ホスラブとは、ホストラブの略称で、夜のお店や接客スタッフについてのインターネット掲示板です。
匿名で書き込めるという特性がゆえに、中には誹謗中傷や事実に反する内容が書き込まれるケースも見られます。
お店の営業妨害や個人の権利侵害となる場合は、発信者の情報開示請求を行い、加害者を特定する必要があります。
本記事では、ホスラブで情報開示請求する具体的な方法と、特定までの期間や費用相場を解説します。
実際の事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
こんな疑問にお答えします
Q.ホスラブで開示請求する方法と、費用相場を教えてください。
A.ホスラブで誹謗中傷や権利侵害を受けたときの開示請求の方法は、従来型の「発信者情報開示請求」と2022年10月に施行された「発信者情報開示命令」の2つがあります。
開示請求にかかる期間と費用は、従来型の発信者情報開示請求の場合は大体9〜10ヶ月、2022年10月施行のプロバイダ責任制限法改正後の発信者情報開示命令でかかる期間は、大体3〜6ヶ月程度です。
費用相場は、従来の方法では10万円以上、改正後の方法では、従来よりも費用が低いとされています。
ホスラブで開示請求が認められた事例
まずは、ホスラブで開示請求が認められた事例を2つご紹介します。
本人画像を無断で投稿し著作権侵害をした事例
令和2年、匿名の発信者が、ホスラブ上で本人画像を無断で投稿し、著作権を侵害したと主張。
裁判所は、書き込みによる権利侵害を認め、開示請求を認めました。
ホスラブに侮辱的な投稿をしたとして開示請求が認められた事例
令和3年3月、ホスラブに匿名投稿で侮辱的な書き込みがなされたとして、風俗店勤務の女性が発信者の情報開示を行った事例です。
裁判所の判断は、書き込み内容が権利侵害にあたると認め、2つのプロバイダに対して発信者の情報開示を命じました。
ホスラブで開示請求が認められるケース
ホスラブで開示請求が認められるには、どのような内容が該当するのでしょうか。
「名誉毀損」「侮辱罪」「プライバシーの侵害」の3つの観点から解説します。
名誉毀損にあたる内容
まずは、名誉毀損にあたる内容であるかどうかです。
名誉毀損とは、不特定多数の人が認識できる公然の場で、具体的な事実を示して他者の名誉を傷つける行為のこと。
公表した内容が、真実か虚偽かに限らず、他者の社会的地位を低下させた場合に名誉毀損罪が成立します。
例えば、ホスラブ上で、特定の人物に対して「〇〇は会社のお金を横領した」「〇〇には前科がある」といった誹謗中傷を行った場合は、名誉毀損にあたるとされ、情報開示請求ができます。
侮辱罪にあたる内容
侮辱罪にあたる内容であるかもポイントです。
侮辱罪とは、不特定多数の人が認識できる公然の場で、具体的な事実を示さずに、他者の社会的地位を下げるような行為をする犯罪のこと。
名誉毀損罪と似ていますが、侮辱罪は「事実の摘示がないこと」が大きな違いです。
例えば、ホスラブ上で、特定の人物に対して「〇〇はブスだ」「〇〇は頭が悪い」と、具体的な事実が示されない場合が、侮辱罪にあたります。
関連記事:【図解でわかりやすく】名誉毀損と侮辱罪の要件の違いと慰謝料の相場
プライバシーを侵害する場合
続いて、他者のプライバシーを侵害する場合です。
プライバシーの侵害とは、未公開の私生活や公開されて不快に思うような事柄、個人の私生活の事実を公開されること。
例えば、ホスラブ上で、特定の人物に対し、「〇〇が結婚した」「〇〇の自宅は〇〇にある」など、他者の本名や居住地、私生活に関する内容を、正当な理由がなく公開した場合が、開示請求の要件に該当します。
ホスラブの開示請求の方法①従来型の発信者情報開示請求
ホスラブ上で権利侵害を行った相手を特定する方法は、2つの方法があります。
従来型の「発信者情報開示請求」と、2022年10月に施行された「発信者情報開示命令」という方法です。
まずは、従来型の請求手順から解説します。
ステップ1:裁判所に発信者情報開示請求を行う
最初に、ホスラブの管理会社に発信者情報の開示をしてもらうために、裁判所に「発信者情報開示仮処分命令」の申し立てを行うようにしましょう。
