個人でできるSNS誹謗中傷の対応策とは?被害を未然に防ぐ方法や相談先を解説

インターネットが普及した昨今、SNSでの誹謗中傷は増加傾向にあり社会問題となっています。

投稿内容にどれだけ配慮していても、誹謗中傷を100%避けられるかといったらそうではないのが実情です。

そこで本記事では、SNSで誹謗中傷を受けた際の対応策や未然に防ぐ方法、相談先を解説します。

現在、誹謗中傷を受けている方は精神的苦痛を受けてつらい思いをしているはずです。参考にしてみてください。

こんな疑問にお答えします

Q.SNSで誹謗中傷を受けた際は、どのような対応が適切ですか?

A.まず、基本的に相手にしないことです。反論することで火に油を注ぐことになるからです。誹謗中傷の証拠をスクショするなど、早めに残しておくようにしましょう。その後、サイト運営会社に削除要請を行い、必要に応じて投稿者の特定を行います。慰謝料請求をする場合は、民事訴訟も行いましょう。一連の手続きが不安な場合は、専門家のサポートを借りるのも一つの手です。

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誹謗中傷とは?

誹謗中傷とは、特定の相手に対して根拠のない噂話や作り話を使って嫌がらせをし、相手の名誉や人格を傷つける行為のことです。

誹謗中傷は、一般的な「批判」とは異なります。批判は、相手の意見や行動に対してマイナスな評価をする意味で使われます。

一方で、誹謗中傷は相手の人格そのものに対して攻撃をします。

特に、インターネットが普及した昨今では、SNSのコメント機能を使って個人に対して攻撃する事例が多発しています。

もはや誹謗中傷は、普段の生活の中でも巻き込まれやすい問題の一つとなっているのです。

SNSで誹謗中傷が起きる理由

SNSは本来、自分の考えを発信し他者との理解を深めあってコミュニティを広げるためのツールです。

では、なぜSNSで誹謗中傷によるトラブルが起きるのでしょうか。

SNSで誹謗中傷が起きる理由は、「SNS利用者の増加」「匿名で利用しやすい点」が挙げられます。

スマホで簡単に利用できるSNSは、InstagramやTwitterなどサービスの種類が豊富です。

複数のアカウントを作れる特徴から、年々利用者が増えています。

多くの人が利用しているということは、それだけ様々な考えを持っている人がいるということです。

自分と異なる意見や価値観を持っている人に対して誹謗中傷を行う人には、他人を叩くことで優位に立ちたいという心理が隠れていることがあります。

匿名利用ができるという特徴においても、何を言っても自分のことは特定されないだろうという油断が生じます。

こうした理由が、SNSで誹謗中傷を多発させている要因なのです。

国が誹謗中傷対策を強化している

ネット上での誹謗中傷は悪質化・深刻化し、社会問題となっています。

日本においては誹謗中傷への対策が急務とされ、政府によって様々な対策がとられています。

総務省では「SNS等での誹謗中傷」について特集ページを設置しました。

具体的な事例の紹介や被害を受けた際の相談窓口の案内、対応策などをまとめています。

誹謗中傷の被害に遭ってしまった際は、どこに相談すべきか混乱してしまうでしょう。

総務省がまとめた特集ページには、悩みや不安を聞いてほしい方向けの窓口や解決を進めたい方向けのステップが分かりやすく記載されています。ぜひ参考にしてみてください。

誹謗中傷に関連する刑罰

法律において、誹謗中傷そのもの自体に罰則の明記はされていません。

しかし、誹謗中傷トラブルによって引き起こされた犯罪によって法的措置を問えます。

誹謗中傷によって加害者を訴えられる罪には、以下の種類があります。

犯罪の種類 概要 罰則
侮辱罪 不特定多数に伝わる場所で、事実を摘示せずに他者の社会的評価を落とす犯罪行為。
例:「ばか」「ぶす」等
1年以下の懲役・禁錮
30万円以下の罰金
30日未満の勾留
1万円未満の科料
名誉毀損罪 不特定多数に伝わる場所で、事実を摘示しながら(事実の真偽について関係ない内容でも)他者の社会的評価を落とす犯罪行為。
例:〇〇は〇〇会社のお金を盗んだ。〇〇は薬物依存だ等。
3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金
信用毀損罪 偽の情報を流し、偽計を用いて事業者の信用を落とす犯罪行為。
例:あそこの店は倒産寸前だから取引すると危ない等。
3年以下の懲役または50万円以下の罰金
業務妨害罪 偽の情報を流すことで他者の業務運営を阻止する犯罪行為。
例:〇〇店の食べ物は虫の死骸が入っている等。
3年以下の懲役または50万円以下の罰金
脅迫罪 人の生命や身体、自由、名誉、財産に対して害を加えることを告知する犯罪行為。
例:家に火を付けるぞ、殴りに押しかけてやる等。
2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金

