離婚調停を申し立てるにあたり、相手の住所がわからないとなっては、申し立てをすることができません。
離婚調停というのは、相手の住所地を管轄する裁判所に申し立てをしなければならないのです。
特に、すでに別居から数年経っているような方の場合、相手の住所地がわからないというのはよくあるケースなので、対処法を知っておくとよいでしょう。
今回は、『離婚調停を起こしたいが、相手の住所がわからない場合』についてご説明します。
こんな疑問にお答えします
A.離婚調停は、相手の住所がわからないと申し立てができません。住所地の調査については時間と労力を要するため、その手続きをすべて代理で行える専門家への依頼を検討してみましょう。
離婚調停の申立に相手の住所が必要な理由
冒頭でもお伝えしましたが、大前提として離婚調停を申し立てるには相手の住所を把握しないといけません。
その理由は2つ。一つ目は、裁判所の管轄にあります。
基本的に、離婚調停は相手方の住所を管轄する家庭裁判所へ申し立てることなります。
もし相手方の住所がわからないとなると、どこの裁判所に申し立てるべきか分からず調停自体ができなくなってしまいます。
ただ、相手方の住所が分かっても裁判所が遠方で困るという方もいるでしょう。
調停を取り行う裁判所については、夫婦の合意さえあれば自由に決めることが可能なのです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
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もう一つの理由として、離婚調停を行うには相手方が期日に出頭する必要があるからです。
調停を申し立てるということは、相手方に対して調停の申立書と調停期日の呼出状が送付されることなります。
相手の住所が不明のままでは、裁判所は呼び出し状を送付できません。
相手が出頭できないと相手方の主張する権利を奪うことにもなるため、必ず住所が必要になるのです。
離婚調停の全体の流れを把握されたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
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次の章では、相手の住所が分からない場合の対処法を解説していきます。
まずは住民票や戸籍の附票を取り寄せてみる
相手が住民票の転出届けをしっかりと出しているようでしたら、住民票や戸籍の附票といったものを取り寄せてみましょう。
一度は、自身と同じ住民票に入っていたのですから、自らの住民票を取り寄せればそこには相手の転出先が記載されているはずです。
請求する際は、世帯全員分・省略のない住民票を請求するようにしましょう。
他にも、戸籍の附票によっても相手の住所地を確認することは可能です。
戸籍の附票というのは、本籍地が管理しているもので、対象の戸籍に記載されているすべての者の届出住所地が記載されています。
離婚前ということは、同一の戸籍に入っていることになるため、こちらでも住所地を確認することができます。
閲覧交付制限がされていることもある
ただし、DVなどが原因となって別居状態となっている夫婦の場合、自身の住所地を知られないために閲覧交付の制限を届け出ることが可能とされています。
このような場合、いくら配偶者であっても住民票を取得することができなくなります。
この閲覧交付制限をするには、警察からの支援が必須であるため、別居前に警察へと相談に行っている様子が見受けられた場合は、制限されている可能性が高いです。
どちらにしても請求をしてみないことにはわからないので、まずは請求をしてみましょう。
弁護士などの専門家に依頼するという方法もある
なお、住民票などの取得については、弁護士をはじめたとした専門家であれば職権にて行うことができますので、自身の代理で取得してもらうという方法もあります。
相手が住民票の転出を繰り返している場合、多数の市区町村役場から取得を繰り返さなければならないため、個人で行うとかなりの時間がかかるかもしれません。
また、請求する役場が変われば、その都度、相手との関係性を示さなければならないため、手間もかかります。
さらに、どこかで閲覧交付制限がされていれば、そこまでしか取得することができませんので、非常に効率が悪いです。
一方で、専門家であれば閲覧交付制限がかかっていたとしても、制限の対象となっている相手には情報を漏えいしないことを条件に、取得することが可能です。
当然、その情報を公開してくれることはありませんが、専門家が相手と連絡を取れるようになれば、手続きの進展が見込めるでしょう。
ここで、離婚調停の問題を弁護士に依頼しようか迷っている方もいらっしゃると思います。
離婚調停に弁護士が必要かどうかについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
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そもそも転出届を出していない場合
本来、住民票というのは居住地が変わる度に届出されなければならないものですが、いちいち届出をしていない方がいるのも事実です。
よって、相手が転出届が出されていない場合、相手の住所地を調べるのはかなり困難です。
このような場合には、調停申立後、可能な限りの調査をした事実を裁判所に報告をします。
その調査が十分だと認められれば、調停から裁判へと移行することが認められることがあるのです。
離婚裁判さえ提起できてしまえば、相手の住所地がわからなかったとしても公示送達によって離婚判決を取得することが可能です。
公示送達というのは、一定期間裁判所の前に呼び出しの事実を提示することによって、それでも連絡がない場合、その書類は送達された(相手に送付された)とみなすことによって、手続きを進めていくというものです。
離婚裁判が公示送達までいってしまうのは、かなり稀ではありますが、どうしようもない場合はこのような方法によって離婚することもできるのです。
困難な調査については専門家に依頼しよう
なお、裁判所が公示送達を認めるほどの調査というのは、個人が行うのはほぼ無理と言って差し支えないでしょう。
裁判所は、そう簡単に離婚裁判への意向や公示送達を認めてくれることはありません。
場合によっては、相手の実家や職場と関わりをもたなければならない可能性もあるため、住所地の調査については、その手続きをすべて代理で行うことができる弁護士などの専門家に依頼をすることも検討してみましょう。
離婚調停のトラブルを弁護士へ相談するメリット
弁護士に相談することで、法的な観点から適切に対処や検討を行うことができ、離婚や慰謝料請求の手続きも一貫して代行してくれます。
また、今回のように相手方の住所が不明な場合も、弁護士に依頼をすれば公示送達のための現地調査や報告書の作成といった手続きをすべてを一任できます。
離婚調停となると裁判所とのやりとりがあるため不安を持つ方も多いと思います。
弁護士に依頼することで、手続きをすべて任せられるため精神的負担が軽減されるでしょう。
弁護士へ相談する方法
弁護士の探し方は、インターネットでの検索で自宅や職場からアクセスしやすい法律事務所に問い合わせてみましょう。
地域の法律相談窓口を利用するのもひとつの手です。
弁護士への相談は、無料で行っているところがあります。おすすめの窓口はこちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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弁護士保険の詳しい情報は、こちらの記事を参考にしてみてください。
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記事を振り返ってのQ&A
Q.相手の住所が不明だと離婚調停は申し立てられませんか?
A.離婚調停を申し立てるにあたって、相手の住所がわからないとなっては申し立てをすることができません。
Q.相手の住所を確認するにはどうしたらいいですか?
A.相手が住民票の転出届けをしっかりと出しているようでしたら、住民票や戸籍の附票といったものを取り寄せてみましょう。ただし、DVなどが原因となって別居状態となっている夫婦の場合、自身の住所地を知られないために閲覧交付の制限を届け出ることが可能とされています。このような場合、いくら配偶者であっても住民票を取得することができなくなります。
Q.そもそも転出届を出していない場合はどうすればいいですか?
A.相手が転出届が出されていない場合、相手の住所地を調べるのはかなり困難です。このような場合には、調停申立後に可能な限りの調査をした事実を裁判所に報告をします。その調査が十分だと認められれば、調停から裁判へと移行することが認められることがあるのです。