ホスラブの管理会社に直接依頼する方法もありますが、応じてもらえない可能性が高いため、基本的には裁判所への申し立てが得策でしょう。
裁判所により開示請求が妥当だと判断されると、発信者のIPアドレスを入手できます。
ステップ2:IPアドレスから発信者のプロバイダを特定する
IPアドレスを入手したら、発信者のプロバイダを特定します。
プロバイダとは、ドコモやソフトバンク、フレッツ光といった回線業者のこと。
おすすめの特定方法として、JPNIC WHOIS Gatewayといった検索サービスを利用するといいでしょう。
このとき、プロバイダのアクセスログ保存期間には注意しましょう。
一般的に、IPアドレスの保存期間は、3〜6か月といわれています。
保存期間を過ぎてしまうと自動削除されるため、発信者の特定が困難になってしまいます
開示請求をする場合は、最低でも1か月以内に動くようにしましょう。
ステップ3:特定したプロバイダに情報開示請求とアクセスログの保存を申請する
続いて、プロバイダに対して発信者の名前、住所、電話番号の開示請求を求めます。
この場合の手順も、ステップ1の「発信者情報開示仮処分命令」と同様に、裁判所に申し立てを行うとスムーズです。
プロバイダからすると、発信者は顧客の一人となるため、請求に応じてもらえない可能性が高いからです。
ステップ4:プロバイダから発信者の情報を開示してもらう
裁判所で、発信内容が開示請求の妥当性があると決定されたら、プロバイダに対して契約者情報を開示するよう命じられます。
ここで、発信者が特定されます。
ホスラブの開示請求の方法②プロバイダ責任制限法改正後の発信者情報開示命令
続いて、2022年10月施行の「発信者情報開示命令」で行う開示請求の方法です。
改正後の特徴は、従来の方法で2段階必要だった裁判手続きが1回に短縮されるため、被害者の負担軽減につながります。
ステップ1:裁判所に対して発信者情報開示命令と提供命令の申し立てを行う
まず、裁判所に対して、ホスラブ管理会社を相手方とする発信者情報開示命令と提供命令の申し立てを行います。
提供命令を行うことで、裁判所を通じて、ホスラブ管理会社に発信者の利用するプロバイダ情報を提供するよう命じられます。
ステップ2:プロバイダへの発信者情報開示命令と消去禁止命令の申し立てを行う
プロバイダが分かったら、裁判所に対して、プロバイダを相手方とする発信者情報開示命令と消去禁止命令の申し立てを行います。
消去命令とは、発信者のログイン履歴を削除しないよう命じることです。
また、この時点での情報開示命令により、発信者の氏名と住所の開示が求められます。
ステップ3:裁判所による開示命令が出されると、情報開示される
裁判所による審理の結果、開示命令が下されると発信者の氏名や住所を入手できます。
また、開示請求の申し立て内容によっては、発信者の電話番号やメールアドレスも特定してもらえます。
ホスラブで開示請求するまでの期間と費用相場
ホスラブ上で権利侵害や誹謗中傷を受け開示請求をする場合の期間と費用相場を解説します。
特定までにかかる期間
発信者の特定までにかかる期間は、開示請求の方法や事案よって異なります。
以下の表にまとめたので参考にしてみてください。
開示請求の方法 | 特定までの目安期間 |
---|---|
従来型の発信者情報開示請求 | 9〜10か月程度 |
改正後の発信者情報開示命令 | 3〜6か月程度 |
期間はあくまで目安ですが、改正後の発信者情報開示命令は、従来の開示請求よりも短期間で進みます。
また、ここで再度注意したいのが、IPアドレスの保存期間があるということです。
大体3か月を過ぎると自動削除されるため、なるべく早めに行動に移すようにしましょう。
開示請求にかかる費用相場
情報開示請求にかかる費用は、従来型の開示請求と改正後の開示命令で異なります。
以下の表にまとめてみたので参考にしてみてください。
開示請求の方法 | 費用相場 |
---|---|
