遺言執行者は相続人と同一でも大丈夫?どんな基準で誰を選ぶ?

 

遺言書を作成する時には実際の相続業務を担当する「遺言執行者」を予め選んでおくことが通例です。

※遺言執行者を選ぶことを「選任」といいます※

遺言によって選ばれた遺言執行者は遺言書の内容を執り行う義務が発生するため、やむを得ない事由がない限り専門家も含めた他人へと委任することが出来ません。

このため遺言執行者は適切な人物を選任しておかなければ、いざ相続の手続きが始まった時に時間がかかってしまったり、処理に戸惑ったりすることになりかねません。

例:相続人の1人が遺言執行者に選ばれており、相続関連の知識、経験が全くない場合など

そこで今回は遺産相続にあたってスムーズかつトラブルの少ない「遺言執行者」の選び方や相続人と遺言執行者が同一の場合はどういったことが可能なのか?

といった遺言執行者の選び方について紹介していきます。

遺言執行者は専門家(士業)がおすすめ

結論から入ると、遺言執行者を任せるのであれば士業の専門家に依頼しておくのが一番です。

遺言書の作成で相談などの際に、遺言執行者も同時に依頼出来るのであれば士業の専門家の方にお任せするのが一番トラブルが少なくスムーズに相続手続きを行える可能性が高いです。

どうして専門家が良いのか

 

遺言執行者を専門家に依頼するとメリットが多くあります。

  • 遺言作成から相続手続きまでを同時に依頼出来る

これは、直接相談しなければ断言出来ることではありませんが

相続や贈与などを専門的に取り扱っているところであれば一括で依頼出来る可能性が高いです。

  • 専門家なので手続きに困らない

普通の相続人を専任した場合、民法によってやむを得ない事由がない限り遺言執行者を変更をすることが出来ません。

複雑な手続きなどがあった場合でも、相続の専門家であればスムーズに執行することが可能です。

※やむを得ない事由を申請するにも専門家に相談することが多いです※

  • 利害に関係しないので、相続人同士のトラブルが起きづらい

遺言執行者を第三者である専門家に依頼することで、遺言に対する感情が入らないことから相続人同士であれば、起きてしまう可能性のあるトラブルが起きにくいというのもポイントです。

また、相続人から異議などが唱えられた場合も第三者目線で公平な意見やアドバイスを貰えるますし、相続に関する些細な疑問点なども質問出来ます。

このように専門家に依頼するというメリットは非常に多く、相続をスムーズに行う上では最適な選択肢だと言えます。

デメリットは費用がかかること

士業の方に依頼するということは、その分の費用が必要になってきます。

しかし無用なトラブルのリスクや手間暇と時間を考えた場合、費用対効果は非常に高いです。

遺産相続や遺言書に関して悩んだりした場合は、自己判断ではなく実際の専門家に相談しましょう。

相続人と遺言執行者が同一でも大丈夫

仮に、相続人と遺言執行者が同一であっても一般的には大丈夫です。

相続人の一人が遺言執行者となった場合に相続財産を動かす(直接的に振り分ける)ことになるので、場合によっては他の相続人から批判的な態度を受けたという場合があるからです。

相続人が遺言執行者となるには他の相続人との関係性などを考慮した上で専任する方が良いでしょう。

とは言え、遺言の通りに諸手続きを行うだけではあるので、相続人がそこまで多くなかったり関係性が近い場合には専任されることも多いようです。

遺言執行者を選ぶのは遺言を作成する被相続人ですので、相続人の関係を考慮して専任していればそこまで大きな問題は起こりにくいでしょう。

それでも相続の手続きで疑問が起こった場合には、その都度相談出来る専門家の方に判断してもらうのが安全です。

破産者や未成年者は遺言執行者になれない

遺言執行者には特別な資格や立場は必要ないので、ある意味誰でも選ぶことは出来ると言えます。

しかし破産者であったり未成年者の場合は遺言執行者をすることが出来ないので注意が必要です。

また相続人であっても遺言執行の内容が複雑な場合などには再度、専門家へと委任するケースもあります。

遺言作成を相談した先によってそのまま選ぶことが多い

これは基準というよりも統計的な話になりますが、遺言の作成の段階で専門家や信託銀行などに作成補助などの依頼をしている場合には、そのまま依頼した先の個人や法人を遺言執行者にしていることが多いそうです。

逆に、相続人を遺言執行者に選ぶことが多いのはいわゆる「自筆証書遺言」を作成した場合です。

自筆証書遺言も正式な書式であれば何も問題ありませんが、書式の間違いなどで無効になる場合があるのでこちらも注意したいポイントです。