「弁護士に向いているのはどんな人?」
こういった質問、実は答えるのが非常に難しいです。
というのも、弁護士には様々なタイプがいて、それぞれが弁護士として成り立っているように感じるからです。
よって、事件の内容次第で、その事件に向いている弁護士、向いていない弁護士というのはあると断言できますが、なにを持って弁護士に向いているか?というのは、かなり難しい質問です。
それでも強いて答えを挙げるのであれば、「いかにバランスが良いか」ではないでしょうか。
こんな疑問にお答えします
A:人を相手にする業務なので、「優しさ」は必要です。
しかし、紛争解決の仲介をする立場である以上、強い精神力や責任感も求められます。
優しさはもちろん大切だが・・・
実際に弁護士と接したことがある方は、弱者の味方で優しいといったイメージを持っている方が多いかもしれません。
弁護士として人に優しいというのは、まさに長所ですし、向いているのだと思います。
しかし、優しいだけでは弁護士の職務は務まらないシーンもたくさんあります。
というのも、裁判ではどうしても優劣がついてしまうものだからです。
依頼者のためにとってきた勝訴判決というのは、その相手にとっては敗訴判決になります。
また、刑事事件にしても、被告人のために弁護活動を行いますが、その裏には被害者が存在しています。
幸せの裏には不幸がある、という言い方をしては極端かもしれませんが、自身の活動の裏で、不幸になっている人がいることを受け入れなければならないのです。
和解という言葉もありますが、どちらに対しても優しくというのは、なかなかできることではありません。
また、時には依頼者に対しても厳しくしなければならない場面もあります。
いくら依頼者のためとはいえ、法を犯すことはできませんし、間違ったことを容認できるわけもありません。
優しさだけでなく、厳しさもバランス良く持ち合わせていなければ、本当の意味で弁護士に向いているとは言えないのではないでしょうか。
ただ、ひたすら人に優しい弁護士もいてくれたほうが、個人的には喜ばしいです。
精神力とほどほどの責任感
弁護士は、プレッシャーに負けない精神力を持ち合わせている必要があります。
1つのミスによって、依頼者の一生が決まってしまう裁判を取り扱うこともあるのです。
よって、精神力に加え、責任感も強くなければ、弁護士として長年業務に勤めることは難しいでしょう。
かといって、依頼者の一生を背負う覚悟が必要、というわけではありません。
そこまで自身に責任を負わせてしまえば、負けるたびに自身の心までボロボロになってしまいますから、ここでもバランスの良さは重要だと言えます。
どちらにしても、精神力の強さは必要だと言えますが、重すぎる責任感は弁護士としての活動に支障が出てしまうように感じます。
もちろん、それほどの覚悟で裁判に臨む弁護士がいてくれたら、依頼をする側としては心強いでしょうけどね。
言葉の使い分けができる
弁護士という職業は、とにかく人と接し続ける職業です。
よって、言葉の使い方がうまい、コミュニケーション能力が高い、といった方が弁護士に向いていると言えるのではないでしょうか。
ただし、言葉の使い方といっても様々です。
言葉は少ないが依頼者の心をしっかり掴んで離さなかったり、饒舌でひたすら依頼者に安心感を与えたりと、言葉の使い方のうまさには様々あります。
しかし、弁護士はそれを依頼者によって使い分けていかなければなりません。
相手のタイプを見極め、より良い言葉を模索する必要があるといえます。
よって、ここでも偏ることなく2つを使い分けるバランスの良さが必要になってくるのです。
さらに、コミュニケーション能力が高いだけでは、弁護士は務まりません。
裁判所に提出する書面も作成しなければならないのですから、文章力も必要になってしまいます。
言葉を口頭で伝えるうまさ、文章で伝えるうまさ、どちらもバランス良く持ち合わせている方が弁護士に向いているのではないでしょうか。
ただ、個人的には、言葉がうまくなくても一生懸命さを感じられる弁護士は好きです。
トラブルにも動じない