従来型の発信者情報開示請求 | 仮処分命令: 収入印紙代 2,000円程度 切手代 1,000円程度担保金:10万〜30万円訴訟費用: 収入印紙代 13,000円程度 切手代:6,000円程度 |
改正後の発信者情報開示命令 | 4,000円程度(印紙代、切手代別途) |
裁判所が仮処分を認める場合、担保決定後に納める担保金を支払う必要があります。
担保金は、後日開示が行われた際に、還付を受けられる仕組みとなります。
また、弁護士に依頼する場合は、別途依頼費用が発生します。
弁護士依頼費用や料金形態は、法律事務所によって異なるので確認しましょう。
ホスラブの誹謗中傷で悩んでいる場合は弁護士への相談がおすすめ
ホスラブ上での権利侵害や誹謗中傷で悩んだ場合のおすすめの相談先は弁護士です。
ホスラブの開示請求を弁護士へ依頼するメリット
ホスラブの開示請求を弁護士に依頼する事で、以下のメリットが得られます。
- 開示請求の対象として認められるかどうか判断してもらえる
- 情報開示請求の流れをすべて任られる
- 発信者特定後の慰謝料請求も一任できる
情報開示請求を行うには、裁判所に対しての手続きや、資料集めが必要となります。
そのため、法律のプロである弁護士に依頼することで、すべての流れを一任できます。
また、開示請求の方法は2通りあると解説しましたが、弁護士に相談することで、どちらの方法が適しているかもアドバイスしてもらえます。
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情報開示請求をスムーズに行うためにも、弁護士保険も視野に入れましょう。
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記事を振り返ってのQ&A
Q.ホスラブで誹謗中傷や権利侵害を受け開示請求をする場合に認められる条件はありますか?
A.「名誉毀損」「侮辱罪」「プライバシーの侵害」に該当する際、開示請求が認められます。
名誉毀損にあたる内容は、不特定多数の人が認識できる公然の場で、具体的な事実を示して他者の名誉を傷つけるものであること。公表した内容が、真実か虚偽かに限らず、他者の社会的地位を低下させた場合に名誉毀損罪が成立します。
侮辱罪とは、不特定多数の人が認識できる公然の場で、具体的な事実を示さずに、他者の社会的地位を下げるような行為をする犯罪のこと。
プライバシーの侵害とは、未公開の私生活や公開されて不快に思うような事柄、個人の私生活の事実を、公開されることです。
これらのケースは、開示請求の判断材料となり得ます。
Q.ホスラブで誹謗中傷や権利侵害を受けたときの開示請求の方法が知りたいです。
A.ホスラブ上で権利侵害を行った相手に対し、開示請求をする方法は、従来型の「発信者情報開示請求」と2022年10月に施行された「発信者情報開示命令」の2つがあります。
従来の発信者情報開示請求の手順は以下の通りです。
- 裁判所に発信者情報開示請求を行う
- IPアドレスから発信者のプロバイダを特定する
- 特定したプロバイダに情報開示請求とアクセスログの保存を申請する
- プロバイダから発信者の情報を開示してもらう
続いて、2022年10月に施行された「発信者情報開示命令」は以下の手順で行います。
- 裁判所に対して発信者情報開示命令と提供命令の申し立てを行う
- プロバイダへの発信者情報開示命令と消去禁止命令の申し立てを行う
- 裁判所による開示命令が出されると、情報開示される
いずれの開示請求方法でも注意したい点は、プロバイダが保存するIPアドレスは一定の期間があるということです。通常3ヶ月を過ぎると情報は自動削除され、発信者の特定が困難になってしまいます。ホスラブで書き込まれてから遅くても1ヶ月以内で開示請求を行いましょう。
Q.発信者に開示請求をする場合、どれくらいの期間と費用がかかりますか?
A.従来型の発信者情報開示請求の場合は大体9〜10ヶ月、2022年10月施行のプロバイダ責任制限法改正後の発信者情報開示命令でかかる期間は、大体3〜6ヶ月程度かかります。
費用相場は、従来の方法では10万円以上、改正後の方法では従来よりも費用が低いとされています。