自分が法定相続人である関係の肉親などが亡くなった際に、周囲などから「相続するほどの遺産はないよ」といった噂を聞いていたり、生前の生活環境などを見て生活が決して裕福ではなかった場合、「自分は相続人だけどそもそも相続する遺産がないな」と判断してしまうかもしれません。
しかし、これは単なる思い込みであるケースもありますし、本当に財産が何もないのかどうかは亡くなった方の財産の調査をしてみなくてはハッキリとした事実にはならないので注意が必要です。
当サイトではいくつかの記事で解説してきましたが、相続財産はマイナスのものであっても財産です。
また生前の状況がどうであれ、厳密に財産が全くの0ということは通常では考えにくいことです。
このページでは相続する財産がないと判断する前にやるべきことと知っておくべき注意点を紹介していきます。
相続する財産が全くないとは考えにくい
どのような生活状況であれ亡くなった方に完全に財産がないという事は通常であれば考えにくいことです。
もちろん可能性としては0ではありません。
たとえば、独立した子に全ての生活を面倒みてもらっていたり、被相続人が破産者であったりする場合には財産が一切ないということも考えられます。
しかし、財産がないと考える多くの場合にはあまり交流がなかったために正確な財産状況を把握していないケースが多く、実際に財産の調査をしなければ正確な相続財産は不明なままです。
まずは遺言書を探す
財産がないと思い込んでしまっている場合でも、被相続人が遺言書を残している可能性はあります。
仮に自己流で書かれた法的に効力を持たない遺言書であった場合でも、財産の調査をする上では手がかりになりますし、検認して遺言書が認められた場合には遺言の通りに遺産相続が行われます。
・借家などで年金生活をしていた
・病院に長期間入院したままだった
・10年以上音信不通だった
どのような状態であっても、生活を1人でしていた場合には最低限の生活費が必要です。
その生前の生活費がどこから出ていたのか?ということを考えると完全にプラスマイナスゼロの財産である人はかなりの少数でしょう。
必ず財産の調査して借金などがないかを調べる
被相続人が死亡して相続が開始すると、通常でも遺言書がない場合には財産の調査をしていくことになります。
ここで言う財産とは冒頭でも触れたようにマイナスの財産も含まれるので、個人の信用機関などに問い合わせたり、消費者金融からの催促状や請求書などが残ってないかを確認します。
この時に必要であれば専門家の方へ相談して、被相続人の死亡時における正確な財産の状況を把握することが非常に大きな意味を持ちます。
【関連記事】
上記のページにも解説していますが、手続きをしない=どのような財産も相続することを了承することになりますので、相続の手続きは金額の問題を別にしてしっかりと処理しておくことが大切です。
大きな財産がなくても相続は発生する
土地や住宅、預貯金などがなかった場合でも被相続人が自分で所有していたものは財産の一部です。
他にも、何か理由があって財産の存在を明かしていなかったり、同様に借金を隠したまま亡くなられてしまうケースもあります。
借金などがあり、プラスの財産がほとんど無い場合は相続放棄を検討する必要が出てきますが、被相続人の所有していた物などを勝手に処分したり、持ち帰ったりしてしまうと相続放棄が認められない可能性もあります。
- 被相続人が遺言書を残していないか調べる
- 財産の調査をして相続財産の実態を調べる
この2点に関しては必ず確認すべきところですので、財産がないからと安易に考えずに相続の手続きはしっかりとおこなっておきましょう。
特に被相続人と長期にわたって親交がなかったりした場合には財産の調査はなかなか難しいポイントになります。相続の熟慮期間は基本的に3ヶ月しかないため、決して長い時間があるとは言えません。
相続は決しておろそかにして良いものではありません。
確実な情報を調べるために必要に応じて専門家に相談することも検討してみてください。