納期遅れのお詫びはどう伝える?シチュエーション別の例文を紹介

「納期が遅れてしまった…」

企業担当者個人事業主(フリーランス)の誰もが経験するであろう納期遅延。自社・自分のミスでなかったとしても、何らかの事情で納期に間に合わないこともあるでしょう。

そんな時、顧客や取引先にどのようにお詫びすれば信頼関係を維持できるでしょうか。

納期遅延に対する対応を間違えてしまうと顧客の不満を高め、最悪の場合法的トラブルに発展してしまうかもしれません。

そこで本記事では、納期遅延のお詫びを伝える際のポイントとシチュエーション別の例文を紹介します。

こんな疑問にお答えします

Q.納期遅れは電話かメールどちらで伝えるべきですか?

A.緊急時は電話で一報入れましょう。電話がつながらなかったり、納期調整に関する連絡はメールで伝えます。
納期遅れの連絡を怠ったり対応方法を誤ったりすると、トラブルに発展するおそれがあるので注意しましょう。

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納期遅れで適切に対応しないと起こり得るトラブル

納期遅延は、顧客との信頼関係を損なうだけでなく、さまざまトラブルを引き起こす可能性があります。適切な対応ができないと、以下のような事態に発展する恐れがあるので注意が必要です。

返金を要求されたり報酬支払いを拒否される可能性がある

納期遅れは、取引関係において重大な信頼損失を招くことがあります。

特に、契約において納期が明確に定められている場合、その納期を守れなかった際には顧客からの返金要求や報酬の支払い拒否に直面することがあるかもしれません。

こうした状況は、双方の関係を悪化させ、今後のビジネスチャンスを失うだけでなく会社の評判にも影響を与えかねません。納期遅れが発生した場合は、迅速かつ透明性のあるコミュニケーションで顧客との信頼関係を保持し、適切な対処が重要です。

遅延損害金など損害賠償請求される可能性がある

返金要求や報酬の支払い拒否に加え、契約上定められた遅延損害金の支払い義務が生じるケースがあります。この遅延損害金は、納期遅れによって発生した損害を補償するためのもので、契約書にその条件や計算方法が記載されることが一般的です。

遅延が長期化すると、支払うべき遅延損害金の額も大きくなり、財務に大きな負担をもたらしかねません。加えて、納期遅延による被害が増大してしまうと損害賠償請求に発展する可能性もあります。

納期管理は契約履行における重要な要素であり、細心の注意を払う必要があります。

場合によっては不当な要求を受け法律トラブルに発展するケースも

納期遅れによっては、合理的な範囲を超えた不当な要求を顧客から受ける場合もあります。

たとえば、納期遅れに伴う損害が実際には存在しないにもかかわらず、過剰な損害賠償を請求されたり、契約にないペナルティを要求されたりというトラブルです。

これらの要求に応じるかどうかの判断は、非常に難しいものです。場合によっては法律的なアドバイスを得る必要があるかもしれません。

不当な要求に対処する際は、法律の専門家と相談し適切な対応策を講じることが重要です。こうしたトラブルは、ビジネス関係だけでなく企業の社会的評価にも影響を及ぼすため、慎重に対応する必要があるでしょう。

納期遅れによる損害賠償を請求された事例

実際に、納期遅れによって損害賠償請求されてしまった事例を紹介します。

納期遅れを理由に80万円の損害賠償請求

クラウドソーシングサービスにより、映像制作の案件を引き受けたフリーランスが、納期遅れを理由にクライアントから80万円の損害賠償請求をされた事例です。

納期に間に合わず先方に連絡をしたところ、初稿納品日が元請けとの打ち合わせを行う日だったため、損害賠償請求されてしまいました。

参考:https://crowdworks.jp/consultation/threads/13089

契約期間内に解除連絡と共に返金と損害賠償請求

Webアプリのソフト開発を受託したデザイナーが、発注側から契約解除と返金・損害賠償請求合わせて約873万円の支払いを求められた事例です。

発注側の主張としては、ソフト開発の進行状況が曖昧で不安を覚えたため、途中の契約解除を申し出た、と言うことです。その際、原状回復請求に基づいて約493万円の支払いと、債務不履行に基づく賠償金として約380万円の請求をされました。

