近年では、医療の分野にてセカンドオピニオンという言葉をよく耳にします。
セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の医師に第二の意見を求めることです。
これは法律の分野でも求められるケースが多く、実際に何件も法律相談を行われている方も多くいらっしゃいます。
しかし、医療の現場とは違い、弁護士の法律相談というのは、相談者からの情報だけで法的な判断をするだけでなく、そこには客観的な事実関係も必要となります。
いくら相談者が「これが事実だ」と言っても、正しいかどうかの判断は容易ではありませんし、もちろん弁護士が得た情報が異なれば、それぞれの判断も変わってくるのです。
弁護士によるセカンドオピニオンには、このような難しい現実も存在しています。
そもそも別の弁護士に相談するのは有り?
冒頭にて弁護士のセカンドオピニオンの現実について触れましたが、そもそも別の弁護士に相談するのは有りなのか?といった疑問をお持ちの方も多いはずです。
結論から言えば、複数の弁護士への相談は問題ありません。
現在、弁護士に依頼している方であっても、その弁護士の事件処理に疑問が生じているのであれば、他の弁護士に相談することは可能です。
しかし、他の弁護士にそのまま依頼するとなれば、委任関係が2つ以上生じることになるため、完全なマナー違反となります。
委任関係の重複を良しとする弁護士はまずいないので、まずは委任関係を解消してからと言われてしまいますし、黙って委任関係を結んでしまうのも良くはありません。
これだけで円滑な事件処理が出来なくなってしまうので、依頼の重複だけには注意しましょう。
弁護士に掲示する情報は統一させる
それでは、具体的に弁護士へのセカンドオピニオンについても見ていきましょう。
まず、弁護士へのセカンドオピニオンが難しい理由の1つが情報の錯綜です。
毎回のように言い方を変えたり、以前は持っていかなかった新たな証拠を持っていったりと、情報が統一していなければ、当然、弁護士の判断も異なってきます。
よって、弁護士へのセカンドオピニオンを求めるのであれば、提示する情報は必ず統一させてください。
毎回違うことを言っていれば、それに対して弁護士は法的判断をしていきますので回答が異なってしまってもおかしくはありません。
また、これでは先に相談した弁護士、後に相談した弁護士、どちらの判断が本当に正しいのかの判断基準にもなり得ません。
さらに、相手方がいる問題であれば、相談者からの主張だけが全面的に正しいかどうかも明確な判断はできません。
相手がいる以上、相手の主張もあります。
相談者からの情報がすべて真実ではないと判断するのは、弁護士として決しておかしなことではないのです。
本当に必要な情報の判断は難しい
また、法律相談する上で、自分にとって不利益があり、あまり触れてほしくない部分や、話したくない事情などがある方も多いです。
しかし、その部分や事情こそが、まさに法的な判断に必要になるということも珍しくはありません。
この弁護士は話しやすいからここまで話してしまった、あの弁護士は話しにくいからこの情報は黙っておこうといったように、弁護士への話しやすさなどを理由に本当に必要な情報を出していない場合があるのです。
これでは弁護士の意見が変わるのも当然です。
また、相談者目線では対して重要ではないから話す必要がないと感じた部分であっても、それこそが本当に必要な情報である場合もあります。
こうした法的に必要かどうかの判断は、素人目にはなかなか出来ることではありません。
うまく利用できれば有益になるのも事実
これまで弁護士へのセカンドオピニオンの難しさについて説明してきましたが、うまく利用できるのであれば相談者にとって有益になるのも事実です。
弁護士といっても様々な考えた方を持っていますし、弁護士の数が増えすぎてしまったこともあり、弁護士としての能力やセンスというのも実際問題として存在しています。
中にはおかしな弁護士や、犯罪に手を染めてしまう弁護士だっているのが現実です。
また、1つの問題に対してどの弁護士も同じ判断をするわけではありません。
異なる判断をする弁護士がいるため、最終的には裁判所が介入し、裁判官が是非を判断するのです。
このように、弁護士と一言でいっても様々なので、相談者それぞれが見極め、どういった基準で信頼関係を築き上げるのかを判断していく必要があるのです。
見極めができない、判断ができないといった場合、他の弁護士にその回答を求めるというのは決して間違ったことではありません。
より多くの弁護士に見解を求めてみるというのも、問題解決への1つの方法と言えるでしょう。
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永瀬 優(パラリーガル)

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