事実陳列罪?正しい事実を述べても法的処罰の対象となる

事実陳列罪は、事実を並べ立てて悪評を広めた人に対する架空の犯罪のことです。
現行の法律では、事実陳列罪という罪名は規定がありません。しかし、正しい事実を述べたことによって処罰の対象となるケースもあります。

本記事では、事実陳列を根拠に問われる可能性のある罪や成立要件、処罰の対象にならないケースを解説します。

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こんな疑問にお答えします

Q.事実を発しただけでも法的処罰の対象になるの?
A.陳列した内容が真実であっても、法的措置の対象となり得ます。具体的に成立する可能性があるものとして、名誉毀損罪が挙げられます。
事実陳列の行為が、法的処罰の対象として認められたら「民事」「刑事」の責任に問われる可能性があります。
特に、刑事責任に問われることで将来に大きな不利益を被ってしまいます。事実陳列によって相手が訴訟を起こすようであれば、早めに弁護士のサポートを受けるようにしましょう。

事実陳列罪とは?

事実陳列罪とは、事実を並べ立てて悪い評判を立てた人に下される架空の犯罪のこと。ある事柄に対する事実を陳列しただけで罪に問われてしまうことに対して、皮肉めいて使われる言葉です。

現行の法律では、事実陳列罪という罪名は規定がなく、あくまで架空の刑罰として用いられます。もともとの語源は、わいせつ物陳列罪です。

事実陳列罪という言葉が生まれたきっかけは、2018年のオンラインゲーム上で起きた動画問題が発端といわれています。

その後、事実陳列罪という言葉はスラングとして他所に広まり、特定の動画に対してだけでなく、事実を羅列しただけで悪い評判が立ってしまったことに対しても用いられるようになりました。

ここで、事実陳列罪によって相手の怒りを買った場合、何らかの法的処罰の対象になるの?という疑問が生じるでしょう。

結論、事実陳列の内容が犯罪行為の要件に満たした場合に成立します。

正しい事実を述べても法的処罰の対象となる

陳列した内容が真実であっても、法的処罰の対象となり得ます。

具体的に成立する可能性があるものとして、名誉毀損罪が挙げられます。

名誉毀損罪とは?

名誉毀損罪は、刑法230条で次のように定められています。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索

つまり、不特定多数の人が認識できる公の場で、具体的な事実を示しながら他者の名誉を傷つけたり、社会的地位を低下させたりすることで成立することを示しています。

具体的な事実というのは、陳列した内容が真実であっても違法行為として成立するということです。

発した内容によって、相手の社会的地位を落としたり名誉を傷づけるものであれば、名誉毀損として認められる可能性が高まるのです。

「正しいことを述べているだけなら法的責任に問われることはないだろう」と、安易な気持ちで事実陳列をした場合は、法的責任を問われる可能性があることを理解しておきましょう。

