親が亡くなってしまった時に子供がいれば、法定相続人は子供も含まれます。
配偶者の1人が存命である場合には、配偶者が約50%の法定相続分となり、残りを子が人数で割るのが通常の遺産分割となります。
しかし、両親がともに亡くなった時(相続人が子のみ)になった場合には、配偶者への相続がないため子が相続人となります。
遺産相続となると気になるポイントは控除などの税金に関係する問題ですが、子供だけが相続人となった場合にはどのような控除があるか?ということは知っておくと実際に相続の時に役に立つものです。
このページでは、子が相続の時に使える相続税の控除について解説していきます。
子供が相続人となる遺産相続について
遺産相続のおいて配偶者の控除は非常に優遇されていますが、相続人に配偶者がいない場合の子供だけが相続人となる場合には、あまり特別な優遇措置は用意されていません。
このため、子供だけが相続人になることが分かっており、遺産金額が多い場合には生前贈与などを利用して節税対策をすることが一般的です。
子供が相続する場合は基本的に基礎控除のみとなる
子が財産を全額相続する場合には、まず最初に基礎控除が適用されます。
相続の基礎控除はどのような場合であっても
基礎控除の3000万円+法定相続人の数×600万円=基礎控除金額となります。
つまり相続人となる子供の数が2人であれば4,200万円となり、相続人が1人しかいなかった場合には3,600万円までが非課税になります。
財産目録を作成した時に、財産の評価総額が基礎控除を超えていた場合には、超えた部分の金額について相続税が必要になります。
相続人が養子の場合は立場によって相続権利が変わる
基本的に養子縁組で親子になった場合は実子と同じ扱いとなります。
法定相続分についても実子と同様の範囲になりますので、あまりに大きな変化はありませんが養子縁組には普通養子と特別養子の2種類があり、いずれの方法で養子縁組になったのかで相続権利が変わります。
普通養子とは実の親との親子関係が継続したまま養子になるので、実の親に対する相続の権利も発生し、特別養子となっている場合には実の親との関係は他人とされるため、養子となった親からの相続権利だけになります。
特別養子は基本的に6歳以下の間に結ばれるものですから、あまり気にすることはなく、通常の親子関係と同様の相続であると考えて大丈夫です。
普通養子と実子が相続人となる場合には法定相続人が制限される
被相続人に実子がいて、養子縁組をしている場合には養子の1人までが法定相続人として認められます。
実子がいない普通養子の場合は2人までが法定相続人です。
ただし、特別養子となっている場合には人数の制限が掛けられません。
その他の特別な親子関係、摘出子や非摘出子など
婚姻関係にない男女の間に生まれた子供は非摘出子と呼ばれ、父親との親子関係は認知した場合にのみ結ばれます。
通常の婚姻関係の場合は摘出子と呼ばれ、戸籍の証明を持って親子関係が認められます。
ただし、摘出子、非摘出子のいずれの場合であっても母親との親子関係については出産という事実が親子関係を証明します。
非摘出子であって認知されていない場合の相続権利は母親になる
婚姻関係のないまま生まれて育った場合、実際の父親は存在するわけですが、認知をしていない状態だと父親と子の親子関係は認められません。
したがって法定相続人となるのは母親が亡くなった際におこる相続の場面です。
ただし認知をされていなかった場合で父親が遺言書などで子を認知したり、認知しないまま遺贈をすることは可能です。
養子や非摘出子は他の相続人に知られていない可能性もある
普通養子や非摘出子といった特別な事情にある場合には、その存在を他の相続人が知らないケースが多いです。
ですが、先に述べたように養子であっても非摘出子であっても母親との親子関係はあることからいずれかの場面で相続人となる可能性は十分にあります。
相続が始まった場合、第一に必要なことは相続人の存在を明らかにして誰にどの程度の権利があるかを確認することです。
無用なトラブルなどを回避するためにも、相続が始まったら専門家などと連携して被相続人の戸籍などをしっかりと調べておきましょう。
それぞれの法定相続分について知りたい場合には相続に強い税理士に相談することをおすすめします。