弁護士を変更や解任した場合、支払済みの費用の返金はある?

法律問題に直面し、弁護士に依頼するまでは良かったのですが、その後の弁護士の対応が悪い・・・話をしているうちに信頼できなくなってきてしまった・・・。

こういったケースは実際にもよく見受けられます。1~2回相談した程度では、その弁護士の本質を見抜くことなどできるわけがありません。

しかし、ここで不安に感じることがあります。

それは、「依頼した後であっても、弁護士を変更することは可能なのか?」仮に変更可能であっても、「どのように切り出せば良いのか?」「着手金はどうなってしまうのか?」など不安なことはたくさんありますね。

そこで今回は、弁護士に依頼した後に変更したい場合について詳しくご説明していきます。

こんな疑問にお答えします

Q.依頼後に弁護士を変更できますか?すでに支払った着手金はどうなりますか?

A.弁護士の変更は可能ですが、すでに支払った着手金は基本的に戻らないと考えておきましょう。また、弁護士の変更を行う際はいくつか注意する点があります。同じような失敗を重ねないよう慎重に行う必要があります。

「弁護士保険ミカタ」1日たったの98円で高額な弁護士費用を補償

依頼後に変えたい時は、弁護士の変更は可能

まず、依頼後に弁護士を変更できるのか?についてですが、「変更は可能」です。

弁護士の動きがあまりに遅すぎるケースや、弁護士との意見が大きく対立し、折り合いがつかない場合に変更や解任することもあります。

解任する方法は特に決まった手続きがあったりするわけではなく、電話やメール、書面を送るなどの方法で委任を解消する意思を伝えれば構いません。

弁護士への依頼は委任契約によって成り立っているのですが、委任契約はいつでも一方的に解除することができます。

というのも、委任契約というのは当事者間の信頼関係が基礎になっています。

これが崩壊してしまえば、委任関係を継続するのはお互いにとって利益はありません。

そこで、委任契約は(特に理由がなくても)自由に契約解除ができるとしています。

ただし、一方にとって不利なタイミングで契約解除をすると損害賠償の義務が発生する危険があるため、ここにだけ注意しましょう。

たとえば、弁護士がすでに遠方の裁判所に出張しているというのに、突如として契約解除するとなれば、そこまでの交通費や1日分の拘束費用などを損害賠償請求されてしまうということ。

こういった点にだけ注意していれば、契約を解消し、別の弁護士に依頼というのも可能となります。

なお、契約を解消する前に別の弁護士に依頼するのだけはやめましょう。

関係がややこしくなりますし、相手方も新しく依頼された弁護士も対応に困ってしまいます。

弁護士を変更する場合は、必ず最初の契約解除をしてからというのは最低限のマナーです。

まず弁護士を変えたいと思ったら、解任する前に、担当弁護士に不満な点、疑問点などを伝えて、よく話し合うことが大切です。

弁護士を変えてしまうと、新しい弁護士に事情を説明し、資料を渡して・・・と初めからやり直さなければならなくなり、多大な手間と時間がかかります。

原則として弁護士依頼の着手金は返ってこない

弁護士に依頼した後に変更した場合費用の支払いはどうなるのか

次に着手金についても見ていきます。

弁護士を途中で変更するのであれば、すでに支払った着手金はどうなってしまうのか気になるのは当然ですが、こちらは原則として返ってこないと認識しておきましょう。

着手金というのは、成功や失敗に関わらず事件着手に際して支払われるお金なので、すでに事件に着手しているとなれば返還は難しいです。

例外として、なんら着手していない段階であれば返還に応じてくれる弁護士もいるかもしれませんが、必ず返還してくれるとここで断言はできません。あくまでも弁護士との話し合いになります。

とはいえ、弁護士相手に話し合いをするのは簡単なことではありません。

しかし、まだなにもしていない弁護士に対して着手金を支払うのは腑に落ちないのは当然です。

そこで、どうしても不安な場合はその弁護士が所属している単位弁護士会(地域名+弁護士会のこと)に相談してみましょう。

事情次第では弁護士会からその弁護士に対して着手金を返還するよう連絡してもらえる場合があるのでぜひ利用してみてください。

関連記事

内容証明を無視する男性
内容証明を無視したら?されたら?内容証明の効力・効果を弁護士が解説!

