個人で仕事を請け負う『ウェブライター』が注目されるようになりました。
ウェブライターとは、企業のサイトやブログなどに掲載する記事を執筆する業種であり、副業で取り組む主婦から専業で取り組む方まで、どんどん増えています。
ウェブライターとして活動する方のほとんどが企業に属していない個人であり、クライアントとやり取りしながら仕事を請け負っています。
そのため、クライアントとの賃金や業務内容など、契約上でのトラブル事例が増えています。
そこでここでは、ウェブライターに多い法的トラブルの事例を紹介し、その対処法についても詳しくお伝えしていきます。
こんな疑問にお答えします
Q:ウェブライターに多い法律トラブルについて、なにか対策はありますか?
A:弁護士保険の教科書編集部の回答サマリー
何かしらトラブルがあった際には、自分自身が直接対処しなければなりません。しかし、執筆作業をしながらクライアントとやり取りすることは、大きな負担となってしまいます。そのため、法的なトラブルが生じた際には、すぐに法律のプロフェッショナルである弁護士に相談できる体制を持っておくことが大切です。
ウェブライターのトラブル例
- 執筆料の未払い
- 契約内容
- クライアントと音信不通
ウェブライターの業務上での法的なトラブル事例として、上記のものにまとめることができます。
どのようなものなのか、対処法も踏まえて詳しくお伝えしていきましょう。
執筆料の未払い
ウェブライターだけではなく、フリーランスに多い法的トラブルが『賃金の未払い』です。
ウェブライターの業務は、クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどのクラウドソーシングサイトを利用しているケースと、直接的な取引によるケースが多いです。
それぞれにどのようなトラブルなのか、対処法も含めてご紹介していきましょう。
クラウドソーシングサイトを利用しているケースによる未払い
クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどでの未払いに多いものは、
- 納品しているのに検収してもらえない
- 納品してから連絡が取れないようになった
- いつまでも修正対応を迫られる
- 納品してから品質が悪いとキャンセルを迫られる
- 追加報酬を支払ってもらえない
といったものになります。
クラウドソーシングサイトの場合、そのシステムとしてクライアントは先にクラウドソーシングサイトで支払いを澄ませ、納品後に問題なければ決済するという形になります。
そのため、依頼に沿って記事を執筆して納品し、適宜、修正対応を行えばそこで報酬を得ることができます。
ただ、いつまでも検収をしないことや、連絡が取れなくなること、品質を問題にして何度も修正を迫ること、キャンセルを迫る行為などを受けることがあります。
すると、いつまでも報酬を得ることができなくなってしまうのです。
直取引のケースによる未払い
個人のブログやSNSなどから、直取引の依頼が来るケースも少なくありません。
クラウドソーシングサイトを通すと2割程度の手数料が必要になることから、直取引はウェブライターにとって有難い取引となります。
ただしその反面で、クラウドソーシングサイトを通していないために、トラブルが生じた際には自身で対処しなければならないことになります。
トラブルとして多いものには、
- 納品してから連絡が取れないようになった
- いつまでも修正対応を迫られる
- 追加報酬を支払ってもらえない
といったものになります。
執筆料の未払いの対応
クラウドソーシングサイトを利用している場合には、運営側に連絡することによって、対処できることも少なくありません。
どのクラウドソーシングサイトにおいても、クライアントと連絡が取れない場合や検収してくれないような場合、運営側からクライアントに連絡してもらうことが可能です。
仮払い制度などを導入しているクラウドソーシングサイトも多いので、ある程度のトラブルにおいては運営側に連絡すれば、未払いにならずに済むケースが多いでしょう。
ただし運営側は業務内容まで踏み込まないケースがほとんどなので、修正対応やキャンセル対応を強制されるようなことについては、どこまで対処できるかはケースバイケースになります。
直取引においては、ほとんどの場合、メールなどでのやり取りになり、そのまま連絡がつかないようなケースも少なくありません。