参考:刑法| e-Gov法令検索

SNSの誹謗中傷の内容は多様化しています。誹謗中傷によって受けた被害がどの違法行為に当たるのか、確認してみてください。

SNSで誹謗中傷を受けた際の対策方法

SNSで誹謗中傷を受けた際の対策について解説します。

これまで普通に利用していたSNSに届き始めた誹謗中傷の言葉。突然の出来事に、怒りや悲しみなどネガティブな感情でパニックに陥ってしまうでしょう。

混乱した状態で誹謗中傷に対して反応をすることで被害を拡大させるリスクもあります。

一旦、感情を落ち着かせてから冷静な判断で対策をとるようにしましょう。

誹謗中傷コメントやDMは相手にしない

基本的に、誹謗中傷コメントやDMは相手にしないようにしましょう。

攻撃に対して反論したくなる気持ちがあるかもしれません。

しかし、反論することで却って相手がヒートアップする可能性があります。一旦、状況が落ち着くのを待ちましょう。

誹謗中傷の証拠をとっておく

誹謗中傷を受けた際に行っておきたいことは、状況の証拠をとっておくことです。

ネット上で誹謗中傷を見つけたら、すぐに画面をスクショし画像として保存しておきましょう。

パソコンの場合は、画面上部のURLが付いているスクショをとっておくといいでしょう。

証拠を保存する理由は、民事訴訟を起こした際の物的証拠とするためです。

もし加害者によって誹謗中傷コメントを削除されてしまって証拠を提示できないとなると、慰謝料請求ができなくなる可能性があります。

証拠は必ずとっておきましょう。

サイト運営会社に削除要請を行う

サイト運営会社に誹謗中傷コメントの削除要請を行います。

SNS上の誹謗中傷は、エスカレートすると将来や生活に影響を与えることもあります。なるべく早く削除依頼することをおすすめします。

また、SNS上での誹謗中傷の場合は加害者が匿名で行っているケースが大半です。

加害者に慰謝料の請求を考えている場合は、サイト運営会社に対して投稿者のIPアドレスの開示を求めるようにしましょう。

削除依頼や投稿者の特定に関しては、慣れない作業で不安を持つ方も多いでしょう。

誹謗中傷のコメントによって精神的にダメージを受けている最中であればなおさらです。

対応が難しい場合は、弁護士の力を借りることも一つの手段です。

身の危険を感じたら警察やサイバー犯罪相談窓口に相談する

身の危険を感じたら、すぐに警察やサイバー犯罪相談窓口に相談してください。

誹謗中傷の内容の中には、身の危険を感じさせるものもあるでしょう。

「お前の家を知っている。今後押しかけるぞ」「痛い目に遭わせるぞ」といった脅迫行為が一つの例です。

ただ、警察は全ての誹謗中傷に対応してくれるわけではありません。

もし警察が難しいようであれば、弁護士へ相談することをおすすめします。

インターネットトラブルに強い専門家の助けを借りる

誹謗中傷を受けたら弁護士の力を借りることをおすすめします。

その際は、インターネットトラブルに強い弁護士に相談しましょう。

中でも、誹謗中傷トラブルに豊富な経験を持つ弁護士に相談することで、犯人特定や民事訴訟がスムーズに進められます。

訴訟を起こす

加害者に対して慰謝料請求を検討する場合は、民事訴訟を起こしましょう。

民事訴訟を起こすためには、加害者の特定が必須条件となります。

スムーズに訴訟へ移行するためにも、事前に加害者の情報開示請求を行うようにしましょう。

SNSで誹謗中傷の被害を未然に防ぐ方法

SNSは不特定多数の人が利用するため、残念ながら誹謗中傷のコメントやDMを100%防ぐ方法はないとされています。

しかし、危機管理対策を行っておくことで被害の拡大を最小限に抑えられます。

自分の身を守るためにも、誹謗中傷の対象となりやすい投稿をしていないか内容をチェックすることが大切です。具体的な方法を見ていきましょう。

プライバシーや個人情報に関する投稿は避ける

プライバシーや個人情報に関する投稿は避けましょう。

個人情報が特定されると、直接的な被害を受けるリスクが高まってしまいます。

ここでいう個人情報とは、人物を特定できる情報すべてを意味します。

本名以外にも、住居の写真や住所が読み取れる画像(電信柱や住所表示)が写っていないか確認しましょう。

確信のない情報は発信しない

SNSへ投稿する際、事実かどうか分からない情報は発信しないようにしましょう。

ネット掲示板やニュースに掲載されていた情報を拡散する場合は、その情報自体がデマである可能性もあります。

もし間違った内容を投稿してしまったときは早めに訂正するよう対処してください。

政治的や事件など話題性の高い内容には触れない

政治的な内容や事件など、話題性の高い内容には触れないよう意識しましょう。

特に、人の生死に関する事件や災害時においては非常にセンシティブになっています。

政治的な内容も個人の価値観が影響するため、見た人によっては反感を買いやすい話題の一つです。