名誉毀損が成立する要件

名誉毀損は、並べ立てた内容が真実であっても違法行為として成立する可能性があると解説しました。

名誉毀損は、この他にも以下の要件を全て満たしたときに認められます。

  1. 公然の場であること
  2. 事実を摘示すること
  3. 人の名誉を毀損すること
  4. 事実の有無は関係ないこと

公然の場とは、不特定多数の人が認識できる場所を示します。

例えば、大勢の人が行き交う街中やインターネットの掲示板、SNSなどがその一例です。

そうした場所で、事実の真偽に関係なく何らかの具体的事柄を指しながら他者の名誉や社会的地位を下げるような内容を発した場合に、名誉毀損として認められます。

繰り返しになりますが、発した内容が真実であっても違法行為に該当することを意味するのです。

また、名誉毀損罪は、誹謗中傷によっても問われることがあります。

誹謗中傷とは、根拠なく他者の悪口を言いふらして他者の人格や名誉を傷つける行為です。

例えば、以下のような表現が該当します。

「〇〇さんは、貸したお金を返さない。詐欺師だ」
「〇〇さんは過去に逮捕歴がある。関わらない方がいいぞ」

こうした内容は、社会的評価を落とす可能性があり、名誉毀損の行為に該当するでしょう。

また、個人だけでなく法人や団体に対して悪く言う誹謗中傷も、名誉毀損として当てはまります。

誹謗中傷については、こちらの記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。

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事実を陳列しても法的処罰の対象とならないケース

では、事実を陳列しても法的措置の対象にならないケースはあるのでしょうか。

事実陳列の内容が、名誉毀損の構成要件を備えていたとしても、以下に示す要件を満たせば責任追及を免れる可能性があります。

  1. 事実の公共性があること
  2. 公益目的であること
  3. 事実が真実であること

事実の公共性があること

一つ目に、事実の公共性があることです。

事実の公共性とは、陳列した事実が公的なテーマだった場合です。

具体的に、政治家や公人など、社会的影響力のある人物の内容である場合は、公共性ありと判断される可能性があります。

公益目的であること

次に、公益目的であることです。

公益目的とは、事実陳列の目的が、社会の利益を図るものであることを意味します。

例えば、大手企業の不正や不祥事、その他一般的に広く知らせるべき正当な事柄の情報です。

個人的な嫌がらせや復讐目的の場合は、公益目的としては認められません。

真実性があること

続いて、真実性があることです。

真実性とは、指摘する事柄が真実であると判断できる証拠があるものを示します。

ただ、自分は真実を言っているだけだから名誉毀損にはならない、というわけではありません。

名誉毀損の成立要件でも解説したように、事実が本当か否かに関係なく相手の社会的評価を落とした場合に、名誉毀損が成立する可能性が高まります。

ここで注意すべき点は、被告人自らが上記3つの要件を証明できなければ免責対象にはならないということです。

被告人が免責される要件の証明をできなければ、法的措置で処罰されるということになります。

事実陳列の行為が法的処罰の対象として認められたらどうなるのか

事実陳列の行為が、法的処罰の対象として認められたらどうなるのでしょうか。

具体的に「民事」「刑事」の2つの責任に問われる可能性があります。

民事責任として損害賠償請求の対象になる

民事上では、事実陳列による名誉毀損の場合は「不法行為」として損害賠償請求の対象になります。

慰謝料の相場は、事実陳列の内容や社会に与える影響によって金額が変わってきます。

仮に、一般人を被害者とする場合の慰謝料の相場は、10万円〜100万円が相場です。

相手が政治家であったり、社会に大きな悪影響をもたらしたりした場合は、数百万単位の慰謝料になることもあります。

民法では原状回復措置の責任にも問われる

民法では、第723条に基づいて「原状回復措置の責任」も発生する場合があります。

原状回復措置とは、不法行為などにより悪影響を受けた環境や名誉を、もとの状態に戻す責任を指します。

事実陳列による名誉毀損の場合は、侵害した名誉を取り戻すために「謝罪広告」という方法で謝罪意思を表明するよう求められることもあります。

刑事責任を問われる

刑事責任では、刑法第230条の名誉毀損罪を犯したとして「3年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」に処されます。

名誉毀損では、現行犯での逮捕が想定できないことから逮捕率は比較的低いとされています。

しかし、2021年度の検察統計調査 検察統計によると、名誉毀損の検挙数1,040件に対し、逮捕に至った件数は108件となっています。

実際の逮捕率は低いものの、事実陳列によって他者を傷つけることには違いありません。

逮捕された場合は実名報道のリスクにさらされ、社会的信用を失う可能性があります。

刑事責任に問われることで、将来に大きな不利益をもたらしてしまいます。早めに弁護士のサポートを受けるようにしましょう。

参考:政府統計の総合窓口 検察統計調査 検察統計

事実陳列の行為が法的処罰の対象にならないよう気をつけること

事実陳列の行為は、民事・刑事の両方で責任を問われる可能性があります。

処罰の対象にならないようにするには、以下のことに気をつけましょう。

個人情報が特定できる事柄を公の場でむやみに発しない

名前や顔写真など、個人情報が特定できる事柄をむやみに発しないことです。

発する事柄がたとえ正しい事実であっても、本人に無断で発することでプライバシーの侵害肖像権侵害とみなされる恐れがあります。

特に、拡散力の強いSNSは注意が必要です。

ネット上に一度投稿された書き込みや動画、画像は、第三者によって拡散されてしまうと完全に削除することは難しいとされます。

自身の情報はもちろんのこと、他者の情報を勝手に公開することはやめましょう。

正しい事実であっても社会的評価を低下させる恐れがある事柄を発しない

正しい事実であっても、社会的評価を下げる恐れのある事柄を発することは避けましょう。

例えば、「この店は過去に逮捕歴のある人がスタッフとして働いている」などです。

あえて公表する必要のない情報を発してしまうことで、名誉毀損罪として訴えられる可能性があります。

よって、正しい事実であっても公表する必要のない事柄は発しないようにしましょう。

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事実陳列によって法的責任を問われたら早めに弁護士へ相談を

事実陳列の行為自体には罰則規定がありません。

しかし、事実陳列の行為によって法的処罰の対象になることは十分考えられます。

特に、刑事責任に問われることで将来に大きな不利益を被ってしまいます。

事実陳列によって相手が訴訟を起こすようであれば、早めに弁護士のサポートを受けるようにしましょう。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.事実を発しただけでも法的処罰の対象になるの?
A.陳列した内容が真実であっても、法的措置の対象となり得ます。具体的に成立する可能性があるものとして、名誉毀損罪が挙げられます。
事実陳列の行為が、法的処罰の対象として認められたら「民事」「刑事」の責任に問われる可能性があります。

Q.事実を陳列しても法的措置の対象とならないケースはあるの?
A.あります。事実陳列の内容が、名誉毀損の構成要件を備えていたとしても、以下に示す要件を満たせば責任追及を免れる可能性があります。

  • 事実の公共性があること
  • 公益目的であること
  • 事実が真実であること

Q.事実陳列の行為が法的処罰の対象として認められた場合の慰謝料相場は?
A.慰謝料の相場は、事実陳列の内容や社会に与える影響によって金額が変わってきます。
仮に、一般人を被害者とする場合の慰謝料の相場は、10万円〜100万円が相場です。相手が政治家であったり、社会に大きな悪影響をもたらしたりした場合は、数百万単位にのぼることもあります。

Q.事実陳列によって逮捕されることもあるの?
A.逮捕の可能性も考えられます。2021年度の検察統計調査 検察統計によると、名誉毀損の検挙数1,040件に対し、逮捕に至った件数は108件となっています。刑事責任に問われることで、将来に大きな不利益をもたらしてしまいます。早めに弁護士のサポートを受けるようにしましょう。