マタハラ(マタニティハラスメント)とは?具体例や被害を受けた際の相談先を解説!

マタハラは、妊娠、出産、育児に対する理解不足から生じているものが多いもの。しかし、その理解不足がマタハラ被害を受けた側にとっては心身ともに大きな負担となっています。

さらに、マタハラは違法行為に該当することがあります。

マタハラを知らなかったから仕方ないと、許されるものではありません。

本記事では、マタハラの具体例や被害を受けた際の相談先をお伝えします。

もし今、マタハラで悩んでいる方は参考にしてみてください。

こんな疑問にお答えします

Q.マタハラはどのような行為が該当しますか?また、違法ですか?
A.マタハラの具体例として、以下が挙げられます。

  • 妊娠・出産・育児に対する嫌味を言われる
  • 制度利用を妨害される
  • 労働条件や契約内容の変更を強いられる

マタハラは違法行為に該当する可能性がありますが、判断基準が難しいケースもあります。
「マタハラをされているかも?」と判断がつかない場合や、すでにマタハラで悩んでいる方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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マタハラとは?

マタハラとは、マタニティハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産・育児に関して職場の同僚や上司から嫌がらせを受け、就業環境が害されることを指します。

法や国の表記では、「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」と呼ばれます。

マタハラの種類は大きく2タイプ

マタハラの種類は、大きく分けて以下の2つです。

  1. 妊娠・出産という状態に対する嫌がらせ
  2. 妊娠・出産・育児に関する制度利用に対する嫌がらせ

妊娠・出産という状態に対しては、自主退職を強要されたり降格を迫られたりということがあります。

制度利用に関しての嫌がらせもあります。

妊婦健診で休暇をとったり育児休業を取得したりと、制度を利用する機会も多いでしょう。

そうした制度利用を妨害する行為も、立派なマタハラなのです。

後の章で、具体例を挙げて解説しますね。

パタハラとの違い

妊娠・出産・育児というイベントでハラスメントを受けるのは、女性だけではありません。

マタハラと似た言葉に、パタハラがあります。

パタハラとは、パタニティハラスメントの略。男性が育児のために時短勤務や休業を選択すること、会社から嫌がらせや不当な扱いを受けることを指します。

マタハラとパタハラの違いは、ハラスメントを受ける人が女性か男性かの違いです。

どちらも嫌がらせに代わりなく、ハラスメントを受けた被害者は精神的に追い詰められてしまうおそれがあるでしょう。

「パタハラ」被害の実態については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

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職場で起こりやすいマタハラの具体例

では、職場で起こりやすいマタハラの具体例を紹介します。

妊娠・出産・育児に対する嫌味を言われる

マタハラの具体例としてまず上がるのは、妊娠・出産・育児に関する嫌味を言われることです。

たとえば、以下のような言動です。

  • 「妊婦は楽な仕事ばかりでいいよな」
  • 「いつ休むか分からないから責任ある仕事は任せられないな」
  • 「なんで繁忙期の時期に妊娠するの?」
  • 「子どもの体調不良を理由に休まないでほしいな」

妊娠中や育児中の事情は人それぞれ異なります。

つわりがひどく、会社を何週間も休まざるを得ない場合だってあるでしょう。

そのような中で、心無い言葉に傷つけられたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

嫌味を言っている側は、冗談で言っただけということもあるかもしれません。

何気ない一言であっても、ハラスメントを受けた側にとっては精神的な苦痛を負ってしまいます。

制度利用を妨害される

制度利用の妨害も、マタハラの特徴です。

妊娠・出産・育児に関する制度には、「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」があります。

妊娠・出産・育児に関わる具体的な制度には、以下のようなものがあります。

  • 産前休業
  • 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置
  • 育児休業
  • 所定外労働の制限
  • 時間外労働の制限
  • 深夜業の制限
  • 育児のための所定労働時間の短縮措置
  • 始業時刻変更等の措置