弁護士の業務において、トラブルはつきものです。
誠心誠意を尽くして業務にあたっても、結果によっては依頼者や相手方から恨みを買うこともあるでしょう。
しかし、紛争解決を仲介する立場である以上、「トラブルは避けられない」と割り切るのも大切です。トラブルが起こるたびに深く落ち込んでいては、自信を失うばかりで業務も成り立ちません。
基本的に、多少のことでは動じない精神力を持ち合わせることが大切です。
マルチタスクを得意とする
弁護士の業務では、多数の案件を同時にこなす必要がある場合も出てきます。
マルチタスクを効率的に進めるには、優先順位付けや期限設定などによる徹底した進捗管理が必要です。
これまでにマルチタスクを上手にこなしてきた経験がある人は、弁護士になってもその能力を活かせるでしょう。
あきらめない精神を持つ
最難関である司法試験を突破するためには、あきらめない精神が必要です。
弁護士になるには一般的に大学入試、法科大学院入試、司法試験、司法修習終了後の考試と複数の関門を突破する必要があります。
すべての試験に一発合格できた場合でも、10年ほどは弁護士になるための勉強に打ち込む計算になります。
このような過程において、途中で挫折しそうになる瞬間もあるでしょう。
しかし、弁護士になれるのは最後までやり遂げる人です。
したがって、長い期間にわたってあきらめずに努力を続けられる人が、弁護士に向いていると言えるでしょう。
理想の弁護士像を持つ
「どのような弁護士になりたいか」「弁護士として実現させたいことは何か」が明確である人も、弁護士に向いています。
理想の弁護士像を持っていれば、目標に向けて努力していけるでしょう。
一方、「自分の学力を試してみたい」という思いのみで司法試験を受験しようとする人もいますが、それはおすすめできません。
弁護士は業務を始めてからも苦労の連続です。弁護士になってどのように社会貢献をするかのイメージがないままでは、途中で業務をあきらめることになりかねません。
報酬の管理がしっかりとできる
ちょっとお金の話になってしまいますが、報酬の管理がしっかりできる方でないと弁護士には向いていないと言えます。
依頼者すべてがお金を持ち合わせているわけではありません。
したがって、分割払いに応じるという場面にも出くわすことになります。
しかし、報酬の管理が杜撰になっていると、しっかりと払われているのかどうかを把握できなくなってしまうのです。
支払わない依頼者に対しては、心を鬼にして請求できる気持ちの強さも必要だと、個人的には感じています。
いってしまえば、弁護士は個人事業主なので会社の経営者と変わりません。
お金の管理ができないということは、それだけ経営基盤が脆弱なのです。私たち事務員も給与をもらえなくなってしまいます。
とはいっても、なにがなんでもお金というわけではなく、お金よりも大事な部分もわかっているのだという、お金に対するバランスの良い価値観も持ち合わせていたほうが、より弁護士に向いているのではないでしょうか。
最後に
ここまで、バランスの良さについて述べてきましたが、成功しているすべての弁護士が、バランスが良い弁護士ではありません。
「かなり個性的である」、「考えが偏っている」、こういった弁護士が成功している例は、世の中にはたくさんあります。
よって、「弁護士に向いている=弁護士として成功している」というわけでもないのかなと感じています。
また、向き不向きというのは、その職業に就いて実際に仕事をしてみて、自ら感じ取ることなので、第三者からすれば好みや理想といった概念がどうしても入ってきてしまうため、うまい答えが見つからないというのが本音ですね。
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記事を振り返ってのQ&A
A:一般的に、以下のような特徴を持つ人です。
- 優しさを持つ
- 精神力とほどほどの責任感を持つ
- 言葉の使い分けができる
- トラブルにも動じない
- マルチタスクを得意とする
- あきらめない精神を持つ
- 理想の弁護士像を持つ
- 報酬の管理がしっかりとできる