おととい、健康診断を受診してきました。
この1年で一気に8キロも体重が増えてしまったので、暴飲暴食の日々を反省して先月からお酒とお菓子を断っていたのですが、昨年まで正常だった悪玉コレステロールに異常値が出てしまいました。
日頃から摂生するよう気をつけていないと、体はすぐにはよくならないことを痛感しました。
同様に、日頃からちゃんと取得していないと、退職時に余らせてしまうのが有給休暇です。
今日は退職と有給休暇の関係について考えてみます。
有給休暇の法規制
「ユーキュー」としておなじみのこの有給休暇ですが、正式には「年次有給休暇」といいます。
労基法39条によって、会社は、全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、有給休暇を与えることが定められています。
ことばの最初に「年次」とついているとおり、最初の6か月を除いては、1年に1度、有給休暇が付与されるような定めとなっています。
労基法上、有給休暇の付与日数は以下のとおりです。
労基法は労働条件の最低基準を定めるものですので、実際にはこれより多い日数の有給休暇が付与されている会社もあります。
また、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、アルバイトやパートなど、ふつうの労働者と比べて労働日数が少ない労働者に対しても、その労働日数に比例して有給休暇が与えられることとなっています。
シフト制の労働者であっても、勤務日に有給休暇を取得することは可能なのです。
なお、有給休暇の時効は2年ですので、有給休暇を付与された次の年のうちまでに使い切らないと権利が消滅してしまいます。
ただし、こちらも、労使間で2年を超える期間の定めを設けることは可能です。
会社は有給休暇の取得を拒否できるのか
もしかしたら、有給休暇が会社の許可・承認制であるという職場に勤めている方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、このような決まりは違法です。
労働者が「この日に有給休暇を取る」と会社に宣言すれば、会社は必ず有給休暇を取得させなければならず、そもそも制度上、取得を許可しないとか、拒否するとかということはありえないのです。
ただし、労働者が有給休暇を希望した日に休まれるとどうしても人手が足りないとか、どうしてもその人がいないとならないような仕事があるとか、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は「時季変更権」を行使することができます。
その場合も、会社は「その日はダメだから別の日に変更してくれ」と言えるだけで(代わりの日づけの指定までは必要ない)、やはり「拒否」をすることは許されていないのです。
実はこれ、退職時の有給休暇の消化にとってはかなり重要なことです。
例えば、あと20日で退職する労働者が、その残り20日全部に有給休暇を取得する、と宣言したとします。
そうすると、会社は、時季変更権を行使したくても、有給休暇をかわりに取得させる日が存在しないため、時季変更権を行使することができなくなるのです。
有給休暇を買い取ってほしい!
有給休暇を取得しようと思っても、会社や同僚に気を遣ってしまったり、そもそも仕事が多すぎたりして、なかなか満足には休めないものです。
それでは、有給休暇を使わないかわりに買い取ってほしいと会社に要求することはできるのでしょうか?
法的には、会社に有給休暇の買い取りの義務はありません。
それどころか、会社が有給休暇を買い取ることは原則として労基法違反とされているのです(昭和30年11月30日通達)。
それはなぜなのでしょうか。
そもそも有給休暇とは、労働者が心身をリフレッシュさせるためにある権利です。
それを会社が買い上げるようなことをすると、お金欲しさに有給休暇を取得しないことにつながり、有給休暇制度の本来の目的が達成されなくなってしまいます。
そのため、基本的に有給休暇の買い上げをしてはならないとされているのです。
権利が消滅してしまうくらいなら
ただし、時効を迎えそうな有給休暇や、退職時に使い切れなかった有給休暇だとなると、多少話は変わってきます。
使えずに権利が消滅してしまいそうな(または消滅してしまった)有給休暇については、そもそも労働者が取得のしようがなかったわけですから、これを会社が買い取ることは、恩恵的な行為として例外的に許されています。
また、労基法で定める日数以上に付与されている有給休暇を会社が買い取ることについても同様に許されています。
しかし、全ての会社に買い取る「義務」があるわけではない、という点には注意が必要です。
労働契約や就業規則などで、消滅する有給休暇を金銭で精算する旨の規定を設けていないかぎりは、いくら頑張っても有給休暇をお金に換えることはできません。
有給休暇の買い上げをしてもらえるかどうか、会社の就業規則などを一度チェックしてみるのもいいかもしれません。
もしもそのような規定がないのなら、有給休暇を日頃から計画的に使っておくべきでしょう。
休暇を適切にとって私生活を充実させることも、仕事に打ち込むためには大切なことなのです。
もし、会社から不当な扱いを受けた際は、早めに弁護士へ助けを求めましょう。弁護士であれば、相談者の権利を最優先に考えて解決してくれます。
弁護士に相談する場合には、弁護士保険がおすすめです。保険が弁護士費用を負担してくれるので助かります。