これまでの人生で自分が築き上げてきた財産を残された大切な家族へ相続するには、遺言書を残すことがもっとも有効です。
しかし、財産の金額が大きかったり、家庭の内部事情などによっては
自分が亡くなったあとに家族間や親類間で揉め事がおこったりしないかという心配も出てくると思います。
遺言書は正式な状態で確認されれば基本的にはそのまま相続が実行されるものですが、場合によっては自分が考えた遺言書の内容が実行されないこともあります。
遺言書の通りに相続が行われない遺産分割協議
どのような形態の遺言書であっても、書式などを間違えてなければそれは家庭裁判所の検認で正式な遺言だと認められます。
しかし、遺言書の内容によっては残された家族間で争いが起こる可能性があります。
倫理上、遺言書は最後の意思表示として尊重されるべきだとは言われていますが
”相続人全員が合意した場合に限り遺産分割協議が可能”になります。
遺産分割協議とは?
相続人同士が遺言書を確認した上で再度、相続する配分などを考え直す話し合いです。
話し合いと書けば穏やかなように見えますが協議が行われるということは
相続権のある人間の中に不満が生まれている、もしくは納得していない人がいるということです。
こういった事態になってしまうと、相続問題がきっかけで家族間に亀裂が生まれてしまう可能性も充分にあります。
遺産分割協議禁止を明記することも出来る
遺言書の中に相続遺産に関しての分割協議を禁止するという意思をはっきりと表明していれば
民法上最大で5年までの間は遺産分割協議を行うことが出来ません。
また、分割協議は相続人の全員一致が条件となっているので1人でも反対すれば成立しません。
ただし、注意点として遺産分割協議禁止を明記すると全ての遺産に対して効力が適用されます。
遺言書の作成は本来であれば、生前の関係性なども考慮して遺言を残す側が考えるものですが
どうしても悩んでしまう点や気になる点がある場合は専門家の方にアドバイスをもらうということも視野に入れてみてはいかがでしょうか?
最終的には相続する側の意思で変化してしまう
ここまである程度予測出来る範囲についての遺言書で悩んでしまいそうなポイントを取り上げましたが、遺言書が完全に有効な場合でも
相続人が全員一致すれば、遺産分割協議禁止すらも無効に出来ることもあります。
こういったケースを考えると、遺言書にますます迷いが出るかもしれませんが、逆にこういった問題は最初からあるということを踏まえた上で専門家の方と相談して残したい遺言書をしっかりと作成しておけば
故人の意思はそこまで無下にされるものではないと思います。
悩むことも多い遺言書の作成ではありますが、一番大切なのは遺言書には自分が亡くなった後、最後の意思を明確にするということです。
相続に関するトラブルはおそらく遺言書がある場合の方が圧倒的に少ないはずです。
で、あれば遺言書はやはり作成しておいた方が、少なくとも後に起こり得るトラブルを防げる可能性は上がると思われるのでそういった意思がある場合にはしっかりと作成しておくことをおすすめします。