法律問題に直面し、弁護士に依頼するまでは良かったのですが、その後の弁護士の対応が悪い・・・話をしているうちに信頼できなくなってきてしまった・・・。
こういったケースは実際にもよく見受けられます。1~2回相談した程度では、その弁護士の本質を見抜くことなどできるわけがありません。
しかし、ここで不安に感じることがあります。
それは、「依頼した後であっても、弁護士を変更することは可能なのか?」仮に変更可能であっても、「どのように切り出せば良いのか?」「着手金はどうなってしまうのか?」など不安なことはたくさんありますね。
そこで今回は、弁護士に依頼した後に変更したい場合について詳しくご説明していきます。
依頼後に変えたい時は、弁護士の変更は可能
まず、依頼後に弁護士を変更できるのか?についてですが、「変更は可能」です。
弁護士の動きがあまりに遅すぎるケースや、弁護士との意見が大きく対立し、折り合いがつかない場合に変更や解任することもあります。
解任する方法は特に決まった手続きがあったりするわけではなく、電話やメール、書面を送るなどの方法で委任を解消する意思を伝えれば構いません。
弁護士への依頼は委任契約によって成り立っているのですが、委任契約はいつでも一方的に解除することができます。
というのも、委任契約というのは当事者間の信頼関係が基礎になっています。
これが崩壊してしまえば、委任関係を継続するのはお互いにとって利益はありません。
そこで、委任契約は(特に理由がなくても)自由に契約解除ができるとしています。
ただし、一方にとって不利なタイミングで契約解除をすると損害賠償の義務が発生する危険があるため、ここにだけ注意しましょう。
たとえば、弁護士がすでに遠方の裁判所に出張しているというのに、突如として契約解除するとなれば、そこまでの交通費や1日分の拘束費用などを損害賠償請求されてしまうということ。
こういった点にだけ注意していれば、契約を解消し、別の弁護士に依頼というのも可能となります。
なお、契約を解消する前に別の弁護士に依頼するのだけはやめましょう。
関係がややこしくなりますし、相手方も新しく依頼された弁護士も対応に困ってしまいます。
弁護士を変更する場合は、必ず最初の契約解除をしてからというのは最低限のマナーです。
まず弁護士を変えたいと思ったら、解任する前に、担当弁護士に不満な点、疑問点などを伝えて、よく話し合うことが大切です。
弁護士を変えてしまうと、新しい弁護士に事情を説明し、資料を渡して・・・と初めからやり直さなければならなくなり、多大な手間と時間がかかります。
原則として弁護士依頼の着手金は返ってこない
次に着手金についても見ていきます。
弁護士を途中で変更するのであれば、すでに支払った着手金はどうなってしまうのか気になるのは当然ですが、こちらは原則として返ってこないと認識しておきましょう。
着手金というのは、成功や失敗に関わらず事件着手に際して支払われるお金なので、すでに事件に着手しているとなれば返還は難しいです。
例外として、なんら着手していない段階であれば返還に応じてくれる弁護士もいるかもしれませんが、必ず返還してくれるとここで断言はできません。あくまでも弁護士との話し合いになります。
とはいえ、弁護士相手に話し合いをするのは簡単なことではありません。
しかし、まだなにもしていない弁護士に対して着手金を支払うのは腑に落ちないのは当然です。
そこで、どうしても不安な場合はその弁護士が所属している単位弁護士会(地域名+弁護士会のこと)に相談してみましょう。
事情次第では弁護士会からその弁護士に対して着手金を返還するよう連絡してもらえる場合があるのでぜひ利用してみてください。
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弁護士依頼の着手金を分割払いしていた場合
着手金の分割払いということ自体がめずらしいケースですが、この場合はどうなってしまうのでしょうか?
こちらについても、弁護士との話し合いで解決するしかありません。
すでに着手しているのだからたとえ分割払いであっても着手金は最後まで支払ってもらうと主張する弁護士もいれば、もう委任契約も終了するのであればこれ以上の分割払いは結構と対応する弁護士もいます。
こちらに関しても弁護士それぞれの着手金に対する考え方次第となっていますので、ここで結論を示すことはできません。
しかし、どうしても納得できない対応をされた場合は、着手金の返還の場合と同様、単位弁護士会に相談しながら話し合いを進めていくことをおすすめします。
依頼済み弁護士に、弁護士の変更を切り出すには?
上記のように、弁護士への依頼は着手金というお金が絡んでいるため、単に変更といってもそれなりに面倒さが伴ってしまうのは仕方ありません。
しかし、中には「変更を切り出すなんて失礼では・・・」といったように、変更の話自体なかなかできないという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
こちらに関しては心配する必要はありません。
上記ですでにふれていますが、委任契約というのは信頼関係があってはじめて成り立つものです。
そして弁護士はこれを私たち以上に理解しています。
よって、契約解除の申し出があったということは、信頼関係の構築に失敗したんだと、弁護士であれば誰もが感じるはずです。
変更は受け入れないなどといった応対をする弁護士はまずいませんのでご安心ください。
とはいえ、弁護士も1人の人間であることに変わりはないため、不快感をあらわにしたり、事情を立ち入って聞かれたりすることもあるかもしれません。
こういった場合は、その場限りと割り切って対応することをおすすめします。
担当してくれている弁護士を変更するのは大変です。
そうならないためにも、複数の法律事務所でへ足を運び、その中で安心して信頼関係が結べそうな弁護士見つけて担当してもらうようにしましょう。
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永瀬 優(パラリーガル)

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