このような制度を利用する際のマラハラの具体例として、以下が挙げられます。

  • 「休業するくらいなら退職してもらう」
  • 「検診は勤務時間外に行うべきだ」

上記のように、制度利用に対する嫌がらせや妨害行為がマタハラとして当てはまります。

労働条件や契約内容の変更を強いられる

労働条件や契約内容の変更を強いられることも、マタハラの一種です。

たとえば、以下のような例です。

  • 正社員からパートに変更してほしいと強要される
  • 降格など不利益な取り扱いを受ける
  • 契約期間を短くされる、更新しないと言われる
  • 退職を迫られる

妊娠や産休、育児を理由とする不当解雇や待遇変更は、違法行為が認められる可能性があります。

違法と認められやすいのは、本人の意志に関係なく一方的に強要する場合です。

妊娠を理由にした安全配慮による声がけや業務内容の変更を本人に相談することは、ハラスメントに該当する可能性は低いでしょう。

自身のケースがマタハラに該当するのかどうかの判断は難しいかもしれません。

悩んだ場合は、専門家の目線で見てもらうことをおすすめします。

マタハラに関する法律

妊娠や産休、育児を理由とする不当解雇や一方的な条件変更は、違法行為になる可能性があるとお伝えしました。

そもそも、マタハラと法律はどのような関係があるのか気になる方もいるでしょう。

ここからは、マタハラに関する法律について解説します。

労働基準法

ひとつめに、労働基準法です。

労働基準法とは、性別や身分に関係なく、働く人すべての適切な雇用を守る法律のこと。職場での差別や強制労働を防ぎ、労働者の生活を満たすことを目的としています。

よって、労働者に不利益に扱うことは、労働基準法第104条で禁止されています。

労働基準法 第百四条
事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
② 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
引用:e-Gov 法令検索

マタハラの場合、出産や育児に関する制度を利用しようとする女性に対して妨害しようとする行為は、労働基準法違反に該当します。

男女雇用機会均等法

マタハラは、男女雇用機会均等法に違反する可能性があります。

男女雇用機会均等法とは、雇用されている労働者が性別によって差別を受けないよう定められた法律です。

正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」といいます。

職場における男女の格差をなくすことで、働きやすい環境で自身の能力を発揮できるよう職場環境を整備する目的があります。

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条
事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。”
引用:e-Gov法令検索

女性が妊娠や出産したことや、産前産後の休暇制度を利用したことを理由に解雇や不利益な扱いを受けることは、男女雇用機会均等法違反に該当します

育児・介護休業法

育児・介護休業法も、マタハラと関係する法律です。

正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。

育児・介護休業法は、女性や男性が育児休業を積極的に取得できるよう定められた法律です。

育休を取得しようとする労働者に対して、会社が嫌みを言ったり制度利用を妨害しようとしたりすることで、労働者の就業環境が害されてしまいます。

労働者の就業環境が悪化している事実があるにも関わらず会社が改善せず放置することで、違反行為と認められる可能性があるでしょう。

参考:e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

マタハラを受けた際の相談先

マタハラを受けていると感じたら、まずは相談するようにしましょう。

まずは会社へ相談

まずは、会社へ相談してみてください。

ハラスメントの問題があると会社が認識した場合、会社はすみやかに解決を進める必要があります。

マタハラ行為をしてきた相手が同僚や上司と身近な人物の場合、気まづさから言いづらい気持ちもあるかもしれません。

しかし、今後も居心地よく働き続けるためにも、会社に報告することが大切です。

会社にハラスメントの相談窓口が設置されていればその窓口に、なければ人事部に報告しましょう。

各都道府県の労働局 | 雇用環境・均等部(室)

