爆サイへ開示請求を行う手順は?弁護士に相談するのが良いケースも

「爆サイ」とは、匿名で書き込みができる掲示板サービスです。
爆サイの掲示板は、関東・関西・東海・四国…のように各地域ごとに準備されているため、地元住民が気軽にコミュニケーションをとれる場となっています。

しかし、誹謗中傷やプライバシーの侵害などの問題が起こりやすい場であることも現状です。

爆サイで自身の誹謗中傷や個人情報が書き込まれた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

いざそのようなことが起これば慌ててしまいますが、適切に開示請求をして投稿者の身元を特定すれば、泣き寝入りせずに対処できます。

そこで本記事では、爆サイへ開示請求を行う手順を解説します。
弁護士に依頼するのが良いケースも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

こんな疑問にお答えします

Q:爆サイで私の悪口が書き込まれているのを発見しました。どのように対処するのが適切ですか?
A:爆サイへの開示請求は、正しい手順があります。 開示請求ができる条件としては、その投稿内容に「権利侵害」がみられることです。まずは投稿が削除される前に、急いでスクリーンショットなどの証拠を残しましょう。その次は、爆サイに投稿者のログ保存依頼を行います。そして、開示請求の書類送付手続きをします。開示請求により投稿者の身元を特定できた場合は、「今後悪質な投稿をしない誓約の締結」や「民事責任追及」、「刑事責任追及」のように複数の対処法があります。開示請求は個人でも可能ですが、煩雑な手続きを迅速にこなす必要があるので弁護士に相談・依頼するのもおすすめです。

 

爆サイへ開示請求できる書き込みの特徴

爆サイへ開示請求できる書き込みの特徴は、投稿内容に「権利侵害」が認められることです。

具体的には、以下が権利侵害の例になります。

権利侵害の種類

具体的行為

悪質な投稿例

プライバシーの侵害 本人が公開されることを望んでいない個人情報や私生活の情報をむやみに暴露する行為 本名・住所地・勤務先情報・出社時間など
名誉毀損 具体的事実を挙げて本人の評判を下げる可能性がある言動 「◯◯さんは不倫をしている」

「◯◯さんは、以前刑務所に入ってた」

侮辱 具体的事実を挙げずに本人の評判を下げる可能性がある言動 「〇〇さんはただのクズ」

「〇〇さんは役立たず」

業務妨害 嘘の情報を公開して、事業者の業務を妨害する行為 「店内が不衛生で虫が湧いている」

「賞味期限切れの食材を提供している店」

脅迫発言 生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加えることを予告する行為 「今度殺す」

「痛い目に遭わせてやる」

 

爆サイへの開示請求が難しい書き込みの特徴

一方、爆サイへの開示請求が難しい書き込みの特徴は主に以下の2つになります。

投稿から時間が経ちすぎている

まずは、投稿から時間が経ちすぎている場合です。

投稿者を特定するためにはIPアドレスを調べることが必須ですが、サーバーに情報が保存される期間は限定的です。

保存期間は投稿者のデバイスによってさまざまですが、携帯3キャリアは約3ヶ月、光回線などは約3〜6ヶ月です。

該当期間が過ぎてしまった場合、投稿者を特定するのは難しくなります。そのため開示請求を行う際は、できるだけ早く行動することを心掛けましょう。
少なくとも、投稿から1ヶ月以内に手続きを進めるのが大切です。

書き込みに個人を特定できる要素がない

書き込みに個人を特定できる要素がない場合も、開示請求はできません。

イニシャルやネット上のハンドルネーム、役職名などを挙げた書き込みでは権利侵害に該当しないケースがほとんどです。例えば「上司が不倫している」という書き込みのように個人を特定するのが困難なケースが該当します。

ただし、誰もが簡単に特定の人物を推測できる書き込みであれば権利侵害となるケースもあります。

爆サイへ開示請求する手順とは

それでは、爆サイへ開示請求する手順を解説します。

証拠を保存する

第一に、証拠を保存してください。

スクリーンショットや印刷・インターネット魚拓などを使って、悪質な投稿を証拠として残しましょう。後に弁護士に相談する場合や裁判になる場合に備えられます。
念のため、悪質な投稿のURLもあわせて控えるのがおすすめです。

悪質な投稿は削除される場合もあるので、証拠の保存は手早く行いましょう。

投稿者のログ保存を依頼する

次に、爆サイの「ログ照会依頼フォーム」より投稿者のログ保存を依頼しましょう。

悪質な投稿をした人のログが消去される前に、ログ保存の申請をする必要があります。

こちらの画像が、実際のログ照会依頼フォームになります。

引用元:爆サイ

必要事項を入力後、最下部の「確認ボタン」を押せば申請完了です。
個人の場合、「所属機関名」「部署名」には依頼者の名前を入力します。

照会依頼が承認された場合は、1週間程でログ保存完了のお知らせメールが届きます。

発信者情報開示請求書を送付する

爆サイの管理会社へ発信者情報開示請求書を送付すれば、投稿者のIPアドレスなどの情報を取得できます。
発信者情報開示請求書を送付できるのは、被害者本人か弁護士などの代理人に限られる点には注意してください。

また、発信者情報開示請求書を送付する際は「本人であること」や「権利侵害の証拠」も提示する必要があります。

以下の書類もあわせて送付しましょう。

  • 本人確認書類
  • 発信者情報開示請求書に押印した印鑑の印鑑登録証明書(3ヶ月以内)
  • 権利侵害を証明する資料(URLではなくスクリーンショットの印刷分など)
  • その他必要に応じた書類

爆サイが開示請求申請を受理した場合は、投稿者のIPアドレス等の情報が開示されます。
ここで爆サイ側が開示請求に応じなかった場合は、弁護士へ依頼するのも選択肢です。