誹謗中傷のリスクがある内容は、ネット炎上も招くケースがあります。

実際に起きた炎上事例については、こちらの記事でまとめています。

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Webモニタリングサービスを利用してみる

誹謗中傷の被害を防ぐために、Webモニタリングサービスも利用してみましょう。

Webモニタリングサービスとは、ネット上の書き込みをチェックするサービスのこと。

利用することで、個人や企業に代わってSNSや掲示板、ブログを監視し、誹謗中傷に関するリスク管理を一任できます。

以下に、Webモニタリングサービスを提供している企業を紹介します。参考にしてみてください。

SNSで誹謗中傷を受けたら慰謝料請求はできるのか?

SNSで誹謗中傷を受けた際は、民事訴訟をすることで慰謝料の請求ができます。

請求できる金額は犯罪の種類や被害内容によって異なりますが、誹謗中傷による精神的苦痛や被害額を金額に換算して決まります。

犯罪の種類 慰謝料の相場
侮辱罪 10万円以下
名誉毀損罪 10万円〜100万円以下
業務妨害罪 刑事における罰金50万円が目安
(書き込み内容に対する精神的苦痛に加え、経済的損害が発生したかによって相場が変動します)
信用毀損罪 10万円〜50万円
脅迫罪 数万円〜100万円以下

誹謗中傷を受けた方は、精神的苦痛も受けてつらい思いをしていると思います。

精神的苦痛によっても慰謝料が認められるケースがあります。下記の記事を参考にしてみてください。

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SNSで誹謗中傷の被害を受けたら弁護士へ相談しよう

配慮を持った投稿でSNSのトラブルは未然に防げます。

顔の見えない相手がいるからこそ、誰かが不快にならない発信を心がけましょう。

とはいえ、SNSトラブルの件数が増加している昨今では、どれだけ気をつけていても誹謗中傷を100%避けられるかといったらそうではないのが実情です。

仮に誹謗中傷を受けて警察に相談しても、すぐに解決できるとは限りません。

SNSで誹謗中傷の被害を受けたら、まずは弁護士への相談をおすすめします。

弁護士へ相談するメリット

誹謗中傷の被害を弁護士へ相談することで、以下のメリットがあります。

  • ネット上の削除依頼がスピーディーに進められる
  • 加害者特定から裁判に関する手続きを一任できる
  • 妥当な金額の慰謝料を求められる
  • サポートしてもらえているという安心感を得られる

心無いコメントや恐怖を感じさせる書き込みは、被害者にとっては精神的負担が非常に大きいでしょう。

早期解決を目指すためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士へ相談できる窓口

弁護士へ相談するといっても、「どのように探せばいいのか分からない」「初めての法律相談で緊張する」といった不安を抱える人も多いでしょう。

弁護士の相談ができる窓口は、以下の5つがおすすめです。

  • 弁護士会による法律相談センター
  • 法テラス
  • 自治体の法律相談
  • 弁護士保険
  • 各法律事務所

それぞれの詳細について詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。保険が弁護士費用を負担してくれるので助かります。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.SNSにおける誹謗中傷ではどんな罪に問えますか?
A.誹謗中傷トラブルによって引き起こされた犯罪によって法的措置を問えます。
具体的には「侮辱罪」「名誉毀損罪」「信用毀損・業務妨害罪」「脅迫罪」があります。

Q.誹謗中傷を受けたら、加害者に対して慰謝料請求はできますか?
A.民事訴訟をすることで慰謝料の請求ができます。
請求できる金額は犯罪の種類や被害内容によって異なりますが、誹謗中傷による精神的苦痛や被害額を金額に換算して決まります。

Q.誹謗中傷を受けたら、どのような対応をすればいいですか?
A.まず、基本的に相手にしないことです。反論することで火に油を注ぐことになるからです。誹謗中傷の証拠をスクショするなど、早めに残しておくようにしましょう。その後、サイト運営会社に削除要請を行い、必要に応じて投稿者の特定を行います。慰謝料請求をするる場合は、民事訴訟も行いましょう。
一連の手続きが不安な場合は、専門家のサポートを借りるようにしてください。

Q.誹謗中傷を未然に防ぐことはできますか?
A.SNSは不特定多数の人が利用するため、残念ながら誹謗中傷のコメントやDMを100%防ぐ方法はないとされています。しかし、投稿前のチェックや発信すべきでない内容を理解しておくことで、被害の拡大を最小限に抑えられます。