参考:https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/11/26/172813

納期遅れのお詫びを伝える手段

納期遅延が発覚した場合は、状況に応じて適切な手段を選択することが重要です。

具体的な手段として「電話」と「メール」があります。

緊急時は電話で一報が基本

納期遅れが発生した場合、直ちに関係者への情報共有が欠かせません。まずは電話で直接状況を報告しお詫びしましょう。

電話であれば、リアルタイムで状況を伝えられ、相手の反応も即座に把握できます。この際、謝罪の意をしっかりと伝え、発生した問題の概要や原因、対応策など具体的な情報を伝えます。

電話での一報は、信頼関係を保ちつつ迅速な解決に向けた第一歩になります。納期遅れの事実を誠実に伝えることで、事態の悪化を防ぎ双方が納得のいく解決策を見出すきっかけとなるでしょう。

電話がつながらないときや新しい納期の連絡はメールで伝える

電話がつながらない場合や電話連絡後に新しい納期を連絡した場合は、メールで伝えます。

メールであれば、納期遅れの詳細、影響範囲、対応計画などを文書化し、双方が正確な情報を共有できるでしょう。また、メールは記録として残るため、後日の確認や何かトラブルが発生した際の証拠としても役立ちます。

メールを送る際は、件名を明確にし、メールの冒頭で納期遅れに対する謝罪の意を表明することが肝心です。そのうえで、具体的な事実関係と今後の計画を丁寧に説明しましょう。

納期遅れのお詫びメールをシチュエーション別に解説

納期遅延のお詫びメールは、状況によって内容を調整する必要があります。具体的に、以下の4つのシチュエーション別のテンプレートをご紹介します。

想定外の受注により生産が追いつかず遅延した場合

1つ目に、受注量が多く生産が追いつかない場合の対応例です。

件名:【お詫び】〇〇〇納期遅延のご連絡

 

株式会社△△△△ 御中

 

いつも大変お世話になっております。

 

貴社にご注文いただきました【商品名】につきまして、想定外の受注増加により生産が追いつかず、大変遺憾ながら納期の遅延が発生する見込みであることをご報告申し上げます。

 

【新しい納期】を目途に全力で作業を進めておりますが、このたびの遅延により、貴社の事業運営に影響を与えてしまうことを深くお詫び申し上げます。

 

何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。引き続き、納期の前倒しを目指して努力して参りますので、ご容赦いただけますと幸いです。

 

株式会社〇〇〇〇
〇〇〇〇

自社のミスや手違いによる納期遅れの場合

自社のミスや手違いによる納期遅れの場合のテンプレをご紹介します。

件名:【お詫び】納期遅延のお知らせ

 

株式会社△△△△ 御中

 

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 

この度は、【商品名】の納期に関しまして、自社のミスによる遅延が発生いたしましたことを心よりお詫び申し上げます。

 

【新しい納期】を目指して全力で対応しておりますが、このたびの遅延により貴社に多大なるご迷惑をおかけしてしまい、深く反省しております。

 

今後このようなことがないよう、内部管理を一層強化し、質の高いサービスの提供に努めます。貴社のご期待に添えるよう、精一杯努力して参りますので、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

 

株式会社〇〇〇〇
〇〇〇〇

自然災害による遅延の場合

納期遅れは、地震や台風といった自然災害によっても発生し得ます。自然災害による納期遅延は、以下のように対応しましょう。

件名:【お詫び】自然災害に伴う納期遅延のご報告

 

株式会社△△△△ 御中

 

平素より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。

 