プロバイダへも開示請求を行う

投稿者のIPアドレスが判明した状態で裁判所が発信者情報の開示命令を出した場合、プロバイダからも情報が提供されます。
その際、プロバイダ側からは「IPアドレス利用者名」「居住地」「メールアドレス」など投稿者の個人情報が開示されます。

これらの情報が開示されれば投稿者を特定でき、開示請求の一連の流れを終えたことになります。

開示請求を終えた後、被害者側は投稿者に対して名誉回復処分を求めることが可能です。具体的にできることについては下記にて解説します。

爆サイへの開示請求後にできることは

爆サイへの開示請求後にできることは、以下になります。

二度と悪質な書き込みをしない誓約をさせる

再度、同じ投稿者が悪質な書き込みをしないように誓約書を提出させるのは、一つの有効手段です。

誓約書を提出した側は、誓約内容を遵守する義務が生じます。
また、誓約書の内容には「誓約に違反した際は損害賠償を支払う」という旨も含まれることが一般的です。
したがって、投稿者が再度権利侵害になる投稿をした際は、損害賠償を請求しやすくなります。

民事責任を追求する

民事責任を追求することも可能です。

損害賠償を請求する場合、まずは二者間で話し合う「示談交渉」を行います。
双方の合意のもと示談が成立すれば、被害者は損害賠償を受け取ります。

示談が成立しなかった場合は、民事調停や民事訴訟に移行し第三者を交えて解決を図ります。

刑事責任を追求する

最後に、刑事責任を追求することです。

投稿内容が「名誉棄損罪」などのように刑事罰に該当する場合に限っては、刑事告訴も検討できます。

刑事事件として最終的に「有罪」となれば、投稿者に懲役刑や罰金刑などの刑事罰がくだります。

爆サイへの開示請求は弁護士に相談するのも視野に

爆サイへの開示請求は、弁護士に相談するのも選択肢です。
以下、弁護士に相談する際に知っておくべきことを解説します。

弁護士費用の相場

開示請求に掛かる弁護士費用の相場は、40~70万円程度です。

費用相場は裁判上の手続きではない「任意手続き」か、裁判上の手続きである「法的手続き」かで変わってきます。さらに、サイト管理会社のみへの開示請求かプロバイダへの開示請求も依頼するかも費用に影響します。

下記を参考にしてください。

サイト管理会社への開示請求

任意手続き 着手金:約5万円

報酬金:約10万円

法的手続き

着手金:約20万円

報酬金:約15万円

プロバイダへの開示請求

任意手続き 着手金:約5万円

報酬金:約10万~20万円

法的手続き

着手金:約20万~30万円

報酬金:約15万~20万円

上記の表では、あくまでも目安の費用を紹介しています。
依頼先によって費用は異なるため、実際に相談する際は直接確認しましょう。

弁護士に相談するメリット

弁護士へ相談することのメリットは、以下になります。

  • 開示請求に掛かる労力や時間を削減できる
  • 開示請求を成功させやすい
  • 人に相談することで安心感を得られる

開示請求に関して不安や戸惑いが大きい場合は、弁護士に相談することで大きなメリットを得られるでしょう。

弁護士に相談するデメリット

一方、弁護士に相談するデメリットは「費用が掛かること」です。

実際に依頼するとなれば、多額の費用が掛かる場合もあるので慎重に検討する必要があります。
しかし相談のみの場合は初回無料または安価の場合もあるので、まずは相談を検討するのも良いでしょう。

また注意したいのは、投稿者から慰謝料を受け取った場合でも、結果的に弁護士費用の方が高くなることがある点です。
費用面のデメリットを十分理解したうえで、弁護士への依頼を検討してください。

弁護士に相談するのが良いケースとは

弁護士に相談するメリット・デメリットは先述した通りです。
では、弁護士に相談するのが良いのはどのようなケースでしょうか。

まずは、「自力での対応が難しい場合」です。
爆サイへの開示請求は、被害者が自力で対応することも可能です。
ただし、煩雑な手続きを手早く行うとなれば大きな負荷が掛かるでしょう。ログが保存される期間の短さを考慮すれば、手続きは早めに進める必要があります。
そこで、弁護士に開示請求を依頼すれば着実に手続きを進めてもらえます。

他には「開示請求に応じてもらえなかった場合」が該当します。
実情として、自身で手続きをした際は開示請求に応じてもらえないケースも少なくありません。
その場合は、弁護士に相談する方向に転換するのがおすすめです。

弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。保険が弁護士費用を負担してくれるので助かります。

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まとめ

悪質な投稿による権利侵害が問題となっている昨今。
明らかな権利侵害が認められる場合は、開示請求による対処が可能です。

そして、万が一被害に遭った際は冷静に手続きを進めることが重要です。

ご自身で開示請求の手続きをするのも可能ですが、複雑な手続きを迅速に進めるのは決して簡単ではありません。

そこで、独力での対応に限界がある場合は弁護士への相談・依頼も視野に入れましょう。
もちろん弁護士に相談・依頼するとなれば費用が掛かりますが、着実に手続きを進められます。

記事を振り返ってのQ&A

Q:開示請求が可能な「権利侵害」とは?
A:例えば「プライバシーの侵害」「名誉毀損」「侮辱」「業務妨害」「脅迫発言」が挙げられます。

Q:爆サイに開示請求を行う手順は?
A:まずは必ず悪質な投稿の証拠を手元に残し、ログ保存依頼を行います。
その次に、開示請求の申請書類を管理会社・プロバイダに送付し投稿者の身元特定に向けて動きます。

Q:開示請求を弁護士に依頼した方が良いケースとは?
A:「自力での手続きに自信がない場合」「開示請求を行っても応じてもらえなかった場合」です。