離婚後の慰謝料や養育費がどうしても払えないといった場合、減額請求を起こすことはもちろん可能です。
ただし、認められるかどうかについては、
・そもそもの金額の算定に裁判所が関わっていたのか?
・減額を求める理由は一体なにか?
といった点が重要なポイントとなります。
減額請求が認められるケースには共通のパターンがある
また、慰謝料や養育費の減額請求は必ずしも認められるわけではありませんが、どのような理由だと減額が認められやすいのでしょうか?
減額請求が認められるケースについては、一定の共通点があります。
反対に、どのような理由だと認められにくいのか?についても知っておくことで、少しでも減額が認められる可能性を高くしておきましょう。
慰謝料の減額について
慰謝料は、原因がなければ生じることはありません。
たとえば、不倫相手と肉体関係に及んでいた、またはDVの対象となる暴力的な行為があった、などの場合に慰謝料が生じることになります。
何かしらの原因があって初めて成立するという点と、裁判所ではその度合いによって慰謝料金額の算定がされるため、後から減額請求をするのはかなり難しいのです。
そもそも支払えない金額を決定されているわけではないからです。
単純に当事者同士の協議によって決められた慰謝料額であれば、その後、調停に持ち込むなどして減額の余地はありますが、裁判所が介入して決められた慰謝料金額の場合、後になってから減額請求をするというのは、かなり困難でしょう。
慰謝料の減額は当事者間の協議で
慰謝料の性質としては、ある原因によって生じた精神的損害に対する賠償金であることと、請求される側の資力などに基づいて算定されているため、余程のことがなければ後から変更されることは認められません。
さらに、通常は一括支払いが一般的とされているため、支払う金額を減額したいというのは、さすがに無理があるでしょう。
稀に分割にて慰謝料を支払っていく例もありますが、生活状況が苦しく、どうしても減額してほしいのであれば、相手に対して減額の懇願をするしかありません。
その場合、減額を受諾してもらい、再度の慰謝料額を双方で協議することになります。
その後、相手に減額を認めてもらえたならば、必ず証拠として書面などに残しておくようにしましょう。
後になって「やっぱり減額はなかったことにしたい」などと言われてしまうこともありますので、その際は、その証拠書面を持参し、裁判手続きにて減額を確固たるものとすることが必要です。
養育費の減額について
一方で、養育費の場合は、慰謝料ほど減額は困難ではないといえます。
というのも、養育費の支払いは子どもが大人になるまでの期間、つまり、場合によってはかなり長期間に及ぶ支払いになることもあるため、支払っている側の生活状況が変わってしまうこともあり得るからです。
そこで、1度決められた養育費について、一切の減額を認めないとしてしまうと、一方があまりにも負担が大きくなる可能性があるため、後からの減額請求が認められたという事例は過去多くありました。
よって、養育費の減額が相当と認められる場合は、養育費の減額をすることが可能です。
慰謝料とは違い、たとえ養育費の算定に裁判所が介していたとしても、事情次第では認められるといえます。
では、どのような場合に認められるのでしょうか?
養育費の減額が認められる理由
養育費の減額が認められるには、双方の生活状況に関係しています。
たとえば、
・再婚によって扶養家族が増えてしまった
・支払われる側が以前よりも多くの収入を得ることができるようになった
といった場合に、養育費の減額が認められるでしょう。
このように、減額も頷ける特別な事情が全くない場合には、養育費の減額が認められることはまずありません。
本来、子どもの生活そのものがかかっていますので、養育費については慎重でなければならないのです。
慰謝料の減額が認められる理由
なお、上記理由の中でも仕事を解雇されてしまった場合のみ、慰謝料の減額が認められる可能性があるでしょう。
上記してきた内容を見る限り、養育費とは違い慰謝料の減額はかなり難しいことがわかります。
たとえば、扶養家族が増えても慰謝料減額の理由にはなり得ませんし、支払われる側の収入が増えたところで、それが慰謝料の減額に影響するはずがありません。
唯一、収入を得る手段がなくなったという差し迫った場合のみ、当事者同士の協議で認められなくても、裁判所の調停手続きで認めてもらえるかもしれないのです。
とはいえ、調停手続きは当事者同士の話し合いの延長なので、相手が一切認めなれば、慰謝料額の減額をすることはできません。
そうなると、実際に収入を得る手段もありませんし、慰謝料の支払いもできませんから、滞納をする以外解決策はないと言えるでしょう。
減額が認めらにくい理由とは
では、減額が認められにくい理由とは、どのようなものなのでしょうか?
その答えは、単純に上記してきた理由に該当していない場合です。
つまり、著しい生活状況の変化が見られないにも関わらず、減額が認められることは、ほぼないと考えておきましょう。
また、自発的な理由で生活状況が変わったと場合も認められることはないでしょう。
自発的な理由で仕事辞めてしまったから減額してほしい、ローンを組んだから減額してほしいというのは、まず認められません。
あくまでも、自然の流れの中で、どうすることも出来なかった理由がなければならないのです。
減額の交渉は弁護士などの専門家に依頼してみるのも手
減額は、交渉が重要です。
極端な話、相手が認めてくれさえすれば、裁判所も関係ありませんし、減額の理由も関係ありません。
いかにうまく相手と交渉するかについては、やはり交渉のプロである専門家の出番といえるでしょう。
どうしても慰謝料・養育費を減額してほしい場合、弁護士など法律の専門家に依頼してみることを検討してみてはいかがでしょうか。