ただ、事前に住所や電話番号などを聞いておけば、直接連絡することによって回避できるケースも多いでしょう。
執筆料の未払いを防ぐには
- 評価などを確認し信頼のおけるクライアントから仕事を請けるようにする
- 小さな仕事から請けるようにする
- クラウドソーシングサイトの運営側にすぐに連絡する
- 直取引の場合には一時金など前払いも検討する
執筆料の未払いを防ぐためには、クライアントが本当に信頼できる相手なのか、見抜く力を持っておくことが大切です。
クライアントのプロフィールを確認したり、クラウドソーシングサイトでの評価を確認したりすると良いでしょう。
また、クライアントの住所や連絡先などがわかっているのであれば、実在する企業なのかどうか、検索して調べておくことも重要です。
仕事を請ける際には、いきなり大きな仕事を請けるのではなく、小さな仕事を積み重ねるようにし、お互いに信頼を築き上げることが重要でしょう。
信頼を築き上げてから、大きな仕事を請けるようにしておけば、それだけ受けるリスクが少なくなります。
また、クラウドソーシングサイトを利用している場合には、些細なことでも運営側にすぐに連絡するのが適切です。
運営側からも、何らかの対処を行ってくれるケースがほとんどです。
直取引の場合であれば、一時金など前払いを検討しておくことも重要でしょう。
ただ、大きい仕事が増えているのであれば、弁護士など法律のプロの相談体制を持っておくことも大切になります。
当初交わしていた契約と違う、契約書トラブル
ウェブライターの法的トラブルには、「当初交わしていた契約と違う」というものも少なくありません。
例えば、納品後に執筆内容が変更になって修正を求められたり、いつまでも修正を求められて校了とならなかったり、約束していた報酬が支払われないようなケースです。
もちろん、契約に基づいて業務を行う訳ですから、そのような行為はクライアントによる契約違反と捉えることができます。
ただし、ここにウェブライター特有の問題が背景にあることが分かります。
口約束が多いウェブライターの業務
そもそもウェブライターとして活動している方の中で、クライアントと契約書を交わしているケースがどれくらいあるでしょうか。
ほとんどが、口約束のような感じで業務を進めているケースが多いでしょう。
クラウドソーシングサイトを利用しているような場合であれば、クライアントとのやり取りによって条件が示され、お互いに合意すれば案件に取り掛かることになります。
そのため、契約書がないとしても、そのやり取りがそのまま契約内容として捉えることもできるでしょう。
ただ、しっかりと条件を示さないままに業務を行ったとしたら、予定していた賃金が支払われないことや、業務内容の急な変更、必要以上の修正対応など、法的なトラブルに発展するケースも少なくありません。
事前契約書をいかに締結するかが大事
「約束と違う」というケースは、ウェブライターにとってとても多いことから、事前にしっかりとやり取りを行い、その内容で契約書を締結することが重要になります。
特に注意すべきポイントとして、
- 瑕疵担保責任
- 賃金の支払い
- 著作権に関する問題
にまとめることができます。
瑕疵担保責任とは、記事を発注するクライアントが、ライターに対して期間を定めて修正を請求でき、それに対処しなければならない責任です。
例えば、本来発注したイメージと異なるような場合や、意図とズレているような場合には修正が必要になるでしょう。
この責任が果たされないのであればクライアント側は、契約の目的が達成されないために契約を解除することが可能になります。
ただし、いつまで請求できるのか、どこまで請求が求められるのかについては、民法上においては1年以内となっています。
また、ブログなどに掲載した記事によって、仮にクライアントに不利益が生じるとしたら、記事の修正だけではなく、不利益による損害賠償が生じる可能性があります。
契約不適合責任と呼ばれるものですが、現実的には1年が経過する頃に修正や損害賠償を求められても、現実的には対応が難しいケースがほとんどです。
そのため、不利益にならないような契約にしておかねばならないのです。
納品後にクライアントがチェックを行い、校了となった時点で業務は完了し、定められた期日までに賃金を支払うことが現実的なやり取りでしょう。
また、ウェブライターは記事の納品後に著作権を放棄するのかどうか、どこまで改変が可能なのかについても定めておくことが大事です。
