エイジハラスメント第7話あらすじ
英美里(武井咲)と自分の不倫相手である保科(小泉孝太郎)との関係を疑っている百合子(稲森いずみ)は、英美里を2人きりの食事に誘い、付き合っているのかどうか聞き出そうとするも確証は得られず、2人への疑惑は募るばかり……。
嫉妬心を抑えきれなくなった百合子は、その翌日からタチの悪いパワハラを始めます。
その内容は、英美里の仕事を取り上げて、他の従業員に振り分けるというもの。百合子と保科の関係を知らず、なぜ自分がこんな目に遭っているのか心当たりのない英美里はこれにただただ困惑します。
そんな中、総務課では、次長の浅野(吹越満)が井川(瀬戸康史)のアイデアを自分のものとして上に発案し手柄をたてます。
これには井川も「部下の手柄が上司の手柄になった。こんなことが許されるのか!」と憤慨し、総務課の雰囲気はますます険悪モードになっていきます。
重労働だけじゃない?仕事を与えないというパワハラ
「パワハラ」とは、職務上の地位を利用して、立場の高い者が低い者に対して精神的・肉体的苦痛を与える行為のことを指します。
「パワハラ」というと、上司が部下に対して、明らかに終わらない量の仕事を与えたり、暴言を吐いたりという内容を想像しがちですが、それだけではありません。
今回のドラマで百合子が英美里に対して行ったように、明らかに仕事を取り上げたり、能力を過小評価した雑務のような仕事しか与えなかったりすることも、立派なパワハラとみなされます。
実際に、厚生労働省も「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」において、パワハラの行為類型のひとつとして過少な要求がパワハラにあたると発表しています。
職場のパワーハラスメントの行為類型(報告書p5・6)
職場のパワーハラスメントの行為類型を以下のとおり挙げた(ただし、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではないことに留意する必要がある。)。
類型 具体的行為
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
過少評価パワハラの訴訟例
それではここで、明らかに能力を過小評価した業務命令を長期間続け、部下に精神的苦痛を与えたとみなされた訴訟例をご紹介します。
【隔離及び自宅研修】(東京高判平成5年11月12日)
この事案は、研修を命じる業務命令が不法行為とされたケースです。事案の概要は、学校法人Yの設置する高等学校の教諭Xが、それまで担当していた学科の授業、クラス担任等一切の仕事を外された上、何らの仕事も与えられないまま4年半にわたって別室に隔離され、さらに7年近くにわたって自宅研修をさせられ、年度末一時金の支給停止等の差別的取扱いをされているのは不法行為であるとして慰謝料の支払いを求めたというものです。判決では、請求の一部が認容され、Yに慰謝料600万円の支払いを命じました(一審は慰謝料400万円)。
判決の内容は、YがXに対し行ってきた不利益な取り扱い(仕事外し、職員室内隔離、自宅研修という過酷な処遇を行い、賃金等の差別)を認定し、その原因について、「多分に感情的な校長の嫌悪感に端を発し、その後些細なことについての行き違いから、Y側が感情に走った言動に出て、執拗とも思える程始末書の提出をXに要求し続け、これにXが応じなかったため依怙地になったことにあると認められる」とした上で、「その経過において、Xのとった態度にも反省すべき点がなかったわけではないが、この点を考慮しても、Yの行った言動あるいは業務命令等を正当づける理由とはならず、その行為は、業務命令権の濫用として違法、無効であることは明らかであって、Yの責任はきわめて重大である」と述べています。
過小評価によるパワハラの難しいところは、それが部下の能力に見合った適切な業務命令であるのかどうかの判断基準が明確でない点にあります。
しかし、上の訴訟例が示しているように、これはれっきとしたパワハラのひとつです。
裁判では、嫌がらせの期間や、他の社員との比較しての仕事量等が考慮されるケースが多いので、その点を意識して準備をするとよいでしょう。
もし、会社から不当な扱いを受けている場合は、弁護士に相談してみましょう。弁護士であれば、相談者の権利を最優先に考えて解決してくれます。
弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。保険が弁護士費用を負担してくれるので助かります。