会社に相談しづらいという場合は、各都道府県の労働局へ相談してみてください。匿名での相談が可能です。

雇用環境・均等部(室)では、マタハラだけでなく職場でのあらゆるハラスメントについて無料相談を受け付けています。

相談後に改善が必要だと判断されると、必要に応じて是正指導を進めてもらえます。

各都道府県の雇用環境・均等部(室)の所在地は、雇用環境・均等部(室)所在地一覧より確認してみてください。

厚生労働省 雇用環境・均等部(室)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088308.html

法務省 |「女性の人権ホットライン」

女性の人権ホットラインは、女性の人権に関する相談を請け負う窓口です。

相談は無料ででき、電話、インターネットでの受け付けが可能です。

相談フォームに氏名、住所、年齢、相談内容を入力して送信してみてください。

送信後、最寄りの法務局からメールか電話で返答がきます。

法務省 女性の人権ホットライン
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken108.html

それでも解決しなかったら弁護士への相談がおすすめ

「複数の窓口に相談しても解決しない」

「すでに解雇を宣告されてしまった」

「一方的に降格されてしまった」

マタハラの解決の糸口が一向に見えず、すでに不利益が生じているときは、弁護士への相談を検討してみましょう。

弁護士へ相談するメリット

マタハラの問題を弁護士へ相談するメリットは、以下のとおりです。

  • 当事者の代わりに企業にマタハラを辞めるよう交渉してくれる
  • 訴えることになった場合はマタハラの証拠収集から書面作成を一任できる
  • マタハラによる不利益が生じていたら損害賠償請求を行ってくれる

「マタハラによって退職に追い込まれてしまった」「精神的苦痛を受けて会社へ行けなくなってしまった」など、マタハラの内容が悪質なケースも少なくありません。

何らかの損害が発生していたら、マタハラを理由に訴えることができます。

弁護士が味方になってくれることで、精神的・身体的な負担軽減につながるでしょう。

弁護士の探し方

マタハラに関する悩みを解決したいときは、労働・雇用問題の中でもハラスメントに詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

女性の権利問題に強い弁護士を選んでもいいでしょう。自分に合った弁護士を探してみてください。

弁護士の探し方は、インターネットでの検索で自宅や職場からアクセスしやすい法律事務所に問い合わせてみましょう。

地域の法律相談窓口を利用するのもひとつの手です。

弁護士への相談は、初回無料で行っているところがあります。

おすすめの窓口は、こちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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マタハラかも…?少しでも悩んだら早めに相談をしよう

「これってマタハラだよね?相談した方がいいのかな」

このように、職場で少しでも違和感をもったら早めに相談することをおすすめします。

マタハラを受けるのは、受けた側の責任ではありません。

特に妊娠中は身体の変化が著しく、精神的な安定が必要な時期です。

マタハラによる心身の負担はとても大きなもの。決してひとりで溜め込まず、まずは相談しやすい窓口を利用してみてください。

必要であれば、専門家のサポートを受けることも視野に入れてみましょう。

弁護士費用に不安をお持ちの方は、弁護士保険もおすすめです。

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記事を振り返ってのQ&A

Q.マタハラはどのような行為に該当しますか?
A.マタハラの具体例として、以下が挙げられます。

  • 妊娠・出産・育児に対する嫌味を言われる
  • 制度利用を妨害される
  • 労働条件や契約内容の変更を強いられる

Q.マタハラは違法ですか?関連する法律を教えてください。
A.マタハラは違法行為に該当する可能性があります。
関連する法律は、以下のとおりです。

  • 労働基準法
  • 男女雇用機会均等法
  • 育児・介護休業法

Q.マタハラを受けたら、どこに相談すればいいですか?
A.マタハラをされている場合は、下記に相談してみてください。

  • 会社の人事部(会社にハラスメント相談窓口があればそちらへ)
  • 各都道府県の労働局 | 雇用環境・均等部(室)
  • 法務省 |「女性の人権ホットライン」
  • 労働・雇用問題や女性の権利問題に詳しい弁護士

マタハラをされているかも?と判断がつかない場合も、相談することをおすすめします。