ある日突然、内容証明郵便が届いた場合、どうしたら良いのでしょうか? 内容証明は、無視しても良いものなのでしょうか?もし無視した場合、どうなるのでしょうか? 今回の記事では、「内容証明を無視したらどうなるのか」について、内 …

弁護士依頼の着手金を分割払いしていた場合

着手金の分割払いということ自体がめずらしいケースですが、この場合はどうなってしまうのでしょうか?

こちらについても、弁護士との話し合いで解決するしかありません。

すでに着手しているのだからたとえ分割払いであっても着手金は最後まで支払ってもらうと主張する弁護士もいれば、もう委任契約も終了するのであればこれ以上の分割払いは結構と対応する弁護士もいます。

こちらに関しても弁護士それぞれの着手金に対する考え方次第となっていますので、ここで結論を示すことはできません。

しかし、どうしても納得できない対応をされた場合は、着手金の返還の場合と同様、単位弁護士会に相談しながら話し合いを進めていくことをおすすめします。

依頼済み弁護士に、弁護士の変更を切り出すには?

上記のように、弁護士への依頼は着手金というお金が絡んでいるため、単に変更といってもそれなりに面倒さが伴ってしまうのは仕方ありません。

しかし、中には「変更を切り出すなんて失礼では・・・」といったように、変更の話自体なかなかできないという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

こちらに関しては心配する必要はありません。

上記ですでにふれていますが、委任契約というのは信頼関係があってはじめて成り立つものです。

そして弁護士はこれを私たち以上に理解しています。

よって、契約解除の申し出があったということは、信頼関係の構築に失敗したんだと、弁護士であれば誰もが感じるはずです。

変更は受け入れないなどといった応対をする弁護士はまずいませんのでご安心ください。

とはいえ、弁護士も1人の人間であることに変わりはないため、不快感をあらわにしたり、事情を立ち入って聞かれたりすることもあるかもしれません。

こういった場合は、その場限りと割り切って対応することをおすすめします。

担当してくれている弁護士を変更するのは大変です。

そうならないためにも、複数の法律事務所へ足を運び、その中で安心して信頼関係が結べそうな弁護士を見つけて担当してもらうようにしましょう。

弁護士を変更する際の進め方と注意点

弁護士の途中変更は可能です。

ここからは、弁護士を変更する際の進め方について解説します。

セカンドオピニオンを求める

現在の弁護士を変えようと検討している場合、まずセカンドオピニオンを求めてみましょう。

セカンドオピニオンとは、一般的に医療分野で使われることが多く、主治医とは別の医師の意見を聞くことです。セカンドオピニオンは法律の分野でも求めることができます。

別の弁護士の意見を聞くことで、依頼している弁護士の方針で問題ないかの確認や、進行中の方法に安心を得られるようになります。

現在の弁護士を変えたいと思っているのであれば、その判断基準として別の弁護士にも法律相談してみましょう。

セカンドオピニオンをする際のメリット・デメリット、注意点については、こちらの記事をご覧ください。

関連記事

弁護士に相談する時のセカンドオピニオンのすすめ

近年では、医療の分野にてセカンドオピニオンという言葉をよく耳にします。 セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の医師に第二の意見を求めることです。 これは法律の分野でも求められるケースが多く、実際に何件も法律相談を行わ …

現在の弁護士を解任する

別の弁護士に相談した結果「弁護士を変更しよう!」と決意したら、現在の弁護士に解任の旨を伝えましょう。

先ほどお伝えしましたが、弁護士の変更を行う際は最低限のマナーとして、必ず最初の弁護士へ契約解除を申し出てから後任の弁護士と契約するようにしてください。

関係性が悪くならないよう、細心の注意を払いましょう。

弁護士間で事案の引き継ぎが行われる

続いて、前任の弁護士から後任の弁護士へ状況の引き継ぎを行ってもらいましょう。

状況によっては、前に依頼していた弁護士と連絡を取りづらい方もいると思います。

その場合は、後任の弁護士に相談して前任の弁護士からの引き継ぎは弁護士同士で行ってもらうよう伝えてください。

このとき、これまで裁判に提出した資料や書面があるときは、そのデータも必ず引き継いでもらうようにしましょう。

新たに弁護士に依頼する際の注意点

新たに弁護士に依頼する際の注意点として、悪徳な弁護士にひっかからないよう注意しましょう。

これは、弁護士を変更するときだけでなく、初めて弁護士に依頼する際も意識する必要があります。

特に、セカンドオピニオンをするとなったら新たな着手金も必要となるため慎重に選ばなければなりません。

「後任の弁護士も合わなかった…」「また変更したいけれどこれ以上お金がない…」と失敗に終わる可能性もあり得るのです。

再び失敗して無駄な出費を重ねないよう、良い弁護士を選んでください。

良い弁護士と悪徳弁護士の見分け方や選び方については、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。

関連記事

パラリーガルが教える良い弁護士と悪徳弁護士の見分け方・選び方

良い弁護士と悪徳弁護士の見分け方はあるのでしょうか? どうせ同じような費用を支払って依頼するのであれば、良い弁護士に依頼をしたほうが良いに決まっています。 しかし、現実に一般の方が悪徳弁護士を見分けるというのは、非常に困 …

