝えしたように、新人スタッフに対する指導を行ったような場合、あるいはサロン側が提供する研修や講習を受講した際についても確認できるようにしておきます。
源泉徴収の有無や健康保険組合の利用などについても示しておかねばなりません。
また、雇用契約であれば、当たり前の業務内容であるとしても、業務委託契約の合では、定められていない業務を行う必要はありません。
そのため、仮に残業が必要になったとしても、そもそも定められていないとしたら、残業を受けなくていいことになります。
また、店舗の備品の使用、電話の使用などについても、かなり詳細に定めておく必要があります。
さらに、店舗に雇用契約のスタッフが在籍している場合には、その違いについて、スタッフ間においても明確になるようにしておかないと、トラブルが生じかねません。
基本的には、弁護士と相談できる体制を
上記に掲げたトラブル内容は日常的に、頻繁に起きるようなものではないかもしれませんが、業務内で生じる可能性を実感されたのではないでしょうか。
もし、このようなトラブルが生じたとしたら、トラブルの解決のためにスタッフや経営者はその間、クレームのあったお客様に対して付きっ切りで対応しなければなりません。
ほかのお客様に対する対応が疎かになってしまう可能性がありますし、安易に返金などしようものなら、スタッフからの信頼を失いかねません。
スタッフによる申し出であれば、一筋縄ではいかない可能性も考えられます。
場合によっては、スタッフの退職に繋がってしまうかもしれないからです。
サロンが賠償請求されるケースは多い
施術によってお客様がやけどしたり、肌荒れを起こしたり、肌を傷つけてしまうような事態が起きてしまうことは、よくあることかも知れませんが、高額賠償の危険性があるため注意が必要です。
とある美顔エステサロンにおいては、アトピー性皮膚炎が悪化したとして、裁判所はサロン側に約440万円の支払いを命じています。
もともと持病としてあったアトピー性皮膚炎が、施術をきっかけにして再発してしまったというものですが、それでもサロン側の責任を認めています。
また、業務委託契約のスタッフから、残業代の請求がなされて、裁判所が残業代として約280万円の支払いを命じた裁判例もあります。
もし、このような高額請求が命ぜられたとしたら、恐らくはサロン自体の存続に関わる問題となってしまうのではないでしょうか。
弁護士と相談できる体制があれば安心して業務に専念
お客様とのトラブルは、まずサロン側が誠心誠意、対応することが必要です。
しかし、もはやサロン側だけでは対応できないといったレベルのトラブルに発展した場合、弁護士の相談体制を構築しておけば、そこから先は弁護士に対応を任せることができます。
例えば、施術トラブルによる賠償問題、スタッフとの労務トラブルなどにおいては、法的な問題も絡むために、サロン側の対応だけでは解決が難しいケースも少なくありません。
なんとか話し合いでまとめようとしても、余計に話がこじれてしまい、さらに大きなトラブルに発展してしまう可能性も考えられます。
近年では、悪質クレーマーによるトラブルも多発しています。
そのような悪質なケースであれば、もはや話し合いによる解決は難しいために、速やかに弁護士による対処が必要です。
むしろ、「弁護士に対処をお任せする」という姿勢を常に持っておくことで、トラブルの予防にも繋がるものなのです。
いざとなった場合の弁護士保険
『弁護士に相談する』といっても、
- 高額な費用が心配・支払えない
- どの弁護士に相談していいのか分からない
とお考えの方が多いのではないでしょうか。
不安なく弁護士への相談体制を構築したいのであれば、『法人・事業者向けの弁護士保険』の加入を検討しましょう。
わずかな費用で弁護士に相談することができ、しかも日本全国で対処が可能で、仮にトラブル対処や訴訟が必要になったとしても割安な料金で依頼することができるのです。
サロンの多くは、お客様やスタッフとのトラブルを経験しており、法的なトラブルを抱えているようなケースも少なくありません。
また、そのようなケースがあるにもかかわらず、弁護士への相談体制を持っていないサロンがほとんどなのです。
もちろん、それは上記でもお伝えした費用の問題に加えて、気軽に相談できる弁護士が身近にいないといったことが原因だと考えられます。
法人・事業者向けの弁護士保険を活用して、サロンの経営に専念できるようにしておくといいでしょう。
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『事業者のミカタ』は、ミカタ少額保険株式会社が提供する、事業者の方が法的トラブルに遭遇した際の弁護士費用を補償する保険です。
個人事業主や中小企業は大手企業と違い、顧問弁護士がいないことがほとんど。法的トラブルや理不尽な問題が起きたとしても、弁護士に相談しにくい状況です。いざ相談したいと思っても、その分野に詳しく信頼できる弁護士を探すのにも大きな時間と労力を要します。
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