離婚調停には欠かせない存在である、離婚調停委員とはどのような人たちなのでしょうか?
こちらを知らないことには離婚調停委員を味方につけるのは難しいと言えます。
しかし、逆に言えばこちらを知ることによって離婚調停を有利に進めていくためのヒントが見つかるかもしれません。
今回は、そんな離婚調停委員についてご説明させていただきます。
こんな疑問にお答えします
Q.調停委員はどのような人たちが任命されていますか?
A.調停委員になるための資格は特になく、最高裁判所の出す要件のどれかに当てはまり、かつ人格見識が高く、人生経験も豊富な40歳以上70歳未満であることと決まっています。
調停委員がどのような人なのかを理解しておくことで、調停委員を味方につけやすくなり、調停自体を有利に進めるきっかけにもなります。
離婚調停委員に資格は必要?
離婚調停委員になるために、特に資格は必要ありません。
また、法律に詳しくなければならないといった要件もありません。
よく、地域で活躍しているベテランの弁護士や司法書士といった法律の専門家が調停委員として任命されていることが多いといえますが、なにも法律の専門家だけが任命されているわけではありません。
地域の学校の校長先生や民生委員といった、人生経験が豊富な有識者が調停委員を担っているのです。
離婚調停委員が任命される要件
では、調停委員が任命される要件について詳しく見ていきましょう。
調停委員というのは、離婚調停といった家事調停に限らず、簡易裁判所の民事調停にも立ち会いをすることになっていて、その任命をしているのは最高裁判所となっています。
よって、調停委員になる要件は、最高裁判所の出す下記した要件のどれかに当てはまり、かつ、人格見識が高く、人生経験も豊富な40歳以上70歳未満でなければなりません。
2.民事・家事の紛争解決に役立つ専門知識を有する者
3.社会生活において豊富な知識を有する者
離婚調停委員は、1回の離婚調停につき男女1名ずつの計2名
原則、離婚調停では上記の要件を満たした男女1名ずつ、計2名の調停委員が立ち会いをすることになっています。
男性だけ、女性だけとなってしまった場合、少なからず意見が偏ってしまう可能性も考えられるため、どの裁判所でも原則としては、男女1名ずつの調停委員が選任される取り扱いとなっています。
関連記事
-
離婚調停1回目で聞かれることは?準備しておくべき3つのこと
何事においてもそうですが、初めての離婚調停で緊張しているのであれば、まずは落ち着いてイメージトレーニングをしておくことが重要です。 ほとんどの方にとっては家庭裁判所に行くこと自体、初めてなのではないでしょうか。 裁判所と …
トラブル時、離婚調停委員の交代は可能か?
たとえ有識な調停委員であったとしても、「この調停委員はどうしても合わない。なんとか変えてほしい・・・」といったことがあっても不思議なことではありません。
実際にも調停委員というのは非常にアタリとハズレがあるため、このような希望を持つ方はたくさんいらっしゃいます。
選考要件に「人格見識が高く、人生経験も豊富な40歳以上70歳未満」とありますが、これは調停の当事者が直面している境遇を、調停委員が経験しているというわけではありません。
例えば、離婚調停の調停委員が、離婚経験者というわけではないということです。
しかし、現行法においては、調停委員と当事者に一定の関係が認められる場合でない限り、交代はされないことになっています。
ここでいう一定の関係というのは、調停委員と当事者が親戚関係にあった場合などです。
こうした特別な事情がない限り、トラブルになったり、どれだけ合わない調停委員だったとしても交代が認められることはありません。
離婚調停委員とトラブルになっても、忌避制度は使えない
なお、以前までは、「忌避(きひ)制度」といって、合わない調停委員を変更させるという手続きもあったのですが、現在こちらは使えないことになっています。
つまり、どれだけ合わない離婚調停委員であったとしても、変更は認められないということです。
どうしても合わないのであれば、調停に出頭しないといった方法で調停自体を不成立とさせてしまう他、方法はないと言えるでしょう。
また、たとえ調停委員に苦情を出したとしても、その苦情が理由となって調停委員が変更されるようなことはまずないと考えておくようにしましょう。
むしろ、苦情を出すことによって調停委員への心証が非常に悪くなってしまいますので、あえて苦情を出すことにメリットはまったくありません。
関連記事
-
【調停委員はこう思う】離婚調停を欠席した場合不利になる?
