離婚調停成立後の手続きを怠ると戸籍上はそのままに・・・?

離婚調停成立後の手続きを怠ると戸籍上はそのままになってしまうことも色々といざこざはあったけれど、なんとか無事に離婚調停を終えることができました。

すっかり安心してしまう場面ではありますが、ちょっと待ってください。

離婚は、成立した時点で終わりというわけではないのです。

では、調停離婚が成立した場合、その後は一体どのような手続きを取れば良いのでしょうか?

実は、調停成立後に何もしないでいると、法律上は離婚が成立していても、戸籍上はそのままになってしまうこともあるのです。

今回は、そのようなことにならないためにも、調停成立後の手続きについてご説明をします。

まずは調停調書を申請しましょう

調停調書は黙っていても貰えるものではなく、申請が必要です。

申請する際には「調停調書謄本交付申請書」を使用します。

こちらは各裁判所で取得することもできますし、インターネットを利用して取得することもできます。

もちろん自作をしても問題ないのですが、裁判所ごとに好まれる雛形がありますので、調停成立となった日に担当書記官から貰っておくのが一番良い方法です。

記入自体は特に難しいものではありませんが、わからない場合には担当の書記官に聞いてしまうのが良いでしょう。

また、弁護士に依頼をしているのであれば、調停調書の取得はすべて弁護士にやってもらうことができますので、安心して手続きを進めることができます。

必要となる書類は3種類

離婚後の手続きに必要となる書類は3種類ありますが、それらは上記した調停調書謄本交付申請書で、すべて揃えることができます。

手数料は、証明する用紙1枚につき150円の収入印紙が必要になります。

印紙代は各裁判所によって異なりますので、事前に確認をしておきましょう。

①調停調書正本

離婚成立後に、相手方が合意内容どおりの支払いをしてくれない場合の強制執行手続きに必要となりますので、必ず取得しておくようにしましょう。

②離婚成立のみを記載した調停調書省略謄本

役所へ離婚を届け出るために使用します。

調停調書は通常であれば、離婚以外のことも記載されることになりますが、それらは役所へ届け出る際に必要な事項ではありません。

特に気にしないという方であれば、省略謄本である必要はありませんが、プライベートな情報になりますので、気になる方は省略謄本を届け出るとよいでしょう。

③年金分割のみを記載した調停調書省略謄本

こちらも上記と同様の理由で、年金事務所へ届け出る際に必要となります。

役所への届け出は離婚成立から10日以内

調停離婚の場合の離婚届の提出期限は、調停調書を受け取ってから10日以内ではなく、離婚成立日から10日以内の届出が必要です。

そのため、成立したその日に調停調書の申請する方がいいかもしれません。

仮に10日を超えてしまった場合、役所によっては過料を課されることもありますので、忘れないようにしましょう。

また、調停離婚の場合の離婚届は、一般的には調停を申し立てた側が提出することになります。

どちらが出さなければならないという厳格な定めはありませんが、「一般的には申し立てた側が申請」するものということを覚えておきましょう。

「相手との兼ね合いもあるのに、そんなに早く届け出ることができるか心配!」という方には朗報があります。

協議離婚の場合は当事者二人の署名捺印に加え、証人2人の署名捺印も必要となりますが、調停離婚の場合、調停証書さえあれば相手方の署名捺印も証人からの署名捺印も一切必要ありません。

10日以内であれば、自分のタイミングで届け出ることができるので、その点は融通が効くといえるかもしれません。

また、弁護士に依頼をしている方は、離婚の届出までをやってもらえると考えている方が多いですが、通常、離婚届は自分自身で提出するものですので、忘れずに届け出るようにしましょう。

そこまでやってくれる法律事務所は、かなり稀だということを覚えておきましょう。

子どもの氏の変更について

こちらは必ずしも行わなければならないことではありませんが、離婚後の子どもの氏を変更したい場合は離婚調停とは別に手続きが必要です。

放っておいてそのまま変わるものではありませんので、氏の変更を検討している場合は必ず手続きを取るようにしましょう。

氏の変更は、離婚調停と同様に家庭裁判所が管轄をしており、裁判所からの許可がなければできません。

許可といっても離婚成立の事実があり、親権を持っているのであれば、特に問題なく許可がおりるはずです。

また、氏の変更の申し立ての際には離婚の事実を証するため、調停調書が必要となりますので、子どもの氏の変更までを検討している方は、調停調書を1部多く申請しておくようにしましょう。

なお、子どもが15歳未満の場合、親権者が法定代理人として申請をすることができますが、15歳以上の場合は、子ども名義での申し立てが必要となりますので注意しましょう。

子の氏の変更の審判決定はとても早い

審判と聞くと様々な事情を調査して、決定までに時間がかかってしまいそうですが、離婚後の子の氏の変更についてはそんなことはありません。

子どもに関することなので、裁判所も審判決定は迅速に行われます。

東京家庭裁判所では1日で決定が出ることもあるようです。

氏の変更の審判決定(裁判所からの許可)が出たら、速やかに本籍地のある役所へ届け出るようにしましょう。

役所へ届け出る際には、親権者の離婚前と離婚後それぞれの戸籍謄本が必要になる場合が多いですので、事前に必要書類を確認し準備しておくようにしましょう。

年金事務所への年金分割請求は2年以内

調停調書に年金分割についての記載がある場合は、離婚から2年以内に年金事務所へ届け出るようにしましょう。

2年という期間は、「まだ時間はあるから後で手続きをしておこう」と考えるには十分な期間ですので、「すっかり忘れていた・・・」なんてことにならないように、忘れないうちに必ず請求をしましょう。

必要書類についても事前に確認をするようにし、慌てて手続きをすることがないように心がけてください。

手続き完了までが離婚です

こういった手続きはどうしても面倒・・・

離婚成立後は一段落置きたいと考えてしまうものです。

特に、話し合いが難航した場合、他のことが一切手につかなくなってしまってもおかしくはありません。

たとえ話し合いがスムーズに進んだ場合であっても、離婚は人生の分岐点といっても過言ではありませんので、落ち着くまでにはどうしても時間がかかってしまいます。

しかしながら、手続きの期限は待ってはくれませんので、離婚成立からその他諸々の手続きの完了までが離婚なのだと考えるようにしましょう。

よく幼いころに、遠足は帰るまでが遠足ですと教わってきましたが、離婚についても同じです。

「離婚は手続き完了までが離婚です。」