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【事例で学ぶ】事故物件公示サイトに表示される掲載物件の削除はできるのか~削除が認められなかった事例

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賃貸物件を借りるとき、あるいは物件を購入するときに、その物件が過去に何かしら問題やトラブルがなかったのか調べる方は多いのではないでしょうか。

 

もし、自身が住もうとしている物件で、過去に自殺や殺人があった、いわゆる「いわくつき物件」であるならば、避けておきたいと考える方は少なくないと思います。

 

近年、とても注目されている事故物件公示サイトに「大島てる」があります。

 

テレビやメディアなどにサイト運営者がたびたび登場していますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

ただ、このサイトへの掲載は、物件を管理する側や販売する不動産会社にとっては、できれば避けたい事実でしょう。

 

物件の借り手がなくなったり、物件の価値が下がってしまったりするからです。

 

今回ご紹介する事例は、「大島てる」に掲載された内容が事実無根で名誉毀損にあたるとして削除や謝罪広告などを求めた裁判です。

 

しかし、内容は事実であるとして請求は棄却されています。

 

このケースの概要と、そもそもこのような内容の掲載は名誉毀損にならないのか、また削除する方法についてご紹介します。

 

【事例で学ぶ】事故物件公示サイトに表示される掲載物件の削除が認められなかった事例

 

事故物件公示サイト「大島てる」に掲載された内容が事実無根で名誉毀損にあたるとして、横浜地方裁判所に民事提訴された事例をご紹介します。

 

事故物件とは、殺人や自殺、孤独死などによって、人が亡くなった物件のことを指しています。

 

マンションの所有者は、慰謝料110万円および情報の削除、謝罪広告の掲載を求めましたが、横浜地裁は請求を棄却しています。

 

ケースの概要

横浜市内のマンションが「大島てる」に事故物件であると掲載され、その削除や謝罪広告を求めた裁判です。

 

このマンションは横浜市鶴見区のオーナーが所有しているもので、実際に死体遺棄事件が発生しています。

 

今回の民事裁判においてオーナー側は、情報が事実であるとしてもサイトに掲載されたことによって名誉を傷つけられたために名誉毀損に該当すると主張しています。

 

「大島てる」サイト運営者は、サイトに掲載される内容は一般に取引される不動産を対象としており、「公共性」「公益性」「真実性」をもとに掲載している、

 

今回のケースにおいても、情報が事実である以上、借主や買主が正しい情報をもとに不動産取引ができるために、名誉毀損にはあたらないと主張しています。

 

裁判所の判断とその後

横浜地方裁判所は、マンションオーナーの訴えを棄却しています。

 

死体遺棄事件は事実であるために、その事実を掲載することは名誉毀損にはあたらないとして、慰謝料の支払い、情報の削除、謝罪広告すべて認められませんでした。

 

事故物件サイト「大島てる」は不特定多数が認識しうる状態にあり、公共の利害に関する事実を「公益を図る目的」のために掲載されています。

 

名誉毀損は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に該当しますが、公共性と公益性に加え、真実の情報であるために名誉毀損にはあたらないとしたのです。

 

判決が確定後に、原告であるマンションオーナーから50万円の支払いをもって情報を削除するように求めましたが、大島てるのサイト運営者は応じることはありませんでした。

 

事故物件公示サイトに表示される掲載物件の削除はできるのか

 

上記の民事裁判において、事故物件サイト「大島てる」の運営者は、「内容が誤っていると指摘された以外には応じることはない」としています。

 

この対応が名誉毀損にあたらないのか、また掲載物件の削除は可能なのかお伝えしていきましょう。

 

事故物件公示サイトの表示は名誉毀損にあたらないのか

  • 検索結果が事実を示しているか
  • 検索結果によって原告の社会的評価を低下させているか
  • 摘示された事実が真実で、公益を図るという目的のために行われている

 

近年、今回のような事故物件サイトだけではなく、あらゆる検索結果について名誉毀損であるとして削除を求める裁判が起こっています。

 

例えば、Google検索結果や口コミ掲載サイト、SNSなどの情報によるものです。

 

この検索結果内容が名誉毀損にあたるのかについては、上記に示した内容によって判断されることになります。

 

その検索結果によって事実を示していることを「事実の適示」と呼んでおり、これを不特定多数の人が確認できるような状態になると、社会的評価を低下させており、名誉を毀損した状態であると言えます。

 

ただし、その適示された真実が事実であり、公益を図る目的のために行われている場合であれば、「違法性阻却事由」によって処罰の対象にならないのです。

 

事故物件サイト「大島てる」に掲載されている内容も、基本的に事実のみが掲載されているために名誉毀損にはあたらないと判断されたのだと考えられます。

 

事故物件公示サイトの表示が間違っている場合

事故物件サイト「大島てる」の管理者は、「内容が間違っていると指摘された場合には、事実に基づいて訂正する」としています。

 

そもそも「大島てる」は、第三者の投稿によって、事故物件の掲載が増えています。

 

掲載されている事故物件は「心理的瑕疵」と呼ばれているもので、「事故死」「自殺」「殺人」「孤独死」がそれに該当します。

 

ただユーザーである第三者が掲載できる情報ですから、心理的瑕疵にあたらない内容や関係のない情報まで掲載されてしまうことがあります。

 

例えば、物件以外の公道や駅、公園などで生じた事故は、心理的瑕疵物件にあたりません。

 

物件での事故であるとしても、事実に基づかない憶測の情報についても除外されることになります。

 

例えば、物件のオーナーや入居者に対する誹謗中傷や事実無根の内容が含まれているのであれば、管理者は訂正に応じるとしています。

 

事故物件公示サイトの表示を削除するには

 

事故物件サイト「大島てる」の管理者は、さまざまなメディアにおいて「指摘を受けたものはいったん削除して調査している」と語っています。

 

実際に事故物件を紹介するページを見てみると、管理者に対して投稿ができるシステムになっています。

 

上記でご説明したように、心理的瑕疵に該当しない事故や誹謗中傷など事実とは言えない内容が含まれている場合には、削除や訂正されることもあります。

 

ただ、調査後に掲載している内容が事実であると判明した場合には、再度掲載されることになります。

 

つまり、取り下げ申請は可能となっていますが、削除には対応してもらえない可能性があるということになります。

 

事実であるならば削除することは、上記の判例があることからしてもかなり難しいと言えるでしょう。

 

まとめ

六法全書

 

「大島てる」に掲載された内容が事実無根で名誉毀損にあたるとして削除や謝罪広告などを求めた裁判をご紹介しました。

 

内容は事実であるとして請求は棄却されています。

 

賃貸物件を借りるとき、あるいは物件を購入するときに、「心理的瑕疵物件」ではないかと知りたい方は多いでしょう。

 

事故物件サイト「大島てる」は、心理的瑕疵物件の事実のみを伝えるサイトとして、その公益性が認められたということが言えるでしょう。

 

そのため、掲載されている内容が事実である場合、掲載の取り下げに応じてもらうことはなかなか難しいことであるとご理解いただけるでしょう。

 

ただ、真実ではない、心理的瑕疵物件ではない情報については、掲載されているとしても訂正に応じてもらえる可能性があります。

 

もちろん、事実でない内容や推測で掲載されているような内容が含まれている場合には、削除することが可能です。

 

また、「大島てる」だけではなく、さまざまな口コミや評判などの掲載によってお困りであれば、ネット問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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「弁護士費用保険の教科書」編集部

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