仮に、契約書による締結ができないとしても、メールなどのやり取りで、契約条件についてしっかりと伝えておき、合意の下で業務を行うようにしなければなりません。
クライアントと音信不通
ウェブライターの法的トラブルとして、とても多いものにクライアントとの音信不通という問題があります。
もし、依頼中に音信不通になったとしたら、
- 業務が途中で進まなくなる
- 報酬の支払いが受けられなくなる
といった問題に発展してしまうことになります。
例えば、30記事の作成を依頼され、仮に29記事目で連絡が一切付かなくなったとしたら、それまでの報酬が得られなくなる可能性があります。
クラウドソーシングサイトでの依頼であれば運営側に連絡を
上記でもお伝えしていますが、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサイトを利用している場合には、連絡を繰り返しているにもかかわらず連絡が付かない場合には運営側に連絡するようにしましょう。
多くの場合には、クライアントは仮払いをしているために、賃金を受け取れない可能性は少ないと言えるからです。
運営側に連絡すると、すぐにクライアントに連絡をしてもらえ、状況を確認してもらえます。
仮に、依頼途中で止まっている状況の場合であるとしても、状況を確認して、手続きを進めてくれる可能性があります。
直取引の場合にはクライアントに直接連絡を
直取引で依頼を請けている場合には、自身で対処しなければなりません。
多くのケースでは、メールやLINE、チャットワークなどを活用してやり取りしているケースが多いと思いますが、それらで連絡が付かない場合には、電話連絡や郵便での対応が必要になるでしょう。
ただし、当初からメールでのやり取りだけの場合であれば、クライアントの連絡先が一切分からないということがあるかもしれません。
クライアントとの音信不通を避けるには
- クラウドソーシングサイトを利用してもらう
- 連絡先を必ず確認しておくようにする
- 契約書を交わすようにする
クライアントとの音信不通を避けるには、手数料がかかるとしてもクラウドソーシングサイトを利用してもらうのが安全であると言えます。
ただし、運営側の対応にも限界がありますので、現実的にはそれだけで万全という訳にはいかないのでしょう。
直取引の場合であれば、連絡先を必ず確認するようにし、クライアントが企業の場合であれば、その企業の情報も事前に確認しておく必要があります。
また、何よりも契約書を交わすことが、ウェブライターを守る手段になると考えておかねばなりません。
基本的には、弁護士と相談できる体制を
上記ではウェブライターに多い法律トラブルについてご紹介しましたが、特にフリーランスのライターは弱者の立場であることから、珍しいケースではないと認識しておく必要があります。
インターネット上で、ウェブライターに関するトラブルを検索してもらえば、その状況が明らかになるのではないでしょうか 。
冒頭にもお伝えさせていただいた通り、何かしらトラブルがあった際には、自分自身が直接対処しなければなりません。
しかし、執筆作業をしながらクライアントとやり取りすることは、大きな負担となってしまいます。
そのため、法的なトラブルが生じた際には、すぐに法律のプロフェッショナルである弁護士に相談できる体制を持っておくことが大切です。
ただし、弁護士に相談するには相談料が必要になるケースが多く、その後、問題解決に着手してもらうためには大きな費用がかかってしまうことになります。
そう考えると、必要であるとしてもなかなか躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
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弁護士を利用する際には費用が気になりますが、弁護士保険であれば月額数千円で相談体制を構築できます。
必要に応じて、ウェブライターに必要な契約書を作成してもらうことや、トラブルの解決に着手してもらうことも可能です。
法的な対処や訴訟が必要な場合に必要な着手金については、本来の費用の一部負担のみで済みますので新たに弁護士に依頼するよりもコストが抑えられるのです。
ぜひうまく弁護士保険を活用して、トラブルの回避に努めてください。
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