バレたらクビ!?会社は社内恋愛を禁止してもよいの? | 弁護士費用保険の教科書

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バレたらクビ!?会社は社内恋愛を禁止してもよいの?

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投稿日:2015年10月28日 更新日:

社内恋愛が禁止の会社

 

 

 

 

 

寒波が訪れ、ぐっと寒くなってきましたね。

寒くなるといつも、この短歌を思い出します。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
俵万智

冬はなんとも人恋しい季節です。

もしかしたら皆さんにも経験があるかもしれない「社内恋愛」について、今日は考えてみましょう。

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社内恋愛を禁止するニーズ

言うまでもなく、恋愛は当事者が自由に行うべきものです。

「恋愛禁止なんてアイドルじゃあるまいし……」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、社内恋愛を禁止している会社はそれなりに存在しているようです。

会社としては、社内恋愛を禁止することにより、まず企業秩序や風紀を維持したいというニーズがあります。

社内恋愛が公然と行われている場合、何となく周りが気を遣うという妙な雰囲気になることが考えられます。

さらに、上司と部下といった立場の違いから不公平な査定が行われたり、経営上の重要な事項が漏れてしまったりという、雰囲気では済まない問題が発生することもありえますよね。

また、仮にふたりが別れた場合には、気まずい雰囲気となって仕事上の関係にも支障が出る可能性があります。

関係のこじれ方によってはどちらかが退職してしまったりとか、さらにはセクハラやストーキングなどといった法的な問題を含む、より重大な事態を招いてしまうおそれさえあります。

これらのことを考えると、「会社は社内恋愛を禁止することはできない」と単純には言い切れないことがわかります。

会社は配置転換で対応できるか

オフィスラブ
それでは、会社は社内恋愛に対してどのような手をとることができるのでしょうか。

まず、配置転換をすることが考えられます。

ある程度の規模の会社においては、配置転換は日常的に行われていますから、その一環で、社内で両者を引き離すためにどちらかを配置転換してしまおう、というわけです。

しかし、配置転換というのは、業務上必要だから行われるものであって、社内恋愛をしているだけの理由で配置転換することはできません。

公然とベタベタしていて仕事が進まないとか、目に余る様子に職場の雰囲気が悪くなるとか、仕事とは関係のない痴話ゲンカをするなどで職場に悪影響が発生することによって、はじめて「業務上の支障がある」という理由で配置転換ができることとなります。

なお、次項にも関係することですが、会社としては、配置転換を行う前に十分な注意や指導を行っておくのが望ましいでしょう。

注意指導を行えば、その分本人たちがリスクを負うことになるからです。

社内恋愛を禁止するという就業規則は有効?

そして、配置転換から一歩進んで、就業規則などによって社内恋愛を禁止する条項を設け、それに反したとして何らかの懲戒処分を下すという手段も考えられます。

先ほど説明したとおり、企業秩序や法的リスクの視点から、程度問題とはいえ社内恋愛を禁止すること自体は全く不合理とまではいえないので、就業規則にルールとして定めることはできると考えられます(あとで紹介する裁判例でも、その点は認められています)。

しかし、就業規則で懲戒処分を下すことができる旨の取り決めがあったとしても、社内恋愛発覚イコール即処分、とするわけにはいきません。

懲戒権の行使については、労働契約法15条が以下のように定めているからです。

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

悲しいほどの悪文ですが、法令文は内容をできるだけ厳密とし、誰もが正確に解釈できるように書かれたものですので、我慢して読んでください。

これを読むと、懲戒処分が有効となるためには、

①懲戒することができる(就業規則でルール化されている)場合に
②懲戒処分に客観的に合理的な理由(従業員の行為が懲戒事由に該当する)があり
③懲戒処分が社会通念上相当である(処分が重すぎない)と認められる

という場合でなければならない、ということがわかります。

社内恋愛による懲戒解雇の裁判例

社内恋愛の裁判例
ここで、なんと社内恋愛から懲戒解雇に発展した裁判例というのが実在します。

意外にもたくさんの事例がありますので、その一部だけ紹介します。

女性労働者と妻子ある同僚との不倫の噂が、社内のみならず取引先にまで知れ渡ってしまったため、会社の「職場の風紀・秩序を乱した」場合に該当するとして、女性労働者を解雇した事件で、裁判所は、不倫は社会的に非難される行為であり、就業規則の「素行不良」には該当するけれども、その不倫が企業秩序を乱し、会社の運営に具体的な影響を与えたとは認められない、として懲戒解雇を無効としました(繁機工設備事件・旭川地裁平成元年12月27日判決)。

これに対し、妻子あるバス運転手が未成年の女性バスガイドと不倫関係となったあげく、妊娠・中絶をし、バスガイドが退職を余儀なくされたため、バス運転手を解雇した事件で、裁判所は、運転手とバスガイドとの間の風紀維持は経営者として最も留意すべき重要事項であり、その不倫によって現に当該バスガイドの退職や女子従業員の不安動揺、求人についての悪影響等を招いたほか、会社の社会的地位、名誉、信用等を傷つけるとともに多かれ少かれその業務の正常な運営を阻害した、として解雇を有効としました(長野電鉄事件・東京高判昭和41年7月30日判決。なお、本件は普通解雇の事例ですが、懲戒解雇事由に該当すると判断されています)。

結論は相反していますが、判断のポイントとして共通しているのは、これらの社内恋愛が「企業の運営に影響を与えたか」という点です。

社内恋愛をしても、それが単に私生活上のものとして行われているぶんには問題ない(つまり懲戒処分ができない)わけで、それが公知の事実となっていろいろな問題が顕在化し、会社が円滑に運営できなくなった場合に限って懲戒処分ができると言えそうです。

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平賀 律男(パラリーガル)

平賀 律男(パラリーガル)

1982年,北海道生まれの33歳。北海道大学大学院法学研究科にて労働法を専攻し,修士号を取得。2008年からは,パラリーガル(法律事務秘書)として法律事務所に勤務し,企業法務・破産管財などの法律実務に携わるかたわら,在野の労働法研究者としての活動も続けている(2005年より日本労働法学会会員)。著作(共著)に『ワークルール検定問題集』『おしえて弁護士さん 職場のギモン48』(以上,旬報社)『18歳から考えるワークルール』(法律文化社)など。好きな食べ物はラーメン。
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