親子関係不存在確認調停(親子関係不存在の訴え)とは、親子関係を否定・拒否するためにある家庭裁判所での手続きのことです。
家庭裁判所では、裁判官と2人の調停委員によって話し合いが進められます。
普通に生活をしていればあまり縁のある手続きではありませんが、「この子は本当に自分の子どもなのだろうか?」、「この父は本当に私の父なのだろうか?」といった、親子間に一定以上の疑問が発生した場合に利用されます。
今回は、この親子関係不存在確認調停のやり方やDNA鑑定の費用について、詳しくご説明していきます。
親子関係不存在確認調停①申し立てるやり方
まず、親子関係不存在確認調停を申し立てるやり方についてご説明します。親子関係不存在確認調停を利用したい場合は、家庭裁判所に下記の書類を提出します。
-申立書
家庭裁判所ごとに用意されている定型のもので可
-親の戸籍謄本
不存在を求める親の戸籍謄本
-子の戸籍謄本
出生届未了の場合は子の出所証明書の写しか母の戸籍謄本
-利害関係人(親族など)からの申立の場合、利害関係を証する資料
次に、申立てに必要な費用についても確認しておきましょう。
-収入印紙1,200円
確認したい親子関係ごとに1,200円ずつ追加
-郵便切手数千円程度
申し立てる家庭裁判所ごとに異なる
-鑑定費用10~20万程度
裁判所を通してDNA鑑定を行う場合は鑑定費用を納める
なお、夫の子と推定される子との親子関係を否定・拒否する場合(まだ親子関係が正式に成立していない)は、親子関係不存在ではなく、「嫡出否認」という別の手続きになります。
親子関係不存在確認調停②流れ
上記の書類を用意し、家庭裁判所への申し立てが行われると、期日(裁判所へ足を運ぶ日)が指定されます。
そして初回の調停を終えた後、必要があれば1ヶ月置き程度に調停が開かれます。事実関係の調査の後(必要があればDNA鑑定などを行う)、双方に合意があり、なおかつ、それが裁判官や調停委員が見ても正当であると判断された場合、「合意に相当する審判」という形で、最終的に親子関係の不存在が証明されます。
その後、戸籍申請用の審判書謄本が作成され、これを市区町村役場に提出すると、戸籍簿上も親子関係の不存在が反映されるというのが一連の流れになっています。
なお、合意ができない場合や、裁判官や調停委員が正当でないと判断した場合、調停は不成立となり、その後は離婚裁判をするか否かの選択を迫られることになります。
離婚裁判については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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親子関係不存在確認調停③慰謝料
親子関係不存在が確認されると、その子どもは不貞が理由で産まれたという事実が証明されます。
そこで慰謝料の支払いを求めることも可能となります。
これは不貞行為に対する慰謝料になりますので、不貞の期間や回数などによって金額には振れ幅があります。
なお、振れ幅のある慰謝料と違い、自身の子どもだと思って養育費を支払っていたなどの事情がある場合は、養育費の返還請求も可能です。
しかし、それを支払えるだけの資力が相手にあるかどうかなど、お金の問題は回収までを見越して検討しなければなりません。
請求すれば認められるのは確実であっても、支払えない相手から回収することはできませんので、個々の事情に応じて最善となる対応を取っていきましょう。
親子関係不存在確認調停④DNA鑑定費用
お金の話が出たので、最後にDNA鑑定費用についても触れておきましょう。
親子関係不存在確認調停の中でDNA鑑定を行う場合、費用は原則として申立人が支払うことになっています。
親子関係不存在を求めておきながら、費用は相手に支払ってもらうというのは都合が良すぎますし、認められることはほとんどありません。
なお、裁判所に納める鑑定費用は、一般に行われているDNA鑑定費用より若干割高になっています。
費用を節約したいのであれば、事前にDNA鑑定を済ませた上で行うという方法もありますが、裁判所で行う場合は「鑑定書」という書面が作成されます。
この書面が作成されるため、割高になっているのです。
親子関係不存在確認は弁護士に依頼を!
この記事では、親子関係不存在確認調停のやり方やDNA鑑定の費用についてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
ここまで読んでいただいた方はすでに感じているはずですが、親子関係不存在確認というのは精神的な負担が非常に大きい手続きです。
今まで自分の子どもだと思っていた子が実は自分の子でない、こんな話を聞いただけでも心が痛みます。
その後の離婚調停のことを考えても、1人で乗り切るのは簡単なことではないため、可能であれば弁護士に依頼し、手続きを法的な面だけでなく精神的な面からも支えてもらってください。
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