この度は、ご注文いただきました〇〇〇の納期が遅延いたしますこと、深くお詫び申し上げます。

 

当初、〇〇〇年〇月〇日までの納品を予定しておりましたが、

〇〇〇年〇月〇日に発生した台風〇〇号の影響により物流網が寸断されてしまい、
商品の輸送が遅延しております。

 

現在、代替の輸送手段を確保しており、〇〇〇年〇月〇日までの納品が可能となる見込みです。

 

納期遅延により、ご迷惑をおかけしましたことを重ねてお詫び申し上げます。

 

今後も、自然災害による影響を最小限に抑えられるよう、対策を検討してまいります。

 

何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

株式会社〇〇〇〇
〇〇〇〇

交通渋滞による遅延の場合

件名:【重要】納期遅延に関するお知らせとお詫び

 

株式会社△△△△ 御中

 

平素より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

 

貴社にご注文いただきました【商品名】ですが、配送途中の交通渋滞により、予定しておりました納期に遅れが生じる見込みでございます。

 

【新しい納期】にてお届けできるよう最善の努力をしておりますが、この度の遅延により貴社の運営にご不便をおかけすることとなり、大変申し訳ございません。

 

今後はこのような事態が発生しないよう、配送体制の見直しを含めた改善策を講じて参ります。貴社のご理解とご容赦を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

株式会社〇〇〇〇
〇〇〇〇

メールを送る際は、事前に電話で一報している場合は「電話でお伝えしました件〜」と一言添えるといいでしょう。

メールのみで連絡する場合は「メールにて恐縮ですが、取り急ぎご報告させていただきます」と一文追加しましょう。

また、メールを送信しても相手が気付かない場合もあります。メール送信後は、再度電話連絡した方が無難といえます。

納期遅れのお詫びでトラブルを回避するポイント

納期遅延によるトラブルを回避するためには、お詫びの際に以下のポイントに注意する必要があります。

納期に間に合わないと分かった時点で連絡する

納期に間に合わないことが明らかになった瞬間に、速やかに連絡しましょう。

早期の連絡により、顧客が状況を理解し、計画を再調整するための時間を確保できます。

遅延の事実を隠したり連絡を先延ばしにしたりすると、顧客の不満を高めてしまうかもしれません。

透明性をもって早めに情報を共有することで、顧客の理解と協力を得やすくなりトラブルを回避する第一歩になるでしょう。

自社に非がなくても言い訳しないこと

納期遅延に自社に非がない場合でも、言い訳は控え、誠意を持って謝罪することが重要です。

たとえば、自然災害や第三者の過失による遅延であっても、お客様にとっては納品されない不便さの方が重大です。

もちろん、遅延理由や状況の説明は必要ですが、それを言い訳にして責任逃れをするのではなく「何が起こり、どう解決に向けて動いているか」を中心に伝えることが重要です。

誠意を持って謝罪する

納期遅れのお詫びは、形式的な謝罪ではなく、誠意を持って謝罪する必要があります。

謝罪の言葉を丁寧に選び、顧客に対する深い配慮と理解を示すことで、お客様の不満や怒りを和らげ状況を好転させられるかもしれません。

謝罪の際は、顧客の立場に立った表現を心掛け、不便や損害を真摯に受け止める姿勢を見せてください。

調整後の納期を伝える

納期遅れをお詫びする際には、ただ謝るだけでなく、新たに調整された納期を明確に伝えることが重要です。

このとき、新しい納期は実現可能なものでなければなりません。過去の遅延を繰り返さないように、納期の見直しには慎重になる必要があります。

調整後の納期を伝える際は、具体的な計画と、それを実現するための取り組みを説明し、信頼を回復する努力が必要でしょう。

納期調整を承諾してもらえたら感謝を伝える

顧客が新しい納期に同意してくれた場合、その寛大さに対する感謝の気持ちを伝えることは非常に重要です。

たとえば、以下のような一文です。

納期調整にご理解いただき、誠にありがとうございます。
今後のご期待に添えるよう、より一層努力してまいります。

感謝の意は、顧客が見せてくれた理解と協力への誠実な評価であり、今後の良好な関係を維持するうえで欠かせません。今後のビジネスにおいても、良好なコミュニケーションを期待できるでしょう。