弁護士費用で損をしないために!弁護士を変更する際は慎重になろう

弁護士の途中変更は可能です。

はじめから良い弁護士に出会えればそれに越したことはありませんが、費用面や新たに探す時間等の一定のリスクがあることも忘れないようにしましょう。

後任の弁護士選びについては、良い弁護士に依頼できるよう十分に検討したうえで行ってみてください。

弁護士はどこで見つけられる?具体的な相談窓口

弁護士の変更を希望する場合の相談窓口として、以下の5つが挙げられます。

  • 弁護士会による法律相談センター
  • 法テラス
  • 自治体の法律相談
  • 弁護士保険
  • 各法律事務所

初回相談を無料でできる窓口もあります。

それぞれの詳細について詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。

関連記事

弁護士の無料相談のおすすめの窓口は?対応できる範囲や事前準備を解説!

離婚や相続、労働問題や交通事故など、トラブルに巻き込まれることは少なくありません。 そんなときにおすすめなのが、弁護士への無料相談です。 弁護士へ無料相談することで、トラブルの全体的な見通しや解決策のアドバイスを受けられ …

弁護士費用に不安がある場合は、弁護士保険の利用もおすすめです。

弁護士保険なら11年連続No.1、『弁護士保険ミカタ』

弁護士保険なら、ミカタ少額保険株式会社が提供している『弁護士保険ミカタ』がおすすめです。1日98円〜の保険料で、通算1000万円までの弁護士費用を補償。幅広い法律トラブルに対応してくれます。

>>弁護士保険ミカタの詳細はこちらから

経営者・個人事業主の方は、事業者のための弁護士保険『事業者のミカタ』をご覧ください。顧問弁護士がいなくても、1日155円〜の保険料で弁護士をミカタにできます。

>>事業者のミカタの詳細はこちらから

また、法人・個人事業主の方には、法人・個人事業主向けの弁護士保険がおすすめです。

経営者・個人事業主には『事業者のミカタ』がおすすめ!

『事業者のミカタ』は、ミカタ少額保険株式会社が提供する、事業者の方が法的トラブルに遭遇した際の弁護士費用を補償する保険です。

個人事業主や中小企業は大手企業と違い、顧問弁護士がいないことがほとんど。法的トラブルや理不尽な問題が起きたとしても、弁護士に相談しにくい状況です。いざ相談したいと思っても、その分野に詳しく信頼できる弁護士を探すのにも大きな時間と労力を要します。

そんな時、事業者のミカタなら、1日155円~の保険料で、弁護士を味方にできます!

月々5,000円代からの選べるプランで、法律相談から、事件解決へ向けて弁護士へ事務処理を依頼する際の費用までを補償することが可能です。

>>事業者のミカタの詳細はこちらから

記事を振り返ってのQ&A

Q.依頼後に弁護士を変更できますか?
A.変更は可能です。弁護士の動きがあまりに遅すぎるケースや、弁護士との意見が大きく対立し、折り合いがつかない場合に変更や解任することもあります。

Q.弁護士を変更する際の注意点はありますか?
A.弁護士の変更を行う際は、最低限のマナーとして必ず最初の弁護士へ契約解除を申し出てから後任の弁護士と契約するようにしてください。関係性が悪くならないよう、細心の注意を払いましょう。

Q.弁護士を変更する場合、すでに支払った着手金は返ってきますか?
A.原則として返ってこないと認識しておきましょう。

Q.弁護士依頼の着手金を分割払いしていた場合はどうなりますか?
A.弁護士との話し合いで解決するしかありません。

Q.そもそも、依頼済み弁護士に変更を切り出すのは失礼にあたるものでしょうか?
A.こちらに関しては心配する必要はありません。契約解除の申し出があったということは、信頼関係の構築に失敗したんだと弁護士であれば誰もが感じるはずです。変更は受け入れないなどといった応対をする弁護士はまずいませんので安心してください。