離婚調停は心身にかなりの負担がかかりますので、ついつい欠席をしたくなってしまうことがあるかもしれません。 しかし、離婚調停を欠席なんて、してもいいのでしょうか…? ここでは、実際に離婚調停を欠席した場合、一体どのような事 …
調停委員を味方につける3つのポイント
これまでの話を知ると、調停を有利に進めるには調停委員を味方にするのが得策といえます。
では、実際に調停委員を味方にするためのポイントを3つ解説します。
調停の場にふさわしい言葉遣いを心がける
一つ目に、調停の場にふさわしい言葉遣いを心がけることです。
調停委員といっても、一人の人間です。いくら正しいことを主張しても、言葉遣いが乱暴で攻撃的であると、「この人は冷静に話ができなさそうな人だな」と先入観を抱かれかねません。
言葉使いや身なりなど、調停委員に与える印象をよくしましょう。
客観的証拠があれば持参する
調停委員を味方にするには、できるだけ具体的な証拠を持って主張するようにしましょう。
証拠があれば調停委員の理解を得やすく、調停自体を有利に進める材料になり得ます。
たとえば、パートナーから経済的DVを受けていると主張します。通帳の記録や明細、LINEでのやりとりのスクショなどを集めておくと、説得力が増すでしょう。
弁護士をつけて代わりに主張してもらう
弁護士をつけて、代わりに主張してもらうことも調停委員を味方につける一つの手です。
調停に出ても、「うまく説明できない」「緊張してしまって質問に対して的確な返しができない」という方も少なくありません。
弁護士がついていれば、伝えたい内容をはっきり提示できるほか、味方がいるという安心感にもつながるでしょう。
離婚調停委員は必ず味方につけよう
上記のように納得しかねる事情もありはしますが、離婚調停のカギを握っているといっても過言ではない存在が離婚調停委員となっています。
調停委員を味方にすべき理由
離婚調停というものは、離婚調停委員が進行をしていく上に、調停の期日ごとに担当の調停委員が変わることもありませんし、後から変更がされることもありません。
よって、離婚調停を有利に進めていきたいのであれば、離婚調停委員を味方につけるに限ります。
まずは身なりを整え、きちんとした言葉使いで接することを心掛けてみましょう。
調停を何度か重ねる中で、離婚調停員の普段の職業や年齢、性格といった部分をよく観察し、嫌われることがないように離婚調停を進めていくようにしましょう。
また、相手がどのような態度をとってきたとしても、あくまで冷静に落ち着いて、感情的にならず、筋道の通った反論をし、本来の目的に沿った話を離婚調停委員に分かりやすく伝えましょう。
調停を味方にするなら弁護士のサポートも視野に
調停委員を味方につける方法をいくつか紹介しましたが、中でもおすすめなのは弁護士のサポートです。
調停となると法的な根拠にもとづいた主張も重要になってきます。法律の専門知識が豊富な弁護士であれば、当事者の主張を法的根拠にもとづいて提示することができます。
ただ、弁護士へ相談するといっても「どのように探せばいいのか分からない」「初めての法律相談で緊張する」といった不安を抱える人も多いでしょう。
弁護士の相談ができる窓口は、以下の5つがおすすめです。
- 弁護士会による法律相談センター
- 法テラス
- 自治体の法律相談
- 弁護士保険
- 各法律事務所
それぞれの詳細について詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事
-
弁護士の無料相談のおすすめの窓口は?対応できる範囲や事前準備を解説!
離婚や相続、労働問題や交通事故など、トラブルに巻き込まれることは少なくありません。 そんなときにおすすめなのが、弁護士への無料相談です。 弁護士へ無料相談することで、トラブルの全体的な見通しや解決策のアドバイスを受けられ …
弁護士費用に不安がある場合は、弁護士保険の利用がおすすめです。保険が弁護士費用の負担をしてくれるので助かります。
弁護士保険なら11年連続No.1、『弁護士保険ミカタ』
弁護士保険なら、ミカタ少額保険株式会社が提供している『弁護士保険ミカタ』がおすすめです。1日98円〜の保険料で、通算1000万円までの弁護士費用を補償。幅広い法律トラブルに対応してくれます。
経営者・個人事業主の方は、事業者のための弁護士保険『事業者のミカタ』をご覧ください。顧問弁護士がいなくても、1日155円〜の保険料で弁護士をミカタにできます。
記事を振り返ってのQ&A
Q.離婚調停委員に資格は必要ですか?
A.離婚調停委員になるために、特に資格は必要ありません。また、法律に詳しくなければならないといった要件もありません。
Q.離婚調停委員は、1回の離婚調停につき何名つきますか?
A.原則、離婚調停では上記の要件を満たした男女1名ずつ、計2名の調停委員が立ち会いをすることになっています。
Q.トラブル時、離婚調停委員の交代は可能ですか?
A.現行法においては、調停委員と当事者に一定の関係が認められる場合でない限り、交代はされないことになっています。
Q.調停を有利に進めるには、調停委員がカギとなりますか?
A.はい。離婚調停を有利に進めていきたいのであれば、離婚調停委員を味方につけるに限ります。調停委員を味方につけるには、言葉遣いや態度を意識し、感情的にならず冷静に挑むことが重要です。主張が苦手な方は、弁護士をつけてもいいでしょう。