再発防止の改善策を伝える

納期遅れの問題を真摯に解決し将来的な信頼性を確保するためには、再発防止策の具体的な計画を伝えましょう。

再発防止策には、遅延の原因を分析し、それに基づいた改善措置を含んでください。

この改善策を通じて、顧客に対して自社の問題に対する責任感と、同様の問題を未然に防ぐ積極的な姿勢を示せます。

透明性と向上心は、信頼を再構築するための重要なステップになるでしょう。

納期遅れでトラブルに発展した場合は弁護士へ相談

納期遅れは、お詫びの連絡と納期調整で解決できるケースがありますが、時に法的な問題へと発展することもあるでしょう。

そこで頼りになるのが弁護士の存在です。事業トラブルに詳しい弁護士であれば、専門的な知識を持って解決を目指してくれます。

ただ、弁護士へ相談すべきかどうか判断がつかない事案も多いでしょう。

次のような状況になってしまった場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。

  • 顧客から損害賠償請求を受けている
  • 顧客との交渉がうまくいっていない
  • 法的な措置を取る必要がある
  • 今後の対応について専門家の意見が欲しい

このような状況では、専門的な知識を持つ弁護士に相談することが非常に重要です。

納期遅れによるトラブルを弁護士に相談するメリット

納期遅れによるトラブルを弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  • 法的なアドバイスを受けられる
  • 顧客との交渉を有利に進められる
  • 法的な措置を取るための適切な準備ができる
  • 納期遅延を理由に不当な要求をしてくる相手に対しても相談者の権利を保護してくれる

弁護士は、納期遅れに伴う契約違反の評価、遅延損害金の計算、さらには交渉や訴訟の手続きに至るまで、法的側面から適切なアドバイスを提供してくれます。

また、弁護士は問題を公正に評価し、最も効果的な解決策を提案することで企業リスクを最小限に抑えてくれるでしょう。

特に、納期遅れに関連する契約内容が複雑である場合や、大きな損害賠償が関わる場合には、弁護士のサポートが欠かせません。

弁護士に相談するときは、納期遅延の程度や顧客との信頼関係、顧客との交渉状況など、できるだけ詳しく状況を説明できるよう整理しておいてください。

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ビジネスを運営する上で、納期遅れをはじめとするさまざまなトラブルは避けられないものです。

これらのトラブルが発生した際に迅速かつ効果的に対処するためには、弁護士保険の加入を検討することがおすすめです。

弁護士保険とは、納期遅れによる契約トラブルやその他の法的問題に関する弁護士費用をカバーしてくれる保険のこと。必要な法的サポートを受ける際の費用の心配を軽減し、企業は安心して事業に集中できます。

また、弁護士保険は予防法務の観点からも有効であり、契約の段階でのリスクヘッジにも貢献します。事業運営においては、不測のトラブルへの備えとして、法人・事業者向けの弁護士保険の検討がおすすめです。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.納期遅れによってどんなトラブルが起きる可能性がありますか?
A.納期遅れは、取引関係において重大な信頼損失を招くことがあるので、返金要求や契約解除、場合によっては損害賠償請求されるケースもあります。

Q.納期遅れは電話かメールどちらで伝えるべきですか?
A.緊急時は電話で一報入れましょう。電話がつながらなかったり、納期調整に関する連絡はメールで伝えます。

Q.納期遅れのお詫びでトラブルを回避するポイントを知りたいです。
A.納期に間に合わないことが明らかになった瞬間に、速やかに連絡しましょう。また、納期遅延に自社に非がない場合でも、言い訳は控え誠意を持って謝罪することが重要です。